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安乐传 The Legend Of Anle第36話韓燁(ハンイェ)を失った衝撃から昏睡状態となった帝梓元(ディヅユアン)。苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は付き切りで介抱していたが、梓元は薬も受け付けようとしなかった。すると知らせを聞いた洛銘西(ルォミンシー)が密かに任(レン)府へ見舞いにやってくる。「君には心配ばかりさせられる」洛銘西の手には肌身離さず持っている玉佩があった。梓元はこの玉佩の意味を知らなかったが、実はこれは梓元が生まれた日、靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)が″娘を妻とする証し″として洛銘西に渡したものだという。まだ幼かった洛銘西はいつか梓元を妻として迎える日を楽しみにしていたが、思いがけず太祖が崩御、梓元を皇太子妃にすると遺詔を残していた。父は慌てて玉佩を帝家に返そうとしたが洛銘西は反対、そして今も大切な思い出として手元に残してある。「十分に休んだら私と靖南へ帰ろう」そんなある日、ついに梓元が目を覚ます。しかし梓元は想像を絶する苦しみに晒されたせいで、美しい黒髪が真っ白になっていた。回復した梓元は皇帝に謁見した。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は白髪の帝梓元に驚き、韓燁への想いがこれほど深かったことを知る。すると梓元は洛銘西だけでなく弟・帝燼言(ディジンイェン)も生きていると明かし、身分回復を嘆願した。「太子殿下が五柳街から救い出し、温朔(ウェンショウ)と命名を…」実は梓元も韓燁の失踪後に本人から素性を明かされたばかりだという。皇帝は帝家の継承者が生きていたことに激しく動揺したが、皇太子に欺かれたとあっては梓元を責めようがなかった。「いいだろう、帝燼言と名を戻すが良い、だが朕からも1つ条件がある」皇帝は帝燼言を人質として生涯、都に留め、帝梓元は今後一切、都へ入ることを禁ずると命じた。「…まだそんなことを?」梓元は皇帝が未だ帝家の台頭を恐れて猜疑心にとらわれていることにへき易してしまう。「幼い頃、私は父にじゃじゃ馬でも婚家で気に入られるかと聞いたことがあります すると父は陛下の話をしてくれた 私が生まれてすぐ頻繁に会いに来るほど陛下は気に入っていたと… 父がなぜ言い訳もせず自刎したのか分かりませんでした でも父の言葉を思い出してやっと分かったのです、″嘉昌帝は徳があつく英明な方だ″と… 父は死ぬまで陛下に忠誠を尽くし、陛下を信じていた、玉座を望んだことなどありません!」梓元は皇帝がまだ見ぬ混乱を恐れて帝家を断罪したのかと思うとやるせなくなった。「帝梓元は靖国の臣下となりましょう、帝家が簒奪を企てることなどないと誓います 太子殿下の目指す天下太平と民の幸せのために… ただし、私たち姉弟の今後は自分たちで決めます」梓元は弟を連れて伏翎(フクレイ)山の帝盛天(ディセイテン)を訪ねた。「燼言、姑祖母よ、ご挨拶して」大伯母と初対面した燼言はその場で叩頭し、礼を尽くした。「梓元、その髪は…簡宋(カンソウ)を迎えにやったのに遅かったのね」「昏迷していたのです、簡宋は生きていると?」簡宋は蒼(ソウ)山で身を投げたが、偶然にも帝盛天に助けられ、生涯、仕えることになったという。「梓元、今までよく頑張ったわね」帝盛天は眼下に広がる美しい都を眺めながら、かつて韓子安(ハンシアン)と共に力を尽くして太平の世を作り上げるはずだったと話した。しかし韓子安は早世し、その夢は叶わなかったという。「それで良かったのよ…でもあなたたちは違う、韓燁が生きていたら手を携えて歩みなさい」その頃、韓燁も長い昏睡からようやく目覚めていた。韓燁を救ったのは北秦の莫霜(モーシュァン)公主。しかし莫北(モーベイ)の目潰しで光を失った韓燁は恩人の姿が見えなかった。「誰だ?ここはどこだ?」「私よ、莫霜よ?ここは人里離れた庵なの…まさか、見えていないの?」莫霜は目が見えない韓燁に付き添うことにした。実は莫霜は自分が戦の元凶となり、姉のように慕ってた安寧(アンニン)を死に追いやってしまったと責任を感じている。しかし韓燁は皇族に生まれた以上、国のために役目を課せられると理解を示し、それより家族を失って各地をさまよう両国の民のため、責任を果たすべきだと諭した。「ウン!安心して、罪を償うため戦禍を被った民を救うわ」莫霜の献身的な看病にもかかわらず、韓燁の目は治らなかった。韓燁はそろそろ帰るよう促したが、莫霜は韓燁をひとり残してはいけないと拒む。「見えるようになるまでお世話します、せめて安楽(アンルー)姐姐が迎えに来るまで…」「知らせたのか?!」「いいえ、戦の後は両国の往来が途絶えたから伝える術がなくて…」すると韓燁は自分の生存を漏らさないで欲しいと頼んだ。皇帝は梓元の動向を探らせていた。そんなある日、趙福(チョウフク)から梓元が弟を連れて伏翎山へ出かけたと聞く。「伏翎山?…あの者が戻ったのか?!」すると皇帝はじかに聞きたいことがあると言って、趙福が止めるのも聞かず出かけてしまう。10年ぶりに再会した帝盛天は当時と変わらぬ姿だった。「皇帝としての務めをよく果たしているわね…韓子安が今の靖国を見たら安堵するでしょう」しかしそんな帝盛天の素直な称賛も韓仲遠をさらに疑心暗鬼に陥らせてしまう。「心にもないこと…皇帝を廃する取り決めがなければ帝永寧を恐れることはなかった そなたたちが朕を追い詰めたのだ!」「誤解よ、そんな勅書はなかったわ」その時、帝盛天は気づいた。当時、病に侵された韓子安は息子に帝王学を施す余裕がなく、あらゆる状況を想定して策を講じたのだろう。「どうやらあなたの疑い深さまでは想像できなかったようね… しかも臣下を疑ったあげくに帝家を取り潰しにするとは!」「ではなぜ皇帝を廃する権利をそなたに与えたのだ?!」「…あの時、帝家が滅ぼされても私は敵討ちに行かなかった 韓子安と約束したからよ、今後一切、都に足を踏み入れないとね!」皇帝はにわかに信じられなかった。しかし帝盛天は帝家の宝剣に真実があるとだけ教え、帰ってしまう。宮中に戻った韓仲遠は洛銘西が献上した帝家の宝剣を自分の剣で真っ二つに割った。すると刃の間から太祖の勅書が出てくる。…帝盛天の都への立ち入りを禁ず…先帝が残したのは帝盛天に皇帝を廃する権利を与える勅書ではなく、韓仲遠の皇位を守るための勅命だった。「朕は思い違いをしていたのか」…私と韓子安は初めからあなたを靖国の世継ぎとすると決めていたのよ…韓仲遠は帝盛天の言葉を思い出し、呆然となった。「朕は間違っていた…」莫霜の別苑、韓燁はその日、莫霜が天灯を作っていると知った。「願いを込めて飛ばすと天が思いを受け取って願いを叶えてくれるって だから目が治るよう願掛けするわ」「ありがとう、私も飛ばしたい」その夜、2人は天灯を飛ばした。莫霜は何を願ったのか聞いたが、韓燁は黙ったまま飛ばしてしまう。実は天灯には″帝″とあった。つづく( ๑≧ꇴ≦)簡宋まで生きてんのかーい!wもう途中からずっと皇帝に「お前のせいやん」って言い続けてたわwそれより莫霜はどういう経緯で韓燁を助けたんだろう?まさか下で待ってたのか?( ̄▽ ̄;)
2024.05.30
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)最終話ついに自分の素性を明かすことにした十七(シーチー)。蕭寒声(シャオハンシォン)は人払いして寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)を居所に案内した。「で、どう証明するのだ?」「…沈沁(シェンチン)の右目が見えないことはご存知でしょう?」沈沁は子供の頃に兄と見に行った花火で右目に火傷を負っていた。「嘘だと思うなら確かめて下さい」そこで子衡は書卓で字を書き、沈沁に見せた。十七は左目を隠し、右目だけで小さな文字を読んでみせる。「″悔やまれるかな″です…それから本物の沈沁に泣きぼくろはありません 王爺の想い人は私ではなく本物の沈沁です」「違う…」子衡は混乱したのか、よたよたしながら帰ってしまう。十七は貧血気味だと診断されたが、母体も腹の子も無事だった。そこで十七は改めて将軍に事情を明かすことにする。「″拾柒(シーチ)″、これが私の名前です、気を失っている間に顔を奪われました 沈沁は姉を盾にして私を脅し、子を産んだら顔を返すと言ったのです あなたとの再会を夢見て何年も探して来ました やっと会えたのに名乗る勇気もなく、正体を知られることが恐かった でも将軍府にある全ての物や皆と… つまり圓宝(ユァンバオ)や軍師、茯苓(フーリン)たちと離れがたくなったのです」すると十七は将軍府に累が及ばぬよう寧王に話してくると断って席を立った。しかし蕭寒声が急に腕をつかんで引っ張り、抱きしめる。「どこにも行くな、腹の子と共に私のそばにいろ」「将軍、なぜ子供のことを?」「それだけじゃない、君の本当の名が″十七″だということもな」蕭寒声は沈沁ではなく十七を娶れて嬉しいと言った。一方、子衡は泥酔して王府に戻った。そこには十七の顔をした沈沁がいたが、自分が恋焦がれる沈沁とは違うと拒絶、酔い潰れてしまう。「子衡…私はあなたから離れない」晴れて幸せな夫婦となった蕭寒声と十七。すると蕭寒声は″将軍″ではなく″寒声″と呼んで欲しいと頼んだ。