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2021/03/31
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少し前に読んだ本ではありますが、米中対立の激化で、中国の動きに注目が集まっているということで、今日は、浅田次郎の「中原の虹」から。
「蒼穹の昴」シリーズと言われる、清朝末期を描いたシリーズの第三部目になります。
もともと、「蒼穹の昴」は、1996年の発刊。
続編の「珍奇の井戸」が1997年。
そして、「中原の虹」が、2006年~2007年の発刊。
10年以上も前の作品なんですね。
実は、この本もブックオフで買ったものなので、私が読んだのは少し前ですね。
これが完結編なのかと思ったら、シリーズとしては続いているようです・・・。

大ヒット作でもあり、私は見ていませんが、「蒼天の昴」はドラマ化もされたようなので、多くを語る必要もありませんが、世界が大きく変わっていく時代、という背景が現代にも通じるものがあるような気がします。
「中原の虹」の主人公は、満州の雄 張作霖です。
馬賊の頭目として頭角を現し、滅びゆく清朝を尻目に満州一帯に勢力を広げます。
ただ、蒼穹の昴シリーズの全編を通して、「芯」になっているのは、西太后。
清朝末期に絶対的な権力を持っていた女性ですが、世の中が一般的に持っているイメージは、自分勝手で、嫉妬深く、残虐な女性。
大昔にテレビで西太后の映画をしていたのをちらりと見たら、女性がツボに入れられてもがいていて、西太后が笑っている、という、なんとも恐ろしい場面でした。

が、この物語の西太后はかなり趣が違います。
清朝が滅びゆくことを受け入れつつ、新しい中国のために自分が人柱になっていくというような人物として描かれます。

浅田次郎という作家の素敵なところは、すべての人に対して深い愛情をもって描く、という点ですね。
頭のいいひと悪い人、強い人、弱い人、若者、年寄り、小賢しい人、愚かな人、悪い人、立派な人・・・・・。
どんな人にも、見えない背景や人間味や人生の機微が感じられます。

日本人には中国好きが多いですね。
現代の中華人民共和国ではなく、「中国4000年の歴史」の中国です。
これは、「論語」を精神的な支柱にしてきたということもあるでしょうし、「三国志」「史記」「水滸伝」などの物語にワクワクした、ということもあるでしょう。
私自身がそうですね。

で、現代の中国を見ますと、いよいよ世界の大きな分岐点が来たな、と思います。
清朝は滅びましたが、「習近平」はそうはさせまいと策謀を巡らせている、という状況です。
私が言うまでもなく、中国は「民主的」な国ではありません。
共産党の一党独裁の専制国家です。
専制君主である習近平が「こうする」と決めたら、明日にでも動き始めます。
一方、民主主義というのは、結局、「国会の承認」だとか言って、手続きに時間がかかりますし、持っている資源だって、「平等」の名のもとに分散せざるを得ません。
一方、専制国家というのは、決断から実行までのスピード感もありますし、なにしろ、持てる資源の集中投下が可能です。
国民が犠牲になろうが、不公平であろうが、そんなことは関係なく、集めた資源を、国家の戦略に従って使うことができます。
それが、中国の急速な軍備拡大にもつながっていて、一方では、日本など、経済的に中国なしでは成り立たなくなっています。
こうしてみると、やっぱり中国というのは、紀元前から戦国の世を生き抜くために知恵を絞ってきた、深謀遠慮の国だ、とも思います。

今、ウイグル自治区の問題とか、ミャンマーの問題とか、香港の問題とか、明らかに人権侵害な問題は噴出しており、アメリカのみならず、EUもまた、中国を批判し始めました。

ちょっと遅すぎた感は否めませんが、ひょっとすると、民主主義が勝つ最後のチャンスなのかもしれません。
私自身、中国は好きです。
ただ、現在の体制というのは、明らかに間違いであり、どこかで止める必要はあるでしょう。
「慣性の法則」というものがあって、動いているものはそのまま進む力を内在しているので、それを止めるためには、大きなエネルギーも必要ですし、そのために周囲にも大きな影響が出るでしょう。
しかし、これ以上放置すると、もう誰にも止められなくなる、そんな気がしますね。
中国は「易姓革命」の国です。
天子の徳がなくなれば、徳のある別の人物に天命が下ります。
「中原の虹」においても「天命」は大きなテーマとなっていますが、願わくば、米中対立からの大戦争による力の決着いうシナリオではなく、中国内部での「易姓革命」によって、世の中が大きく変わってほしいですね。
清朝末期には、欧米と日本が積極的に干渉して、中国を食い物にしようとしましたが、今の世界ではそれもできないでしょう。

中国そのものの崩壊は望みませんが、中国の一党独裁の崩壊、強権的な他民族支配の崩壊は必要だと思います。
近い将来、日本も、日本人も大きな決断を迫られる時がくるのでしょうね。

痛みを伴うとしても、正しい選択を希望します。

ちなみに、「蒼穹の昴」も近所のブックオフで買ったのですが、そのブックオフも、閉店になりました。






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Last updated  2021/03/31 12:51:50 PM
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