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ケンタロー (la joie de vivre)さんKeyword Search
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芥川龍之介が自殺したわけは
芥川龍之介の「トロッコ」が舞台としていたのは、当方の故郷でした。
5ページの作品ですが、みかん園や海岸線、鉄道建設など、郷愁を掻き立ててくれます。
なかなか、私などにとっては、地縁のためか、素晴らしい作品だと思うんですよ。
ところが、その芥川龍之介ですが、周知の通り1927(昭和2)年7月に自殺してしまった。
どうして彼は自ら命を絶つなんてことになったのか、なぜそういうことになったのか。
それは、当時においても一つの謎だったと思います。
一つは、宮本顕治氏の『敗北の文学』(1929年作)であり、
もう一つは、松本清張氏の「芥川龍之介の死」(『昭和史発掘2』1965年刊)です。
宮本顕治氏は、1908(明治41)年-2007(平成19)年ですし、
松本清張氏は、1909(明治42)年-1992(平成4)年ですから、
二人は同世代なんですね。
事件から約1年半後の、ほとんどすぐ後に、20歳代の宮本氏が『敗北の文学』を書き、
戦後の20年を経て、50歳代の松本氏が書いたのが『芥川龍之介の死』でした。
なぜこれを、私などが、今ごろに当たろうとする気になったのか?
誰かが、1920年代の社会と現代の社会とが似ていると指摘していました。
今の社会ですが、
非正規労働がひろがり、社会保障が削られて、国民が将来への不安を大きくしている。
若い人たちが、自殺願望をやり取りして、殺されてしまう事件もありました。
全体として、おかしな方向が、様々な形で目につくような最近です。
どうしたらこの生活の先行不安を、この大問題を変えていけるのか。
なかなか見通しの立たないような現実の流れがあると思うんです。
お先真っ暗ななかに流されるのか、それとも事態を変える契機をつかめるか。
その点が、かつても問われていたのでしょうし、今日も問われていると思います。
私は、この二つの作品は、面白いと思うんです。
50歳代の社会派の作家は、さすがです。
それこそ男女関係も含めて、芥川に関する社会関係の様々な材料を集めています。
これが出来るのは戦後民主主義があったればこそ、その社会があるからこそだと思うんです。
他方、20歳代の青年は、当時入手しうる材料はごく限られていたと思うんです、
にもかかわらず、問題の核心の一端をついて、的確に批判していると思います。
私などは、ざっと二つの作品を通読しただけですから、
材料をとらえるのが不十分ですから、確かなことは言えないんです。
しかし、それでも、あくまで直観的になんですが、感じます。
この問題は、現代においてこそ、しっかりとらえることが大切だ、と。
シャープで正確な批判的精神をもって、多岐な社会的材料を総括的批判をすることが、
端的に言えば、宮本氏の精神でもつて、松本氏の多岐な材料を吟味することが必要だ、と。
私が、それをやれているわけではありません。
課題として感じているだけで、今後の課題としていることなんですが。
それは、今を生きる人にとって、自分自身の姿勢を明確にする上で大事なことだと思います。
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