「寒声…ふふ」しかし十七にはまだ気掛かりなことがある。「寧王と沈沁、姉のことがまだ解決していません」蕭寒声は顔のことだと気づき、皇太子急逝の切り札となる玉佩をあきらめ、その代わり十七の顔を戻してもらうと決めた。そこへ圓宝がやって来る。「阿娘、赤ちゃんは大きくなった?…猫年の赤ちゃんがいい!」「ふっ、圓宝、猫年はない、阿娘の赤ん坊は寅年だ…(はっ!)」その時、蕭寒声と十七は思わず顔を見合わせた。「玉佩の謎を解く鍵は干支か?」十七は沈沁の合図を見て芊影(センエイ)山荘を訪ねた。そこで本物の玉佩を差し出し、代わりに姉と顔を返すよう迫る。「玉に虎の彫り物があるでしょう? 太子殿下は干支の図柄を施した玉佩を廉(リィァン)王と瞿(ク)王にも贈っていたわ これは寧王の玉佩なのでは?」すると沈沁の顔色が一変、思わず香炉で玉佩を割ってしまう。「奥の部屋にあなたの姐姐がいるわ」約束を果たしたた十七は席を立って歩き始めた。その時、突然、背後から短剣を抜いた沈沁が襲いかかる。「あなたがずっと邪魔だった!」「誤解よ?!」「子衡まで奪ったくせに!」十七は咄嗟に沈沁の腕をつかんで難を逃れたが、そこへ蕭寒声が現れる。「十七?!」咄嗟に帯剣に手をかける蕭寒声、しかし物陰からふいに子衡が現れ、沈沁の頭を殴りつけて十七を守った。十七は沈沁が倒れた拍子に将軍の胸へ飛び込んだ。「将軍?なぜここに?」すると蕭寒声が懐から赤い布を出して見せる。「帰ろう」「あ、待って!姐姐を助けなくては…」一方、子衡は沈沁が落とした短剣を拾い、沈沁の首に突きつけた。「あの女を守るのね…私を見ても何も感じないの?」「騙されぬぞ、沈沁はあの女だと言え!」「名前など関係ない、あなたのそばにいるのはこの私だけ…」沈沁は自ら短剣に首を押し付けたが、結局、子衡は十七の顔をした沈沁を殺せなかった。十七の姉は鎖につながれ監禁されていた。急いで奥の部屋に駆けつけた十七と蕭寒声、しかしそこで2人が見たものは十七と沈沁の顔を交換した邪術師に馬乗りになり、匕首でめった刺しにしている姉の姿だった。十七は姉を将軍府に連れて帰った。しかし姉はひどく興奮して食事も取らず、着替えも拒み、誰も近寄らせようとしない。十七は姉が警戒しているのは自分が分からないせいだと気づき、人払いした。「私は沈沁じゃない、顔を交換されたの…阿姐、私よ?妹の十七よ」「十七?」すると姉はようやく腑に落ちたのか、重い口を開いた。「違う、沈沁は私よ、顔の交換術師が言っていたわ、顔は元に戻せないとね」本物の沈沁は何年も前、川で溺れたところを誰かに救われていた。しかし意識が戻ると顔が別人に変わっていたという。「あの女は私をずっと山荘に監禁していた、肩の梅の入れ墨もあの女が彫ったのよ あの女が誰なのか今まで知らなかった、でもあなたに会って分かったわ」「でも…沈沁には入れ墨がない」「私に成り済ますため、入れ墨を消したのよ、私の目の前で、あの激痛に耐えてね」実は沈沁こそ十七が探し続けていた姉だった。夜更けというのに突然、沈沁が将軍府にやって来た。「子衡をどうするつもり?!」蕭寒声は姉妹で話をさせることにしたが、心配で回廊から様子をうかがっていた。すでに事実を知ってしまった十七、実は姉が妓楼に売られたのは十七の病を治すためだったという。「私の苦しみが分かる?梅の入れ墨を彫られた時の痛みを知っている? 過去の屈辱を忘れられる唯一の方法が顔を替えることだった あなたも私に感謝すべきよ、将軍に嫁げたのだから」「私を恨んでいたのね、知っていたら姐姐から離れたのに…」そこへ蕭寒声がやって来た。「太子選びが近づき廉王と瞿王が先手を打った 明朝、寧王の一件は陛下の耳に入るだろう 太子が逝去した経緯を陛下に話すよう説得してくれ、そうすれば死罪は免れる」「子衡が死んだらあなたたちを恨むから!」翌朝、目を覚ました子衡は寝所で何かを必死に探していた。沈沁は参内して皇帝に事情を説明するよう必死に訴えたが、子衡は聞く耳を持たない。するとようやく枕の下にあった長命鎖を発見、子衡はこれから沈沁に渡しに行くという。沈沁は思わず子衡を引っ叩いて目を覚まさせようとしたが、子衡は参内したら二度と沈沁に会えないと訴えた。その時、大急ぎで沈沅(シェンユェン)が駆けつける。「大変です!廉王と瞿王が…」しかし子衡は無視して出かけてしまう。「何があったのだ?」「…王爺は錯乱したの」子衡は将軍府に忍び込み、沈沁を脅して一緒に逃げることにした。しかしすでに屋敷は衛兵が包囲、驚いた子衡は沈沁を盾にして匕首を突きつける。すると蕭寒声が現れ、弓を構えた。「王爺、今すぐ陛下に釈明すれば助かります」「うせろ!」蕭寒声は弦を弾いたが、十七は寧王が死んだら姉が生きていけないことを知っていた。「将軍!やめて!」十七は姉のために時間を稼いだ。「王爺、話があるなら私が伺います」「悪かった…君を傷つける気はない」すると子衡は匕首を持ち替えて刃を外側に向けた。「君のことを聞かせてくれないか?」「私は絵師でした、絵を描くのが好きで、甘味が好きです」「そうか、最後にひとつ教えてくれ、これまでに一度でも私を愛したか?」「いいえ」「分かった…実は私は喘息で苦しむ皇太子に薬を渡さなかった、罪を犯したんだ」「でも殺していないのなら死罪は免れます」「ふっ…違う、やはり偽物の沈沁に私の気持ちは分からぬな、私は決して許しを請わぬ」子衡は突然、十七を突き飛ばし、蕭寒声の元に返した。すると自ら腹を刺し、自害してしまう。「十七…来世では…騙さないでくれ…」血まみれになった子衡の手には長命鎖があった。その時、子衡を探し回っていた沈沁が駆けつける。しかし一足遅く、子衡はすでに事切れていた。子衡にしがみつき号泣する沈沁…。十七は姉を心配して近づこうとしたが、沈沁は咄嗟に子衡の匕首を拾って突きつけた。「十七、許して…この顔は来世で返す」そして絶望した沈沁は愛する子衡の後を追った。「阿姐ェェェェェェェェェ!」十七は無事に男の子を出産、福宝(フーバオ)と名付けられた。その夜、久しぶりに圓宝を連れて夜市にでかけた十七と蕭寒声。しかし姉と姉の子を思うと十七は胸が痛んだ。「2人はこの世のどこかにいて、そばには寧王もいるかもしれぬ」蕭寒声は十七を慰めると、圓宝のために山査子飴を買いに行った。都は雪になった。「阿娘!雪よ!」圓宝が喜んで道に飛び出すと、十七は慌てて傘を広げる。その時、通りすがりの人の傘と傘がぶつかった。「ごめんなさいね」振り返った女子は沈沁と瓜二つ、しかも彼女を追って来た公子は寧王にそっくりだった。十七は幸せそうな夫婦の背中を見送った。すると山査子飴を買った蕭寒声が戻って来る。「寒声…この世には同じ顔の人がいるのかしら?」完※中国版16~18話( ๑≧ꇴ≦)あっという間の8話、3ターン目ながら飽きないドラマでした!本国配信では1話が10分前後×18話ですこれはストーリーと言うより低予算ながら演出と演技の勝利でしょうか?それにしても女主の後頭部の形、良かったわ~ ←そこかw
2024.05.29
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)第7話近頃とみに忙しくなった撫遠(ブエン)将軍・蕭寒声(シャオハンシォン)。その夜、沈沁(シェンチン)は夜更けまで将軍の帰りを待っていたが、侍女・茯苓(フーリン)から諌められて先に休んだ。しかしふと寝返りをうって目を覚ますと、隣に将軍の顔がある。「いつお帰りに?」「君が寝ついた頃だ」すると蕭寒声は愛しい沈沁を腕に抱いて眠った。一方、泥酔した寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)は酷い二日酔いで目を覚ました。「お目覚めですか?」十七(シーチー)は酔い覚ましを持って来たが、子衡はもはや十七に見向きもしない。「まだいたのか?…好きにしろ、適当な部屋を使えばいい」すると子衡はさっさと出かけてしまう。「子衡があなたを愛するなんて…」十七は沈沁に激しく嫉妬し、ある報復を思いついた。「蕭寒声はどれほどあなたを愛しているかしら?」沈沁は顔の交換術を調べるため、街で古書を手に入れた。すると偶然、妹を見つけた沈沅(シェンユェン)が沈沁を捕まえ、無理やり寧王の元へ連れて行ってしまう。子衡は自分が命じたわけではないと言い訳したが、少し話がしたいと頼んだ。「子供の心音を聞かせてくれないか、少しだけ…」「王爺、この子は…」沈沁は誤解を解こうとしたが、結局、きっかけを逸して慌てて帰ってしまう。相国府から将軍府に絵が届いた。蕭寒声は訝しみながら巻物を開いたが、その絵を見て驚愕する。その時、ちょうど沈沁が差し入れを持って書斎に入って来た。まさか将軍がかつて自分が脅されて描いた寧王と沈沁の情事の絵を見ているとも知らず…。「何しに来た?」「毎日お忙しそうなので安神湯(アンシントウ)を作りました」すると蕭寒声は沈沁の顔をまじまじと眺め、やはり本当の沈沁ではないと気づく。「どうかしましたか?」「急用ができた」蕭寒声は軍師・雲諾(ユンヌオ)に絵を渡し、作者を探すよう頼んだ。絵を見た雲諾は目を疑ったが、蕭寒声はむしろこの絵のお陰で確信が深まったという。「妻は沈沁ではない」雲諾はその意味に気づき、すぐ調べに出かけた。蕭寒声は圓宝(ユァンバオ)の手習いに付き添いながら考え事をしていた。…彼女に素性を明かさせる良い方法はないものか…すると圓宝は上の空の父に気づき、心配事かと聞いた。「阿爹はお前の阿娘の気持ちが分からないんだ」「阿娘が阿爹を好きかどうか知りたいのね?」