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2018/11/08
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今更ながら、村田紗那香さんの「コンビニ人間」を読みました。
芥川賞をとった作品で、私も、小説のタイトルくらいは知っていましたが、これまで、読もうと思ったこともありませんでした。
会社の昼休みに、女性スタッフが「コンビニ人間、読みましたか?」と聞いてきたので、「読んでない」と答えると、
「面白んですけど、表現しにくい、なんとも言えないもやもや感が残るんです」とのこと。

ということで、さっそく購入して読んでみた次第です。

100万部突破ということは、100人に一人は持っているということなので、私がどうこういう話ではありませんが、という前提で話を続けます。

主人公は36才、女性、コンビニ店員。
そう聞くだけで、人はいろいろな想像をめぐらしますよね。
そういう想像というのは、その人が持っている「普通」という尺度から創造するわけなのですが、この小説は、まさしく、その「普通」にスポットをあてた本です。

物語は、その主人公を一人称で進んでいくのですが、その語り口は極めて感情を抑えた、平坦で客観的なもの。
周囲の感情の起伏を、客観的に、ある意味冷めた目で描いていくことで、ニュートラルな印象を受けます。
が、主人公のニュートラルは、どうやら周囲のニュートラルとは違う、ということがだんだん分かってきます。

ということで、薄い本なので、読書の秋におすすめです。

私は大学時代に、2年間くらいコンビニでアルバイトをしていました。
かれこれ30年以上前の話で、コンビニのマニュアル化も今ほど進んでいない時代です。
確か、夕方の8時くらいから、深夜1時か、2時までの勤務。
アルバイトも軟派な高校生から大学生、それに、昼間は普通に仕事して、そのあとコンビニで働いているおじさんもいました。
住宅ローンを払うためという噂でしたが、真偽のほどは分かりません。
当時は、お客のいないときは、レジでバイトがおしゃべりをする、というのも普通に行われていました。

今のコンビニでは、レジで私語なんて、ちょっと考えられないことだと思います。
それが、アルバイトに払っている金額に対して、一定のコストパフォーマンスを確保するために、マニュアル化が進んだのでしょう。
「私語」ほど、無駄で店の印象を悪くするものはないですし・・・・。
お客様がレジに並んでなかったら、商品を裏から出すとか、お客様が並んだら、すぐにレジに入るとか、お客様の入店の際のあいさつとか、余計なことを考える時間を与えないようにしてあります。

マニュアル化というのは、ある意味、「個体差」を圧縮することです。
個々の能力の凸凹をできるだけ平滑化して、「目標値」ん近づけていくには有効ですね。
素手でケンカすれば、個人の力の差は明らかにでてきますが、防具をつけたり、ルールを決めたり、武器を持ったりすることで、「兵士」として均一化されてきます。
コンビニのマニュアルというのも、ある意味「武装」なんですね。
個性を鎧の奥に隠して、兵士になりきる。
マニュアルという鎧の中に入って居る時に、妙な安息を感じたりする。
人間というのは、不思議なものです。





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Last updated  2018/11/08 08:16:44 AM
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