全20件 (20件中 1-20件目)
1
覆流年 Lost Track of Time第13話京兆尹(ケイチョウイン)府で出火。太学へ向かっていた陸安然(ルーアンラン)も騒ぎを聞きつけ、急遽、現場へ向かった。するとちょうど徐清策(ジョセイサク)を助けに来た弟・陸昀(ルーイン)の姿を見つける。「昀児!」安然は思わず弟に向かって飛び出したが、駆けつけた穆川(ムーチュアン)が止めた。「危ない!」しかし徐清策は陸昀だけ逃がし、独り燃え盛る建物に残ってしまう。「この徐清策、血をもって科挙の不正が排除されることを願う 私の死後は科挙が公正に行われんことを…そしてすべての受験生に公平な道を!」徐清策は落ちていた役人の剣を拾うと、自ら首を斬りつけた。安然は徐清策の自害に激しい衝撃を受け、卒倒した。医者の話では命に別状はないものの、長年の心労に刺激が加わって頭に血が上ったという。「ごめんなさい、徐先生…私のせいよ…ごめんなさい…」「安然、何を悩んでいるんだ?」穆川はうなされる安然を心配そうに見ていたが、今度は貢院(コウイン)でも火災だと知らせが来た。貢院に火をつけるよう命じたのは慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)だった。蔡望津(サイボウシン)が徐清策の説得に失敗、急ぎ答案を灰にして証拠を隠滅するしかない。しかし科挙の不正は瀚京(カンケイ)中が知るところとなり、太学の学長には手を出せなかった。穆川は答案のすり替えと貢院の火災に二兄が関与していると気づき、慶王府に穆澤を訪ねた。「澹(タン)州では軍の腐敗のためだと釈明していたが、今回は何のため?」「自分のためだ」「二哥…あなたのことが分からなくなった」すると二兄に失望した穆川は帰ってしまう。蔡望津は斉(セイ)王を警戒したが、穆澤は決して九弟に手を出さないよう釘を刺した。その夜、安然は血まみれの徐清策に責められる悪夢を見て目を覚ました。霊奚(レイケイ)と冬青(ドンチン)は安然の意識が戻ったと安堵したが、安然は悔恨の念で憔悴しきっている。「穆澤が徐先生に目をつけた時、止めるべきだった…」「あの時は霊奚が慶王の手中にあって仕方がなかったのです」冬青の話を聞いた霊奚は自分が原因だと知り、安然を苦しめてしまったと泣きながら叩頭した。その時、ちょうど見舞いに来た穆川は思わぬ安然の言葉を聞いてしまう。「…他人の人生を奪った私に陸家を守る資格などある?」穆川は安然も今回の不正に関わっていると疑い、冬青と霊奚を下げてから確かめた。「誰かに脅されたのか?騙されたとか?…霊奚を人質にされたのか?!」しかし安然は言い訳せず、わざと悪ぶって見せる。「いいえ、私が徐清策を慶王に推薦したの たとえ弟の友だちでも己の手柄のために利用させてもらう」「陸安然!人の命を何だと思っている!…一体、本当の君はどれなんだ?!」穆川は安然の心が読めず、憤怒して帰ってしまう。翌朝、安然は徐清策の無念を晴らすため、太学の学長を訪ねた。しかし学長は厳(ゲン)尚書を恐れて告発できず、せいぜい徐清策の答案の写しを渡すことしかできないという。安然は思わずひざまずき、このままでは徐清策が浮かばれないと訴えた。「こんな屈辱的な死に方をして、あの世で安らげるでしょうか?」その頃、姉に裏切られた陸昀は斉王を頼っていた。「殿下!証拠ならあります!」実は徐清策の答案の写しを太学の学長が持っているという。斉王に見張りをつけていた蔡望津は穆川が学長の屋敷へ向かったと報告を受けた。学長はともかく斉王が真相を知れば正義を貫き、慶王の前途が断たれることは必至だろう。「帝王の道に犠牲は付きもの、学長を消し、斉王も始末せよ」その話を慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)が立ち聞きしていた。「天がくれた好機ね…」そこで欣然はわざと陸昀に慶王が学長を殺すよう命じたと知らせた。「安然に言っても信じてくれないと思って…」一方、安然に説得された学長は参内するため屋敷を出ようとしていた。すると潜んでいた刺客が現れる。ちょうど穆川が駆けつけ難を逃れたが多勢に無勢、しかし危ないところで安然が清河幇(セイカホウ)を連れて戻ってきた。沈長青(シンチョウセイ)は配下と共に刺客を退けたが、黒幕を吐かせる前に自害してしまう。安然は証拠を持っている学長の身の安全を守るため、沈長青に護衛を頼んでいた。穆川はようやく学長が安然から徐清策の名誉回復を頼まれ、皇帝に上奏するつもりだったと知る。すると穆川は学長の陳情に同行すると約束、屋敷を沈長青に任せて帰ることにした。安然は別れ際、足を負傷した穆川に薬を差し出したが、昨夜の恫喝で気まずい穆澤は素直になれず無視してしまう。仕方なく先に帰ることにした安然、その時、慌てて穆川が引き留めた。「おい!一度、無視したくらいで諦めるなよ!」安然は穆川のすねにある大きな切り傷を手当てした。するとふいに穆川が包帯を巻いている安然の手を握り締め、安然の苦しみを理解したいという。「何でもいい、話してくれないか?」安然は激しく動揺し、薬瓶をうっかり落とした。「二哥と盟約を結び、 不正の片棒まで、でも今度は徐清策のために二哥を敵に回すようなことを… 盟約のために瀚京(カンケイ)に来たんだろう?安然、何がしたいんだ? 」しかし何も言えない安然は拾い集めた破片をただ強く握りしめるしかなかった。「(はっ!)分かった分かった、もういい、無理強いした私が悪かった でも忘れないでくれ、今後は私が力になる」穆川は慌てて安然の手を開き、傷ついた手のひらを手当てした。翌日、穆川は学長と一緒に皇帝に謁見した。不正の証拠を見た皇帝は激怒、穆川に調査を任せる。一方、穆澤は蔡望津が弟を傷つけたと知り、怒り心頭だった。蔡望津は斉王が偶然、居合わせたため巻き込まれたと釈明したが、穆澤は学長の暗殺に乗じて九弟を殺すのが目的だったと見抜く。すると蔡望津は斉王の存在が慶王の首を絞めることになると警告し、ひざまずいて嘆願した。「斉王は殿下の右腕ではなく災いの種、帝王への道は一歩間違えれば、奈落の底です 殿下ができぬなら、私にお任せを…どうか私を踏み台に!」穆澤は腹心に手をかけることができなかったが、腹いせに蔡望津の玉の冠を切り付け、壊した。「今度、九弟を負傷させたら、その時こそ貴様の首を斬る!」穆澤は剣を収めたが、科挙の不正はすでに皇帝の知るところとなった。しかし穆澤にはすでに対処法があるという。「厳尚書を始末し、翊(ヨク)王に罪を着せるのだ」安然は厳尚書が自害したと聞いた。しかも遺書には科挙の不正が翊王の指示とあったという。霊奚は都の恐ろしさを知って帰郷したいと訴えたが、実は安然も近々、帰るつもりだった。「でもその前に徐先生の遺体を引き取らなくちゃ、蘇城に埋葬してあげましょう」すると慌てて翠翠(スイスイ)がやって来た。実は徐清策の遺体は陸欣然がすでに引き取り、安然を呼んでいるという。安然は遺体を引き取るため欣然を訪ねた。しかし欣然は高位を笠に安然を牽制しようとする。「自分の身分を分かっているの?」「王妃の座は私が譲ったのよ?…その気になれば明日にでも取り返せる この屋敷のことも全て把握しているわ」夜になると時折、泣き声のような音が聞こえること、閨房の鏡台の近くの窓がきしんだ音を立てること、窓辺の長椅子が珍しい玉のため固いこと、屏風に描かれた鹿が全部で6頭いること、安然は全て言い当て、欣然を怯えさせた。「ここは私の屋敷、私を怒らせない方がいい、それで徐先生の遺体をどうするつもり?」つづく( ゚ェ゚)ん?貢院の火事は事故なのか?
2024.01.30
コメント(0)
安乐传 The Legend Of Anle第1話…嘉昌(カショウ)6年、冬謀反の疑いをかけられた靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)は青南(セイナン)山の麓にて8万の大軍を葬り、裁きを恐れて自刎(ジフン)したこれに激怒した嘉昌帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は帝家の九族皆殺しを命じ、その夜、靖安侯府は血の海と化す帝永寧の娘・梓元(ヅユアン)は逃げ惑いながら、一族が無惨に殺されるのを目の当たりにしていたすると回廊でついに忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)に剣を突きつけられてしまうその時、皇太子・韓燁(ハンイェ)が駆けつけた『やめよ!』太祖は遺詔で″帝家の娘を皇太子妃とする″と残していた韓燁はこれを盾に皇帝の勅命を手に入れ、かろうじて梓元の命だけは救うことに成功するしかし梓元は瑇(タイ)山の永寧(エイネイ)寺に幽閉となり、山中で生涯を終えるよう命じられた『梓元、それでも太子妃の座は君のものだ』『…これでもまだ太子妃になれると思うの?』韓燁は屋敷を埋め尽くす亡骸を前に返す言葉もないすると梓元は雪の舞う中、真紅の傘を差して屋敷をあとにした…時は流れ、韓燁は立派な青年になった。今でも変わらない梓元への想い。韓燁は折に触れ瑇山へ贈り物を届けさせていたが、梓元は妃の位を固辞したまま、この10年、礼状の一つも返してくれない。それでも韓燁はまた采薇(サイビ)軒で梓元への贈り物を選んでいた。すると隣の店で大捕物が繰り広げられる。相変わらず罪人に容赦ないのは刑部尚書・洛銘西(ルォミンシー)だった。洛銘西はかつて梓元の侍衛だった。「いくら物を贈っても人の心には及びませぬ」「お前だけは私の純情を承知だろう?」実は韓燁は東騫(トウケン)から来襲した海賊の討伐に名乗りを上げていた。戦功を立てれば皇帝に梓元の下山を願い出ることができるという。「洛銘西…」「洛大人(ダーレン)と」「はお、洛大人、私の戻りが遅かったらこの贈り物を…」「殿下、贈り物の手配なら応じかねます、では」韓燁とは旧知の仲でありながら、洛銘西はどこか他人行儀だった。ここは靖南(セイナン)。豊かな自然に囲まれた安楽寨(アンラクサイ)に鮮やかな真紅の衣をまとった女侠がいた。すると伝書鳩が知らせを運んでくる。(ˇ⊖ˇ)<東風起こる…ピヨ (←違うけどw)「東風が吹けば客人が訪れる…」海賊退治のため、お忍びで靖南に入った韓燁。思いがけず急な雨に降られたが、その時、腕輪の鈴を鳴らしながら石段を降りてくる美しい江湖の娘を見かけた。彼女の赤い傘を見た韓燁は最後に見た梓元の姿が重なり、必ず海賊を追い払って迎えに行くと心に誓う。すると調査のため向かった埠頭で、偶然にも雨宿りしている赤い傘の娘と出くわした。娘は唐突に韓燁の帷帽(イボウ)の中に顔を突っ込み、驚いた韓燁は後ろに下がってしまう。その時、追っ手の声がした。娘は海賊の一味に追われていると話し、半ば強引に韓燁を連れて逃げ出した。やがて雨も上がって快晴となった頃、2人は桟橋に到着する。「姑娘(グーニャン)!もう大丈夫だ、追って来ない」「甘く見ないで、高貴な方は初めての経験でしょうね」その時、また追っ手の声が聞こえた。娘は思わず韓燁を突き飛ばし、抱き合ったまま舟に倒れ込んでやり過ごす。追っ手は寨主に頼まれた役目を演じ、走り去って行った。すると娘は縄を解いて舟を出してしまう。こうして訳が分からぬまま、やけに馴れ馴れしい娘と一緒に海原をさまようことになった韓燁。「急用があり靖南に来た、早く戻らねば…その…姑娘、どうか私に指示を」「凪(ナ)いでる…果たして私の条件に応じるかしら」すると娘はいきなり外衣を脱ぐよう迫った。「帆の代わりにするの、嫌なら私が脱ぐわ」「うわっ!姑娘!慎みを持て!」しかしこれも娘の時間稼ぎ、その時、前方から東騫国の海賊戦隊が現れた。「奴らは凶暴で悪辣だ、姑娘、一刻も早くここを離れよう」「公子、立ち泳ぎはできる?」娘は韓燁を道連れにして海に落ちた。娘と韓燁は転覆した舟の中に隠れた。動揺を隠せない韓燁、すると間近に迫った海賊船がひっくり返った舟を調べ始める。「姑娘、私が敵を引き付ける、逃げろ」「逃げるなら一緒よ、公子、もし生き延びられたらあなたに嫁ぐわ」韓燁はこの状況でも戯言とは恐れ入ったが、その時、海賊が前方から現れた安楽寨の船隊に気づいて舟を諦めた。「公子、約束を忘れないで、生き延びたらあなたに嫁ぐ」すると娘は舟から飛び出し、安楽寨が降ろした縄に捕まって軽々と舞い上がった。娘は華麗な身のこなしで安楽寨の船に飛び乗った。「私は安楽寨寨主・任安楽(レンアンルー)、靖(セイ)国の領土を侵す輩を必ず…必ず…何だっけ? あ、必ず誅(チュウ)せん!」安楽が敵将を一矢で仕留めると、安楽寨の配下が一斉に敵船に乗り込み攻撃した。一方、韓燁もようやく船に上がり海賊討伐に参戦、しかし安楽をかばって肩を負傷してしまう。「アンルーの男を傷つけるとは…」激怒した安楽は剣を投げ、韓燁を傷つけた海賊を一撃で仕留めた。安楽寨は海賊を殲滅、船を全て捕獲した。安楽は嫌がる韓燁の胸を強引にはだけて手当していたが、今頃になってようやく東南水軍がやって来る。すると皇太子に気づいた吉利(キツリ)が大きく手を振りながら叫んだ。「太子殿下ぁぁぁぁぁ~!」韓燁は図らずも素性が知られ、身分を明かすしかない。「私は太子・韓燁だ」「じゃあ命の恩人である私は太子妃になれる?」驚いた韓燁は安楽に感謝しながらも、太子妃は許嫁だと教えた。「他に望みは?」「私が欲しいのはあなただけよ」安楽は韓燁の腰かざりを引き抜き、これが結納品だと迫った。「太子殿下の命を救い、一夜を共にした、殿下の結納品は玉の如意、私の嫁荷は3万の水軍 これで決まりね」「安楽、私がいつ婚姻に応じた?!」「事実はどうあれ証人がいるわ」その時、甲板にいた配下たちが寨主の縁談を祝って声を上げた。東南水軍はようやく追いついたが、安楽は既成事実を作るため、そのまま韓燁を乗せて帰ってしまう。(^ꇴ^)ノ″<明日、安楽寨まで迎えにきて〜!韓燁は無事に帰京、父皇に事情を説明して安楽からの文を渡した。確かに一夜を過ごしたが、あくまで治療のためだったという。安楽は玉の如意と共に、安楽寨3万の水軍の帰順と引き換えに皇太子妃の位が欲しいと嘆願書を託していた。皇帝は失笑したが、どちらにしても皇太子として身を固める時期だという。しかし韓燁は祖父の遺詔に従い、梓元を娶ると譲らない。そこでこの機に乗じて梓元を赦免して欲しいと嘆願したが、皇帝は認めてくれなかった。洛銘西は韓燁に呼ばれて寝殿を訪ねた。すると皇太子はまた梓元の絵を描いている。しかし成長した梓元の顔はまだ描き込めずにいた。「梓元の話はお前にしかできない、10年が経ち、梓元の顔を忘れそうな己が怖い」「背が伸びて記憶とは違う容姿でも…目は変わりません」洛銘西が梓元の目だけ描き込むと、韓燁は確かにこの目だと納得した。春の狩りには皇太子と引き合わせるべく名家の令嬢が招待された。令嬢たちは皇太子に想い人がいると知っていたが、それでも女海賊に負けるのは癪に触る。そんな中、韓燁の侍従で弟分の温朔(ウェンショウ)が女海賊の登場を楽しみに待っていた。実は任安楽の美醜が今日の最大の賭けになっているという。その時、どこからともなく美しい琴の音が響き渡った。温朔は琴を奏でる安楽の侍女・苑琴(エンキン)に一瞬で心を奪われたが、どこの才女なのか分からない。すると真紅の衣をまとった安楽が颯爽と馬を駆けて現れた。安楽は同時に2本の矢を放って鷹を仕留めると、皇太子に献上する。「太子殿下、また会ったわね」温朔は豪快で美しい娘の登場に目を丸くした。「姑娘…君は…」「私はレンアンルー、未来の太子妃よ」つづく( ๑≧ꇴ≦)ランランルー始まった!管理人の適当なルビは無視して、好きな呼び名でどうぞw
2024.01.28
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第12話清廉潔白な徐清策(ジョセイサク)の行く末を案じる陸安然(ルーアンラン)。すると居所に突然、慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)が現れ、安然が慌てて閉めた窓に手を挟んでしまう。「何かご用ですか?」「私を敵のような目で見るのはなぜだ?私を恐れているのか?」安然は困惑し、今さらながら慶王の手を案じた。「心配には及ばぬ」「借りは作りたくありません…特に殿下には」安然は穆澤の手に薬酒を塗って手当した。「この薬酒は強い、匂いを嗅ぐのも御法度では?」「何のことだ?」「酒を断っておいでなので…(ハッ)」安然はうっかり口を滑らせ、慶王が酒を飲むところを見たことがないと誤魔化した。しかし穆澤は疑念を深め、蘇城(ソジョウ)を訪れる前に面識があったかと確認する。安然は言葉に詰まったが、その時、陸昀(ルーイン)がやって来た。「姐(ジェ)!徐先生が書物を借りたいと…あ、慶王殿下」「徐先生とは誰だ?」穆澤は徐清策が蘇城の才子で、優秀ながら名もない庶民の子だと知った。そこで帰り際、安然に答案のすり替えに最適だと告げる。実は当時、徐清策は科挙に合格後、穆澤に仕えて翊(ヨク)王に殺されていた。安然は合格しなければ徐清策を助けられると考え、また3年後の再受験があると楽観する。「異存はありません」「明日は私の誕辰だが、良い前祝いとなった」すると穆澤がふいに安然へ手を伸ばした。驚いた安然は無意識に避けてしまい、気まずくなってうつむいてしまう。穆澤は改めて安然の乱れた髪を直してやると、合格発表後に侍女を迎えに来るよう伝えて帰って行った。翌日、穆澤は寝殿の密室に作った母の廟を訪ねた。「娘(ニャン)…今日は私の誕辰、私が最も憎む日です、誰もあなたの名を知らない いつの日か私があなたを宗廟へ入れると約束します、そして永遠に祀らせる…」そうとは知らず、慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)は穆澤の歓心を買おうと手作りした長寿麺を届けた。しかし穆澤は激怒、長寿麺をひっくり返してしまう。「安然が何を企んでいようと役に立つ、だがそなたは庶子だ 役立たずを養ってやっているのだぞ?…皇家の婚姻は遊びではない 王妃の座を横取りしておいて我が物顔でのさばるのなら容赦しない」安然の計画は成功、翠翠(スイスイ)からの知らせで欣然が慶王を怒らせたと分かった。ただそのせいで協力してくれた翠翠が辛い目に合っているという。安然は責任を感じたが、冬青(ドンチン)は翠翠もいつか抜け出せると励ました。陸欣然は安然を牽制するため、弟を抱き込もうと考えた。しかし安然を慕う陸昀は二姐が自分たちの仲を引き裂いて陸家の財産を狙っていると気づく。「いい加減にしてくれ、二姐は慶王妃になった、願いは叶っただろう?これ以上、何も望むな」欣然は弟にも相手にされず、安然への憎しみを募らせた。「必ずあの女の本性を暴いてやるから」科挙の試験が終わった。手応えがあった徐清策は意気揚揚と合格発表を見に行ったが、驚いたことに落選してしまう。こうして計画通り厳子韫(ゲンシウン)が第一位で合格、安然は慶王府へ霊奚(レイケイ)を迎えに行った。穆澤は約束を守って霊奚を呼んでくれたが、衛兵たちはまだ霊奚を解放してくれない。