ませた圓宝は急に席を立つと、沈沁の部屋から化粧箱に入った絵を持って来た。「阿娘が描いた阿爹の絵よ…初めて阿爹に会った時だって 阿娘が言ってた、ずっと前から阿爹のことが好きだったのよって」その絵はあの晩、山林で蕭寒声が娘を救うため弓を引いている姿だった。情事の絵の作者は鎏金(リュウキン)坊にいる絵師の十七だと分かった。すると蕭寒声の絵姿と情事の絵にはどちらも同じ手筆の句と落款がある。「″朝花夕拾(チョウカセキシュウ)心有戚柒(シンユウセキシチ)″、どちらも同じ作者だ」蕭寒声は早速、鎏金坊に盈袖(インシウ)を訪ねた。「君は十七の親友だとか…」動揺した盈袖は思わず酒をこぼし、慌てて机を拭いた。「この落款は十七という絵師のものか?」盈袖は将軍の絵に押された落款を見て正直に答えた。「…同じです」蕭寒声が屋敷に戻ると、ちょうど沈沁があずま屋で絵を描いていた。「十七?」「はい」沈沁は思わず返事をして筆を置いたが、蕭寒声の姿に気づいて困惑した。「将軍?今、何と?」「何でもない」すると蕭寒声はなぜか嬉しそうに書斎へ向かった。その夜、蕭寒声は沈沁の脇殿に錠をかけた。締め出された沈沁は将軍の居所を訪ねて理由を聞いたが、蕭寒声は夫婦(メオト)なら同じ部屋で寝るのが当然だという。「…絵を見たよ、なぜ私の絵を?」「それは…あなたが好きだから…」沈沁は将軍の追及から逃れられず正直に告白したが、急にえずいて慌てて逃げてしまう。翌朝、蕭寒声は荀(シュン)侍医を呼んだ。荀侍医は約束通り夫人の懐妊を漏らさなかったが、蕭寒声に鎌をかけられ口を滑らせてしまう。「…私の子に何かあれば責任を問うぞ?」「ご存知でしたか」…やはり身ごもっていたのだな…蕭寒声は夜市へ出かける沈沁に付き添うことにした。沈沁は蕭寒声が自分に聞きたいことがあると分かったが、蕭寒声は沈沁の心に自分がいれば十分だという。すると蕭寒声は山査子飴を買い、ひとつの飴を2人で一緒に食べた。…どんなに困難でも私がいるよ、十七…沈沁は露店で赤子の長命鎖に目を止めたが、将軍の手前、買えなかった。そんな幸せそうな夫婦を仮面をつけた子衡が尾行している。子衡は沈沁が眺めていた長命鎖を密かに買い求めたが、その様子を十七が見つめていた。蕭寒声はこっそり長命鎖を手に入れ、雲諾に頼んで字を彫ってもらった。…朝花夕拾 心有戚柒…今やすっかり雑用係と化した雲諾、しかし信頼できるのは雲諾だけだと持ち上げられ、断ることもできない。「分かったよ、化粧箱を買ってくる」実は蕭寒声はそろそろ沈沁に真実を明かしてもらおうと決めていた。一方、沈沁はこれ以上、将軍に隠し通せないと気づき、芊影(センエイ)山荘に十七を訪ねた。「顔を戻して、将軍に全て話すわ、寧王もあなたを気にかけてる」「分かっていないのね、顔を戻しても蕭寒声はあなたの素性を気にしない でも子衡は違う…」すると十七はなぜ子衡を愛しているのか教えた。「相国府では不遇だった…子供の頃、兄が元宵節に花火に連れて行ってくれたの 嬉しかったわ、でも実は兄は私が目を火傷するか賭けていたの その時、子衡がかばってくれた、あの時が初めてだったわ、誰かに守ってもらえたのが… まだ顔は戻せない、最後の任務を果たして、そうしたら顔を戻して姉に会わせてあげる」街へ戻った沈沁は確かに顔を戻しても将軍にどんな身分で接すればいいのか分からず、悶々としていた。すると運悪く通りすがりの男が持っていた大きな荷物が腹を直撃、腹痛を起こしてうずくまってしまう。そこへ沈沁をつけていた子衡が駆けつけた。子衡は沈沁を将軍府へ送り届けた。侍衛たちはいきなり夫人を抱いて乗り込んできた寧王に困惑、そこへ報告を聞いた蕭寒声が現れる。「すぐ侍医を呼べ、皆は下がれ」すると蕭寒声は沈沁から子衡を引き離し、自分の妻だと釘を刺して沈沁を抱き上げた。「蕭寒声!腹の子の父親は誰か知っているのか!…私だ!」沈沁は仕方なく将軍に下ろして欲しいと頼み、ついに真実を明かすことにした。「将軍…今まで騙していてごめんなさい」「聞いたか?!」子衡は勝ち誇ったように笑ったが、沈沁の口から思いがけない告白を聞く。「王爺、私は沈沁ではありません、実を言うと私は十七という一介の絵師なのです …将軍、ごめんなさい、顔を替えられ、あなたに嫁ぎました」蕭寒声は黙って沈沁を抱きしめたが、子衡はどうしても納得できなかった。「嘘だ!蕭寒声のために私をだます気か?!」「沈沁でないと証明しましょう」つづく※中国版13話2/3~15話
2024.05.28
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)第6話蕭寒声(シャオハンシォン)を救うため毒矢を受けた沈沁(シェンチン)。しかし解毒薬のおかげで一命を取り留め、翌朝には目を覚ました。すると突然、閨房に十七(シーチー)が現れ、短剣を突きつけられてしまう。「負傷するなんて、相国の使いが様子を見に来るわよ? 将軍に本気だろうが何だろうが玉佩を探して!でなければその顔を私に返しなさい!」蕭寒声は軍師・雲諾(ユンヌオ)から夫人に命中した矢が官府の物だったと聞いた。しかしそれ以上のことは分からず、韓(ハン)内監も殺され、真相を知る者がいなくなってしまう。その時、突然、沈沁が回廊に飛び出して来た。「将軍!相国の使いは沈沁です!」蕭寒声は酷く狼狽している沈沁を抱きしめ、動かないよう言い聞かせた。「傷口が開いてしまうぞ」雲諾は急いで荀(シュン)侍医を呼びに行った。やがて沈沁は落ち着きを取り戻し、蕭寒声の顔を見てほっとする。「将軍、相国から使いが?」「いいや」…もしや夢だったのかしら…「将軍、実は薬が苦手なのです」それから蕭寒声は自ら沈沁に薬を飲ませるようになった。沈沁は優しい将軍の介抱で順調に回復、2人の距離もさらに近づいた。そんなある日、蕭寒声は沈沁が全快したら婚儀をやり直そうと提案する。「全ての儀式を済ませてこそ夫婦(メオト)になれる」「私は…(本当の自分じゃない)」蕭寒声は沈沁の複雑な表情を見てそれが答えだと落胆した。仕方なく部屋に戻ることにしたが、急に沈沁が衣をつかんで引き留める。「どうした?」「(実は私は十七なのです)別に…」蕭寒声は沈沁の憂いを帯びた瞳を見ると、思わず抱き寄せ口づけしてしまう。「今夜はここに?」「将軍、もしや媚薬のせいでは?」「いいや…これまでも違う」圓宝(ユァンバオ)は茯苓(フーリン)と一緒に母の脈診に付き添った。荀侍医は順調な回復だと安心したが、実は夫人が懐妊していると分かる。しかし沈沁はまだ将軍には秘密にして欲しい頼んだ。圓宝は自分に気を使っているせいだと誤解、心の広い姉になると安心させる。すると寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)は将軍府を出た荀侍医を呼びつけ、沈沁の様子を聞いた。荀侍医はほぼ回復したと報告したが、負傷が胎児に影響する可能性があるという。「何だと?身重なのか?!」子衡は婚礼の前に沈沁が身ごもっていると明かしたことを思い出し、嘘ではなかったと驚いた。しかも沈沁は将軍に報告しないよう命じたという。「そうか、ふふ、口止めされたならしっかり守れ…腹の子を頼んだぞ」子衡は自分の子だと思い込み、荀侍医に金塊をつかませて帰した。子衡は沈沁のため配下に最高の補薬を集めるよう命じた。するとその夜、偶然、男装で鎏金(リュウキン)坊に現れた沈沁を見かける。沈沁は盈袖(インシウ)に近況を話し、将軍の優しさに甘えて逃げ出す機会を逸し、今や真実の発覚が怖くなっと吐露した。「私は貪欲になる一方ね、正直に話すべきかしら」「想い想われる相手は少ない、愛する人と過ごせる時間を大切にして」盈袖は十七を励まし、遅いので帰るよう勧めた。その時、突然、寧王が現れ、盈袖を追い出してしまう。子衡はなぜか沈沁の懐妊を知っていた。「あとで補薬を届けさせる、実は渡すものがあって…」すると子衡は怯える沈沁の手首に腕輪をはめた。あの夜、沈沁の腕輪のひもが切れて壊してしまったが、散らばった白玉を探し集め、直しておいたという。「だが17個しか見つからず1個かけてしまった」確かに腕輪には1粒だけ金の珠が入っている。「殴られて目が覚めたよ、今後は何でも言うことを聞く、これからは君に尽くすよ」沈沁は寧王が我が子と勘違いして殊勝な態度になったと分かった。「王爺、もう帰らないと…変に思われます」子衡は夜道を帰る沈沁を心配し、配下に護衛を任せた。しかし何も知らない沈沁は誰かに尾行されていると気づき、咄嗟に脇道で待ち伏せする。そこで足音が近づいた瞬間、門前にあった箒を振りかぶった。「私だ!」「将軍?!誰かにつけられて…」「心配いらぬ、帰ろう」実は蕭寒声は沈沁をつけて来た曲者に気づき、すでに倒していた。沈沁は書物で異国の邪術なら顔を交換できると知った。それにしてもなぜ相国の息女がこんな術を使えたのか。…もしや沈沁は…一方、朝廷では瞿(ク)王の勢力が強まり、すでに蕭寒声を懐柔したという噂が広まった。しかし子衡は沈沁を取り戻したい一心で上の空、腹心である沈沁の兄・沈沅(シェンユェン)も困惑してしまう。その夜、深酒した子衡が屋敷に戻ると、寝所で十七が待っていた。「沈沁?」「どうして分かったの?私よ」十七はやはり子衡の心が自分にあると分かったが、実はただ酩酊して十七が沈沁に見えただけだった。「どうしてだ…誰を見ても沈沁に見える…ふふっ」泥酔した子衡は十七の膝に倒れ込み、そのまま眠ってしまう。…私を捨てた後悔?それとも私の顔を持つ女への愛なの?…つづく※中国版11~13話1/3
2024.05.27
