元・天津駐在員が送る中国ビジネス・エッセイ

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カテゴリ: 日本社会
中国人が日本を形容するときに、よく「細?」「細節」という言葉をよく使う。繊細、正確、細かいという意味である。

中国の作家「余華」さんは、日本にはじめてきた印象 を自身のブログで下記のように語っている。

20数年前、川端康成の小説を読み始めたとき、彼の叙述の細かさに引きつけられ、その後、他の日本の作家からも同じような繊細さが読み取れました。日本の文学作品の細かい描写には、伝えがたい豊富な色彩と微妙な感情の変化がうかがえます。これが日本文学特有の性質です。

20数年日本文学を読んできて、やっと日本に来る機会が巡ってきました。そして私はやっと何でこんな細かい、そして繊細で、このような多彩な日本文学が生まれるのか、分かったような気がします。細かい事に執着するのが、日本民族独特の気質のようです。私の心には、日本は、すばらしい繊細さが満ちあふれた国であり、私の日本での旅は、すばらしい繊細さを旅するかのようにうつりました。

鎌倉では、川端康成のお墓に行きました。そこは、大変大きな墓園で、どれくらいの人がそこに眠っているのか見当が付かないくらいでした。私たちは、炎天下、静かな盤山に沿って墓園の端まできました。川端康成の墓地の前で、一つの秘密を発見しました。それは、私の周りの全ての墓石の傍らに、石で作られた名刺入れが置いてあることでした。現世の人が、亡くなった人を訪ねるとき、自分の名刺を入れていくのです。なんて素晴らしい計らいなのでしょう。生と死が一度に融合し、名刺箱の存在が生存者と死者の継続的な交流を実現しているようです。私は晴れわたった空の下、無数の墓石を順次見ていくと、きらめく光の筋に、一瞬、私は、墓園があたかも広場のように見えました。そびえ立つ墓石の一つ一つが生き返って、そして一段一段すでに終わった人生を無言で語っているようでした。私は彼らを見ていると、私と彼らは、同じ空間で暮らしているような錯覚におちいりました。過ごした時間が違うだけでなのです。


日本の製品と海外の製品、特に中国の製品を比べたとき、私は日本の製品が売れる理由は「日本人の繊細さ、細やかさに起因している」と考えずにはいられない。

日本の製品は、壊れにくく長持ちする。そして販売価格も割と安い大衆向けの価格である。そこには、松下幸之助氏が提唱された「水道の理論」が見え隠れするように感じる。「水道の理論」という考え方は、松下幸之助氏が広められたのは間違いないであろうが、それは、決して松下氏独自の考え方ではなく、日本人が一般的にもっている考え方なのではないだろうか。

日本の製品の根底には、日本人のこだわりが見え隠れする。

日本人として誇らしい事ではあるのだが、時としてこのこだわりが行きすぎる事がある。2005年4月25日福知山線尼崎駅 - 塚口駅間で福知山線脱線事故が発生、107名の死者を出した。いろいろな原因が考えられるようであるが、その原因の1つにダイヤの乱れがあげられる。電車の遅れを取り戻すために、カーブでスピードを出しすぎたのではないかとの報道がなされた。

日本のバス、電車のダイヤは大変正確であると世界的に評判が高い。大変いいことではあるのだが、残念な事に遊びがないのではないだろうか。自分の仕事を振り返っても、日本では、遅刻、ミスが数回起こると駄目な社員のレッテルを貼られかねない。

山本七平さんは、日本人のこの細やかさについてこのように書いておられる。

聖書学者の塚本虎二先生は、「日本人の親切」という非常に面白い随想を書いておられる。氏が若い頃、下宿をしておられた家の老人は、大変に親切な人で、寒中にあまりに寒かろうと思って、ヒヨコにお湯を飲ませた。そしてヒヨコを全部殺してしまった。そして塚本先生は「君、笑ってはいけない、日本人の親切とはこういうものだ」と記されている。

良きにつけ悪しきにつけ、日本人の細やかさは、我々日本人を特徴ずける性質である事は間違いないと思えます。


つづく





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Last updated  2009.03.31 23:05:18
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