「かつての盟約は婚姻であったが、こたびは口約束ゆえ信用しきれぬ そこでこの盟約書に署名してもらおう、信義に背いた者は責めを負うとな」しかも穆澤は衛兵の剣で霊奚の指を切りつけ、その血で署名するよう迫った。安然は仕方なく鮮血で名を記したものの憤懣やるかたない。その時、蔡望津(サイボウシン)が安然を見送るため、手を差し出した。「陸小姐、こちらへ…」そこで安然はかんざしを抜き、去り際に蔡望津の手を傷つけ、鬱憤を晴らした。蔡望津は回廊で傷ついた指を見ていた。そこへちょうど陸欣然が通りかかり、蔡望津が怪我をしていると気づく。心配した欣然は薬を届けたが、慶王と安然が改めて盟約を結んだと聞いて落胆した。しかし思いがけず厳尚書を取り込むために安然が答案すり替えに一役買っていたと知る。「その才子は王妃と同郷ですよ?」一方、霊奚は屋敷へ戻り、冬青と再会を喜んだ。安然は一安心したが、不正に手を貸してしまった自責の念に駆られてしまう。その時、陸昀と徐清策が帰って来た。安然は3年後の科挙まで陸家が徐清策を援助すると申し出たが、徐清策は蘇城へ戻るという。陸欣然は弟と安然を離間させるため、陸昀に科挙の不正を暴露した。「優しい姐に聞いてみたら?徐清策と厳尚書の息子の答案をすり替えたかどうか 信じられないなら太学の学友に頼めばいい みんな名家の子息でしょう?状元の答案くらい手に入るはずよ」陸昀は厳子韫の答案を手に入れ、安然の部屋を訪ねた。「答案がすり替わっている、徐先生が本当は状元だった」「知っているのね…いずれ説明する、でも徐先生には言わないで」安然は相手が厳尚書の息子のため、騒ぎになれば徐清策もただでは済まないと警告した。しかし陸昀は姉の裏切りに深く失望し、徐清策に答案すり替えの真実を明かしてしまう。激情に駆られた徐清策は思わず屋敷を飛び出した。慌てて後を追う陸昀、すると冬青が安然に陸欣然と陸昀が会っていたと報告する。安然は衫越(サンエツ)に陸昀を頼み、急いで慶王府を訪ねた。徐清策は貢院に駆けつけたが、門は堅く閉じていた。そこで嘆願の太鼓を叩き、足を止めた人々に自分の答案がすり替えられたと訴える。大役を終えた穆川(ムーチュアン)はちょうど慶王府にいたが、貢院での騒ぎを聞いて急いで向かった。安然は呑気に茶を飲んでいた欣然を引っ立て、慶王の前に突き出した。実は欣然がすり替えの件を漏らし、計画が台なしになったという。穆澤はちょうど厳尚書からなぜ露見したのか問われたばかり、これで疑問が解けた。しかし焦った欣然がこれも全て安然の企みだったと訴える。「弟は徐清策の答案を太学の学長に見せていました 最初から安然は殿下の策を潰す気だったのです! 策を弄して婚姻を逃れ、こたびも殿下の邪魔を…信じてはいけません!」「よく言うわ、我々の計画を知って昀児を学長のもとへ行かせ、すり替えに気づかせたくせに 騒ぎを大きくして策を潰し、私と昀児の離間をも企てたのね? ともかく今はあなたに構っている暇はない! 殿下、とにかく徐清策を黙らせなくては…殿下の元で用いては?賢才ゆえ役立つはずです」「今回は原因を追求せぬが、事が落ち着いたら沙汰を下す、陸安然、学長はそなたに任せる」「はい」欣然は沙汰を待つのが安然ではなく自分だと知り、愕然となった。その頃、穆川は貢院に駆けつけ、調査をするよう迫っていた。しかし傅与南(フヨナン)は取り調べなら京兆尹(ケイチョウイン)府が行っていると言い訳する。「さらに調べるべきであろう? 科挙が権力と金に汚されたら、国を思う熱き血の行き場は?!賢才をどう集める?!」「もし調べれば貴人の関与が表に出ることになり、斉(セイ)王も困ることになるのでは?」「どういう意味だ?」「殿下、どうか行動は慎重に…」その時、穆川は慶王府で厳尚書を見かけたことを思い出した。一方、蔡望津は投獄された徐清策を説得していた。「私も同じ書生でした、お気持ちは分かります…でも成り代わったのは吏部尚書の息子 真実を暴き、功名を取り戻せても、仕官の道は険しい うちの殿下に仕えては?いずれ官職も与えられましょう」しかし徐清策は投獄されてもなお、それでは科挙の公正を取り戻せないという。蔡望津は徐清策が何年も合格できなかったのは出自のせいだと指摘、名もない才子が頭角を現すなど愚かな夢だと言い聞かせた。安然は慶王に答案すり替えを漏らしたのが陸昀だと知られるのを恐れ、その前に欣然に罪を着せて手を打った。「でもまさか昀児が徐清策を学長に会わせていたなんて…」科挙の試験の後、陸昀は徐清策と一緒に太学の学長を訪ね、答案を見てもらっていた。もし学長のもとに答案の写しがあるなら一刻も早く処分する必要がある。急いで冬青と一緒に太学へ向かった安然、しかし急に馬車が停止した。「小姐、京兆尹府で火事です!」つづく( ๑≧ꇴ≦)アンランw色々と激し過ぎるwww
2024.01.27
コメント(1)
覆流年 Lost Track of Time第11話皇帝は慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)の出自を知っていた。かつて酔った勢いで良(リョウ)妃の侍女に手を出してしまった皇帝、しかし当時は子が少なく、皇子の誕生を喜んだものだ。「それが…なぜあの子は暗く沈んだ目をするようになったのか」一方、皇位を狙う穆澤はこれまでのような正攻法では無理だと思い知った。しかし皇帝が今回の科挙で翊(ヨク)の選んだ試験官や出題者を交代させたことから、蔡望津(サイボウシン)は勢力を広げる好機だと進言する。そこで跡目争いに一貫して不干渉を貫いている老臣・厳(ゲン)尚書を懐柔しようと企んだ。実は厳尚書の息子は妓楼に入り浸りで科挙も連敗、合格を手助けしてやれば強力な後ろ盾になるだろう。その頃、陸安然(ルーアンラン)も陸昀(ルーイン)と冬青(ドンチン)を伴い瀚京(カンケイ)に入った。安然は弟を戦へ行かせまいと都の太学に入学させるつもりだが、陸昀はまだ大将軍になる夢を諦めていない。すると安然は途中で馬車を降り、弟と冬青を先に行かせて慶王府を訪ねた。昨日のことのように思い出される10年間の記憶。何も知らずに幸せに暮らしていた日々から一転、息子も陸家も全て失うことになろうとは…。その時、回廊で霊奚(レイケイ)を折檻している慶王妃・陸欣然(ルーシンラン)を見つけた。欣然は笑いながら霊奚の顔を水甕につけていた。激情に駆られた安然はいきなり欣然を突き飛ばし、霊奚を救う。「(はっ!)お前…生きていたの?!」安然は呆然とする欣然を捕まえ、水責めにした。「私のおかげで王妃になれたでしょう?あなたの娘(ニャン)は立派な最期を遂げられたわ」母の死を知らなかった欣然は激高したが、過去を思い出した安然は正気ではいられなかった。「今こそ陸家と毓児(ユーR)の恨みを晴らしてやる!」安然はついに欣然の顔を沈めたが、その時、斉(セイ)王・穆川(ムーチュアン)が駆けつけ止めた。安然は穆澤に騒ぎを起こしたことを謝罪し、霊奚を返して欲しいと頼んだ。しかし澹(タン)州の功績だけでは不十分、穆澤は誠意を見せて欲しいと条件を出す。それは厳尚書の放蕩息子を科挙に合格させろという無茶な要求だった。穆川は霊奚を安然に返すよう二兄に掛け合った。しかし穆澤は誠意がなければ信頼できないという。確かに安然の身辺で起こった事を思えば疑念を抱くのは当然だった。そこで穆川は1日だけでも霊奚と過ごさせてやりたいと頼む。穆澤は弟が安然を好きだと気づいたが、穆川はあくまで知己だと否定した。「分かった、お前の望み通りにしよう」思えば九弟の頼み事は珍しい。穆澤はそんな穆川の願いを叶えてやりたいと思ったが、その実、安然が霊奚と共に過ごす事で愛着が募り、必ずや取り戻すべく尽力すると踏んでいた。穆川のおかげで無事だった欣然。実は慶王が安然に毒を盛った事をすでに知っていると聞き、慌てて弁明に駆けつけた。しかし穆澤は真相など興味はなく、問題なのは陸家と陸安然が自分の役に立つかどうかだという。「慶王妃の座を守りたければ無用な面倒を起こすな、分かったか?」「でも…」「出て行け!」欣然は仕方なく引き下がったが、このままでは死んだ母が浮かばれない。すると偶然、回廊で蔡望津と出くわした。欣然は慶王の信頼を失ったと泣きついたが、蔡望津の話では慶王が安然の狼藉を叱責、罰も与えたという。「殿下に寄り添い、支え続ければお気持ちは伝わりますよ」欣然は王府で唯一、自分と向き合ってくれる蔡望津に好感を持った。安然は瀚京に屋敷を構えた。…息子を合格させてもらった恩があったのね…安然は今になってようやく厳尚書が急に穆澤になびいた理由を知ったが、到底、不正の手助けなどできない。「別の方法で霊奚を救うわ」そもそも穆澤との盟約は慶王府に出入りするための口実、安然が瀚京に来た本当の目的は陸欣然だった。穆川は霊奚を連れて安然の屋敷を訪ねた。喜ぶ安然だったが、霊奚の手首に残った傷に気づいて涙を流す。「ごめんなさい…全て私のせいね…」しかし霊奚は安然さえ無事なら幸せだと訴え、実は婚礼の日に自害するつもりだったが、穆川が止めてくれたと明かした。夜食を終えた穆川は安然たちが水入らずで過ごせるよう中庭にいた。すると安然が酒を持ってやって来る。「何をしていたの?」「葡萄棚を作っていた、普通のとは違う、わざと木の隣に立てるんだ 木に合わせて棚の高さを上げればツルも上に伸びて行く 花の季節、実りの季節、季節ごとに景色が変わる、面白いだろう?」安然は穆川の説明を聞きながら呆然となった。当時、穆澤も安然を喜ばせるため慶王府に葡萄棚を作ったが、穆川と全く同じ説明をしている。つまりあの葡萄棚は穆川の受け売りだったのだ。…何もかもあなただった…穆川は泥酔した安然から酒を取り上げた。すると酒を取り返そうとした安然はうっかりつまづいて穆川の胸の中に倒れてしまう。「どうして黙っていたの?」「葡萄棚のことか?」「違う、違う…人を見る目があると思っていたのに、何も見えてなかった…」穆川は思わず安然の肩に手を回したが、その時、陸昀の声が聞こえて慌てて離れた。「殿下!葡萄が届きました!」陸昀は蘇城から届いた葡萄の苗を持っていた。安然は必ず迎えにいくと約束し、霊奚と穆川を見送った。陸昀は姐と斉王がお似合いだとからかい、慶王に嫁がなかったのも天の思し召しだという。その話を壁の向こうで穆川と霊奚が聞いていた。「子供が知ったような口を…」「本当は好きなくせに、もったいつけちゃって」霊奚は嬉しそうに微笑む斉王を見て思わず失笑する。すると穆川は辛い時には甘い物が効くと霊奚に飴を持たせた。冬青も思い合う安然と斉王の幸せを願った。しかし安然が瀚京へ来たのは陸家を皇家の争いから遠ざけるため、穆川と結ばれては本末転倒だという。「では次の計画が?」「霊奚の話では欣然は慶王府で冷遇され、侍女の翠翠(スイスイ)に八つ当たりしているらしいわ」穆澤の誕辰を前に慶王府には次々と贈り物が届いた。すると翠翠が欣然に王妃として贈り物の1つも贈らねば無作法だと助言する。安然は欣然が誕辰という好機に必ず食いつくと読んだ。「穆澤は誕辰を憎んでいるのにね」冬青は安然の計画の意図を知り、さぞや不興を買うだろうと気づく。その時、陸昀が友人を連れて来た。陸昀は科挙を受けるため上京した友人・徐清策(ジョセイサク)を屋敷に泊めることにした。しかし徐清策は安然が一緒に暮らしているとは知らなかったと遠慮する。そこで安然は気を使わせないよう、宿代の代わりに弟の勉強を見て欲しいと頼んだ。一方、穆澤と蔡望津は厳尚書の息子の替え玉を探していた。しかし瀚京で学のある者と言えば大半が名家の子息、答案をすり替えて不正に気づかれれば大ごとになる。さらに穆川の出題は″瀚京が抱える課題″と難問だった。狭き門になるのは必至、そこで蔡望津は地方の書生にまで手を広げるよう進言する。穆澤は果たして安然が命令通り動いてくれるのか気になっていた。安然はかつて科挙で状元となった徐清策と面識があった。今回は自分が弟を都に連れて来たせいで出会いが早まったのだろう。当時、徐清策は権力争いに巻き込まれ、非業の死を遂げていた。その夜、安然は部屋の窓から机に向かう徐清策を眺めていたが、突然、穆澤が現れる。「何をしている?」驚いた安然は慌ててつっかえ棒を落とした。「危ない!」窓が勢いよく落ちると、穆澤は咄嗟に手を伸ばして挟んでしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)ちょwアンランwwwやり過ぎ笑ったわ
2024.01.26
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第10話慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)は捕縛された高承賢(コウショウケン)と話を付けることにした。すでに高承賢は腹を括って待っていたが、穆澤は利用価値があるなら殺す必要はないという。高承賢はあっさり寝返り、翊(ヨク)王を裏切って慶王に忠誠を誓った。しかしいきなり侍衛に腕を捻られ、踏み付けにされてしまう。「陸(ルー)家と慶王府は今や身内の間柄、そなたが陸安然(ルーアンラン)を陥れたことは分かっている 私の犬になるなら、咬みついて良い相手と触れてならぬ者をしかと見極めねばな」「分かりました…」激しい雨が続く中、町に告示が張り出された。支援米強奪の首謀者は柴広(サイコウ)、陸家は無実だという。驚いた穆川(ムーチュアン)は役所にいる二兄を訪ねたが、そこには復職した高承賢がいた。「二哥、高承賢の処罰は?!」「奴は役に立つ」穆澤は弟に帳簿を渡し、秦野闊(シンヤカツ)が翊王の金庫となり、軍が搾取した裏金が絶えず翊王に流れていると教えた。「高承賢は生き証人なのだ」「ならば父皇に帳簿を渡せば…」「だからお前は子供なのだ!それでは警戒されて徹底的な追求ができない 奴を使えば軍の腐敗を一掃できる」すると侍衛が駆けつけた。この豪雨で土石流が発生し、支援米の輸送隊が生き埋めになったという。穆澤は高承賢に崩壊現場の復旧と被災者の救出を命じ、穆川には必ず高承賢に罪を償わせると約束した。清河幇(セイカホウ)に帰った穆川は部屋に閉じこもり、ひとり煩悶していた。すると安然が雨に濡れて戻った穆川を心配し、薬湯を差し入れる。「不愉快でも身体は大切にして…触れ書きを見たわ」「澹州の民に申し訳ない、君にも…」安然は穆川が責任を感じる必要はないと言ったが、慶王を止めるなら今しかないという。「まだ間に合うわ、慶王がさらに道を外れることがあったらどうする? その時には兄弟の仲も戻らなくなってしまう…自分をしっかり持って」翌朝、穆川は独り清河幇を飛び出して行った。穆川が何をするつもりか分からなかったが、安然も沈長青(シンチョウセイ)に協力を頼み、先手を打つことにする。すると投獄された柴広の前に安然が現れた。「取り引きに来たの、慶王はあなたを米泥棒の主犯にしたわ 清河幇を裏切ればあなたの家族も唾棄され、生き地獄を味わう でも私に協力してくれるなら家族の平穏な生活を約束する」脱獄した柴広は妓楼にいた高承賢を引きずり出して短剣を突きつけた。「慶王を呼んで来い!」何事かと集まって来た民衆、その様子を安然は冬青(ドンチン)と一緒に高楼から見下ろしていた。やがて知らせを聞いた慶王がやって来た。すると柴広は濡れ衣を着せられたままでは死ねないと訴え、高承賢に真実を話すよう強要する。仕方なく高承賢は自分が黒幕だったと認め、しかも分け前が7対3だったと明かした。高承賢に向けられる民衆の激しい憎悪、その時、沈長青が背後から斬りかかり、裏切り者の柴広を始末して高承賢を解放してくれる。穆澤は幇主に感謝したが、沈長青は頭脳明晰な慶王なら悪人を懲らしめてくれると民衆を煽った。穆澤は引くに引けなくなった。そこで騒ぎを収めるためひとまず高承賢を投獄しようとしたが、思いがけず穆川が高承賢に恨みを持つ民たちを引き連れてやって来る。「高承賢のような権力を笠に着る輩が大勢の人を苦しめている! これ以上、犠牲を出してはならない!本人に償わせるべきだ!」穆澤はともかく役所で話そうとなだめたが、穆川は譲らなかった。すると穆川は穆澤の前でひざまずき、直訴状を掲げる。「澹州(タンシュウ)の民に代わり、慶王殿下に直訴します! どうか勅使の特権をもって、この場で高承賢を斬首に!」高承賢は驚いて慶王にすがりつき、盟約があると口を滑らせた。穆澤は民の矛先が自分に向くのを恐れ、咄嗟に侍衛の剣を抜いて高承賢の首を斬ってしまう。翌日、穆川は役所の兄を訪ねて謝罪した。穆澤は鬱憤を晴らすように剣術を稽古していたが、結局、穆川を許してくれる。「まさか弟に怒るはずないだろう?」その夜、安然と穆川は2人で祝杯を上げた。「帰郷したら弟を連れて瀚京(カンケイ)へ行くわ、あなたは?」「明日、二兄と帰るよ」安然は穆川が食糧庫の案を皇帝に上奏するつもりだと分かった。「瀚京で再会しましょう」帰路に着いた慶王一行、しかし山中で奇襲に遭った。穆澤も自ら剣を手に応戦したが多勢に無勢、何とか刺客を排除したものの、侍衛が慶王を救うため犠牲になってしまう。馬車は火矢で燃やされ手遅れ、大事な証拠もろとも灰になった。穆澤は朝堂で澹州の平定を報告し、高承賢の長年の悪事を見過ごして来た秦野闊を処罰するよう上奏した。しかし皇帝は事件の真相を暴いた慶王に褒賞を与えただけで終わらせてしまう。そんな中、皇帝は久しぶりに戻った九皇子を歓迎した。穆川は持ち帰った新種の稲を献上し、陸家を手本に食糧倉庫を提案、皇帝は民を思う九皇子に関心し、科挙の出題を任せるという。驚いた翊王・穆霖(ムーリン)は官職もない九弟には荷が重いと反対した。すると皇帝は確かに重積を担うには官職が必要だと失笑する。「詔を下す、九皇子・穆川を斉(セイ)王に封じる」こうして穆川は農事と水利を任され、安平街(アンヘイガイ)の屋敷を賜った。穆澤は自分のために死んだ昭烈(ショウレツ)の無念を思うと居たたまれず、独り皇帝を訪ねた。実は澹州で翊王と秦野闊が高承賢に搾取を命じた証拠を入手しながら帰路で賊に襲われ、侍衛が殺されたという。「私と九弟も死にかけました…」しかし皇帝は穆澤の野心を見抜いていた。今や澹州では慶王を″清廉にして文武両道、戦場では勇敢にして民の心に寄り添い、賢王の風格あり″と評している。あえてここで胸の傷を見せてまで翊王の処罰を迫るとはいささかやり過ぎだろう。「良(リョウ)妃がそちの出自を隠していたな、朕が知らぬとでも思ったか? …慶王の座を守り、養生せよ、余計なことは2度と考えなくて良い」蔡望津(サイボウシン)は慶王が戻ったと聞いて書斎へ駆けつけた。しかし慶王はどこか様子がおかしい。「何が軍功だ、戦績を上げても全ては徒労に終わった… もう結果は決まっていた…とっくの昔にな! 私は父皇に疎まれていたのだ…だから何をしても無駄だった!」虚しく積み上げられた戦の記録、穆澤は全て床にぶちまけ、嘆き悲しんだ。すると蔡望津が慶王を励まし、奮起させる。「今までの努力は陛下の歓心を買うためですか? 殿下は偉業を成して歴史に名を残すお方、違いますか?! 目指すは至尊の位、昭烈が天から我らを見ていますよ?」「その通りだ」つづく( ๑≧ꇴ≦)ムーヅー上手い!