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)第5話沈沁(シェンチン)に秘密があると知りながら惹かれて行く蕭寒声(シャオハンシォン)。そんなある日、蕭寒声は沈沁の部屋にこっそり花の鉢植えを差し入れた。すると急に風が吹き込み、書卓の画紙が吹き飛んでしまう。ちょうどそこに沈沁が戻ってきた。画紙を拾った蕭寒声は、沈沁が描いた圓宝(ユァンバオ)の絵姿を見て感心した。「君に画才があるとは知らなかった…」しかし2枚目には詩が書いてある。「あ、それは…」「″蕭蕭梧葉送寒聲(蕭蕭たる梧葉、寒声を送る)″?」蕭寒声は自分の名を綴った詩を喜び、もらって帰ることにする。すると沈沁は植木の花に気づき、嬉しそうに眺めた。「気に入ったか?」「はい、とても…」「それはよかった」その夜は激しい雨になった。蕭寒声は沈沁の手習いの詩と軍師・雲諾(ユンヌオ)が手に入れた書画の筆跡を比べたが、明らかに違う。しかも相国の娘は花粉に反応するため花は苦手なはずだった。沈沁は山査子飴のような甘い物を好むが、密偵の報告では相国の娘は甘味を嫌って辛味を好むという。「それに一切、妥協を許さぬ性格だとか… 自分が気に入った衣を別の客と奪い合い、引き裂いたらしい」「体質、味の好み、性格…全て報告と違う」一体、沈沁は何者なのか?蕭寒声は沈沁が使っている脇殿で雨漏りがすると知り、半ば強引に自分の部屋へ連れて来た。困惑した沈沁は他に使える部屋がないか聞いてくると言ったが、蕭寒声は夫人に雨漏りする部屋を与えたと知れれば面目が立たないという。「夫婦(メオト)が同室に寝るのは当然だろう、明日、屋根を修繕したら戻ればいい」蕭寒声は内心、沈沁と同衾できることを期待したが、沈沁は長椅子を見つけてさっさと横になってしまう。それでも蕭寒声は沈沁の寝顔を眺めながら幸せな気持ちになった。翌朝、蕭寒声が珍しく寝坊して起きると、すでに沈沁の姿はなかった。すると雲諾が現れ、今嵬司(コンカイシ)からの密報で例の内監の居場所が分かったという。…韓(ハン)内監は城外の難民営に…蕭寒声はすぐ探しに向かうと決めたが、目立たないよう独りで行くことにした。「そうだ、頼みがある…あの長椅子を壊しておけ」( ゚д゚)<え?一方、寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)は沈沁が偽の玉佩をよこしたと気づき、深く失望していた。その時、ちょうど蕭寒声が韓内監の居所を突き止めたと報告を聞く。「あの内監は確か難民営にいたな…」そこで子衡は蕭寒声が難民の暴動に巻き込まれたと見せかけて殺すよう命じた。「そうか、蕭寒声は留守なのだな?」子衡は将軍府に忍び込んで沈沁を閨房に引き込んだ。「奇妙なことに無性にお前が恋しくなってな」その時、回廊から圓宝を探す茯苓(フーリン)の声が聞こえて来る。「怖いのか?…ふふ、扉を開けよう」子衡はつれない沈沁を翻弄するように戸に手をかけたが、いきなり沈沁に頭を殴られてしまう。子衡は気を失った。やがて目が覚めると、沈沁が頭を手当してくれたと分かる。「王爺、将軍夫婦の寝所に侵入したと知られてもいいのですか? 王爺は廉(リィァン)王と瞿(ク)王を欺くため、遊び人を装っているのでは? 遊び人が太子に選ばれることはあっても、将軍の夫人と密通した者は選ばれないわ」「お前…変わったな」すると沈沁は人払いしてから寧王を裏門から追い出した。「嫁がせるんじゃなかった…だが構わぬ、お前は今日で寡婦になるかもな そうなれば私の元に戻ってくる」その頃、蕭寒声は難民営で韓太監を探していた。すると難民に扮して待ち伏せしていた刺客に襲われ、包囲されてしまう。その時、馬で刺客を蹴散らしながら沈沁が現れた。「将軍!早く乗って!」沈沁は急いで脱出しようとしたが、潜んでいた刺客の矢が胸に命中、意識を失ってしまう。蕭寒声は咄嗟に沈沁を抱き留め手綱を取ると、腕に矢を受けながらも何とか逃げ切り、将軍府に戻った。沈沁は毒矢を受けたが、医者の薬のおかげで一命を取り留めた。雲諾は夫人が知らぬ間に屋敷を飛び出したと釈明、密偵の誤報を見抜けなかったと罰を請う。しかし蕭寒声は雲諾を追及しなかった。「夫人を疑って悪かった」雲諾は沈沁の隠し事の裏には深い事情があるのだと理解を示した。妓楼で朗報を待っていた子衡だったが、蕭寒声の暗殺に失敗したと聞いて憤怒した。しかし配下は蕭寒声に矢傷は残せたと釈明、夫人には矢が命中したという。「しかも矢尻に毒が塗ってありました」すると子衡は褒美を渡すと言って近づき、配下をいきなり刺し殺してしまう。そこへ十七(シーチー)が酒を運んできた。「夫人は無事だそうです、将軍府にいる友だちから聞きました 蕭寒声を守るために矢を受けたとか…」子衡は蕭寒声に激しく嫉妬し、十七の首根っこをつかんだ。「その名を二度と出すな!」「王爺が気にかけてもあの女は将軍夫人ですよ?」「私の心は誰にも奪われぬ…」そう言いながら子衡は自分でも気づかぬうちに沈沁に執着していた。つづく※中国版9~10話
2024.05.26
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)第4話名実ともに夫婦となった沈沁(シェンチン)と蕭寒声(シャオハンシォン)。しかし軍師・雲諾(ユンヌオ)は海(ハイ)内監がこぼした酒を舐めた猫がなぜか発情したことから、将軍は一服、盛られたと教える。一方、十七(シーチー)は沈沁を呼び出し、守宮砂が消えたことを確認した。「蕭寒声も普通の男ね、迎春蠱(ゲイシュンコ)には抗えない 今後、月に1回、催淫効果を現すわ」沈沁は屋敷に戻ると、正直に媚薬を使ったと将軍に告白した。「誰が?」「沈沁が…(はっ)つまり私が… 理由は説明できませんが、とにかく私たちは媚薬を飲みました あの夜のことは忘れてください」「君が私に媚薬を?で、君も飲んだと…」2人は海内監が酒をこぼして中を入れ替えたとは知らず、内心、あの夜が幻に過ぎなかったと落胆していた。「将軍、薬の効果は毎月、現れます…ですからその時は離れていましょう」「…考えておく」その夜、誰にも相談できない沈沁は鎏金(リュウキン)坊に親友の盈袖(インシウ)を訪ねた。盈袖は沈沁が本当は十七で顔を盗まれたと聞いてもにわかに信じられなかったが、十七でなければ知り得ない話を聞いて納得する。「そう言えばあなたにそっくりな人を見たわ」すると沈沁はようやく親友に事情を明かし、本音を吐露した。実は十七と蕭寒声は互いに探し続けていた想い人同士で、婚姻は夢のようだという。「でも今の私は十七じゃない」一方、蕭寒声は雲諾に本当に迎春蠱を盛られていたと報告した。雲諾は相国(ショウコク)が娘を使って媚薬を飲ませたのも、皇太子の遺品を奪うためだと気づく。しかし蕭寒声はあの夜、確かに自分たちの間に情があったと信じて疑わなかった。「間者かもしれないんだぞ?尋問すべきだった」「君は自分の目と心のどちらを信じる?」翌日、雲諾は夫人の部屋を訪ね、圓宝(ユァンバオ)に頼まれて弾き弓を探しに来たと嘘をついた。そこでわざと玩具箱をひっくり返し、その中に玉佩を忍ばせる。「申し訳ない…あ、見つかりました」沈沁は一緒に玩具を拾って箱に戻していたが、見たことのない玉佩に気づく。「あ、それは太子殿下が臨終に握っていた物です、大切な物なので…」雲諾は玉佩を小箱に戻し、棚に置いて帰って行った。圓宝は母と一緒に食べようと山査子(サンザシ)飴を買って戻った。すると沈沁は飴の棒に赤い布が結んであることに気づき驚愕する。「…茯苓(フーリン)、この飴はどこで買ったの?」「門前にいた女から買いました」これに沈沁は激怒、山荘に乗り込み、目的の物なら見つけたと報告した。しかし十七ではなく寧王(ニンワン)に直接、渡すという。「将軍府の人間には手を出さないで、もし何かあったら…今の私の顔に傷をつける」「ふっ、良い作戦ね、私に似てきたみたい」十七は将軍府に興味はないと言って杯に手を伸ばしたが、沈沁は咄嗟に杯を奪った。「身重なのよ?お酒は控えて」雲諾は空になった化粧箱を将軍に渡し、夫人が玉佩を持って出かけたと報告した。「目が正しいかどうか試したぞ?その結果がこれだ」その頃、沈沁は鎏金坊で子衡(ズーホン)に玉佩を渡していた。「ご所望の物です」「蕭寒声が持っていたのか~」子衡はやっと自分の玉佩を取り戻して安堵し、久しぶりに沈沁を腕に抱いた。しかし沈沁は激しく抵抗、思わずかんざしを抜いて襲いかかってしまう。驚いた子衡は慌ててのけぞり、その拍子に沈沁の腕輪が切れて白玉が床に飛び散った。「来ないで!」沈沁は咄嗟に自分の首にかんざしを突きつけたが、子衡に捕まってしまう。「まさか蕭寒声に惚れたのか?」子衡は沈沁を壁に押し付け、無理やり口づけしようとした。もはや身動きが取れず、沈沁の頬を大粒の涙が伝う。その時、音もなく近づいた蕭寒声が子衡の首に刃を突きつけた。子衡は沈沁から引き離され、蕭寒声に短剣で脅された。「幼なじみとして会いながら礼を失してしまった、私が悪かった」すると蕭寒声は寧王が奪った沈沁のかんざしを取り戻し、うずくまっている沈沁を迎えに行く。「将軍…」「帰るぞ」しかし屋敷に戻っても沈沁は黙ったまま、釈明もしなかった。沈沁の首にはかんざしで傷つけた赤い線がある。一方、鎏金坊では子衡が妓女たちを集め、床に散らばった白玉を探させていた。「私には信条がある、大事をなすためには心を奪われてはならぬと…」蕭寒声は沈沁を問い詰めることもできず、稽古で鬱憤を晴らすしかなかった。そんなある日、沈沁が蕭寒声の居所にやって来る。「将軍、釈明せねばと思っていました 実は相国…いえ、父と寧王から太子の遺品を持ち出せと命じられ、逆らえませんでした 離縁してください、私は自分がいるべき場所へ帰ります」沈沁は離縁状を渡し、玉佩を返した。「これは?」「本物の玉佩です、寧王には偽物を渡しました、すぐにはばれないはずです」蕭寒声は玉佩が寧王と相国府に関係があると分かったが、何より沈沁が自分を裏切っていないことに感激した。「他に隠し事はないのか?」「あります、でも今は言えません」「ならば言えるまで待つ、それまで私から離れてはならぬ、分かったな?」「はい、では失礼します」蕭寒声は沈沁が出て行くと離縁状を破り捨て、満面の笑みを浮かべた。しかしかんざしを取りに戻った沈沁に見られてしまう。ばつが悪い蕭寒声は背を向けたままかんざしを差し出し、何とか面目を保った。雲諾が沈沁につかませた玉佩はもともと偽物だった。「つまり沈沁も偽物を渡したのか?!予想外だったな まさか貞節な上、捜査を助けてくれるとは…私は謝らねばならぬ」沈沁の素性は別にしても夫人は従者や子供にも優しく、皆に慕われていた。蕭寒声は沈沁が真実を明かしてくれることを期待しながら、沈沁と圓宝の楽しそうな様子を見て笑顔になる。「同じ顔をした人間が2人いるのだろうか?あるいは顔が2つあるのか?」つづく※中国版7~8話
