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『家族・私有財産・国家の起源』を通読して(その3)
エンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』(新日本文庫)を通読しました。
この著作については、1、8月14日のブログでこれから読むことを宣言してから、2、9月2日に第2章を読んでの中間の感想を紹介しました。
だいぶ以前ですが、これまでもこの著作は、1,2度は挑戦したことがあったんですが、その時は家族史などの理解に四苦八苦でしたから、断続的に納得する部分をひろい読みしたくらいで、全体としての感想などは残っていなかったんですね。
今回は、個々の細かな部分の理解は怪しいのですが、この著作が全体として何を云わんとしているか、その点を眼目にして、とにかく終わりまで通して読ことが目標でした。
最近、古代ギリシアのアイスキュロスの作品を読んだことなども、この著作を読みすすむ上で、一つの刺激になりました。
この著作を通読して、いくつかの宿題が出てきました。
1、何で今ごろ、この著作を読むことにこだわったのか、との点ですが。この著作は、大きく人類史というものを唯物論的歴史観の観点からみたスケッチを与えてくれます。その時点(1891年時点)で果たしうる大きな総括的な姿を示してくれていると思うんです。その中身は、もちろん、その後の調査や発掘、研究によって、より豊かにされていくべき性格のものではありますが、その見方・方法というのは明確にされたんですね、この著作によって。
注目すべき点ですが、マルクスたちの努力とはまったく独自の研究をしていたアメリカ人のモーガンですが、その大筋において、考え方・方法を同じくしていたんですね。彼はアメリカ・インディアンの氏族について丹念な研究をしていたんですが、唯物史観の見方に独自の研究成果をもたらした。これって、すごいことじゃないですか。唯物史観を学習する材料を与えてくれているんです。
従って、エンゲルスのこの著作ですが、その基礎を理解するには、モーガンの『古代社会』(岩波文庫)を理解することと、それに対するマルクスの「摘要」(全集の補巻4)を、これはモーガンの著作からの書き抜きと評言なんですが、この二つの理解が基礎になっているわけです。
材料としては、この3点は、ちょっと努力すれば、今では誰しも入手しうるんですが。
この著作の背景をなしている二つの著作ですが、それは今日誰しもちょっと努力すれば入手できますし、これに通じることが、提起されている問題に通じる上で、大事な課題になっているんですね。
2、さらに問題があります。この著作に注目した人にレーニンがいます。レーニンは、『国家と革命』や講演『国家について』などで、この著作の意義を強調しています。それは国家論の視点ですが、ロシアが当時直面していた社会変革をすすめる上で、国家の本質をつかむことが欠かせなかったんですね。当面するロシア革命にたいして、変革者としてレーニンはこの著作から行動の指針を引き出しているんですね。それが、かならずしも世界の全体に妥当するものではなかったかもしれないけれど、当時のロシアの状況打開する理論としては、それは貴重な貢献だったと思います。レーニンはこの二著作で『家族・私有財産・国家の起源』での成果を、国家論としての本質的内容から重視して、学習することを強調しています。レーニンも時代の子なんですね。この点での理解の問題があります。
3、もう一つ、エンゲルスは、モーガンが過去の分析から引き出した未来への示唆についてですが、そのモーガンの見地をさらに徹底して推し進めることの大切さを強調しています。その過去の歩みを知ることは、今の社会問題を一つの歴史過程としてとらえれるようになるし、今日の課題の一般的な解決方向を知る手掛かりにもなることを示唆しているようですが。
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