2024.01.25
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第9話皇帝の勅命で澹(タン)州に入った慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)。駐屯軍都尉(トイ)・高承賢(コウショウケン)は不正を隠すため上辺だけ取り繕い、やり過ごすことにした。しかしかえって足元を見られ、慶王は善行と称して飢えた民に米を無料で配ってしまう。一方、清河幇(セイカホウ)にいる陸安然(ルーアンラン)は冬青(ドンチン)から慶王の様子を聞いていた。どうやら自分の贈り物が届いたらしい。その時、早朝から出かけていた穆川(ムーチュアン)と沈長青(シンチョウセイ)が戻って来た。安然の警告通り柴広(サイコウ)を警戒していたところ、高承賢に文を送ろうとして捕まったという。沈長青は安然のお陰で清河幇の名を汚さずに済んだと感謝し、拱手した。すると安然は昨夜の自分の無礼を謝罪し、償いに妹を差し出すという。沈長青はうろたえて逃げようとしたが、安然は失笑した。「生き別れの妹よ?」安然は当時、穆澤から沈幇主の生き別れの妹を探し出した話を聞いていた。その時の冬青は高承賢の屋敷の侍女で、いたぶられて容姿が変わっていたが、腕にある蝶のあざで分かったという。安然は冬青のあざを見た時、すぐその正体に気づいていた。「冬青の腕には蝶の形のあざがあるの」冬青は袖をまくって沈長青にあざを見せた。「本当に私の哥哥なの?」沈長青は黙って冬青の手を左ではなく右胸に当てると、冬青はその意味を悟って涙した。こうして柴広の捕縛と兄妹の感動の再会を演出した安然。計画は全て順調に見えたが、その頃、高承賢が陸家に横流しの罪をなすりつけようとしているとは知る由もなかった。安然と穆川は町に出た。穆川はさすがに何もかもお見通しの安然に困惑したが、安然は自分の労力を知らないだけだとはぐらかす。「私は君より1つ年上だぞ?人を子供扱いして」「ふふ(だって私はあなたより10年、長く生きてる…)」「ほら、また弟を見るような目だ」すると穆川はこのまま一緒に澹州の水利を整え、それから遊歴に出かけようと誘った。しかし安然は陸家を守るため、慶王のもとへ行くという。思いがけない返答に言葉を失う穆川。「出会いと別れ、一期一会よ、でも知己との縁はとこしえに続く…分かるでしょう?」「はお」その時、陸家の蔵から煙が上がるのが見えた。安然と穆川は慌てて駆けつけたが、待っていたかのように高承賢が配下を連れて現れる。高承賢は穆川を安然の護衛と誤解、2人を捕らえようとした。そこへ穆澤がやって来る。「やめよ!…高将軍、彼は我が国の九皇子・穆川だ」穆川はようやく二兄が勅命で盗賊の討伐と支援米の調査に来たと知った。すると高承賢が陸家の蔵で水害の支援米を見つけたと報告、証拠の米を差し出す。「陸安然、何か言うことは?」「…私の潔白は殿下がご存知のはずでは?」しかし穆澤は安然を助けず、結局、安然は連行されてしまう。穆川は安然の仕業ではないとかばったが、実は安然が二兄の澹州行きを知っていたと聞いた。「陸安然は私に″澹州で待つ″と伝えて来た、支援米を調べるよう仕向けたのも陸安然だ 何もかも陸安然の手のひらの上で転がされていた 陸安然からは我々がはっきり見えているが、我々にとって陸安然は雲をつかむよう…」「陸安然の意図が何であれ事実は明白だ、高承賢と通じていた清河幇の柴広を捕らえてある!」穆澤は収監された安然を訪ねた。安然は拷問で両肩を脱臼、慶王がこの機を利用して輿入れしなかった自分への鬱憤を晴らしたのだと気づく。すると穆澤は安然の肩をはめ込みながら、策を巡らせたのは自分に下るためかと聞いた。安然は激痛のあまり涙を流しながら、役立つ女子だと示して信頼を取り戻したかったと訴える。しかし穆澤は何より他人に動かされることを嫌った。「もっと壮大な計画があると思ったが、こんな惨めな姿をさらすとは…」「殿下、私はまだ生きています、なぜこれで終わりだと?」「…はお、楽しみにしておく」安然は裁きの場で潔く罪を認めた。翌日、慶王一行が安然を連れて帰京し一件落着、高承賢はすっかり気が緩んでしまう。その夜、高承賢は側近たちと祝杯を挙げた。金がつまった豚の丸焼きも届いて宴もたけなわ、しかし中身がただの石や紙切れだと分かる。そこへ瀚京(カンケイ)城へ戻ったはずの慶王たちが現れた。安然は自分が護送されれば高承賢がボロを出すと分かっていた。そこで牢に面会に来た穆川に先手を打ってもらうことにする。安然の予想通り高承賢はすぐ動き出した。柴広が捕らわれたとも知らず、清河幇に金を回収するよう鳥文が届く。穆川は密かに金をすり替え、この時を待っていた。「翊(ヨク)王も私を見捨てたのか…」開き直った高承賢は安然を道連れにしようとしたが、穆澤にあっけなく蹴り飛ばされてしまう。その夜、安然は澹州府衙で慶王と顔を合わせた。安然は穆澤の協力に感謝したが、思いがけない事実を知る。実は慶王は10日前から柴広を管理下に置いていた。「10日前…つまり私が捕えられた日?」安然は穆澤がやはりわざと自分を投獄したのだと知り、思わず乾いた笑いが出てしまう。「手土産は足りていない、残りは都へ戻ってからもらうとしよう …なぜそんな目で私を見る?」「余も更けました、これで失礼します」安然はまたしても穆澤にしてやられた。…帝王の心に情などない、最初からそうだった、慶王府での日々はすべて偽りだった…陸安然、あなたの人生は何だったの?穆澤は回廊を歩いて行く安然の後ろ姿を見ていた。「私を見る目が何やら気になる…まるで古い知己を見るような目だ」…陸安然は穆澤に対し、恨みしかないと思っていたただ再びその術中にはまると、かつてに比べれば些細な罠であっても、やはり傷ついたしかしその傷は愛ゆえではなく、10年を無為に捧げた後悔、そして憎しみからだった…安然はどこか元気がなかった。穆川は二兄のせいだと気づき、宮中では身を守るため用心深くなってしまうとかばう。「でも公正を重んじる人だ、私は二哥のことを知ってる 時に策を弄するのは朝廷で生き抜くための術なんだ」「もういい、あの人の何を知っているの?!」安然は昔を思い出して声を荒らげたが、その時、急な雨に降られた。そこで穆川は安然と軒下でしばし雨宿りする。「確かに知らない…でも心の暗い部分は人に見せなくていい、自分が分かっていればいいんだ 私はただ二哥の幸せを願っているだけ…陸安然、君の幸せもね」穆川は安然に自分の上着をかけたが、安然は必要ないという。「君は私を刃から守ってくれた、上着くらい貸すよ」「いつ私が守った?」「蔵で襲われた時だよ」「…勘違いよ」安然は気まずそうに否定したが、穆川は言葉を偽れても行動は偽れないと笑った。「君のことが分かりかけてきたよ、先は長い、時間はまだある」つづく(  ̄꒳ ̄)やっと字幕で見たのにイマイチピンと来ない安然と穆澤の心理作戦w
2024.01.24
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第8話陸安然(ルーアンラン)の訃報を知り、蘇城(ソジョウ)へ急ぐ穆川(ムーチュアン)。…一目でいいから君に会いたい、これ以上、人生に悔いを残したくないんだ…穆川は気が急くあまり安然の幻を見ては本物ではないと気づいて落胆した。一方、安然は冬青(ドンチン)に説得され、穆川に手紙で元気だと伝えることにした。「九殿下が来たらこれを渡して…」しかし穆川が都からわずか2日で到着、農民から九皇子が田んぼにいると知らせが届く。安然はすぐ駆けつけたが、穆川はまた安然の幻覚が現れたと誤解した。「対面しなければ、これからもこんな風に君の幻が現れてくれるかもしれない…それもいい」「私が幻だと?」そこで安然は穆川の腕をつかんだ。「私は生きてる、バカね、幻と現実の区別もつかないの?」穆川は目の前にいる安然が本物だと気づき、思わず抱きしめてしまう。安然は空腹の穆川のため、焚き火で川魚を焼いた。喜んだ穆川だったが、二兄ならすぐ偽装に気づくはずだと心配する。しかし安然は盟約のための結婚のため、妹が嫁いでも同じことだと安心させた。「今は様子見ってところ…欣然(シンラン)のことだから上手くやっているはずよ?」するとよほど疲れていたのか、穆川はいつのまにか木にもたれかかって眠ってしまう。「穆川、私に自分が好きか聞いて?…私もあなたが好き」安然は熟睡している穆川に自分の上着をかけ、屋敷へ戻った。安然は穆川宛ての手紙を燃やすよう頼み、朝一番の船で出立することにした。母は病み上がりの娘の澹州(タンシュウ)行きを反対したが、父は水害で大きな被害を受けた澹州を見過ごすことができないという安然に理解を示してくれる。しかし安然にも気がかりがないわけではなかった。二夫人の死が因果応報だと分かっていても母は母、弟は深い悲しみに打ちひしがれている。何より慶(ケイ)王府へ同行した侍女・霊奚(レイケイ)のことが心配だった。「欣然の機嫌を損ねるようなことがあれば罰を受けるかも…」冬青はいずれ救い出す機会があると励ましたが、なぜ澹州へ行くのかまだ知らない。実は安然は穆澤(ムーヅー)が皇帝の勅命を受け、水害支援物資を奪う盗賊の討伐で澹州に向うと知っていた。安然はこの機会を利用し、再び慶王に近づくつもりだという。「黒幕である高承賢(コウショウケン)の首を穆澤への手土産にする 陸家を救う鍵を見つけるには慶王に近づかなくては…」翌朝、安然は父と母に見送られて馬車に乗り込んだ。すると車の中に穆川がいる。「衫越(サンエツ)に聞いたよ、朝一番の船だって 私も澹州に用があってね、一緒に乗せてくれないか?」従者の衫越は何とも気まずそうな顔をしていたが、穆川は遊歴の最後の地が澹州だと釈明した。「澹州は雨季の度に洪水が頻発する、根本的な解決策がないかずっと探っていたんだ」安然は衫越が変な気を回したと分かったが、穆川の同行を受け入れた。穆川と一緒に旅する束の間の幸せ、しかしその頃、陸府に慶王の侍衛が現れた。陸軽舟は侍衛に真実を打ち明けた。当日は家庭内の諍いで安然が妾に毒を盛られて倒れ、急遽、欣然を身代わりにするしかなかったという。調査を終えた侍衛は慶王府に戻ると、陸軽舟から預かった安然の手紙と玉佩を届けた。屋敷内で聞き込みしたところ、安然が毒を盛られたのは事実だという。…毒を盛られるも闇医者の手により命拾いしました、澹州での再会を楽しみにしています…「なぜ澹州なのだ?」その時、慶王府に皇帝の使者がやって来た。皇帝は澹州で盗賊による物資強奪が横行しているため、慶王に盗賊一掃を命じるという。…私が澹州へ行くとなぜ分かった?あの女人、ますます面白い…果たして陸安然の狙いは何なのか。澹州の現状は想像以上に深刻だった。民たちが飢えに苦しむ中、店先では白米が高額で売られている。そこで安然は陸家の倉庫から備蓄している食糧を開放した。これで民も支援物資が届くまで食いつなげるが、水路や田畑の修復には人手が足りない。すると穆川は名案が浮かんだ。「清河幇(セイカホウ)でしょう?」「なぜ知ってるんだ?」「内緒よ」実は安然は当時、慶王府で清河幇の幇主・沈長青(シンチョウセイ)と対面していた。穆川と沈長青は旧知の間柄、そこで穆川は澹州分舵(ブンダ)から人手を借りたいと頼んだ。事情を聞いた沈長青は快諾し、早速、腹心の柴広(サイコウ)に指示を出したが、なぜか安然は失笑する。実は安然は柴広が裏切り者だと知っていた。あの時、沈長青は慶王が逆賊・柴広の排除に協力してくれたと感謝している。『危うく清河幇は天下の笑い物になるところでした』安然は先手を打ち、清河幇こそ高承賢と手を組んで支援物資を強奪している盗賊だと非難した。「善人面とは笑わせるわ」言いがかりをつけられた沈長青は激怒、慌てた穆川も何か証拠があるのかと尋ねる。安然は船を襲う盗賊の手口が明らかに江湖(コウコ)の手練れだと訴え、疑うなら襲われた船を調べれば分かると言った。「どんな技を使ったか、刀傷を見れば分かるはずよ それに高承賢は盗賊すら討伐もできないのにあれだけ羽振りがいい、おかしいと思わない?」その頃、穆澤の馬車が澹州へ入った。すると見知らぬ男が現れ、主人に頼まれたと言って米と文を渡して去って行く。…米問屋と駐屯軍が支援米を横流ししている…穆澤は安然の仕業だと分かった。「何度、私を驚かせるつもりだ」その夜、冬青は燃やさずに持っていた安然の手紙をこっそり穆川に渡した。穆川は文をひとまず懐にしまい、星空を眺めている安然のもとへ向かう。「澹州に来た真の目的は?盗賊のことも清河幇のことも君は知り過ぎている 最も効果的な方法で沈大哥を焚きつけるなんて…」安然は穆川の鋭い指摘に動揺したが、陸家の港がある町のことに詳しいのは当たり前だとはぐらかした。しかし穆川は何よりあの無礼な態度が安然らしくないと困惑する。「私の何を知っていると?」「人を見る目はある」「…私もそうだと思っていた、でも今なら分かる、嘘や演技で人を騙すのは簡単よ 誰かのことを理解するどころか、時には自分さえ見失ってしまう」「私を心から信頼できないと?」「違うわ」安然はそこで話を終わらせ、水を注いで勧めた。その時、うっかり茶碗が傾いて水をこぼしてしまう。穆川は慌てて手紙を取り出し、無事を確認して安心した。「誰からの手紙?」穆川は安然の手紙だと明かさず、独りで読み始めた。…時々、思うの、人の世に潜む魑魅魍魎は妖怪より醜い…どす黒い企みは田んぼの泥より汚い…人生とは長い夢のよう…純粋なあなたはこれからも心の欲するままに自由に生きて「言いたかったのはこういうことなのか」穆川は急に安心し、確かに人は簡単に理解できないものだと笑った。しかし自分の手紙だと気づいた安然はヘソを曲げて部屋に戻ってしまう。「私の真心を世間話のネタにするなんて無神経ね」沈長青は安然の話を思い出して悶々としていた。…捜査の手が伸びれば高承賢は清河幇に罪を着せようとするはず…大事な仲間を守ろうと思わないのですか?一方、穆澤は高額で売られている米が確かに水害の支援米だと報告を受けた。蔡望津(サイボウシン)はなぜ陸安然が自分たちのために証拠を集めたのか分からなかったが、穆澤は贈り物をありがたく受け取るという。つづく( ゚ェ゚)そうか、てっきり9皇子のおかげで嫁ぐのが嫌になったのかと思ったけれど、姨娘を片付けるためだったのね〜って今さらw
2024.01.23
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第7話姉の成婚を阻止すべく桃酥(トウソ)に毒を盛った陸欣然(ルーシンラン)。するとその夜、安然(アンラン)が激しく血を吐き、意識を失ってしまう。医者はすでに手遅れだとさじを投げ、毒の回りの速さから食べ物が原因だと言った。陸軽舟(ルーケイシュウ)はならば夕食かと考えたが、柳鳴玉(リュウメイギョク)は同じ物を食べた自分たちに症状がないと否定する。その時、侍女の霊奚(レイケイ)は安然が桃酥(トウソ)を食べたことを思い出した。しかし桃酥は夫人の手作り、まさか我が子に毒を盛る母などいない。陸軽舟は沈蘭渓(シンランケイ)なら無関係だとかばったが、その時、冬青(ドンチン)が口火を切った。「犯人は二小姐です」冬青は安然を訪ねた欣然だけが桃酥に毒を盛る機会があったと指摘した。実は数日前にも婚礼祝いだと言って毒入りの頬紅が届いたが、安然は騒ぎにならないよう侍女・翠姑(スイコ)への罰だけで済ませたという。すると沈蘭渓も二夫人が自分の病を長引かせていたと暴露した。何も知らなかった陸軽舟は呆然、そこで冬青は夫人の部屋から観音像を持って来る。「奥様の病は二姨娘(イーニャン)が贈った観音像に隠された薬のせいでした ちょうど大夫もいます、この観音像を調べてもらってはどうでしょう?」驚いた欣然は父の前でひざまずき、追い出された翠姑が母を恨んで陥れたのだとかばった。柳鳴玉は娘の機転に便乗し、翠姑には薬の知識があったと証言する。「きっと薬舗に牛膝(ギュウシツ)を買った記録があるはずよ」その時、冬青が観音像を床に落として割ったが、何も入っていなかった。「二姨娘、私は牛膝とは言っていません」柳鳴玉はまんまと安然の策略にはまり、馬脚をあらわした。すると開き直った柳鳴玉は、頬紅の毒も桃酥の毒も全て自分の仕業だと認める。激高した陸軽舟は離れで柳鳴玉を棒打ち50回に処し、医者に診せてはならないと命じた。陸昀(ルーイン)は母の所業にうろたえるばかり、欣然は父にすがって母を救おうとしたが、冷たくあしらわれてしまう。しかし柳鳴玉の捨て身の行動には驚くべき狙いがあった。陸軽舟は夜が明けても安然を救うため奔走していた。もはや安然の命は風前の灯、その時、花嫁の迎えの一行が陸府に到着してしまう。すると欣然が安然の婚礼衣装をまとって父の前に現れた。「姐姐が死んだら陸家の娘は私1人、慶王府に嫁ぐのは私よ もう迎えが来ている、待たせると九皇子にバレて陸家は終わるわ」陸軽舟はこれが柳鳴玉の企みだと知った。