2024.05.26
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)第3話将軍府で図らずも沈沁(シェンチン)と再会した寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)。思わず沈沁を物陰に引っ張り込んで旧情を温めようとしたが、なぜか沈沁は激しく抵抗した。「王爺、場所とお立場をお考えください、人に見られたら大事ですよ」「あの晩、蕭寒声(シャオハンシォン)は君を守ったとか…気があるのやも? それもまあ好都合だ、太子が何を遺したのか探るのにはな、ふっ」その時、運悪く蕭寒声が通りかかった。驚いた沈沁は咄嗟に子衡を突き放し、難を逃れる。子衡は幼なじみの沈沁と出会い頭に閑話しただけだとごまかしたが、蕭寒声は2人の関係を怪しんだ。その夜、子衡は手放した沈沁への想いが募り、鎏金(リュウキン)坊で憂さ晴らししていた。新入りの舞姫として店に入った十七(シーチー)は偶然を装い回廊で子衡と衝突、まんまと子衡の女になることに成功する。しかしその様子を十七の親友・盈袖(インシウ)が見ていた。「あれは…十七?」沈沁は十七の合図を見て山荘を訪ねた。十七は沈沁が未だ皇太子の遺品を見つけられないと知り、思わず沈沁の袖をまくって守宮砂を確認する。「情も交わさず聞き出せるの?協力してあげるわ」「結構よ、方法を考えるから」その夜、沈沁は恩人である将軍と人質になった姉との板挟みで途方に暮れた。すると突然、見知らぬ少女が現れる。少女の名は圓宝(ユァンバオ)、父・蕭寒声の夫人を見に来たのだという。しかし父は母の顔を知らず、自分も母と会ったことがないと話した。訳が分からず困惑する沈沁、その時、圓宝を探す蕭寒声の声が聞こえて来る。驚いた圓宝は咄嗟に沈沁に抱っこをせがみ、助けを求めた。その時、蕭寒声が現れる。「圓宝?!早く下りなさい!」「嫌っ!だって講学所に連れ戻されるもん!」怒った蕭寒声は無理やり圓宝を沈沁から引き離そうとしたが、そのせいで沈沁の寝衣がはだけてしまう。「ぁ…ではここにいなさい」圓宝は自分を助けてくれた沈沁にすっかり懐き、自分の新しい母だと認めた。侍女・茯苓(フーリン)の話では圓宝は蕭寒声の養女で、本当の父親は戦死した秦(チン)副将だという。蕭寒声も出征で留守にすることが多く、圓宝は講学所に預けられていた。すると圓宝は父が母を好きになるよう策を講じるという。「阿爹が阿娘を好きになれば、出征しても私をここに残してくれるわ」蕭寒声と軍師・雲諾(ユンヌオ)は皇太子の死の裏に相国がいると疑っていた。雲諾は相国の娘である沈沁を利用した妙策があると進言したが、将軍に必要ないと退けられてしまう。圓宝は中庭に行軍用の天幕を張り、蕭寒声を呼び出した。しかし沈沁も一緒だと知った蕭寒声は遠慮して中に入ろうとしない。圓宝は仕方なく蕭寒声を中に引っ張り込み、嬉しそうに3人で並んだ。天幕の中は蛍が灯籠代わりとなって明るく照らしている。「圓宝、なぜ私を呼んだ?」「阿娘が蛍は願い事を叶えてくれるって言ったから…」蕭寒声は驚いた。「誰から聞いた?!」「その…書で読みました」すると圓宝は父にお話を呼んで欲しいとねだった。沈沁は先に戻ることにしたが、蕭寒声が引き止める。「蛍の話をするから君も聞いてくれ…」蕭寒声の蛍の話が終わる頃には沈沁も圓宝も眠っていた。今にも倒れそうな沈沁に自分の肩を貸す蕭寒声、その時、灯籠の紙が敗れて蛍が飛び出してしまう。あの夜も同じように蛍が暗闇を照らしてくれた。…将軍、しっかり!蛍がいるなら希望が持てます!…蕭寒声はあの時の娘の言葉を思い出し、なぜか沈沁に恩人の姿が重なった。沈沁を見つめる蕭寒声、するとふいに沈沁が目を覚ます。その時、寝ぼけた圓宝が母の外衣を引っ張り、沈沁の肩があらわになった。すると沈沁の肩に恩人と同じ傷跡があると分かり、蕭寒声は驚愕する。当時、あの娘は動けなくなった自分を板に乗せて紐を肩に担ぎ、ひきずって歩いた。そのせいで肩が擦り切れ、衣が血で真っ赤になったのを覚えている。「君は誰だ?」蕭寒声は思わず沈沁の腕をつかんだが、そこへ宮中から使いだと知らせが来た。子衡は山荘に海(ハイ)内監を呼び出し、賄賂を贈った。「王爺、ご安心を、当直日誌はたやすく閲覧できません これから将軍府に御酒を届けに参りますので、これにて失礼を…」十七は2人が話している隙にこっそり酒瓶に媚薬を混ぜていた。蕭寒声は夫婦の杯を交わすように沈沁と腕を絡ませ、皇帝から賜った酒を飲んだ。蛍の件でばつが悪い沈沁は早々に出て行こうとしたが、蕭寒声に引き止められてしまう。「私たちは以前に会ったことが?」「いいえ、ありません」「ならば蛍の話を誰から聞いた?」「…覚えていません」「私は蛍の話をしてくれた者をよく覚えている、彼女には泣きぼくろがあった あの声も仕草も忘れたことがない、再会できたら私を覚えているか聞きたかった そして肩の傷は痛まないか、私のように今でもあの晩の山林を思い出すのかと…」「将軍、人違いです」「君だ…」「ご覧ください、私ですか?」すると蕭寒声は深く落胆し、部屋を出ることにした。「あの姿は目ではなく心に焼き付いている、君でなければあの者に言ったと思ってくれ」その時、沈沁は秘めた想いを隠し切れなくなり、愛しい人に抱きついてしまう。自然と唇を重ね合い、結ばれる2人…。一方、媚薬を仕込んだ十七も山荘で寧王と枕を共にしていた。「ふふ、誰もこの迎春蠱(ゲイシュンコ)には抗えない…」…実は海内監は将軍府で回廊に上がる際、うっかりつまずいて酒瓶を落としていたしかし皇帝の酒を台無しにしたと分かれば首が飛ぶそこで慌てて車に戻り、花彫(ハナホリ)酒を入れてごまかしていたするとこぼれた媚薬入りの酒を猫が舐めてしまう…つづく※中国版5~6話
2024.05.25
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安乐传 The Legend Of Anle第35話青南(セイナン)城で決別した帝梓元(ディヅユアン)と韓燁(ハンイェ)。そんな2人のわだかまりに心を痛めながらも、温朔(ウェンショウ)と苑琴(エンキン)の絆は深まっていた。「戦が終わったら靖南(セイナン)を訪ねるよ」「はお」すると苑琴は長思花(チョウシカ)を刺繍したお守りを贈り、帝家軍と共に軍献(グンケン)城へ出発した。温朔は苑琴からもらったお守りを嬉しそうに皇太子に見せた。すると皇太子は苑琴が好きなら今すぐ追いかけろという。「その名の由来を覚えているか?」「はい、″温和怜悧(レイリ)で朔の日の星の如く輝け″ですよね」「…燼言(ジンイェン)、私の期待に応えてくれたな」韓燁は温朔こそ帝梓元の実弟であり帝家の嫡男である帝燼言だと明かした。燼言の命を守るため死を偽装して温朔と名付けたが、当時の燼言はまだ幼かったため独断で推し進めたという。「明日をも知れぬ戦場なのだ、家族や愛する者を知っていて欲しい お前ももう大人になった、梓元に返さなくては… 梓元は長年ひとりで戦ってきた、こたびは付き添ってやれ お前を守ったのは帝家の末裔だからという理由だけではない、平和のためでもあった」梓元は軍献城に到着、洛銘西(ルォミンシー)と感動の再会を果たした。すると洛銘西は韓燁が助けてくれたと明かし、将兵たちの怒りを収めるため韓燁はあえて悪役に徹したのだという。「君に恨まれるほど芝居は真に迫るからな」「我らが太子殿下は抜かりないわね…」その頃、軍献城へ出発したはずの温朔が青南城に戻ってきた。驚いた韓燁は是が非でも軍献城へ送り出そうとしたが、温朔はひざまずいて懇願する。「姐姐には仲間がいますが殿下には私しかいない! 血のつながる姐も、私を育ててくれた殿下も同じように大切なんです! 殿下!どうかおそばにっ!」韓燁は温朔の言葉に胸が熱くなり、共に戦うと決めた。「…分かった、行こう」その頃、北秦の大営に帝家軍が青南山にいると報告が届いた。帝梓元は山頂に司令部を設けたという。「青南山?…永眠に適した場所だ」北秦(ホクシン)の皇子・莫北(モーベイ)は帝梓元を葬るべく、全軍を招集して一路、青南山を目指した。すると伝令兵が軍献城に駆けつけ、北秦軍が軍営から青南山に向かったと報告する。