フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

2005年07月28日
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コジョカルのマノンがパーティーの最中からかなり心が揺れているように見えたので、その後の展開、つまりマノンがデ・グリュ―の説得を受け入れ彼の元へ戻る決意をする、(もちろん「ただ」では帰れなくてデ・グリュ―にいかさま賭博をさせることになるわけですが)という話の展開が非常に辻褄の合う、話の流れとしては当然の結果、と思わせるような納得の行くものになったように思います。バッセルの場合だと、それまでさんざんGMに甘えて心から楽しんでいたくせに(デ・グリュ―のことは無視して)いくらデ・グリュ―が自分の元に戻ってきてほしい、と懇願してきたとはいえ、デ・グリュ―の思いをあまりにあっさりと受け入れてしまうのが少々唐突、という印象は拭いきれません。あまりに気まぐれというか、もちろんこの気まぐれさというものこそマノンをマノンたらしめているのですからそれでもちろんよいのですが、そうわかってはいてもマノンのこの変心ぶりは少々納得しにくいものではあるわけです。しかしコジョカルのようにそれまでからデ・グリュ―への「愛」とGMから貰える「贅沢」、この二つのものの間で揺れ動く心境を表現してくれていると、それまで揺れに揺れていた心がデ・グリュ―の心からの懇願を受けたことにより、それが決定打となって一気にデ・グリュ―への「愛」を選ぶことを決意させた、という非常に納得のいく話の展開になったと思います。(と言っても「マノン」としてはちょっと違うような気もしますが)
しかし、パーティー会場を大混乱に陥れてデ・グリュ―の元へ戻ってきたマノンは
相変わらずの「お子様」振りです。(特にこの点において秀逸だったのはバッセルでしょう)デ・グリュ―の心中を慮るなんて気持ちは薬にしたくともなくて、ただただ自分の心の欲するままにデ・グリュ―にじゃれつきデ・グリュ―もそんな彼女の魅力には抗い難く、2人は再び愛のパ・ド・ドゥを踊るのですが、その最中デ・グリュ―はマノンがまだGMから贈られた豪華なブレスレットをしているのに気付き、それをはずしてほしいとマノンに言い寄ります。しかしマノンはデ・グリュ―がなぜそんなにブレスレットにこだわるのかが理解できない。茶化すような振りをデ・グリュ―に対してしてみせたり、大事そうにブレスレットを愛撫してみたりしてデ・グリュ―の気持ちになど全く気付こうともしないのです。挙句の果てには誇示するかのように両腕を広げて「あ~、なんて幸せ。見てこの綺麗なブレスレットを」とでも言うような振りをする。デ・グリュ―のことを愛してはいるのだろうけれど、とにかくそんなことよりもなによりも理屈ぬきで、
豪華なブレスレットをしているのが嬉しくてならないのです。
こんなマノンですから一時の感情で(気まぐれというべきか)デ・グリュ―のもとへ帰っては来たものの、いずれ数日もすればこんな貧乏生活には耐えきれなくなって、またGMかあるいは別の金持ちの男の元へ出て行ってしまったのではないでしょうか?(もちろん良心の呵責などいっさい感じることなしに)
ご承知のとおりその後のマノンは売春婦として逮捕され、アメリカへ流されるという運命の大転換が待っているのですが、第3幕について。