今さらながら柳鳴玉の恐ろしさにわなわな震える陸軽舟、しかし陸家を守るためにはそれしか方法はない。「爹、ここでお別れね…そうだ、私の娘は慶王の岳母になる 医者にも見せず万一のことがあれば、この恨みは絶対に忘れないから」陸欣然は紅蓋頭で顔を隠し、替え玉だとバレないように霊奚を侍女として付き添わせた。何も知らない穆川(ムーチュアン)は傷心の中、兄嫁を連れて都へ出発する。実はその頃、解毒した安然は元気な姿で柳鳴玉の前に立っていた。「なぜ…生きているの?」「あの桃酥は冬青がすり替えたの、私が飲んだのは自分で用意した毒よ」柳鳴玉は驚いたが、それでも輿に乗ったのは欣然だと勝ち誇った。しかし安然は一笑に付す。「双魚令も持たない庶子が嫁げばどうなると?慶王が役立たずを手元に置くかしら?」そこへ冬青が現れ、棺が届いたと報告した。「二娘、どうぞ安らかに」すると安然と冬青は出ていってしまう。その夜、慶王府では盛大な祝宴が開かれた。穆川は空元気を出して酒を飲まないニ兄に代わって客人の相手をし、嫌がらせに来た翊(ヨク)王も上手く追い返す。しかし夜も更けた頃、穆川は閑散とする中庭で独り、意気消沈した。「…おめでとう」一方、穆澤(ムーヅー)は花嫁が待つ寝所に入った。しきたり通り夫婦の杯を交わすことにしたが、安然は受け取らない。穆澤は仕方なく安然の杯も空け、確かに情で結ばれた結婚ではないが、協力関係を結ぶ意味でも交わすべきだと戒めた。その時、背後から急に安然が抱きつき、衣を脱がせようとする。穆澤は思わず安然の手を握ったが、その白魚のような指でぴんと来た。「陸安然は外で働き、何事も自分でこなす…このか細く柔らかい手はそぐわない」穆澤が紅蓋頭を外すと、花嫁は陸安然ではなく庶子の陸欣然だった。「姐姐は死にました」欣然は姉が婚礼の直前で倒れ、父が町中の医者を呼んだが手遅れだったと説明した。しかし安然には急死する病などなかったはず、穆澤は姉妹で共謀したのではと疑う。「私を愚弄すれば陸家がどうなるか考えなかったのか?」「愚弄などするはずありません…姐姐は遺言で陸家を私に託しました 陸家の双魚令を継承するのは私です、娶ってくださるなら陸家の全てを差し出します」「言っておく、私に必要なのは陸家と陸安然だ… 今は追求しないが、いずれ片はつける 陸欣然、陸家の実権を握るがいい、さもなくば若妻が早逝しても気に留めぬ」すると穆澤は出ていってしまう。穆川は重い腰を上げて帰ることにした。その時、霊奚が慌てた様子で回廊を走って行く様子を見かける。侍女が主の初夜に寝所を離れてどこへ行くのだろうか。霊奚は回廊で命を絶とうとしていた。しかし穆川が現れ、短剣を奪われてしまう。「めでたい婚礼の夜に何をしている?!」「九殿下…実は小姐が亡くなりました」霊奚は嫁いだのが替え玉の陸欣然だと明かした。欣然親子が安然に毒を盛り、穆川が到着した頃には虫の息だったという。「詔には″陸家の娘″とだけ、名前はありませんでした 老爺は陸家に災いが及ぶことを恐れ、陸欣然を嫁がせたのです」霊奚も陸家を守るため協力して同行したが、芝居はもう終わりだという。すると穆川は霊奚が死ねば花嫁が偽物だと証明することになると説得、取るものも取り敢えず馬にまたがった。…蘇城へ調べに行く…本当に安然が殺されたなら必ず仇を討つ一方、安然は次の手を準備していた。すると冬青がせめて九皇子だけには元気な姿を見せるよう進言する。その頃、一晩中、走ってきた穆川は竹林の中で休憩していた。「陸安然、もうクタクタだ…」穆川はもうろうとしているうち、安然の幻覚を見てしまう。つづく(  ̄꒳ ̄)いや〜どうするの?これ
2024.01.20
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第6話蔡望津(サイボウシン)が結納品を持って陸(ルー)府にやって来た。柳鳴玉(リュウメイギョク)はてっきり娘の縁談だと誤解して歓迎したが、実は慶(ケイ)王の代理だという。その時、穆澤(ムーヅー)が現れた。「私の求婚相手は安然(アンラン)だ」柳鳴玉は慶王が侍衛に成りすまして安然を懐柔したと知り呆然、すると安然はすでに自分の心なら決まっていると言った。「私は慶王殿下に嫁ぎます」陸軽舟(ルーケイシュウ)は宮中の恐ろしさを分かっていた。しかし安然は野獣が逃げた獲物を諦めるはずもなく、かえって征服欲を募らせることになると警告する。「安心して、何もかも承知の上よ、万全の策を講じれば陸家は泥沼にはまらずに済む」一方、柳鳴玉は安然の玉の輿を妬み、嫁ぐ前に手を打とうと考えた。陸欣然(ルーシンラン)は今さら手遅れだと泣きじゃくったが、母は慶王が策を弄して安然に近づいたのは陸家の娘だからに過ぎないという。「もし陸家に娘が独りだったら?殿下はどうするかしら…」その夜、穆川(ルーチュアン)は陸府に安然を訪ねた。「昨日、二哥と会ったんだ…」穆川は安然が自ら籠の鳥になるのは二兄を深く愛しているからなのかと落胆する。しかし安然は愛ではなく取り引きだと言い放った。「水運を掌握した以上、しがらみは避けられないの、翊(ヨク)王か慶王か… 帝王の心は冷酷なものよ、この道を選んだあの人に情などないわ」穆川は安然の選択に困惑しながら、結婚祝いと称して銀の腕輪を渡した。「時間がなくて蘇城の店で買ったんだ」安然は穆川がなぜ買ったなどと嘘をつくのか分からなかったが、黙って受け取った。「安然、必要な時は私が力になるよ」「分かってる」安然は瀚京(カンケイ)城へ戻る慶王と九皇子を見送った。婚礼まで半年、その間に陸家の問題を片付けなくてはならない。すると早速、敵が動き出した。陸欣然から頬紅が届いたが、かつて薬舗で働いていた冬青(ドンチン)が蓖麻(ヒマ)が入っていると気づく。「使い続ければ顔がただれるところでした」陸欣然は何日経っても安然の顔に異変が現れないと訝しんだ。何でも安然は侍女たちに帳簿を調べさせているとか。柳鳴玉も確かに最近、大夫人・沈蘭渓(シンランケイ)の顔色が良いと首を傾げた。しかし大夫人の部屋に変わらず観音像があったことから心配ないと高を括る。すると側仕え・翠姑(スイコ)が大夫人に捕らわれたと知らせが来た。安然は第二夫人から贈られた白粉に毒が入っていたと報告した。「白粉をうっかり落として店に持ち込んだところ、香りが変だと言われたの 調べると蓖麻が入っていたわ…きっと翠姑の仕業よ 帳簿を調べたら翠姑が釣り銭の額をごまかしていた 咎めるつもりはなかったけど、私に恨みでも?」沈蘭渓は黒幕がいるなら白状すれば見逃すと言ったが、翠姑は主を裏切らなかった。「私がやりました、悪事がバレるのを恐れて…」翠姑は陸家の掟により棒打ち50回となった。柳鳴玉と陸欣然は安然が全て知りながら仕掛けてきたと気づく。腹心を失った柳鳴玉は悲しみに暮れ、必ず復讐すると誓った。「娘は欣然1人になる、双魚令はあなたのもの、慶王殿下もあなたのものよ…」一方、穆澤は国境を侵した北臨(ホクリン)を討つため戦場にいた。そして半年にわたる激闘の末、穆澤はついに凱旋を果たす。穆澤は皇帝から褒美として陸安然との婚姻を賜ったが、蔡望津は正室を名門から選び、安然を側室にするよう進言した。しかし穆澤は安然がいない陸家なら何の価値もないという。「あの者なら軍船を作ることも可能だろう、陸安然を取り込めるなら戦功も惜しくはない」穆川は慶王の使者として結納品と共に蘇城へ入った。しかし陸家には顔を出さず、田んぼの様子を見に行ってしまう。農民は病気の苗を抜いたおかげで見事な穂が出たと喜んだ。「さすがは稲香居士(トウコウコジ)ね」その声は安然だった。安然と穆川は2人だけでしばし一面の稲を眺めていた。「力になってくれると言ったわね…あなたは各地を遊歴したから色々と知っているはずよ」しかし安然は口ごもってしまう。「どうした?何だよ?」「…農業に詳しいでしょう?毎年ここへ来て指導してくれない?」「それだけ?驚いた、新しい品種の研究がしたいんだ、君に口添えしてもらおうかな」安然は結局、穆川に打ち明けることができなかった。その夜、安然はロウソクの灯りで偶然、銀の腕輪の細工に文字が刻まれていると気づいた。…今宵は美しき夜、良き人に出会えた、あなたを愛し、背かないと誓う…安然はこの腕輪を作ったのが穆川だと気づき、ようやく穆川の自分への想いを知って涙があふれてしまう。一方、冬青は安然が穆川から毒をもらえなかったと知り、思い切って九皇子を訪ねた。「殿下、鉤吻(コウフン)と雪蝉子(セツセンシ)を頂けませんか? 実はあの時の男たちに付きまとわれています 劇薬の鉤吻を飲んでも3刻以内に雪蝉子を飲めば死なないと聞きました」穆澤はそれが安然の計画だと気づいた。翌朝、穆川は陸府を訪ねた。安然はちょうど中庭の亭(アズマヤ)で独り茶を飲んでいたが、幸せな花嫁には見えない。「どうしたんだ?そんな憂い顔で… 安然、もし君が笑顔を失わず、家族を守れる道があればどうする?」「そんな上手い話、あるはずないわ」「これでも皇子だ、父皇に頼んで陸家と手を組み、水路を整えて田を広げることができたら? 陸家の水運を狙う者も私がいれば手を出せぬはず…面倒が起これば私が解決する」しかしもはや手遅れ、安然は穆川まで巻き込むわけにいかなかった。「(もう少し早ければ考えられた…) 皇上の詔が下ったのよ?今さら断れば陸家がどうなるか… 心遣いに感謝します、でも殿下の本心は分からない、慶王や雍王と何が違うのかしら?」「私まで陸家を狙っているというのか?」安然の思わぬ言葉に穆川は落胆し、鉤吻と雪蝉子を置いて帰ってしまう。穆川は安然の計画を知っていた。「冬青、あなたが九殿下に頼んだの?」「小姐が九殿下に対して後ろめたさを感じないよう勝手な真似を…」冬青は罰を請うたが、安然は覚悟を決めた。「どうせ叶わぬ夢、これで良かったのかも…」するとその夜、案の定、陸欣然が現れた。安然は母が差し入れてくれた好物の桃酥(トウソ)を食べていた。そこで欣然は安然が目を離した隙に桃酥に毒を盛り、何食わぬ顔で帰って行く。「娘、安然は私の目の前で桃酥を食べたわ、これでうまく行くはずよ」柳鳴玉は娘の報告を聞いて安堵したが、黒猫は何かを察したように腕から飛び降りた。つづく(ΦωΦ)シャーッ!
2024.01.19
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第5話酒館で意気投合した陸安然(ルーアンラン)と穆川(ムーチュアン)。すると通りで揉め事の声がする。2人は店を出て現場へ駆けつけると、妓楼の前で都尉(トイ)の高承賢(コウショウケン)が娘を虐げていた。憤慨した安然は女将に大金を出して娘を身請け、自由にしてやる。冬青(ドンチン)は見ず知らずの自分を助けてくれた恩人に忠誠を誓い、安然の侍女になりたいと懇願した。侍女の霊奚(レイケイ)は安然が連れて来た新しい侍女に嫉妬、闘志を燃やした。しかし冬青の境遇を聞いて同情し、これからは自分が味方だと励ます。実は冬青は客の相手を嫌がり、その度に殴られて傷だらけだった。聞けば幼い頃、家が洪水で流され、両親や兄と一緒に避難するもはぐれてしまい、養父に拾われたという。最初は平穏な日々だったが、やがて養父が怪我で働けなくなり、博打や酒に溺れて暴力を振われ、妓楼に売られていた。安然は冬青の痛々しい腕に薬を塗りながら、偶然、蝶のような不思議なあざがあると気づく。「大丈夫、私が家族を見つけてあげる」冬青はすでに家族の記憶も薄れていたが、かろうじて兄の珍しい体質だけは覚えていた。「哥は心臓が左ではなく右にあるんです」安然は母の病が治らないのは第二夫人・柳鳴玉(リュウメイギョク)のせいではないかと疑っていた。しかし薬も食事も問題がないと分かり、母の部屋を調べることにする。霊奚と冬青は夫人の部屋にある第二夫人からの贈り物をかき集めて調べたが、結局、何も出てこなかった。沈蘭渓(シンランケイ)は考え過ぎだと娘を戒めたが、安然は諦めきれず殿内を見回す。その時、母がいつも手を合わせている観音像に目を止めた。「あれも柳鳴玉からの贈り物では?」すると安然は観音像を床に落として割ってしまう。観音像の中には漢方の生薬が入っていた。安然は早速、医館を訪ねて調べてもらったが、牛膝(ゴシツ)は血を補う薬で毒性はないという。そこで冬青が夫人の薬の処方を見せた。「あ、これはいけません、肺の薬は出血を抑えますが、牛膝は気血を補う薬 併用すれば激しい咳で意識を失うか、下手をすれば喀血で死に至ります」(  ̄꒳ ̄)やっぱり…今日は花朝節(カチョウセツ)、安然は帰り道で母親に灯籠を買ってもらう幼い男の子を見かけた。「少し独りで歩きたいの、2人は同じ観音像を探してくれる?」安然は2人と別れ、うさぎの灯籠を買って川に流した。そこへ穆川がやって来る。「毓児(ユーR)に会いたいのかい?…この前、酔って話していたよ、うさぎの灯籠を作れってね」「毓児は飼っていたうさぎの名前なの、池に落ちて死んでしまった」安然は手を合わせ、我が子の来世の平穏を祈った。…毓児、母は戻ったわ、でも全てを挽回できてもあなたには会えないのね…すると穆川も蓮の灯籠を流して手を合わせた。「私も母に会いたくてね…もしも…いや、やめよう、母の魂は戻りたくないだろうから」「考え過ぎよ、私たちは故人を偲べばいいだけ 去った人の分まで日々を楽しむの、再会した時、話してやれるように」「悟りきってるな」穆川はまさかその言葉を10年前に自分が言ったとも知らず、敬服した。「そうだ、実はうさぎの灯籠を作ったんだ、取ってくるよ!」安然は穆川を待つ間、船頭がなぜか客を断っている様子を見かけた。聞けば全て貸し切りのため、どの舟にも乗せられないという。ぴんと来た安然は船着場へ向かい、船頭に舟を借り上げた貴客の名は″穆″か確認した。「その通りさ、ある娘との出会いを企んでいるんでね、邪魔してはダメだよ」(  ̄꒳ ̄)スムージーめ…(違うw)何もかも偶然ではなかった。安然は10年前の橋での出来事を思い出し、必ず穆澤が近くにいると気づく。すると橋の上で穆澤が男と立ち話ししていた。「叔父を使って信頼させたとはいえ、陸安然は手強いですよ?」「付け入る隙はある、今夜のうちに落としてみせるさ しょせん女は惚れた男には逆らえない」安然は呆然となった。…過去でも現在でもあなたから逃げられないのね…最初から私への愛などなかった、出会いすら巧妙に仕組まれた罠だったなんて…ここで逃げても別の策を仕掛けてくる…ならば逃げずに立ち向かおう、私から攻めるしかない安然は橋を渡ると、真下にちょうど舟が来たことを確認、あえて自ら落下した。…今度は自分の意志よ穆川は姿が見えなくなった安然を探して人混みをさまよっていた。すると橋から人が落ちたと騒ぎになっている。穆川が慌てて駆けつけると、驚いたことに二兄が安然を抱き止めていた。2人を追いかけた穆川だったが、穆澤と一緒に月老廟に入って行く安然を見て深く傷つき、うさぎの灯籠を落として帰ってしまう。穆澤は月老廟でも安然を手に入れるための策を弄していた。しかし安然は簡単にはなびかず、おみくじの籤(セン)が全て大吉に変えられていることまで見破られてしまう。「殿下は自分が欲しいものは必ず手に入れるのですか?」「私に言わせれば手に入れたいものがあれば、どんな手段でも講じればいい」安然はその言葉が真実だと知っていた。…穆澤、欲しいなら何でもあげるわ、受け取るか受け取らないかはあなた次第よ…「ではお心に従って殿下に嫁ぎます、私を慶王妃として正式に娶ってください」「やはり非凡な小姐だ」すると穆澤は腰から玉佩を外し、婚約の証しとして安然に渡した。「共に白髪になるまで添い遂げよう」「殿下、覚えておいてください、私たちは盟約で結ばれた仲、色恋とは無縁です」「分かっている、明日、陸家に挨拶に行く」それは10年前、穆澤が慶(ケイ)王だと知らずに受け取った玉佩だった。あの時はまさか陸家が極刑を言い渡され、この玉佩を投げ返すことになるなど誰が考えただろう。穆澤が宿に戻ると九弟が部屋の前で待っていた。「どうした?益(エキ)州での害虫駆除はどうした?」「二哥に菓子の差し入れに…でこの地で何を?」穆澤は個人的な用事だと話し、実は蘇城陸家の娘・安然を娶ると報告する。「陸家は国の水運を一手に握っている 我々には夢があったな?水害を防いで餓死者をなくすことだ その娘と組めば夢が実現できる 彼女は心が広く、並の女と違う、陸安然こそ王妃に相応しい」穆川は突然の報告に動揺し、思わずむせてしまう。すると穆澤はふと幼い頃の苦労を思い出し、腹違いの兄弟とは言え、穆川の情は生涯忘れられないと感謝した。「明日、陸家に同行するか?」「あ…遠慮するよ、用事もあるし」その夜、穆川は田んぼで独りやけ酒を飲んだ。美しい細工が施された銀の腕輪を眺めながら、出会うのが遅かったと悔やむ穆川。まさか10年前、その腕輪を安然に贈ったことなど知る由もない。つづく( ゚ェ゚)てか…先に穆川とまとまっちゃえば良くない?