「太子殿下が山頂で全軍の指揮を執っています」何も知らなかった苑琴と苑書は驚き、直ちに梓元へ知らせることにした。靖軍は山麓に現れた北秦軍を襲撃した。北秦軍は山頂から落とされた巨石に吹き飛ばされ、さらに射手隊の矢が降り注ぐ。一方、山頂には皇帝が梓元に差し向けた梅花衛が現れた。しかし軍を指揮しているのは帝梓元ではなく皇太子だと分かる。「我らの足止めに身命を賭すとは…帝梓元にそこまでの価値が?」「太子として韓家の罪を償う、梓元にどんな価値があるか、それはのちに民が判断する 梓元を抜きにしても国に危難が迫る今、戦うのは当然であろう?!」その時、ついに先鋒の屍を踏み越えて北秦軍が頂上に向かってきた。すると梅花衛も皇太子に従い戦うと決める。「どうかご指示を!」莫北は3割の兵を失ってまで山頂を目指したが、待っていたのは韓燁だった。「騙したな?!…それでも太子を殺せば無駄足にはならぬ しかも梅花衛か?近衛兵に待ち伏せされているとは…どうやら互いに切り札を出したようだな」「いいや、まだ帝家軍を残している、青南山にいるのは私の兵だけだ 安寧(アンニン)の敵を討つには私の配下だけで事足りる!」一方、洛銘西と合流した梓元は韓燁が自分を守るため、文で軍献城に誘き出したと知った。そこへ皇太子の危機を知った苑琴と苑書が馬で駆けつける。「小姐っ!」青南山の戦いは熾烈を極めた。すると莫北は韓燁を挑発して崖に誘導、隙をついて目潰しを放つ。「卑怯な!」「目が見えなければ武芸の達人でも怖くない!」韓燁は急に視界がぼんやりとして莫北に追い込まれ、蹴り飛ばされた。「殿下!」温朔と吉利(キツリ)は助太刀に向かおうとするが、敵兵に邪魔され身動きが取れない。その頃、梓元は韓燁を救うべく帝家軍を率いて青南山に向かっていた。深手を負った韓燁は莫北の毒のせいで目から血が流れ出した。今やうっすらとしか見えない莫北の姿、しかし韓燁は最後の力を振り絞って突撃する。その時、伏兵の放った弩(ド)が身体に突き刺り、ばったり倒れた。「韓燁、この伏兵は帝梓元を襲うはずだった」そこへようやく温朔と吉利が駆けつけ、皇太子を守る。「温朔…味方の生き残りは?」「戦える者はわずかですが計画は成功しました、あとは冷北(ランベイ)と護衛を残すのみです」しかし莫北は皇太子を人質にして領土を奪い取れると気づき、生け捕りにするよう命じた。吉利は満身創痍の中、必死に抵抗、冷北はいつまで耐えられるかと冷笑する。「温朔…今すぐ逃げろ」「逃げません!」「この時を…私はずっと待っていた… 私と安寧(アンニン)の運命は帝家軍が青南山にて惨殺された時から決まっていた… だが死んでもこの罪は償えぬ…梓元に伝えて欲しい… 太平の世が築かれ、民が楽しく暮らす靖国を見たいと願っていた…代わりに見届けて欲しいと」韓燁は温朔に支えられ何とか立ち上がった。「冷北よ…安寧の敵を討てず残念だ…だが私の命は奪わせぬ、この韓燁、死すれども負けぬ!」すると韓燁は温朔を突き飛ばし、崖から飛び降りてしまう。「殿下aaaaaaaaaaaa!」そこへついに帝梓元が援軍を連れて到着、報告を聞いた冷北はやむなく撤収した。「退けっ!」登頂した梓元は断崖で温朔と吉利の姿を見つけた。「韓燁はどこなの?!」「殿下は…崖の下に…」吉利の話では韓燁は心脈に矢を受け、もはや助からないと判断して身を投げたという。「亡骸が敵の手に渡れば国の恥になりますから…」「韓燁が…死んだ?まさか、ありえない…」「殿下が手を尽くしてあなたを守ったのは生きて欲しいからです」梓元は思わず韓燁の後を追って飛び降りようとした。驚いた温朔と吉利が必死に引き止めたが、梓元は韓燁に会いに行くと泣き叫ぶ。すると温朔は姉を思い留まらせるため、自分の素性を明かした。「私は帝燼言だ!姐姐!…独りにしないで」「…燼言?なの?」梓元は弟から韓燁の遺志を伝えられ、全身の力が抜けたようにその場で泣き崩れた。皇太子を失った靖軍。その夜、大営に戻った梓元は全く寝付けず、韓燁への冷たい態度を後悔していた。すると燼言が姉を心配して様子を見にやて来る。皇太子の死に深く傷つきながらも姉を守るため気丈に振る舞う燼言。まさか皇太子と姉がこんな形で結末を迎えるとは思いもよらなかった。梓元は韓燁が燼言を立派に育ててくれたことを感謝した。実は燼言も自分の素性を知ったのは青南城に来てからだという。「安全な軍献城へ送られそうになり、拒んだら教えてくれた」「私に別れを告げた時、すでに死を覚悟していたのね…とっくに準備を整えていたなんて」燼言は憔悴した姉が皇太子を追って自害しやしないかと心配になった。「私は大丈夫、だってあなたの世話がある…ゥッ」梓元は必死に笑顔を見せていたが、ついにこらえ切れず泣き出してしまう。「独りにして…お願い」…皇太子は崖から身を投げ、未だ行方知れずだった一方、莫北が逃げた敵軍は烏合の衆と化す帝梓元は国を救うため猛然と進軍して立て続けに勝利、ついに戦を終結させたこうして肩を並べて広大なる国土を守った帝家と韓家しかし悲しいかなこの戦で皇太子を失い、快勝したとは言えなかった10年に及ぶ両家の怨恨が消える日は訪れるのだろうか…梓元は全軍を率いて凱旋した。病床の嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は皇太子の捜索を続けさせていたが、未だ行方は分からないという。結局、都へ舞い戻ってきた梓元、その日は弟の案内で韓燁の書房を訪ねた。「殿下が最期まで愛したのは帝梓元、あなただけだ」すると燼言は錠の掛かった扉を開けて韓燁が書き溜めていた姿絵を見せた。「殿下は暇さえあれば帝梓元を描こうとしていた、でも完成したのは姐姐が現れたあとだ」燼言は韓燁が表装して飾った最後の姿絵を見せた。「殿下は言っていた… 心を動かされたのは想像の中の帝梓元ではなく、現実を生きる任安楽(レンアンルー)だと」韓燁が完成させた絵は靖南で梓元とは知らずに引き付けられた安楽の姿だった。すると裏に韓燁の書がある。…別れを経て出会い、新たに恋心を抱く…その時、梓元は韓燁を失った悲しみに耐えられなくなり、ついに倒れてしまう。つづく( ゚ェ゚)莫北、そこまで追い込んでこのザマよwからのジュゴンの崖落ちが…ちょっと誰かポンちゃん連れてきて!
2024.05.25
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安乐传 The Legend Of Anle第34話洛銘西(ルォミンシー)を救うため青南(セイナン)城に夜襲をかけ奪還した帝梓元(ディヅユアン)。しかし北秦(ホクシン)の皇子・莫北(モーベイ)との死闘で深手を負い、倒れてしまう。皇太子・韓燁(ハンイェ)は付ききりで世話をしていたが、梓元は3日経ってもまだ目を覚まさなかった。「あれから色々あったな…梓元、皇祖父が下された勅命に心より感謝している 君は天下の誰もが知る私の太子妃だ、この一生に何の悔いもない 私が求めるのは君だけなのだから…」韓燁は酌量の余地を求めて洛銘西の牢を訪ねた。しかし洛銘西は人の情につけ込んだ冷北(ランベイ)の策から逃れようがなかったという。「お前は冷北ではなく安寧(アンニン)を信じたのだな? 安寧やお前なら計略だと疑っても梓元を見捨てないと冷北に見抜かれた」実はあの時、北秦の密書を手に入れた安寧は急ぎ洛銘西に知らせを送っていた。…梓元が危険よ、この文を受け取ったら必ず梓元を助け出して、青南城は私が守る…韓燁は真実を明かすよう迫ったが、洛銘西は残り短い命を捧げて軍の士気を上げようと決めた。「洛銘西…これではお前を守れぬ」「お前が守るべきは靖国の威信と辺境の平和、そして梓元の将来だ」その日、梓元がついに目を覚ました。苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は喜び、このまま目覚めなければ皇太子があとを追うところだったという。「殿下は小姐の世話を誰にも任せませんでした」「そうです、夜も休まず付ききりで随分、お痩せになりました」その時、外から激しく打ち鳴らす軍鼓の音が聞こえた。軍営で洛銘西の刑が執行された。「洛銘西、お前の独断が安寧の討ち死にと青南城の陥落を招いた」韓燁は三軍を統率する皇太子として洛銘西を厳しく断罪すると、背中を向けてしまう。何も言わず黙って毒酒を飲み干す洛銘西、その時、梓元の悲鳴が聞こえた。「飲まないで!吐き出して!」梓元は身繕いもせず、病み上がりの身体で必死に走ったが間に合わなかった。「なぜ私を待ってくれなかったの?!私が必ず守ると約束したのに!」すると洛銘西は激しく血を吐きながら梓元を鼓舞した。「梓元…帝家軍を率いて突き進め…」「洛銘西!死なないで!銘西哥哥ァァァァァァ!」洛銘西は梓元の腕の中で事切れた。亡骸まで取り上げられた梓元はすっかり憔悴し、韓燁の残酷な仕打ちに恨みを募らせる。しかしやがて洛銘西の最期の言葉を思い出し、己を奮い立たせた。「帝家軍を集結させる」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ <はんいえ!はげてしまえ!その夜、温朔(ウェンショウ)は城楼で偶然、苑琴と出くわし、皇太子の苦しい胸の内を明かした。戦とは残酷なもの、北秦との戦況はまだまだ厳しく、将兵たちの手前、迷いは許されないという。「本当は安楽(アンルー)姐に釈明したいんだ」「…小姐は洛大人の件で殿下を恨んでる、何だか敵同士になってしまいそう」「苑琴、私たちは?違うよな」すると苑琴はようやく温朔のことが好きだと告白した。