竜胆輪道 (りんどうりんどう)

竜胆輪道 (りんどうりんどう)

October 3, 2009
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テーマ: お勧めの本(8043)
カテゴリ: カテゴリ未分類
久しぶりの短編で、一日の通勤往復で読了(長編続きだったので、すぐに終わってしまったのがちょっと寂しい)

かといって内容が浅いわけではなく面白かった!

カフカは初めてで、世界文学の代表的作家ということで身構えて読み出しましたが、拍子抜けするほど平易な文章。

最初の「判決」は、途中からドタバタ劇が展開されビックリ。

想像していたものと違ったので、どう読めばいいのかと戸惑いを覚えましたが、おかしさを感じドンドン読み進んだというのが正直なところ。

結末は唐突というか、どう捉えればいいのか正直分かりませんが、「喜劇は笑いだけでは不足」と思っている自分にとって、一流の喜劇だと感じた一編。

円生の死神のように落語にした噺家はもういるだろうなと。




「変身」
有名なので筋は知っていて、実際読んでも想像通りではあったのですが、それでも面白い!
疎外感を表現していると思いますし、自分の位置というものの不確かさを感じました。
現代においてほとんどどんな場面でも、存在していなければ成り立たないというものはなく、どんな立ち位置でも自分ではない誰かに代替可能であるという現実を考えました。

虫になった主人公がよかれと思ってしたことが理解されないというコミュニケーションの難しさ。
言葉を使うことの利点や、言葉が通じる間柄でも行き違いになること、想いは理解されないことが多くあることなどは人間同士の関係でも同じ。
思いやりというものの持続力は・・

理解されず目を背けられる存在に追いやられる苦しみ、天井にぶら下がる場面などはユーモラス、妹の演奏を聞く場面は感動ドラマ的にと、人生の喜怒哀楽が短い中に表現されていて奥行きを増しているのではないかなと。

虫なので、ご飯時に読むのは避けた方が・・


「アカデミーで報告する」
猿から人間に成長した男の演説という形式。
どの作品も作者の意図を探ろうとしてしまう中で、これが一番読んだままに捉えられたかなと。
猿として捕らわれの身になってからの船員たちとの交流、人間の真似をしていく猿の様子が自然に描かれていて自分好みの一編。


「掟の前で」
これはカフカらしいというのでしょうか。わずか3頁ほどの話ですが、どのような解釈も出来そう。
思いを巡らせることが好きな人にはとてもいい素材になるでしょう。


後書きにあった「カフカはロールシャッハテスト」というのはその通りだなと。

「変身」で天井にぶら下がるのが心地よいと思う場面など、苦難の中にも日常がある(悲劇のヒロインも悲嘆にくれてばかりではないはず)というのが読んでいて思い起こしたこと。

色々な出来事や感情は常に入り交じっている。

悲しい出来事があったときは悲しみだけに浸っていなければ不謹慎だと思う人がいるかもしれないが、そんなに単純なものではないでしょう。

短い中にこれだけ考えさせるというのはとても面白く、読んだ後に色々考えを巡らす時間が楽しめるのもカフカの魅力でしょう。



『いや、自由なんかほしくない。出口さえあればいい。右でも、左でも、いやどこでもいい。ほかにはなにひとつ要求しなかった。出口が錯覚であってもかまわない。要求は小さかった。だから錯覚だって、大きくはないでしょう。さあ、行くんだ。さあ、行くんだ。木箱の壁に押しつけられ、腕をあげたままじっとしているなんて、ごめんだ。』

「アカデミーで報告する」より








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Last updated  October 4, 2009 12:57:48 AM
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