2024.01.18
コメント(1)
覆流年 Lost Track of Time第4話陸安然(ルーアンラン)が目を開けると、なぜか10年前のあの日に戻っていた。自作した水雷の実験、そして海賊に襲われる船…。すると助けに向かった船にはやはり蔡望津(サイボウシン)の侍衛になりすました若き穆澤(ムーヅー)の姿があった。安然は自分が本当に過去に戻ったと確信し、いきなり憎き穆澤に斬りかかってしまう。手練れの穆澤は安然の攻撃を簡単に交わし、咄嗟に安然を抱きしめ、流れ矢から守った。実は10年前も同じように穆澤は安然を流れ矢から助けている。しかし命を救った英雄でも安然の心を動かせないと知った。復讐に失敗した安然は水雷の煙のせいで侍衛を海賊と誤解したとごまかした。「商売で来たわけじゃなさそうね? 船に上等な油木(ユギ)が使われている、貨物が積めないから商船ではない それにあなたの侍衛、その武芸は宮中の貴人に学んだものでしょう?」安然の鋭い指摘にたじたじの蔡望津。そこで娘に名前を尋ねたが、安然は二度と会うこともないと言って引き上げてしまう。穆澤は娘の船の双魚(ソウギョ)の紋章に気づき、陸家の嫡女・陸安然だと分かった。「当初の策では籠絡できぬかと…」「たやすい相手なら翊(ヨク)王に先を越されていたさ…」安然は母・沈蘭渓(シンランケイ)と弟・陸昀(ルーイン)に再会、2人の元気な姿に感激もひとしおだった。しかし唐突に武館に通うのをやめて家業を継ぐよう弟を戒めたせいで、大将軍を志す陸昀を怒らせてしまう。安然はともかく霊奚(レイケイ)に頼んで母の薬を別の医者に調べてもらうことにした。「陸家の者には秘密にね…それから口に入る物は全て毒が入っていないか調べて」一方、柳鳴玉(リュウメイギョク)と陸欣然(ルーシンラン)は急によそよそしくなった安然に困惑していた。…宮中は過酷な世界、争いに巻き込まれたら陸家はまた皆殺しになる…今度は決して同じ轍を踏まない安然は過去の記憶を思い出しながら先手を打つことにした。安然は柳鳴玉が準備してくれ衣装を欣然に渡した。思った通り翌日、成人の儀に現れた陸欣然は首や手をかきむしっている。娘の衣装を見て驚きを隠せない柳鳴玉、そして10年前と同じように陸軽舟(ルーケイシュウ)は安然に双魚令を贈った。すると案の定、叔父・陸延(ルーエン)が異論を唱えようとする。しかし安然は叔父を制した。「阿叔が陸家に何をしたか話すわ 先月、阿叔の船が2隻、沈んだけれど、高波のせいだと言ったわね?」そこで安然は船を調べさせた衫越(サンエツ)を呼び、証言させる。実は船の甲板の下に隠し倉があり、密かに穀物や茶葉、織物を積んで重量を超えたため沈んだと分かった。何も知らなかった陸軽舟は欲のため犠牲者を出した弟に激怒、内通していた柳鳴玉も見限り、陸延は陸家を追い出されてしまう。その夜、安然は中庭で密会している陸欣然と蔡望津の様子を見ていた。「花を贈ればいいのに…あれなら女心をつかめるわ」「陸小姐、何を見ている?」安然が振り返ると10年前と同じように偶然を装って穆澤が現れた。「ささやかな誕辰祝いだ」安然は化粧箱の中身を知っていたが、ふたを開けると花ではなく、水系図が入っている。しかし興味を示さず、さっさとふたを閉じて脇に置いた。「陸小姐、私が何か気に障ることを?なぜ敵意を向ける?」「…慶(ケイ)王殿下、こんなことをして何が楽しいの? 素性を隠して陸家と盟を結ぼうだなんて滑稽じゃない?」穆澤は自分の正体がバレていると知り、確かにつまらない策を弄したと認めた。すると安然は水系図を置いたまま帰ってしまう。部屋に戻った安然は衫越を呼び、念のため追放された叔父を見張るよう頼んだ。穆澤のことを考えれば考えるほど虚しさに襲われる安然、そこで気晴らしに酒館へ出かけることにする。一方、陸欣然は姉の衣装に細工したと教えてくれなかった母を責めていた。柳鳴玉は伝える時間がなかったと釈明したが、どうやら安然を侮っていたらしい。しかし所詮は小娘、それより娘を慶王の腹心に取り入らせることが先決だった。「あの人に嫁げたら陸安然なんてお呼びじゃないわ」その頃、安然は酒をあおっていた。「酔えば憂いは消えてくれる、今はとことん飲んで忘れたい」霊奚は泥酔した安然を心配して馬車を頼みに行った。しかし独りになった安然は酒がないと気づき、ふらふらと回廊へ出てしまう。その時、ちょうど2階へ上がって来た男とぶつかった。泥酔した安然は男が憎き穆澤だと思い込み、個室に引き込んでからんでしまう。安然は母の病に必ず何か裏があると踏んでいた。しかし霊奚は夫人の薬も食事も問題がなかったと報告する。すると慌てた様子で衫越が戻って来た。実は陸延が翊王の配下と密会、その後、人相書きで見たお尋ね者と一緒に港へ向かったという。罪人をかくまえば死罪になる。安然は翊王が叔父を利用して父を罠にはめ、事が済んだら陸家の水運を手中に収める計画だと気づいた。安然は県衙に助けを求めたが、門は閉まっていた。どうやら役人はすでに翊王に買収されたらしい。港には安然の成人の儀を祝うため駆けつけた船が100隻、全て調べるにも半年はかかる。結局、安然は穆澤を頼るしかなくなった。穆澤は少しもったいぶってから戸を開けた。「陸小姐、何の用かな?」安然は慶王が蘇城(ソジョウ)へ来た目的なら知っていると切り出し、取り引きを持ちかける。「近頃、翊王に手を焼かされているの、これまで金銭で解決して来たけれど、今回は… 陸家がどの道を選ぶかは殿下の態度次第です」「私が何とかしよう」「私がいる限り陸家が翊王につくことはありません あなたの求めには民の利になるのなら手を貸しましょう」慶王は通報を受けたとして自分の兵に港を捜索させた。慌てた県衙も急いで駆けつけ、陸延が呆然とする中、無事にお尋ね者が捕まる。屋敷で報告を聞いた安然は安堵したが、その時、村人が駆けつけ、田んぼで騒ぎだと知らせた。穆川(ムーチュアン)は10年前と同じように田んぼで苗を抜いていた。元気な九皇子の姿に思わず涙ぐむ安然、しかし穆川はなぜか安然を知っている。「君か…」「覚えているの?」「忘れたのか?この前、絡んできただろう?」安然は何の事か分からなかったが、ともかく穆川の言う通り苗が病気だと農民に説明した。安然は穆川を食事に誘った。そこでようやく安然が酒館でからんだのが穆川だったと知る。「覚えていないの…私、何かした?」「かんざしで殺されそうになった」「酔って人間違えを…」「構わないよ、酔うのも悪くない、人生は一度きりだ」「さすが九皇子ね」「なぜ私の正体を?!」安然はうっかり口を滑らせ、実は遊歴した際、ある皇子が野良仕事をしていると聞いたとごまかした。するとすかさず穆川も商人なのに水利に私財を費やす者がいると聞いたとやり返す。「おかげで蘇城の泥池は立派な田んぼになったそうだ」つづく(  ̄꒳ ̄)うむ…筋書きを変えても結局、運命は変えられないのか?
2024.01.17
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第3話慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)と九皇子・穆川(ルーチュアン)は病床の父皇を見舞った。その時、皇后は姜(キョウ)侍医から薬湯を受け取り皇帝に飲ませたが、皇帝は激しく血を吐き、絶命してしまう。葬儀は滞りなく終った。父のいなくなった寝宮で呆然とたたずむ穆川、すると穆澤が現れ、弟を抱きしめた。「今や私の肉親はお前だけになった」それから3日後、昏睡していた慶王王妃・陸安然(ルーアンラン)がついに目を覚ました。侍女・霊奚(レイケイ)は九皇子が採って来た血参(ケツジン)のお陰だと喜んだが、戦死した陸昀(ルーイン)は安然が眠っていた1ヶ月の間に埋葬されたという。最期の別れもできなかったと涙する安然、しかし慶王が弟の仇を討ってくれたと知った。実は皇帝が崩御、3日後には慶王が即位するという。感激した安然は慶王が戻ったと聞くや、おぼつかない足取りで寝殿を飛び出し、穆澤のもとへ駆けつけた。「良かった、意識が戻ったんだな 陸昀の死は四弟の残忍さを知らなかった私のせいだ だがもう心配ない、今後は私が命を懸けて君と家族を守る」「はお」穆澤は新帝に即位、安然は皇后に封じられた。するとその夜、穆澤は安然に出自の秘密を明かす。実は亡き良(リョウ)妃は実母ではなく、生母は墨(ボク)氏だった。良妃は墨氏を利用して妃の位を手に入れると、邪魔になった墨氏を毒殺して井戸へ捨てたという。当時まだ幼かった穆澤は全てを知りながら何もできず、井戸から母の骨を拾って埋葬し、自分の寝所にこっそり位牌を祀ることしかできなかった。しかし安然はこれから自分たちが生母の霊を慰められると励まし、義母の位牌に拝礼する。「苦難は過ぎ去り、穆澤が玉座につきました…どうぞご安心を」景和の時代となり3年。宮中は落ち着きを取り戻し、安然も辛い過去から立ち直ろうとしていた。大晦日には家族が集まって花火を楽しみ、安然は穆澤に第二子の懐妊を報告する。再び幸せを手に入れたかに見えた安然だったが…。2ヶ月後、穆澤と穆川の育ての母でもある皇太后が急死した。皇帝は侍医・姜林甫(キョウリンフ)の誤診として即刻、死罪にしたが、穆川はなぜ調査もせず殺したのかと憤る。実は皇帝は翊(ヨク)王一派の赦免を約束していたが、この3年の間に全員が謎の死を遂げていた。遠回しに関与を疑われた穆澤は激怒、穆川に禁足を命じてしまう。安然は穆川が監禁されたと知り、見張りを脅してまで強引に面会した。事情を知った安然は後宮にいても皇帝の残忍な噂は耳に入っていたと明かしたが、信じたくなかったという。「もう見て見ぬふりはできない、私たち家族が目を覚まさせなくては…」安然は含光(カンコウ)殿を訪ねたが、穆澤はすでに安然が穆川と会っていたことを知っていた。安然はなぜ穆川に皇太后の死因を調べさせず、腹心だった姜侍医まで処刑したのかと迫った。もし皇太后の死が本当に姜侍医のせいなら、先帝の死にも疑問が湧くという。核心を突かれた穆澤は憤怒、その姿にはもはや安然が愛した小侍衛の面影はなかった。「朕を疑うとは…いつから心変わりを?九弟が腕輪を贈った時からか?」「私と九弟を疑うと?」「潔白だと天に誓えるか?」「不義を働いたなら雷に打たれて死ぬわ…ならあなたも誓える? その手を汚さずに皇位を得たと…人の誠意を信じようとせず、大志さえ捨ててしまった 変わったのはあなたの方よ!」「陸安然!ふぁんすー(放肆)!」穆澤は思わず安然に手を上げた。「そなたの后位も陸家の栄華も朕が与えてやったのだ!その恩を仇で返すとは! 陸安然…口答えする前に陸家のことを考えるんだな、本分をわきまえよ」穆澤は皇位と引き換えに多くの人間を犠牲にしていた。腹心の蔡望津(サイボウシン)は皇后と清(セイ)王に勘づかれたからには早々に手を打つべきだと進言する。そんなある日、安然は偶然、含光殿の前で父皇に会いに来た蕭(ショウ)妃の息子・麟児(リンR)と出くわした。「皇后娘娘、母妃が折ったウサギをあげます これは母妃しか折れないウサギだよ、尻尾を引っ張ると飛び跳ねるの」折り紙を見た安然の顔色は一変した。そのウサギは確かに毓児(ユーR)が溺死した池に落ちていた折り紙だ。安然は息子を殺したのが蕭驚雀(ショウキョウジャク)だったと気づき、寝殿に乗り込んだ。しかし皇帝が陸家を見限ったと知った驚雀は開き直り、次々に残酷な真実を告げる。実は穆澤は当時から驚雀が殺したと知っていながら伏せていた。しかもすでに陸家は北臨(ホクリン)に武器を密売したとして捕縛され、今にも処刑の聖旨が出るという。さらに弟の戦死も穆澤の策略だった。穆澤は翊王を失脚させるため秦野闊(シンヤカツ)を買収、文を偽装させて援軍を足止めさせたという。朝堂では皇帝が陸一族の極刑を命じていた。ただし皇后だけは後宮にいて内情を知らなかったとし見逃すことにしたが、突然、安然が現れる。朝堂は騒然、すると穆澤は朝臣を下げ、安然と向き合った。「3つ質問があるわ、皇位を懸けて答えて…陸家を皆殺しにするのは港と船隊が狙い?」「その通りだ」「弟の先陣が全滅したのはあなたの策略ね?」穆澤は安然が全て知っていることに驚いた。「翊王を失脚させる好機だった、だが陸昀の死は想定外だった」「想定外?徹底的にやるのがあなたの主義でしょう?」「それは…」「最後の質問よ、毓児を殺したのが蕭驚雀だと知っていたの?答えて!」「…当時、蕭映(ショウエイ)の兵力の方が勝っていた、やむを得なかった」安然は穆澤が愛していたのは自分ではなく皇位だったと知った。絶望の中、朝堂をあとにした安然は雪道で倒れ、流産してしまう。目を覚ますとすでに日が暮れていた。明日は陸家の処刑、すると妹の陸欣然(ルーシンラン)が訪ねてくる。霊奚は陸家を助けて欲しいと泣きついたが、安然は妹が裏切ったと気づいていた。「霊奚、席を外して、護国夫人は私に話があるはず…」陸家をはめたのは誰であろう陸欣然だった。偶然、皇帝が陸家を潰すつもりだと知り、皇家側につくと決めたという。陸家で見つかった密売の証拠は全て欣然の指示で叔父の陸延(ルーエン)が用意していた。「陸欣然…いつかバチが当たるわよ?」「ふふ、最後に勝つのは私よ」欣然はいきなり安然に襲いかかった。危ないところで霊奚が駆けつけ助けたが、激怒した欣然に刺殺されてしまう。「霊奚!」安然は寝台から転がり落ちるように這い出したが、霊奚はそのまま事切れた。「欣然!なぜなの?!」すると欣然は恐ろしい真実を告げた。「もうそろそろ教えてあげましょうか? あの日の桃酥(トウソ)は姐に用意したの、まさか自分の母親を殺すなんてね」婚礼前夜、両親と最後の夜を過ごしていた安然は霊奚が持って来た桃酥を食べようとした。しかし母から太ると注意され、咄嗟に母の口に押し込んでしまう。まさかあの桃酥が母の命を奪ったとは…。翌日、陸一族は処刑された。その夜、監禁されていた穆川は毒酒を賜り、安然を案じながら静かに最期の時を待つ。ちょうど同じ頃、安然は含光殿にいた。…皇位や富など儚い幻あなたの野望のために大勢が命を失い、多くの血が流れたあなたに嫁いだせいで私の人生は破綻し、こんな結末を迎えることに「燃えろ!全て燃えてしまえ!」安然は寝殿に火を放ち、あっという間に炎に巻かれてしまう「穆澤、自分の弟まで殺すなんて…」やがて寝殿の天井が崩れ始めたするとなぜか青空が顔を出し、陽の光が差し込むその時、何か大きな爆発音がした…安然が目を開けると霊奚と衫越(サンエツ)がいた。「小姐?小姐?…大丈夫ですか? 小姐の様子がおかしいわ、明日は成人の儀なのにどうしよう」「成人の儀?」その光景は確かに10年前と同じだった。つづく( ๑≧ꇴ≦)終わった!w
2024.01.16
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第2話陸安然(ルーアンラン)が慶(ケイ)王・穆澤(ムーヅー)に嫁いで5年。安然は世子・毓児(ユーR)を授かり、妹・陸欣然(ルーシンラン)も蔡望津(サイボウシン)に嫁いでいた。しかし穆澤は政務で忙しく、今日も安然の誕辰だというのに留守だという。欣然は弟・陸昀(ルーイン)と一緒にささやかな祝宴を囲んだが、姐夫への不満を募らせた。「蕭驚雀(ショウキョウジャク)を側室に娶っておいて陸家にはお金や船を差し出させるなんて、あんまりよ」「蕭映(ショウエイ)ほどの勇猛な将軍は得難い人材よ、その妹を身内にしただけ」安然は穆澤の心にいるのが自分なら構わないと寛容だったが、陸昀はこれも姉に後ろ盾がないためだと分かっていた。「姐(ジェ)…私も北臨(ホクリン)へ戦に行く、賊を退治するだけの″王妃の弟″で終わりたくないんだ」欣然は弟の出征に大反対だったが、安然は志高い弟の背中を押した。その夜、安然と毓児が中庭にいると、慶王が帰って来た。毓児は父王の元へ駆け出し、母と一緒にずっと待っていたと訴える。しかし安然は船の設計図を見ていた時、息子に引っ張り出されただけだと釈明した。「例の軍船か?」「車船(シャセン)というの、人力で動かす羽根車を積み、速さは普通の船の10倍よ」穆澤は自分のために尽力する安然に感謝しながら、今年も誕辰祝いに花を贈った。今も仲睦まじい安然と穆澤、すると侍女が駆けつけ、側夫人が倒れたと知らせる。実は蕭驚雀は懐妊していた。5ヶ月後、蕭驚雀のお腹も次第に目立って来た。戦場では兄が功績を上げ、妹は懐妊、蕭家は安泰に思えたが、驚雀は側室として庶子しか産めないと不満が募る。そんなある日、驚雀は回廊で遊んでいた毓児の凧糸に足がひっかかり、危うく転びそうになった。憤怒した驚雀は罰と称して腹いせに世子の手を何度も叩き、泣かせてしまう。幼い毓児は理不尽な側夫人に反発、思わず蕭驚雀を突き飛ばした。『父王に叩かれたって言いつける!生まれてくる弟や妹も許さないぞ!』駆けつけた乳母が謝罪し、騒ぎが大きくならないよう世子を池に連れて行ったが…。造船房から帰って来た安然はすでに冷たくなった我が子と対面した。乳母・雲娘(ウンジョウ)が釣りの餌を取りに戻ったわずかな隙に毓児が池に転落、溺死したという。聞けば安然の留守中、毓児と側夫人の間で諍いが起こっていた。「目を覚まして…母が戻って来たわ…」息子の亡骸を抱きしめ悲嘆に暮れる安然、その時、侍女・春児(シュンジ)が池から走り去る側夫人を見たと証言する。激情に駆られた安然は剣を片手に側夫人の寝殿に乗り込んだ。しかし慌ててが穆澤が駆けつけ、剣を奪い取られてしまう。「やめろ!安然!」蕭驚雀の無実を証明したのは妹の陸欣然だった。欣然は毓児が池に落ちた頃、側夫人を莫懸寺(バクケンジ)で見たという。「本当?嘘なら一生、子にも恵まれず、無惨な死を遂げると誓える?」「…誓うわ」結局、毓児は事故死と断定され、春児は雲娘をかばって嘘をついたとし、2人とも処刑されてしまう。しかし穆澤は蕭驚雀が毓児を殺したと気づいていた。