翌朝、靖南の軍営がにわかに慌ただしくなった。韓燁は梓元の様子を見に行ったが、梓元はちょうど白諍(ハクソウ)と2人で戦術を練っている。「無謀な真似はよせ、梓元、昨日のことは…」「分かってるわ、士気を下げるわけにはいかない 今後の作戦を考えたの、帝家軍を集結して配置につかせる」「訓練を受けていない安楽寨の海賊では奇襲など無理だ」「正規の帝家軍よ、北秦に反撃して冷北を殺し、安寧の敵を討つ! 将兵の士気が下がっている今、強力な先鋒で戦況を変えるべきよ」青南城の奪還で今や帝梓元の威信は高まっていた。この勢いに乗って一気に他の城を取り戻せば、敵も打つ手がないだろう。「私も行こう!」「総帥は青南城に留まるべきだわ、西北には帝家の残党も多い、私一人で十分よ」すると梓元は強引に出陣してしまう。帝梓元率いる帝家軍は破竹の勢いで城を奪還、西北の北秦軍は壊滅状態となり、後退を余儀なくされた。見事に西北の領土を全て取り戻した帝梓元。しかし嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)を脅かす新たな脅威となってしまう。「10年前に滅びた帝家軍をあっという間に建て直すとは…帝梓元、侮れぬ! よもや靖国を覆すつもりではあるまいな?!靖国も太子の身も窮地には追い込ませぬぞ!」焦った皇帝は梅花衛(バイカエイ)を招集、北秦軍に殺されたと見せかけて帝梓元を暗殺するという。一方、莫北は全ての苦労を水の泡にした帝梓元への恨みを募らせていた。巻き返すためには帝家軍の総帥である帝梓元を討つしかない。「帝梓元が青南山で死ねば帝家軍は使い物にならなくなる!」その頃、韓燁は無事に安寧を取り戻し、埋葬していた。「よく安寧を連れ戻してくれた」「殿下こそ、仮死で皆の目を欺いて助けてくれました」実は安寧を取り返してくれたのは洛銘西だった。5日前、琳琅(リンロウ)がついに北西へ向かう莫霜(モーシュァン)公主の馬車を発見し、捕縛に成功する。韓燁は莫北と交渉、莫霜と妹の亡骸を交換し、安寧はようやく故国の土に返った。「梓元への要撃を知り、安寧は死も覚悟の上でお前に救援を求めたのだな この軍令を出せば退路はなくなる、それでも命を懸けて梓元と靖南軍を守ろうとした」安寧は軍の士気を下げないよう援軍が来ないことを明かさなかった。洛銘西は私情で動いた安寧が非難されることのないよう、黙って罪をかぶってくれたのだろう。しかし洛銘西が死を偽装した理由はもう一つあると気づいていた。「梓元を奮起させようとしたな?」「その通りだ…だが梓元を死なせないで欲しい、陛下は梅花衛に梓元を暗殺させるつもりだ 今や梓元の威信は殿下に並ぶ、それが許せないのだろう だが梓元は言った、″韓燁を信じる″と、″世継ぎとして必ず太平の世を築く″とな」驚いた韓燁は父皇の刺客から梓元を守るため策を講じた。皇太子の一行を装って梓元を軍献城に逃し、自分が青南城に残るという。「これしか方法はない」( ๑≧ꇴ≦)ハンイエの髪の毛を戻してあげて~!梓元は帝家軍と青南城に戻ったが、城門は閉ざされたままだった。すると伝令兵が駆けつけ、北秦軍が軍献城に奇襲をかけると報告する。梓元は困惑した。要衝である青南城ではなく軍献城を落としても北秦に大きな利はない。「目的は何なの?」そこへ苑書(エンショ)が慌てて戻ってきた。「小姐、密書が届きました、洛大人からだと…」「洛銘西の?!」…梓元、私は無事だ、処刑の前に毒酒をすり替えて死んだふりをして逃れたのだ、千月閣の手を借りて冷北と取り引きし、安寧を軍献城に戻した…「生きてた…生きてたわ!」梓元は久しぶりに笑顔を見せたが、北秦が軍献城を襲う理由に気づいて慌てた。「もしや洛銘西に報復するためなの?! …安寧の敵を討つ機会が来たわ!全軍に告ぐ!軍献城に急げ!」その時、城門に韓燁が現れた。梓元は韓燁と城楼に並び立った。「こたびはあなたに別れを告げに来た…韓燁、生涯この地には近づきたくない」「はお、梓元、君はすぐここを離れろ」「そのつもりよ…もう会うこともない」梓元は韓燁が自分を守るため突き放したとも知らず、歩き出した。「梓元、敵は手ごわい、油断するな…無事に靖南に戻って長思花を見ろ」「別れを惜しむよりそれぞれの務めを果たしましょう」「永遠の別れだ」結局、梓元は一度も振り返らなかった。つづく( ๑≧ꇴ≦)そうか!洛銘西に知らせたのは北秦じゃなくて安寧だったのね
2024.05.23
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower最終話「夢がかなう時」娘の消息が分からず気を揉む季銘(キメイ)。桑葚(ソウシン)と苜蓿(ムーシュ)は憔悴した老爺の身体を心配していたが、そんなある日、ひょっこり季曼(キマン)が帰海号に現れた。季銘は季曼の無事な姿に安堵し、ずっと捜索を続けている寧鈺軒(ネイギョクケン)に急ぎ知らせるという。「寧鈺軒は皇上の聖旨が下って都に戻った、同平章事(ドウヘイショウジ)に任じられたそうだ 曼児、お前は疲れただろう?養生してから都へ戻ればいい」「いいの、彼には黙っていて」季曼は自分の身分が寧鈺軒の足枷になってしまうため身を引いたと明かした。憤怒した季銘は自分が一生、娘の面倒を見ると言ったが、季曼は自立するため他郷で商いを始めたいという。「まずは雲州へ行く、商機をつかんで民のための商いをするわ」こうして季曼は自分が戻ったことを誰にも知らせず、皓雪堂(コウセツドウ)を水亦清(スイイーチン)に託して旅立った。京城の寧府に海坊(カイホウ)へ戻った鬼白(キハク)から文が届いた。…今も夫人を探していますが見つかっていません…離れ離れになっても愛する人の無事を祈り続ける季曼と寧鈺軒。2人は偶然にも藍珠(ランジュー)と紅珠(ホンジュー)を繋げた腕輪をはめていた。それから1年、寧鈺軒は同平章事として多忙な日々を送っていた。依然として季曼の行方は分からなかったが、そんなある日、鬼白から急ぎの文が届く。…海坊が水害に見舞われました、食糧が不足していますが海が荒れて輸送できません、餓死者が出そうです、救済をお願いします…寧鈺軒は季曼と心血を注いだ海坊を危機から救うべく、翌日には都を発った。これまで近寄ることすらはばかられた季曼との思い出の地。懐かしい皓雪堂に足を踏み入れれば、今も笑顔で接客する季曼の姿が目に浮かぶ。すると鬼白と水亦清が寧鈺軒を暖かく迎えた。「状況を聞かせてくれ」皓雪堂に袁朗(エンロウ)が駆けつけた。今や旧友となった寧鈺軒と袁朗、鬼白の話では蛟龍(コウリュウ)幇が民のため奔走してくれているという。寧鈺軒は皇帝に水害の件を上奏し、救済金と食糧が数日で届くと安心させたが、水亦清は間に合わないと訴えた。「もう民は飢えているわ、到着するまでに手を打たないと死者が出る」「とにかく食糧を集められるだけ集めよう」すると水亦清がふと一月前にもらった文のことを思い出した。「そうだ、馬(マー)記の主・馬洪竹(マーホンジュー)が来てくれる すでに食糧を援助するため出発したと書いてあったわ、そろそろ到着する頃よ」馬記とは恒都(コウト)で主に穀物を商っている新興の屋号だった。城外では食料を狙って何軒も強奪が起きていた。寧鈺軒たちは馬記の隊列を警固するため直ちに出発、ちょうど山賊たちに襲われている馬記一行を救う。しかし山賊たちを捕らえても馬洪竹は馬車から姿を見せなかった。「馬老板?」寧鈺軒が訝しんで声をかけると、車から恐る恐る使用人が姿を現した。「大人(ダーレン)、馬老板は山賊の目を欺くため一計を案じました この隊列はおとりで、食糧は今頃、海坊に到着しているはずです」城内に戻った寧鈺軒は自腹でかき集めた食糧の配布を始めた。するとかつて皇商大会で季曼を助けてくれた婦人たちと再会を果たす。詳しい事情を知らない婦人たちは夫人の姿を探したが、その時、ちょうど馬記一行が食料を持って到着した。「老板って馬紅猪(ホンジュー)って言うの?」「ホンジューは″洪″の″竹″よ、猪なんて失礼ね~」婦人たちの話を聞いた寧鈺軒は″紅猪″と聞いて耳を疑った。まさかと思いながら馬記一行に目をやると、人混みの中に確かに愛しい人の姿がある。季曼と寧鈺軒は2人で桟橋に腰掛けた。「崖から落ちて助かってから、実は県衙に戻ったのよ?」「すまなかった」「私こそごめんなさい、1年も連絡しないで… 牢で陛下からあなたを同平章事に任ずると聞いて、それで姿を消すことにしたの 父にはこう言ったわ… 私はずっと人から守られて生きてきた、だからもう自分の力で道を切り開くべきだとね 今になって思えば私は正しかった、後悔はしていない」寧鈺軒は感極まってなかなか言葉が見つからず、自分の腕輪をまじまじと見つめた。季曼は寧鈺軒も藍珠と紅珠の腕輪をつけていたと知って感情が込み上げ、思わず涙があふれ出す。「″洪竹″って笑えるでしょう?ふふふ」「おかしいのになぜ泣くんだ?」「あなたこそ」皇帝に海坊から一報が届いた。寧鈺軒は救済用の銀子を支給して海坊の難局を解決、また馬記の屋号を名乗る商人が救済に貢献したという。「この1年、穀物の商いで評判を上げています 馬洪竹という老板の正体は陛下もご存知の方ですよ、例の季曼です」すると皇帝は寧鈺軒と馬洪竹に褒美を与えると決め、都に呼ぶよう命じた。寧鈺軒は皇帝に謁見、褒美は何が欲しいか聞かれたが辞退した。すると皇帝は人柄もよく、民に慈善を施している娘に徳恵(トッケイ)夫人の称号を与えたと話し、寧鈺軒との縁談を賜るという。寧鈺軒は海坊の危機を救った馬洪竹の正体が季曼だと明かして妻を娶るつもりはないと辞退したが、皇帝は縁談を拒むことはできないと迫った。