ニューオーリンズ、船から降りてきたマノン。その姿にまず絶句(バッセルの場合)髪は無残にも切り落とされぼろぼろの服を身にまとって・・というのはもちろんあらかじめわかっていたことでしたが、バッセルは素脚だったのか筋肉の線がもろに見える。(あるいはなにか特殊メークでもしていたのか?)その剥き出しの脚のあまりの痛々しさ!それまでの幕とは打って変わった惨めな惨たらしいその「脚」に先ず視線は釘付け。スカートも丈の短いボロボロに切り落とされた感じのもの。(コジョカルとロホは丈が長めの同じデザイン?のものだった)
マノンの境遇が先ほどまでとは180度違うものとなってしまったことを表現するには充分過ぎるほどのものがありました。
ご承知のとおりマノンに目をつけた看守によりマノンは彼の部屋に連れてこられるのですが・・・あ~、ここから先の振り付けはもう、わかってはいるのだけれどそれにしてもあまりにも・・な部分ですねぇ。そのあまりのいやらしさには思わず顔がにやけてきてしまいます(あ、もちろん私は女性です)でももうほんと、ここまで生々しくやられたらもう笑うしかない、って感じですよ。
この場面ではコジョカルのマノンが一番痛々しく感じられました。細いし小さいので余計そう感じるのでしょうね。
しかし看守はマノンを乱暴した後、彼女に没収されてあった?例のブレスレットを付けてやり彼女にまた抱きついたりして、少なくとも1回こっきりレイプして終わり、というわけではなさそうなんです。看守は登場した時点から流刑になって到着した娼婦達を値踏みするかのような、いやらしさを全面に押し出しているのですが、その好色な看守が(娼婦達のことなど虫けら同然にしか考えていない彼が)マノンにはかなりご執心なご様子。新国が「マノン」初演した時のプログラムには、「看守はマノンにデ・グリュ―を捨てて自分と一緒に暮らさないかとマノンを口説く。」と書かれているので、看守はマノンを自分の愛人にしたかったようです。1回レイプして終わり、ではなく。ですがそこにちょうどデ・グリュ―がやってきてとっさに看守を刺殺してしまう。殺人という罪を犯した以上、もうマノンとデ・グリュ―は逃亡するしかなくなり、沼地へと場面は続いていくわけですが・・・もしも仮に、ここにデ・グリュ―が現れなかったら?彼が看守を刺殺してしまわなければ?マノンは一体どうしたでしょうか?前にも書いたことですが、マノンはおそらく看守の愛人になることを受け入れたと私は思うのです。自分をレイプした男の愛人になるくらいなら死んだ方がまし!と考えるのが普通の現代の一般人かと思うのですが、
そこが常識というものさしでは計ることのできないマノン。マノンがなによりも「富」や「贅沢」に心惹かれる存在であること、その場その場の気まぐれに流される存在であること、誰かに守ってもらわなくては生きていけない存在であること、「愛人」になることに後ろめたさを感じることのない存在であること(キリスト教圏における「愛人」っていうのは日本人が想像する以上に「罪」ある存在、ですよね?)あらゆる倫理とは無縁のアモラルな存在であること、等々から考慮すると、やはりマノンは看守の愛人に案外あっさりとおさまったのではないか?と私は思います。そうして平然と看守に甘えて喜んじゃうような、そんな存在ではないか?と。見ず知らずの異国(といってもこの時代にはアメリカはまだ植民地だったのかもしれませんが)に罪人として流されてきて、マノンはどんなにか心細かったことでしょう。もちろん傍にはいつもデ・グリュ―がいてくれたとはいえ。そんなマノンにとって看守は当初こそ憎むべき存在だったかもしれませんが、マノンにとってはこの上ない「保護者」たりえる存在です。現地の権力者の1人でもあり、パリでGMが与えてくれたような贅沢には及びもつかないにせよ、少なくともデ・グリュ―と2人でいたときよりは遥かにましな生活を彼女にさせてくれるはずです。彼女の美しさで看守を彼女の虜にさせることだって、十二分に可能なはず。あのままデ・グリュ―が現れることがなかったら、マノンは看守に言われるまま彼に付いていったのでは?と私は思います。そうすればマノンは晴れて「ご安泰」、なのですから。
しかしデ・グリュ―が彼を殺してしまったことにより、そうした可能性の全てを閉ざされることになってしまったのです。マノンにしてみればデ・グリュ―は、とんでもない「おせっかい」をしでかしてくれたわけです。(もちろんそんな風なことをマノンが思うわけもないのですが。彼女はいつも受身で流される立場であり、確信犯的に物事を計算してみせる悪女ではなく、むしろその正反対のタイプ)こうしてもう逃げるしかなくなったマノンとデ・グリュ―。場面はルイジアナの沼地へと続いていきます。







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最終更新日  2005年07月28日 17時42分01秒
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