その夜、驚雀は裁きが済んだと安堵していたが、思いがけず慶王に厳しく追及されてしまう。「確かに皇族の子は平民より早死にするものだ、子など失ってもいい、だが好き勝手は許さぬ! 過ちを犯したのなら償わなければな」蕭家が多数の私兵を抱えていると知っていた穆澤はこの機を利用し、まんまと全ての兵を献上させた。安然は息子を失っても冷静な穆澤に失望し、造船房に閉じこもった。穆澤とはすっかり疎遠になり5ヶ月。安然は完成した車船が無事に進水したのを機に屋敷へ戻った。しかしちょうど蕭驚雀が男子を出産、慶王府でお披露目の宴が開かれる。安然は顔も出さず、ここぞとばかりに驚雀は女主人のように振る舞った。安然は母屋の喧騒を離れ、中庭へ向かった。すると偶然、祝宴を抜け出した九皇子・穆川(ムーチュアン)と再会する。穆川は老僧からもらったという銀の腕輪を贈ったが、安然は遠回しに自分を慰めてくれていると分かった。「私も死に別れた人がいる、でも悟ったんだ 残された我々は去った人の分まで日々を楽しむ、再会した時に話してやれるように…」「ありがとう、頂くわ」そこへ穆澤がやって来た。穆川は兄の手前、独り身なので渡す人がいないと言い訳したが、そのせいで安然から意中の相手がいると見抜かれてしまう。「彼女は…他の令嬢たちとは全然違う、利発で魅力がある、志を語る時、目が輝くんだ 農作業が終わったら訪ねるつもりだった、でも…他の人に嫁いでいたよ」安然はまさかその相手が自分だとは知らず、縁がなかったのだと慰めた。安然は穆川の励ましのおかげで、久しぶりに気分が晴れた。するとその夜、穆澤が早世した息子のために放った灯籠を見かける。驚いた安然が慶王の書斎へ駆けつけると、書卓に毓児の思い出のおもちゃがあった。その時、穆澤が書斎に戻って来る。「我が子への想いをどうして隠していたの…毓児のことを忘れたと思っていたわ」「自分の子を忘れるはずない…安然、今の私にはもう君しかいない」実は穆澤は九弟から安然が″なぜ息子の死を悼んでいるのは自分だけなのか″と嘆いていたと聞いていた。こうして安然の信頼を取り戻した穆澤。2人は再び仲睦まじい夫婦に戻ったが、安然に再び不幸が襲いかかる。数日後には帰還すると聞いていた弟が伏兵に襲われ戦死、形見の品として血まみれの鉄兜だけが戻ってきた。安然は衝撃のあまり卒倒し、心労が祟って昏睡状態となった。穆川は参内した兄に代わって付き添っていたが、侍医にも打つ手はないという。「ただ血参(ケツジン)なら効くかも…しかし宮中の蓄えは尽きました」「私が採りに行く、絵を描いてくれ」侍医は危険だと警告したが、穆川は愛する安然をこのまま見過ごすわけにはいかなかった。一方、朝堂では帰還した将軍・蕭映が翊(ヨク)王・穆霖(ムーリン)を告発していた。上奏によれば翊王は叔父・秦野闊(シンヤカツ)と結託し、援軍を出さなかったという。そのため陸昀の先陣が全滅、証拠も証人も揃っていた。「これは陸将軍の軍営で見つけました、陸将軍は翊王の軍費着服の証拠を得ていたのです ゆえに翊王は口封じのため秦将軍を足止めしたのです、これが真の敗因です」翊王は皇太子候補の筆頭だった。穆霖は慶王の策略だと訴えたが、激怒した皇帝から親王を剥奪され、禁足を命じられてしまう。これを不服とした穆霖は激情に駆られ、父に暴言を吐いた。「もうろくした老いぼれめ!私を廃してこの国を根無草に渡すつもりか?!」穆霖は直ちに朝堂から引きずり出されたが、皇帝は頭に血が上って倒れてしまう。穆澤は密かに皇后・林婉貞(リンエンテイ)と接触した。皇后には実子がなかったが、その代わり幼くして生母を失った穆澤と穆川を我が子のように育てて来た。「あなたが太子の座を狙っているのは知っていた 皇上が目を覚ましたら、早く太子を立てるよう勧めるわ」しかし穆澤には別の考えがあった。皇后は穆澤の提案に呆然となったが…。つづく(  ̄꒳ ̄)さていよいよ次回は最終回です・・・・・( ゚д゚)え?!
2024.01.14
コメント(0)
覆流年 Lost Track of Time第1話景和(ケイワ)3年2月、瀚京(カンケイ)城全てを失った皇后は自ら寝殿に火を放ち、あっという間に炎に巻かれた『あなたに嫁いだせいで私の人生は破綻し、こんな結末を迎えることに』物語は10年前にさかのぼる…蘇城(ソジョウ)で最大の商家・陸(ルー)家。陸家には男勝りで聡明な嫡女・陸安然(ルーアンラン)がいた。その日は男衆を引き連れ、大河で自作の水雷を試していたが、偶然、航路で海賊に襲われる船を発見する。安然は早速、水雷を使って海賊を蹴知らすことに成功、そこで凄腕の侍衛と出会った。「師父はどなたです?うちの男衆を鍛えて欲しいの」「それがすでに他界しています」「じゃああなたは?報酬ははずむわ」しかしその船は先を急ぐという。安然はまた縁があればと無理強いせずに帰ったが、侍衛の男は娘の船の双魚の紋章が陸家のものだと知っていた。「あの娘が安然だ、間違いない」翌日、18歳になった安然は成人の儀を迎えた。母・沈蘭渓(シンランケイ)は咳が酷く欠席となったが、第二夫人・柳鳴玉(リュウメイギョク)が準備してくれた美しい衣装に身を包んで儀式に臨む。会場には安然が海賊から助けた慶(ケイ)王府の使者・蔡望津(サイボウシン)も祝いに駆けつけていた。陸軽舟(ルーケイシュウ)はこの機に娘を後継者に指名、36港の船隊を動かせる双魚令を託した。しかし陸延(ルーエン)が兄に横槍を入れ、庶子とは言え唯一の男子である陸昀(ルーイン)が当主になるべきだと訴える。すると安然を慕う陸昀が姉こそ後継者にふさわしいと表明した。焦った柳鳴玉は陸延に引き下がるよう目配せ、その場を取り繕う。こうして安然は家業を引き継ぎ、新当主を祝う宴が始まった。安然は身体中が痒くなり、早々に祝宴を切り上げた。「どうしてこんな時に湿疹なんて…」屋敷に戻った安然が回廊でふてくされていると、思いがけず蔡望津の侍衛と再会する。「どうしてここに?」「私の主人が陸小姐の祝賀会に招かれてね…まさか君だったのか」「あなたの主人も陸家と商談?この前は翊(ヨク)王で今度は慶王… そんなに暇なら水害対策を進めてくれればいいのに(ボソッ」瀚国は水の国、水害が多いのは仕方ないが、災害支援の食糧は役所に中抜きされ、民に届くのは米ぬかだけだった。すると侍衛は被災者の支援もさることながら、災害を防ぐことが根本的な解決だという。「国中を巡る無数の水路を活用する、運河の整備が最上の対策だ 陸家が港を管理するのも同じ目的では?ならば朝廷と協力する事で大業の成就は早まるだろう」「…朝廷より自分を信じるわ」安然は同じ志を持つ侍衛に一目置いたが、役人と関わるのはごめんだった。「そうだ、誕辰祝いを…それから痒み止めだよ」侍衛の贈り物は花だった。「あなたの名前は?」「…次に会った時に」「次はないかも」「あるとも…じゃあこれで」翌日、陸軽舟は慶王の誘いを丁重に断った。蔡望津は好機を逃さぬよう柔軟になるべきだと戒めたが、陸軽舟はこれが自分のやり方だという。「陸家の望みは巨万の富より一家の平安です、ご理解ください」一方、安然は回廊で父と使者の話が終わるのを待っていた。そこへ腹違いの妹・陸欣然(ルーシンラン)が駆けつける。欣然は姉の目当ても使者かと焦ったが、安然は侍衛を待っていると釈明した。しかし屋敷へ来たのは使者独りだと分かり落胆する。その時、村人が駆けつけ、田んぼで騒ぎだと知らせた。農民たちは安然のために道を開けた。何事かと思えば見知らぬ青年が勝手に田んぼに植えた苗を引き抜いている。「捕まえて」すると村人たちは青年を羽交い締めにして安然の前に連行した。「放蕩息子なら賭場や妓楼で遊んだら?泥遊びの何が楽しいの?」しかし青年は苗が病気だと訴え、最終的には稲が全滅してしまうと説明する。確かに苗を割いてみると蜘蛛の巣のような白い糸を引いていた。安然は青年に謝罪した。そこで早速、農民たちと一緒に苗を調べることにする。青年はあの頑固な農民たちがなぜこの若い娘には従順なのか首を傾げた。すると陸家の従者・衫越(サンエツ)がこの田んぼを作ったのが小姐だからだと教える。「川を整備して3本の水路を引いた、土は洪水で流されて来た泥だ」「それを全部独りで?」驚いた青年は娘に名前を聞くと、自分の身分は明かさず、いつの間にか姿を消した。その夜、安然は妹に誘われて花朝節(カチョウセツ)の縁日に出かけた。安然は縁結びの祈願で月老廟(ゲツロウビョウ)へ行きたいと言う妹と別れ、侍衛を探すことにする。しかし橋を渡っている時、前から来た男とぶつかって川へ落下してしまう。「小姐っ!」侍女・霊奚(レイケイ)は慌てて下をぞき込んだが、ちょうど船に乗っていた侍衛が安然を抱き止めてくれた。「劇的な再会だな」「小侍衛?!」侍衛は穆懐恕(ムーカイジョ)と名乗り、次男坊だと明かした。2人はしばし舟遊びを楽しんだが、ふいに穆懐恕が実は安然に一目惚れしたと告白する。「分かっている、私はしがない護衛だ、あるのは志だけ」「富や名誉に興味はない、相手に求めるのは″誠実な愛″だけよ」すると安然は穆懐恕の頬に口づけした。翌日、安然は穆懐恕を船まで見送りに行った。「私を忘れないでね」「迎えに来るよ」そこで穆懐恕は約束の品として玉佩を贈った。「共白髪になるまで添い遂げよう」「もちろん」しかし2ヶ月経っても穆懐恕から何の音沙汰もなかった。欣然宛てに届いた蔡望津の文によれば、穆懐恕も慶王のもと北臨に出兵したという。果たして無事でいるのだろうか。そんなある日、港に瀚京からの船が到着した。安然は待ちきれず港に駆けつけたが、やはり穆懐恕からの文はない。すると偶然にも田んぼの青年と再会した。「君が水路で水を引き込み、幅も深さも増したことで港が発展したんだね」「私ひとりの力じゃないわ、父が協力してくれたおかげよ」青年は稲香居士(トウコウコジ)と名乗り、凛とした安然にすっかり魅了された。陸家に突然、朝廷の使者がやって来た。何事かと思えば安然が皇帝から縁談を賜ったという。「慶王・穆澤(ムーヅー)とは相思相愛の間柄と聞く、当人の願いを汲み婚姻を許可する 9月8日に瀚京にて婚儀を執り行う」「あの…人違いでは?」「大胆な!皇上のご厚情を無にすればどうなるか分かっておるのか?!」安然は動揺しながらも陸家を守るため、聖旨を受け取るしかなかった。「おめでとうございます、慶王妃 来月8日に九皇子殿下が王妃を迎え、都まで付き添われます」すると使者は慶王からの文を安然に渡して帰った。…安然、無沙汰をしたね、北臨との戦で忙しく便りが書けなかった…真実を明かそう、大瀚王朝の二皇子、これが私の本当の身分だ…戦功の褒美に婚姻の許しを請うた…父皇には色恋を咎められ、翊(ヨク)王には平民を娶る気かと冷笑された…だが構わぬ、そなたと生涯を共にすると決めたのだ…瀚京で待っている安然が結婚を約束した穆懐恕の正体は慶王だった。いよいよ安然が嫁ぐ日を迎えた。真紅の婚礼衣装に身をつつんだ安然、しかしそこへ侍女が駆けつける。「小姐!夫人がお倒れになりました!」母は朦朧としながらも安然の美しい姿を見られたが、そこで血を吐き、息絶えてしまう。「阿娘を置いてなんていけない…」悲しみに暮れる安然、その時、九皇子一行が陸府に到着してしまう。父は心を鬼にして安然を母から引き離し、母の願いは娘を良家に嫁がせることだったと明かした。「嫁いで幸せになり安心させてやれ」安然は後ろ髪を引かれる思いで寝殿を出た。中庭では兄嫁を迎えに来た九皇子が待っている。その時、ふいに風が吹いて花嫁の紅蓋頭がめくれ上がった。安然は使者の九皇子・穆川(ムーチュアン)が稲香居士だと気づき、呆然となる。「あなたが九殿下?」安然は泣いていた。「何かあったのか?」「いいえ…全て順調よ」この時、陸安然は母の急逝という人生最大の悲しみに襲われていた誰が予想しただろう都へと向かう安然の運命の絵巻にあれほど苛烈な物語が綴られていようとは…つづく( ゚д゚)長っ!これ50分もあるのね全30話なので楽勝だと思ったら甘かったわwそしてまたまた勝手なルビですがご了承くださいませw
2024.01.12
コメント(0)
爱的二八定律 She and Her Perfect Husband第40話「本当に大切な物」事務所を追われたものの、セクハラ集団訴訟の準備で忙しい毎日を送る秦施(チンシー)。そんなある日、情報屋・剛子(ガンズー)の読み通り、天航(ティエンハン)ホテルの社長・尹志強(インジーチアン)が移動になった。経営監察室に飛ばされたと聞いた姚遥(ヤオヤオ)は失笑、そこは定年を迎えた役員の隠居部屋で、事実上の左遷だという。秦施は天航が尹を見限ったと気づき、無防備になったところで一気に攻めると決めた。「今日、訴状を提出するわ」その夜、秦施は李黛(リーダイ)、姚遥、剛子の4人で祝杯をあげた。剛子は着信に気づいて席を離れたが、突然、秦施が現れ、携帯を奪われてしまう。「陽華でしょう?…何か言ったら?私と姚遥を何だと思っているの?」陽華は黙ったまま何も答えず、剛子も他の依頼人だと否定した。仕方なく剛子に携帯を返した秦施、一方、姚遥は李黛に明日、息子を連れて豪州に発つと報告していた。「もう戻らないわ、後のことはよろしく、実は陽華も一緒なの」「🍺_(´゚ω゚).:;*.’:;..ブハッ!ちょっと、陽華を梱包して持って行くとでも?」「陽華は離婚したわ」そこへちょうど秦施と剛子が戻って来た。「秦施?離婚したって本当?!なぜ黙っていたの?!」李黛は姚遥のために尽力してくれた秦施への仕打ちに憤慨した。しかし秦施は陽華が姚遥と豪州へ移住するとはにわかに信じられない。「彼は行かないわ」「明日11時半の便よ、自信があるなら引き留めに来たら?」その時、陽華が店の外まで姚遥を迎えに来た。李黛は陽華を引き止めるよう急かしたが、秦施は身体が動かなかった。一方、陽華のために一肌脱いだ姚遥は秦律師には確かに劇薬が必要だと納得する。「でも相思相愛なのになぜ意地を張るの? とにかくあなたが彼女を好きなのことは良く分かったわ」「初めてここまで人を好きになったよ…」「私の前でそれを言うか?w ともかく99歩まであなたが歩み寄っても、最後の1歩は秦律師が踏み出す必要があるわ」陽華は追いかけて来ない秦施に落胆し、姚遥と車に乗り込んだ。その時、秦施が息急き切って駆けつけたが、陽華が気づかないまま車は走り去ってしまう。秦施は陽華を引き止めることも叶わず、雨の中をあてもなく歩いた。すると秦施を探し回っていた2人の兄が現れる。秦施は思わず秦文斌(チンウェンビン)に抱きつき号泣、気がつくと自宅のベッドで眠っていた。秦施は物音に気づいて目を覚ました。もしや陽華が戻って来たのかも?秦施は慌てて寝室を出たが、そこにいたのは2人の兄だった。2人は昨夜、泥酔した秦施を連れてマンションまで送ったが、深夜だったため泊まったという。すると秦文宇(チンウェンユー)は出社する時間だと気づいて仕事へ出かけた。秦施はどういう風の吹き回しかと驚いたが、長兄の話では文宇は本当に変わったという。「きちんと出社して真面目に働いているよ 梅梅(メイメイ)が戻って来た時、だらしない姿を見せたくないからだと…」実は秦施も最近、ようやく梅梅と連絡が取れたところだった。「…私はもう幸せになれないような気がする」「陽華と何があったのか知らないが、これだけは言える 人の幸せを決めるのは安心感だ、心の安らぐ場所がお前の居場所だよ」秦施は気を取り直し、自宅で裁判の準備を始めた。すると母が食材を持って訪ねてくる。「あら家にいたの?…しばらく来ないともうこんなに散らかして…」「数日前に来たでしょう?冷蔵庫にはまだ食料がいっぱいよ?」胡小妹(フーシャオメイ)は冷蔵庫に整然と積まれた料理を見て呆然、これは自分ではないという。実は秦施の留守に掃除をして料理を作ったのは陽華だった。「…小施、あなたと陽華のことだけど、ママもパパも全て知ってるの」陽華は離婚した日、秦家を訪ねて事情を明かしていた。離婚証を見た秦軍(チンジュン)は当然、憤慨したが、陽華は秦施が自分の心から目を背けたり、本来の幸せを避ける姿を見たくなかったという。『僕が彼女にあげられるものは自由でした、どうか彼女を責めないでください 僕にとって大事なのは結婚より彼女と共にいることなんです 彼女が望むなら一生、結婚しなくてもいい、でもどうか生涯、彼女を支えさせてください』母の話を聞いた秦施は慌ててマンションを飛び出した。秦施は空港に来なかった。姚遥はさすがにやり過ぎたと反省し、陽華にカードを返す。「あなたのお金でしょ?一銭も手をつけてないわ…別れのハグする?」「いや、彼女がいるからダメだ」陽華は姚遥たちを見送って空港を出た。ちょうどその頃、秦施は出発ロビーに駆けつけたが、またしてもすれ違ってしまう。あれから7ヶ月が経った。秦施と李黛はセクハラ集団訴訟で多額の賠償金を勝ち取り、今や時の人となる。尹志強は強制わいせつや何東娜(ホードンナー)の裁判での偽証教唆で逮捕、工事による不正も関係者が全て勾留された。そんなある日、秦施は誠(チョン)&慧(フイ)からパートナー弁護士として招かれることになった。唐伊慧(タンイーフイ)は11階の秦施のオフィスを一新して機嫌を取ったが、呼び戻さねばならない案件があると見抜かれてしまう。実は海外逃亡していた龐定方(パンディンファン)が交通事故で愛人と共に死亡、蘭暁亭(ランシャオティン)が遺産の受け取りを秦施に担当して欲しいと頼んでいた。また秦施が辞めてから事務所の内規を見直し、今では独身でも育児中でも同等に扱うことになったという。「陽華の言う通りね、事務所の長期的発展には信念が必要なの 弁護士の職業倫理は公平と正義、それが事務所の良心よ」「…陽華とまだ連絡しているの?」「もちろん!」陽華は今や胡平(フーピン)の右腕、投資部最高責任者として誠&慧豪州支部設立時にも顔を合わせたという。「離婚したことは聞いていないの?…それでも私を呼び戻す?」何も知らなかった金誠(ジンチョン)と唐伊慧は顔を見合わせたが、秦施を呼び戻す理由は素晴らしい弁護士だからだと言った。「君がここへ戻るということは君の勝利を意味する」しかし秦施は所長夫婦に感謝しながらも断った。「独りで外の世界にいた数ヶ月、本当に楽しかった…だから独立すると決めました まずは蘭会長の案件から協力しませんか?その代わり報酬は折半で」「乗ったわ!」秦施と唐伊慧は抱き合い、かつての仲の良い姉妹に戻った。秦施は帰り際、10階へ挨拶に寄ることにした。その時、偶然、エレベーターホールで西北支所の責任者として栄転になった陶俊輝(タオジュンフイ)と出くわす。「幸せになってね」「俺のことより自分の心配をしろ、独身のままおばあさんになったら俺のところへ…」秦施は相変わらず口が減らない元カレに失笑しながら、エレベーターに乗り込んだ陶俊輝を見送った。「秦施…幸せになれよ」「あなたもね」笑顔で別れた秦施と陶俊輝、すると秦施の携帯が鳴った。「秦施!…産まれそう!」陶俊輝が車のトランクに荷物を乗せていると、呉菲(ウーフェイ)が現れた。「陶俊輝律師、ニーハオ、私は新人補佐弁護士の呉菲です、よろしくお願いします」すると呉菲は握手を求めて手を伸ばした。陶俊輝はしばし呆然としていたが、ふと笑顔になる。「よろしく、頑張って」陶俊輝と呉菲は初対面の時のように握手を交わし、最初からやり直すことになった。一方、秦施は秦文宇(チンウェンユー)に子供が産まれると連絡、2人で産気づいた梅梅を病院まで連れて行った。梅梅は無事に出産し、兄夫婦はまるで何事もなかったかのように幸せに包まれている。そんな新しい家族を秦施は感慨深そうに眺めていた。…確かに独りは自由だけれど、結局、2人でも同じ…陽華は正しかった、私には確かに自分を見つめる空間と時間が必要だったのね…ようやく気づいたの、でも彼は?そんなある日のこと…。秦施がマンションへ帰ると、ちょうど引越し業者が前の部屋にせわしなく出入りしていた。数ヶ月まえから内装工事が始まっていたが、どうやら誰かが越して来たらしい。すると秦施の部屋の前に亀がいた。「どこの子なの?なぜ私の家の前に?…何だか見覚えがあるわ」その時、前の部屋から陽華が現れた。「…師哥、この子を探しているの?」陽華は両手を広げて秦施を待つと、秦施は迷わず陽華の胸の中に飛び込んだ。秦施はようやく陽華が豪州に行かなかったと知った。すると陽華は秦施の手を自分の胸に当て、心にいるのは秦施だけだと告白する。「そうだ、あの数字は何?」秦施は陽華がカードに残しておいた数字が気になっていた。陽華の書き残した数字はPCのパスコードだった。ログインしてみると株価チャートが出て来る。実は陽華は入籍した日に結婚記念日が証券コードの銘柄を買っていた。「僕が分析せずに買った唯一の銘柄だ、どんな値でも毎月、買い増ししている 暴落した時も売っていない、たとえ利益が出なくてもね」「じゃあ…いつ売るの?」「売らない、長期保有の予定だ、永遠にね 必ず上がると信じている、そしていつか子供たちの財産になる」おわり( ;∀;)ァァァァァァァァ~平日のお楽しみが終わってしまった~シューカイだけは圧倒的に現代劇派だわなぜだろう?顔が小さすぎてカツラが合わないとか?初シューカイの瓔珞は髪の毛がなかったから良かったのねw
2024.01.08
コメント(0)
爱的二八定律 She and Her Perfect Husband第39話「名誉ある敗北」姚遥(ヤオヤオ)の労働訴訟でホテル側の代理人となった秦施(チンシー)。キャリアと倫理の板挟みになったが、どちらも失わずに済む方法を思いついた。姚遥は陽華(ヤンホワ)の後押しもあって秦施の提案通り起訴を取り下げ、これで秦施は事務所への義理を果たしたことになる。しかし尹志強(インジーチアン)は姚遥と李黛(リーダイ)が自分をセクハラで訴える準備をしていると勘づいた。そのせいで今日の天航(ティエンハン)との法務契約が流れ、唐伊慧(タンイーフイ)は秦施が裏で関わっていると怪しむ。秦施は何も知らないとごまかしたが、唐伊慧はどちらにしても取り下げさせるよう迫った。「これが最後の警告よ、嫌なら辞めてもらう」すると秦施は席を立ってオフィスを出て行ってしまう。秦施は自分の信念を曲げられず、ついに退職を決めた。10階は荷物をまとめて出て行く秦施の姿に騒然となったが、その時、陶俊輝(タオジュンフイ)が現れ、屋上へ連れて行く。「目標を達成するまで辞めないと言っていただろう?」「もう私が憧れていた誠(チョン)&慧じゃないからよ」しかしもし所長が弁護士会に偽装結婚の件を報告すれば秦施は法曹界で生きられない。陶俊輝は感情的にならず、考え直すようなだめた。「俺が所長を説得する、待っていてくれ」秦施は陶俊輝が戻るのを待たずにエレベーターに乗った。すると偶然にも玄関ロビーでベビーカーを押している卞静(ビエンジン)と出くわす。卞静は近くを通りかかったので秦施の顔を見に来たと話したが、思いがけず辞めると知った。「卞姐、ごめんなさい、私のために尽力してくれたのに、期待を裏切ってしまった…」実は事務所の独身女性への差別を失くすという壮大な計画は卞静の夢でもあった。しかし卞静は事務所を離れて初めて社会の公平性が1人の問題ではないと気付いたという。「声を上げるだけでも大きな進歩よ 知ってるわ、あなたが精一杯、努力して来たこと 彼らもあなたが去ることで気がつくかも…言葉より説得力がある、そうでしょう? 失敗のように思えて、これは″名誉ある敗北″かもしれないわ」李黛と姚遥はセクハラ被害者に接触、証人を募ったが無駄だった。しかも頼みの綱だった秦施が事務所を辞め、最悪なことに尹志強が自分たちの動きに勘づいたという。「これで証拠集めは難しくなったわね… 諦めるなら食事して解散しましょう、私は新しい案件を探す」秦施は依頼人に判断を委ねた。「諦めないと言ったら?」「厳しい道のりになる、でも成功したらあのセクハラおやじを徹底的に潰せるわ 他のセクハラ男にも良い見せしめになる」「やるわ」姚遥は即断、秦施と李黛と3人で戦うと決めた。秦施は小さなレンタルオフィスを借りた。姚遥と李黛は再びセクハラ被害者たちの説得に奔走していたが、証人は一人も現れないという。すると突然、陶俊輝がやって来た。実は所長が唐伊慧を説得してくれると約束したという。秦施は自分のことより呉菲(ウーフェイ)はどうしたのかと聞き返したが、その時、陶俊輝は秦施の顔に赤い発疹があることに気づいた。その頃、陽華は蔡亮(ツァイリャン)と2人で飲んでいた。「入社の件はもう少し待ってくれるか?」陽華は蔡亮と一緒にベンチャーキャピタルへ移ると決めたが、その前にセクハラ案件に方をつけたいという。「入社を1週間ほど遅らせてもらったんだ」「胡平(フーピン)に毒でも盛ったのか?お前の言いなりだな~」「良いアドバイスをしたからさ」陽華は第36話で胡平と面会した時、将来において最も重要な物は何かと聞かれていた。『何に投資すればいい?』『御社に合うかどうか分かりませんが…基準になることがあるとすれば″良心″です 幼稚に聞こえると思いますが気づいたんです 企業と製品が業界や社会、人類に有益であれば、その企業生命力と柔軟性は計り知れないと』蔡亮は陽華が姚遥に未練もないのに支援し、秦施を想っていながら手放したことに混乱した。何より秦施のそばには陶俊輝という強力なライバルがいる。陽華は今も結婚指輪を外していなかったが、陶俊輝の名を聞いて急に顔をこわばらせた。秦施は牛肉入りとは知らずにエッグロールを頬張り、アレルギー症状が出た。相変わらずな様子に思わず口元がゆるむ陶俊輝、すると秦施の車に珍しく期限の切れていない薬がある。「陽華がリマインダーを入れてくれたの」「水は?」陶俊輝はグローブボックスの中を探すことにしたが、そこで偶然、秦施の離婚証を発見した。「秦施…離婚したのか?どうして俺に言わないんだ、結婚しよう、明日、手続きする」「バカなこと言わないで」「本気だ、俺と結婚して誠&慧に戻れ、所長が11階に戻すと約束してくれた」しかし秦施は自分のように結婚に不向きな人間もいると断った。「まだ心に迷いがあるの、だから自分にもあなたにも嘘はつけない あなたも呉菲を手放さないで、彼女の方がお似合いよ」陶俊輝は秦施の心がすでに陽華にあると気づいていた。秦施は認めなかったが、今になってようやく陽華の言葉が胸に突き刺さる。…隠れ蓑は嫌だ、人生を直視することから逃げないで欲しい…嘘の中で生きる君を見たくない秦施がマンションへ帰ると部屋がきれいに掃除されていた。キッチンには美味しそうな料理もできている。秦施はママが来たのだと気づいてすぐメッセージを送った。…ありがとうママ、愛してる…陽華は誰より秦施を理解していた。複雑な家庭で育った秦施は優等生として成功することで自己肯定感を得て来たのだろう。しかし人生は終わりのない試験だ。中でも結婚という科目は難しく、大勢の落第者を見て来た秦施は人一倍、臆病になっている。「彼女は怖気づいてジレンマに陥っているんだ…失敗を恐れ、幸せになれる自信もない 失敗しない近道は?選択しないことだ」蔡亮はますます混乱した。「秦律師が結婚を恐れているとは言え、お前は彼女が好きなんだろう?なぜ別れたんだ?」「落第より悪いことは?不正行為だ… 試験はゲームであり自己顕示に過ぎない、でも結婚は1人で臨む試験じゃない 鍵はいかに試験に強いパートナーを選ぶかになる パートナー選びの権利を彼女に委ねたい、それが双方にとって公平なんだ」「哀れなやつだ、秦律師がお前の努力を知っても戻らなかったら胸が痛いよ」「僕が決めたことだ」そこへ陽華の依頼で動き始めた情報屋・剛子(ガンズー)が現れた。翌朝、秦施のオフィスに剛子が証人を連れて来た。セクハラ被害を受けた韓恵婷(ハンフィティン)が姚遥と一緒に尹社長を訴えたいという。剛子は被害者が泣き寝入りするのは尹志強が社長の座にいるためだと説明した。しかし工事の不正の証拠を手に入れ、天航グループに告発、これで尹志強はクビになるという。「まだほんの糸口さ、これから芋づる式に暴かれるよ、姚遥以上の騒ぎになるぞ」秦施と李黛はなぜ剛子が協力してくれたのか分からなかった。すると剛子は他に雇い主がいるという。秦施も李黛もその雇い主が陽華だと気づいた。李黛はまさか秦施と陽華が離婚したとは知らず、陽華が姚遥のために必死らしいと秦施の嫉妬を煽ってしまう。剛子は陽華の指示通り証拠集めに奔走し、密かに秦施をフォローした。韓恵婷の告発に触発されセクハラ被害を訴え出た従業員は20名、集団訴訟に参加するのは11名に上る。すると剛子は民事で勝っても謝罪と賠償が関の山だと指摘した。「…やけに詳しいけれど法典を勉強したの?」「知恵ってやつだよ~問題を解決するには最善策を見つける、それでどんな問題も解ける」「ちょっと~誰に教わったの?」李黛は意味ありげに笑いながら、もっと証人や証拠があれば強制わいせつ等で起訴できるという。しかし秦施は高望みせず、着実に進めようと言った。実は補佐弁護士・海涛(ハイタオ)は尹志強のセクハラの証拠を持っていた。第36話で偶然、セクハラ現場を見かけた陶俊輝と海涛。陶俊輝は乗り込もうとした海涛を制止し、自分が部屋に入ったらスマホで証拠を残すよう指示していた。そこで海涛はこっそり証拠を送信しようとしたが、陶俊輝に止められる。「弁護士資格が剥奪になるぞ?」「分かっています」あの夜、海涛は被害者の女性に通報するか聞いたが、女性は仕事を失いたくないと怯えていた。海涛は姉がもし被害者だったらと思うとやるせないという。すると陶俊輝は自分に任せて欲しいと言って証拠を受け取った。つづく( ゚ェ゚)ようやく離婚した理由が分かったわ~でもやっぱり意味不明だわw ←どっちよ?w
2024.01.06
コメント(0)
爱的二八定律 She and Her Perfect Husband第38話「愛と恐怖」陶俊輝(タオジュンフイ)は秦施(シンシ)に天航(ティエンハン)の労働起訴から下りるよう勧めた。しかし秦施は頑なに拒否する。陶俊輝はあの夜のことが原因で自分を拒んでいると気づき、改めて謝罪した。「すまない、あの日は酔っていた、でも何を言ったのか全部、覚えている 君の選択は尊重するよ、でも気持ちと仕事は別だ、仕事に関する助けは拒むな」陶俊輝は仲直りの証に麻辣湯(マーラータン)店へ誘ったが、秦施は仕事があると断って戻ってしまう。それでも陶俊輝は22時に待っていると一方的に約束した。姚遥(ヤオヤオ)は李黛(リーダイ)がサニーを遊ばせてくれる間、陽華(ヤンホワ)との旧情を懐かしんだ。実はてっきり陽華は邱建祥(チウジエンシャン)の娘と結婚したと思っていたという。「それはない、言ったはずだ」「あの頃は悔しくてあなたを呪ってた…今になって思えば私たちは別れて正解だったかも 私は頑固で劣等感の塊だった 何かを手に入れても不安で、何が大切なのかも分かっていなかった」李黛と陽華は姚遥とサニーをタクシーに乗せて見送った。李黛はサニーと陽華の関係を追求しようとしたが、陽華に逃げられてしまう。そこで早速、秦施にゴシップを知らせた。📱<サニーを見たら驚くわよ?陽華にそっくりだものまさか秦施と陽華が離婚したとは知らず、李黛は陽華をしっかり捕まえておけと釘を刺した。複雑な心境で電話を切る秦施、すると今度は陶俊輝から連絡が来る。📱<今どこ?「やっぱり行けない…あ、ごめん、電話が入ったから切るわね」一方、バスに乗った陽華は蔡亮(ツァイリャン)に住宅ローンの申請を取り下げて欲しいと連絡した。蔡亮は頭金が無駄になると止めたが、陽華は電話を切ってしまう。すると突然、任梅梅(レンメイメイ)から着信が鳴った。秦文宇(チンウェンユー)の行方が分からなくなった。慌てた梅梅は咄嗟に秦施と陽華に助けを求め、秦施は思いがけず兄夫婦のマンションで陽華と久しぶりに顔を合わせる。聞けば文宇は集金に出かけて数百万の小切手を持ったまま連絡がつかなくなっていた。同行した社員は取引先で買った海産物を持って先に帰り、最後の1軒だけ文宇に任せたという。最後の集金先は文宇の弟分・胡鵬(フーポン)のクラブだった。秦施は陽華の運転で店に到着、すると後部座席に常備している護身用の警棒をつかむ。驚いた陽華は秦施から武器を取り上げ、自分に任せて車で待つよう言い聞かせた。店内は大音量が流れ超満員だったが、陽華は店のブレーカーを落として電気を消してしまう。停電に驚いたクラブの客たちが一斉に店を出た。秦施は最後に店から出てきた胡鵬を見つけ、車から出る。「久しぶりね」こうして文宇の行き先が判明した。秦施は梅梅に連れて帰ると連絡したが、梅梅はすぐホテルへ向かうという。📱<私を親友と思うなら何もしないで…自分で見届けたいの秦施と陽華が文宇の部屋の前で待っていると梅梅が駆けつけた。陽華は防犯カメラの映像で確認したところ文宇は泥酔していたとかばったが、梅梅は部屋に入ってしまう。秦施は憔悴した梅梅を自分のマンションに連れ帰り休ませた。梅梅が眠ったと聞いた陽華は安心して帰ることにしたが、秦施は何か食べて行かないかと誘う。「またデリバリーを?」「料理は苦手だから…実家に戻ったの?」「いや賃貸に仮住まいだ」「…慣れた?」「慣れない…でもそのうち慣れるよ」どこかぎこちない秦施と陽華の会話、すると陽華は今回の文宇と梅梅の騒動でしみじみ自分の選択が正しかったと漏らした。「君が結婚を恐れる理由が分かったよ、″問題がある結婚″は人を消耗させるんだね」「…うん、離婚して良かった、あの2人より大騒ぎしたかもしれないわ」「そうかな?」陽華は秦施がまだ自分の意図に気づいていないと分かり、落胆して帰ってしまう。翌日、秦施はいきなり姚遥の自宅を訪ねた。本当は陽華に手を出すなと脅したいところだが、弁護士としての職業倫理はある。何より陰湿な尹(イン)社長を放任することができず、陽華の元カノに手を差し伸べることにした。「あなたの協力があれば逆転できる可能性がある…その代わり起訴を取り下げて欲しいの」しかし帰り際、やはり持ち前の勝気な性格が出てしまう。「過去に陽華と何があろうと、サニーが陽華の子供だとしても気にしない、彼は私のものよ」秦施が帰ると奥の部屋から陽華が現れた。「一体どうなってるの?先に奥さんに話を通してよね」「あれでよく弁護士になれたと思うよ」「おのろけは結構よ… 陽華、別人のように優しくなったわね、変わったのは彼女のせい? で、さっきの提案を実行して彼女の立場は大丈夫なの?」「それは僕が考える」「じゃあ彼女を信じていいのね?」「ああ、彼女は腕が立つ」すると姚遥は陽華がローンを解約して工面してくれたお金を返すことにした。しかし陽華はいずれ必要になると受け取らない。「僕はまた稼ぐから、でも秦施には秘密にしてくれ」「ふふ…彼女のことが本当に好きなのね」その頃、文宇はビクビクしながら自宅マンションへ戻った。しかし運良く梅梅は出かけているらしい。安心した文宇は一風呂浴びてクローゼットに向かったが、そこでようやく梅梅の荷物だけがないことに気づいた。すると書斎に梅梅がサインした離婚協議書だけがある。文宇はともかく梅梅に連絡しようとしたが電池切れ、慌てて充電すると真っ先に胡鵬のメッセージが届いた。…家賃を下げないと嫂子に送る…それは泥酔して見知らぬ女とベッドにいる自分の写真だった。文宇は昨夜のことを何も覚えていなかった。胡鵬にはめられたと気づいた時には手遅れ、梅梅とは連絡がつかず、メッセージも拒否されている。文宇は秦施を呼んで釈明したが、秦施も梅梅の居場所を知らなかった。「私宛のメッセージよ」…秦施、私は出て行くことにした…あなたの推察通り文宇はハメられただけよね…あれから眠れず、ずっと考えていたわ、私はなぜこの結婚を手放せずにいるのかしら…答えは簡単、文宇への愛よ、習慣になり依存になってしまった愛…妊娠が分かった時、怖かった…彼が良い父親になれるか不安で自信がなくて、でもホテルに入った時、不安は恐怖に変わった…本当に浮気していたらどうすればいいの?独りで子供を育てられるかしら?…何より怖かったのはこれからのこと、次はどうなるの?そのまた次は?…考えているうちに気がついたわ、私の文宇への信頼は完全に失われていた…毎日、彼を疑いながら生きていくのは嫌、もうゲームは終わり…秦施、後のことはお願いね文宇は梅梅がこのまま会社や自分を見捨てて出て行くとは思えなかった。これも妹が梅梅をけしかけたせいだと思いたかったが、秦施に現実を突きつけられてしまう。「あなたの結婚よ?!梅梅を何度も怒らせたのは誰? そうやって人のせいにしてばかりだから誰も助けてくれないのよ! …今まではどれだけ喧嘩しても心配しなかった、2人には愛があると思っていたから でも今度ばかりは私が何を言っても無駄、もう何もできない」これまで喧嘩しては仲直りを繰り返して来た文宇と梅梅。その度に愛情が深まっていると思い込んでいたが、実際は愛をすり減らしていただけだった。「梅梅の選択がどうであれ、ともかく真っ当に生きて」つづく( ๑≧ꇴ≦)ってか何?そのワンピースw
2024.01.05
コメント(0)
爱的二八定律 She and Her Perfect Husband第37話「弁護士の務め」天航(ティエンハン)と南洲(ナンジョウ)の合併がまとまり、あとは正式な契約を残すだけとなった。陶俊輝(タオジュンフイ)は海涛(ハイタオ)に引き継いで寧波(ネイハ)へ出張したが、唐伊慧(タンイーフイ)は困惑する。昨夜の祝賀会では陶俊輝と尹(イン)社長がすっかり意気投合したと聞いていた。てっきり姚遥(ヤオヤオ)の労働起訴も担当してくれると思ったが、これも海涛に任せるという。確かに労働起訴は利益が見込めず企業部では役不足、誰もやりたがらない案件だった。離婚手続きを済ませた秦施(チンシー)は傷心のまま事務所へ車を走らせた。すると唐伊慧から到着次第、オフィスへ来るよう連絡が来る。何事かと思えば、唐伊慧は降格だけでは飽き足らず、秦施に天航の労働起訴を押し付けた。しかし秦施は孤軍奮闘していた姚遥に同情的でホテル側には不信感がある。「私は補佐弁護士です、案件を担当する資格がありませんが…」「単刀直入に言う、家庭部にあなたより経験があって能力の高い人はいない ずっと考えていたけれど、このまま辞めさせるのも続けさせるのも納得がいかない ただ事務所の利益を考えればあなたは必要な人材よ、尽力してくれる人が必要なの この案件は事務所じゃなく、あなたが受けて」唐伊慧はこの案件を断るなら退所だと脅し、その代わりやり遂げられた暁には11階へ戻すと約束した。胡平(フーピン)と面会した陽華(ヤンホワ)はチーフ財務アドバイサーに誘われた。話を聞いた蔡亮(ツァイリャン)は歓喜、自分も一緒に行きたいと懇願し、一家の大黒柱となるため転職すべきだと訴える。しかし陽華は離婚したと明かした。「秦施には時間が必要なんだ…」「はあ?夫婦を演じることすら面倒になったのか?一体、何を考えてる?」その夜、秦施は誰もいないマンションへ帰った。陽華が引き払った書斎をのぞいてみると、メッセージカードと数冊の本が残されている。【収納術】【ひとりご飯】【別れからの再スタート】秦施は本の題名を見ただけで気が滅入った。しかもカードのメッセージは数字の羅列だけで全く意味が分からない。【775094】開廷前協議のため李黛(リーダイ)と姚遥が誠(チョン)&慧にやって来た。2人はホテル側の代理人が秦施なら協力できると期待したが、思わぬ要求を突きつけられる。尹社長の要求は違約金200万、もしくは25万の研修費返還で和解する代わりに向こう10年、ホテルを含む飲食業界全般に戻らないことが条件だった。李黛は悪徳弁護士に成り下がった秦施の目を覚まさせるため陽華を呼び出した。姚遥の代理人になったのは秦施からの依頼だったが、当の本人が今やホテル側の代理人になって法外な条件を出してきたという。「あなたは秦施の考え方を変えるキーパーソンよ」「買いかぶりだよ」「事情があって結婚したけれど秦施の想いは本物 だからあなたと姚遥との関係を知って不愉快になった、それが判断力を鈍らせたのよ」「″秦施の想いが本物″って…どういうこと?」「偽装結婚から本気になったんでしょう?」「本人が言ったの?」「本人は認めないけれどバレバレよ~愛を手に入れて生き生きしているもの 片思いならこうはならないわ」李黛の指摘に思わず笑みがこぼれる陽華、一方、姚遥は帰国する息子の出迎えで空港にいた。出張から戻った陶俊輝は天航の担当が秦施になったと知った。驚いた陶俊輝は唐伊慧に掛け合うことにしたが、逆に呉菲(ウーフェイ)との結婚準備で忙しいはずだと牽制されてしまう。「逃しても取り戻せることもあるけれど、2度とチャンスがこないこともあるわ…分かるわね?」「分かります、では仕事に戻ります」陶俊輝はすぐ秦施に連絡したが、秦施は陶俊輝の電話には出なかった。陽華は自分なりに労働起訴の案件を分析、姚遥の案件は本来の労働起訴と違うことに気づいた。指摘を受けた李黛は改めて姚遥の話を聞くことにしたが、陽華にも店内でこっそり聞いてもらうことにする。一方、天航ホテルで調査していた秦施も今回の案件が労働法では解決できないと気づいた。問題は姚遥とホテルの契約ではなく、どうやら姚遥と尹志強(インジーチアン)の不和らしい。そこで秦施は姚遥から詳しく事情を聞こうと連絡、するとちょうど李黛と一緒だった。実は姚遥にとって尹社長は恩人だった。当時、結婚出産を経て離婚した姚遥は路頭に迷うところだったが、尹志強が今の仕事をくれたという。姚遥の直属の上司となった尹志強はいつも姚遥を励まし支援、すぐに才能を発揮した姚遥は異例の速さで出世したが、海外研修から帰国してから状況が一変した。「尹志強はよく女性スタッフを接待に同席させていた 最初は仕事だと思っていたけれど、実は尹志強の私的な行為だったの 酔ってはセクハラを繰り返し、憤慨した私は行かなくなった 怒った尹志強は私を辞めさせようとしたけれど、10年の雇用契約があったから失敗したわ」経緯を聞いた陽華は次の策を考えるため書店を出ることにした。その時、ひょんなことから独りで母を待っていた少年と知り合う。実はその少年こそ姚遥の息子・サニーだった。陽華は息子を迎えにきた姚遥と再会、しばし呆然と立ちすくんでしまう。唐伊慧は秦施が天航ホテルで勝手に調査したと知り激高した。「これが最後のチャンスだと言ったわ! うちに必要なのは優秀な弁護士!記者や聖人は要らないっ!よく考えなさい!」そんな中、すっかり夫婦仲が戻った秦文宇(チンウェンユー)と任梅梅(レンメイメイ)に思いがけない変化が起こる。ついに梅梅が妊娠したのだ。文宇は妻に代わって自分が会社を守ると奮起、早速、経理部から帳簿を取り寄せ仕事を始める。すると思いがけず帳簿の不備を発見し、梅梅に報告した。「ここだ…こんなに安いはずがない」李黛は姚遥に秦施が陽華の妻だと明かし、陽華に協力を頼んだと説明した。「世間って狭いわね」「それより案件の話をしてもいいかな?」陽華はこのまま起訴を進めても勝算はないと断言した。それより尹志強のセクハラの証拠をつかんでホテルから追い出し、社長を代えれば姚遥が止める必要もないという。しかし姚遥は消極的だった。この数年、姚遥にも戦友がいたが、1人また1人と諦め、結局、自分だけになったという。「私も疲れたわ、今の願いはサニーのそばにいること…もう戦う気力がなくなってしまった」陶俊輝が屋上で待ち伏せしていると、予想通り秦施が現れた。「なぜ返信しない?」しかし秦施はふてくされて黙っている。「ここを辞めようと思ったことは?…君には合わない」「その気があればとっくに辞めているわ、でもここで辞めたら今までの努力が水の泡よ 辞めるとしても今じゃない」すると陶俊輝は唐伊慧が天航の起訴を秦施に振ったことに責任を感じ、自分に任せて降りるよう勧めた。つづく( ゚ェ゚)いや全然、似てないだろう、シューカイと子供w
2024.01.04
コメント(0)
月升沧海 Love Like the Galaxy(第29話)最終話「輝く星河の下」程少商(チォンシャオシャン)は梁邱起(リャンチゥチー)たちと郭(カク)村に入った。郭村は天下の食糧庫、1年の生産でいくつもの都城を養うことができる。少商は貯蔵された油を回収して水源を探すよう命じたが、ふと王延姫(ワンイエンジー)の言葉が頭をよぎった。…皇太子が訪ねる郭村の道中に油を撒いたわ…少商は火が起これば高所から吹いてくる風に煽られ、村だけに留まらないと気づく。「田朔(ティエンシュオ)は峪(ヨク)州の食糧を焼き尽くし、民を飢えさせて国の根幹を崩すつもりね」その時、突然、村に火矢が飛んできた。一方、霍不疑(フォブーイー)は梁邱飛(リャンチゥフェイ)たちと皇太子を援護し、田朔を追いつめていた。しかし山の向こうから黒い煙が上がるのが見える。「霍不疑、私の術中にハマったな? 郭村には勇者200人がいる、油で広大な田畑を焼けば天下の民は死ぬしかない、ふふ 確か皇帝は仁義に篤いのであろう? 息子を救って民を見捨てたとなれば、衆口にどう向き合うのか見ものだな!」田朔は勝ち誇ったように笑ったが、不疑は郭村なら少商が守ると自信を見せた。驚いた皇太子は再び少商を失えば一生、後悔すると訴えたが、不疑は退こうとしない。「霍不疑…国や民を思う忠良を気取りながら、結局、権貴を選ぶのか?! 文(ウェン)賊に取り入り、無能な太子は救うが自分の女は見殺しか?!この偽善者め!」「少商と約束した、天下を第一に夫婦で肩を並べ戦うと… 少商は知恵と勇気で必ず郭村を守り抜く、私はそう信じている」不疑は田朔に襲いかかり、胸を突き刺した。「グッ…お前の手で死ねたら忠義の名に恥じぬ」「殺せと挑発を?…戻帝が臨終の際、名のある官員や宮人は全て殉死したな お前が生き延びたのは無名の虫ケラに過ぎぬからでは?」「黙れ!忠臣が虫ケラなわけがない!敵討ちのために私を生かしたのだ!」田朔は不疑を出し抜いたつもりだったが、逆に足下を見られ激しく動揺してしまう。「敵討ちを託したか…それとも名を覚えていないだけか?」結局、不疑は止めを刺さず、田朔から剣を引き抜いた。「郭村へ!」その頃、焼き討ちをかけられた郭村では少商や梁邱起たちが身を挺して民を守っていた。じりじりと迫る残党たち、しかし間一髪のところで知らせを受けた程家が駆けつける。「嫋嫋(ニャオニャオ)に指一本、触れるな!」少商が父の声に気づいて振り返ると、激しい煙の合間から両親や兄夫婦たちの姿が見えた。「嫋嫋!阿母が来たわ!」こうして程家は一丸となり郭村の民と田畑を守り抜く。霍不疑は必死に郭村まで馬を駆けたが、到着した時にはすでに戦いが終わっていた。「郭村は無事よ、私たちは勝った…」「勝ったんだな」再会を果たした2人は固く抱き合い、ようやく夫婦一心となった。深傷を負った袁慎(ユエンシェン)は軍営で静養していた。すると幕舎に不疑が現れ、いつまで寝ているのかとしつこく聞いてくる。「私はお前の家の居候か?口うるさいぞ?」「妻を心配させるからだ」袁慎は大事ないと安心させたが、最後に伝えたいことがあった。「私と少商は似ていると思って来たが、間違いだった 両親の影響で私は深い情愛を嫌悪していた 幼心にも誠実すぎる情愛は刃や劇毒も同じだと感じたのだ 前途ある己の足を引っ張り、志を奪ってしまうと… だが少商は違った、だからお前たちは情愛が深いのだな」「…お前が気に食わなかった、だがこの5年、少商が最も辛い時に見守ってくれた だが安心してくれ、もう彼女を辛い目には遭わせない」「どうだかな、さもなくば…」「その心配はない」袁慎は即答する不疑に失笑し、これで少商への想いにけじめをつけた。子晟(ズーション)と少商の復縁は皇帝の耳にも届いた。その夜、皇帝は越(ユエ)皇后と夜空を見上げながら、これも宣神諳(シュエンシェンアン)が静かに2人を見守ってくれたおかげだと感慨深い。一方、軍営でも少商と不疑が満天の星空を見上げていた。「故人は本当に星になるの?」「昔、私もこうして星河を見上げたものだ、父母や兄妹が星に姿を変えて私を見ていないかと… それで分かったんだ、彼らに語りかけていると、声が届いた時には星が瞬く」「…皇后?私です、少商です、聞こえますか?」すると驚いたことにある星が瞬いた。「皇后だ…阿父、阿母、彼女が一生を共にする相手です、見えますか?」不疑が家族に少商を紹介すると、いくつもの星が一斉に輝いた。「皇后は私たちの復縁を望んでいたわ、だからきっと喜んでいるはずよ」不疑は少商の手を取り、愛おしそうに見つめた。すると少商は不疑の手首にある″少商の弦″に目を留め、これを見るたびに胸が熱くなるのを感じたと明かす。「子晟、あなたは情が深く感情豊かで純粋な心を持っている、この天下で一番の郎君だわ あなたとの出会いはこの上ない幸せよ」「少商、君は最も純粋で善良だ、確固たる意志を持ち、この天下で誰より勝る女子だ 君に出会えて私もこの上なく幸せだ」2人は互いの真心を捧げ合い、唇を重ねた。しかしちょうど幕舎から出て来た程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)に見られてしまう。程始は父として何とも複雑な気持ちだったが、愛妻に諌められて目をつぶるしかなかった。「えっへん…霍不疑よ、娘を託したぞ だがうちの嫋嫋に不義理をしたら程家が一丸となって殴り込む」「…ぜひ」その時、程頌(チォンソン)と万萋萋(ワンチーチー)、程少宮(チォンシャオゴン)、程姎(チォンヤン)、青蓯(チンツォン)も天幕から出て来た。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人が夜空に手を合わせ、天の加護に感謝していた。少宮の手紙によれば大郎と嫁が再び功績をあげ、頌児夫妻まで手柄を立てたという。しかも霍将軍と四娘子はそのまま驊(カ)県で成婚するとあった。「婚約ではない、成婚よ?これで聘礼(ヘイレイ)の品も逃げないわね、ぶははははは~! 孫娘の成婚を阻む度胸のある者はいるかしら?!」実は2人の成婚を阻む者が宮中にいた。「驊県で成婚だと?!だが朕がその場におらぬぞ?!無効だ!絶対に許さぬ! 今すぐ2人を呼び戻せ!都で再度、婚礼をやり直す! あんまりではないか!この日のために長年、苦心して来たのは朕だ!」すると越皇后は呆れ果て、寝殿に戻ってしまう。そんな皇帝の嘆きなど知る由もなく、程家は揃って星河を見上げながら幸せに包まれた。完( ˙꒳˙ )2ターン目も終わったw配信の時はあっという間に挫折しかし明蘭の時と同樣、10話まで我慢すれば面白いと聞いて日本上陸を機に再度チャレンジいや〜諦めないで良かった!ただこれ原作ではタイムスリップものなんですよねそれを知った上で見ると嫋嫋の心情も分かりやすかったかなさて管理人的最終話は54となりました追憶のような最後を期待していたので、この安易なまとめ方にちょっと肩透かし途中でまさかの必殺早送りが出そうになりましたが、ここでウマーで駆けるウーレイ登場!ウーレイがコーナー攻める!攻める!wwwなるほど、全てはこの瞬間のためにあったのね! ←いや違うwもう内容はどうでもいい! ←え?wだってウーレイがカッコいいんだもの♡( ˶´꒳`˵ )
2024.01.03
コメント(0)
月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話)第55話「肩を並べる時」楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」女はいきなり楼縭の腹を刺した。「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。「少商?!無事か?!」「なぜあなたがここに?」不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」その時、楼縭を殺した女が現れた。「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。王延姫は面紗を外して正体を明かした。「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。「あなた…どうして私だけ置いていったの?」すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。「その言葉をあなたに送るわ」しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。「若主公!」梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。しかし不疑は…。少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。「若主公…」霍不疑は生きていた。不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。「…楼垚?私ならここよ」「(はっ!)良かった!」楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。「少商、危険な任務になるぞ?」「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」こうして2人は県庭の前で別れた。郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。「三皇子、息災のようだな?」皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw
2024.01.03
コメント(0)
全20件 (20件中 1-20件目)
1