「婚儀を執り行うまでは禁足を命ずる!」寧鈺軒と徳恵夫人の婚礼当日。寧鈺軒は支度もせず、書斎に引きこもっていた。そこへ海坊から婚儀に出席するため鬼白と水亦清が駆けつける。秦奕閑(シンエキカン)も身ごもった千怜雪(センレイセツ)を連れてやって来たが、寧鈺軒はどうしても嫌だと拒んだ。しかし突然、季曼が現れる。「寧鈺軒?私じゃ不満なの?!」季曼はかつて寧鈺軒が選んだ花嫁衣装をまとっていた。…寧鈺軒が皇帝に謁見した時、実は季曼は衝立ての奥で2人のやり取りを聞いていた『徳恵婦人がどんなに立派な女子だとしても、私にとっては季曼に及びません』季曼は寧鈺軒の変わらぬ深い愛情に感激、寧鈺軒が下がると皇帝に嘆願した『陛下とのお約束を今まで守ってきました、一瞬たりとも忘れてはいません 全てはこの日のため、晴れて妻となれる日のためです、どうかお許しください』すると皇帝は失笑し、2人の仲ならもう許していると言った『徳恵婦人とはそなたに与えた称号だ、よく耐えてくれた、2人の望みを叶えよう』…こうして紆余曲折を経て、寧鈺軒と季曼はついに愛する人と結ばれた。「もう二度と離れないわよね」「二度と離れぬ」完( ๑≧ꇴ≦)終わった~!そう言えば字幕で見たのに、なぜ袁朗父が死んだと思い込んでたんだろう、私…( ̄▽ ̄;)中盤から失速したのはオカルトいーにゃんのせいだと思ったけれど、終わってみる聶桑楡がなおざりにされているせいのような気がしてきたわまあとにかくめでたしめでたしってことでw
2024.05.22
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第37話「別々の道」凌剣星(リョウケンセイ)を都へ護送する一行が道中、刺客に襲われた。檀(タン)王の指示だと聞いた凌剣星はやはり助けに来てくれたと喜んだが、実は刺客が狙っているのは自分の命だと知る。護送車の中で逃げ場もなく、もはやこれまでかと思ったその時、鬼白(キハク)が駆けつけ凌剣星を守った。「侯爺からの言づてです、罪を悔い改めて這い上がれと…」凌剣星は結局、自分も檀王の捨て駒に過ぎなかったと気づき、寧鈺軒(ネイギョクケン)には到底、及ばないと負けを受け入れた。皇帝による檀王への審問、寧鈺軒は証人として凌剣星を召喚した。檀王の腹心だった凌剣星は数々の陰謀に手を貸し、4年前の西北の飢饉では救援物資を着服したと暴露する。実は海坊(カイホウ)の歴代県令3人も自害ではなく、檀王に逆らって暗殺されていた。檀王は最後まで抵抗していたが、証拠と証人が揃い観念するしかない。「私が天下を手にするはずだった…覇権を競っていた頃、お前はまだ乳飲み子だったのに! 天下を統べるべきは私だ!私こそこの国の主なのだ!」こうして檀王の野望は潰え、大理寺で裁きを受けることになった。皇帝はようやく叔父との確執に決着をつけたが、心が晴れることはない。「寧鈺軒、後始末を任せたぞ」凌剣星は学問所の同期で同じ年に仕官した寧鈺軒に一度も勝てないまま惨めな末路を迎えたと嘆いた。しかし寧鈺軒は檀王の罪を暴いた功績で刑は軽くなると励ます。「獄中で深く反省し、己の心と向き合うつもりだ かつては民に利することを理想としていたが、少しずつ道から外れてしまった 寧鈺軒、若き日に掲げた理想をお前に託す」「官吏としての本分を忘れるなよ」季曼(キマン)の牢に皇帝が現れた。季曼は寧鈺軒をかばい、誥命(コクメイ)夫人冊封の時はまだ素性を知らなかったと訴える。しかしすでに茶幇(チャホウ)との決裂の裏に檀王の策略があったことが判明し、寧鈺軒は無事だと知った。「だがそちの素性は…寧鈺軒を同平章事(ドウヘイショウジ)に任じることはやぶさかでない」季曼はその意味を悟り、自ら身を引くと決めた。「茶幇の嫌疑が晴れても聶桑楡(ニェサンユー)の名をかたった事実は消えません 都の人々は厳格で名声や家柄、出自を何より重んじます 私がそばにいては寧鈺軒の前途を妨げるばかりか、陛下にご迷惑を…」季曼は別離が寧鈺軒にとって最良の選択だと自分に言い聞かせた。…もし許されるのなら最後にひと目だけでも会いたい…陶思維(トウシイ)は配下の報告を聞きながら部屋に戻った。「寧鈺軒が檀王の罪を暴いたせいで茶幇も偽夫人も罪を免れるようです」「無罪放免だと?!」すると書斎に青雲(セイウン)がいると気づき、配下を下げる。「なぜ教えてくれなかったの?」青雲は陶思維の机の上に置いてあった姉の書き付けを持っていた。「なぜ姐姐に詩を書かせたいのか気になっていたけれど、今わかったわ 正体を暴く証しが欲しかったのね?」「何がいけない?…桑楡を殺した女だ、償いをさせて当然だろう? 桑楡が手にすべき幸福をあの女が全て奪ったのだ!」青雲はようやく陶思維が灯籠に″聶″と書いた理由を知った。「あなたの意中の人は姐姐だったのね… あなたが私を娶ると決めたのは姐姐の期待に沿うためだった」「そうだ…青雲、君を愛せるようになると思っていた、だが間違いだった」「あなたの愛は独り善がりよ、一途に想っていた自分がバカみたい…きっぱり忘れるわ」すると青雲は陶家のかんざしを捨てて出て行ってしまう。陶思維は獄中の季曼を皇帝の命だと偽って連れ出した。嘘だと気づいた季曼は密かに馬車の窓から紅珠を落とし、道標を残す。その頃、寧鈺軒が季曼の牢を訪ねていた。しかし君命により陶将軍が連行し、馬車は北へ向かったという。「まずい!」陶思維は海防郊外で季曼を降ろした。「あの夜、県衙で私を挑発したわね、でもあなたは親友の寧鈺軒を守ってくれると信じていた」「私が親友だと思うならなぜ寧鈺軒は偽り続けたんだ? お前は桑楡の死を蔑ろにした 私と桑楡は幼い頃から共に育った仲だ、幸せを願い、寧鈺軒との婚姻も祝福した だがこの世にもう桑楡はいない」「聶桑楡は私の姐姐なの、私は彼女を助けようとしたけど…(はっ!)寧鈺軒!」そこへ季曼の道標をたどってきた寧鈺軒が駆けつけた。「近づくな!」陶思維は咄嗟に季曼を捕まえ、崖っぷちに立った。「私は選ぶ道を誤った、幾度も誤りを繰り返し、他人のために自分を殺してきた!」そこへ鬼白が衛兵を率いて到着したが、季曼が人質となって手が出せない。「聶桑楡の死は不慮の事故だったんだ!」「寧鈺軒…それ以上、近づくな」すると陶思維は季曼を道連れにして崖から飛び降りてしまう。「やめろ!」寧鈺軒は季曼を救うため無我夢中で後を追った。しかし鬼白が危ないところで寧鈺軒の足をつかみ、助ける。「放せぇぇぇぇぇぇ!季曼nnnnnnnnnnn!」「寧鈺軒nnnnnnnnnnn!」皓雪堂(コウセツドウ)では水亦清(スイイーチン)と千怜雪(センレイセツ)が季曼の無事を祈っていた。「もしこのまま見つからなかったら?」怜雪は季曼のいない店に何の意味があるのかと涙した。この数日、寧鈺軒は昼夜を問わずく捜索していたが、未だ何の手がかりもない。しかし水亦清は季曼が必ず帰ってくる予感がすると励ました。「私たちで店を守って行きましょう」「ウンウン…もう泣かないわ!(꒦ິ⌑꒦ີ)ダー!」その頃、川に転落した季曼と陶思維は岸辺に打ち上げられていた。季曼は意識を取り戻したが、近くに倒れていた陶思維はすでに息がない。…今生での執着を手放してどうか安らかにね…季曼は必死に県衙を目指して走った。せめて最後にひと目だけでも寧鈺軒に会いたい。一方、寧鈺軒は皇帝の命により帰京することになった。全て荷物を運び出した鬼白は出発の時間だと伝えたが、寧鈺軒はまだあきらめがつかない。「もう少しだけ待ってくれ…」寧鈺軒は最後に季曼との思い出が残る中庭の相思樹を見に行った。なぜ季曼を救えなかったのか、寧鈺軒は谷底に落ちて行く季曼の姿を思い出し、号泣してしまう。季曼はやっとの思いで県衙に到着したが、寧鈺軒たちは出発した後だった。するとちょうど角を曲がって行く最後尾の荷車が見える。…追いかけたいけれど、それはできない…季曼は誰もいなくなった県衙に入り、中庭の相思樹を見に行った。…やっと分かったわ、愛は得るのではなく育てるものなのだと、もう一度やり直せたらいいのに…「これからは独りで星を見る あなたと私は参宿と商宿、永遠に会えなくても互いをずっと照らし続ける」その時、季曼はふと思い出して藍珠(ランジュー)を取り出した。「あなたと紅珠(ホンジュー)は永遠に離れることはない、だから添い遂げてね 遠く離れても、藍珠はずっと私の手の中にある」つづく( ゚ェ゚)やっぱり軽い方が助かるのかしら~ラスボスはまさかの陶将軍でした
2024.05.21
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安乐传 The Legend Of Anle第33話帝梓元(ディヅユアン)率いる靖南(セイナン)軍は敵兵と交戦。そこへ軍献(グンケン)城から駆けつけた韓燁(ハンイェ)たちが加勢し勝利した。その場でしばし休憩を取ることになった両軍。梓元は韓燁と距離を置いていたが、韓燁は自ら歩み寄った。「恨みを捨てて良くぞ西北に駆けつけてくれた」「恨みがあろうと同じ国に生きる者同士だもの」一方、温朔(ウェンショウ)も想い人の苑琴(エンキン)との再会を喜んだ。温朔は皇太子たちが並んで座る姿を眺めながら、ようやく打ち解けられたと安堵する。「都を離れてやっと任安楽(レンアンルー)と韓燁の関係に戻れたんだな」韓燁はこうして梓元と共に戦えたことを喜んだ。しかし梓元はふいになぜ韓燁はこの場所が分かったのかと訝しむ。「北秦の密書が手に入り、君たちをここで襲うと知ったんだ」「変ね、私たちが先に北秦の動向を知ったのよ?」そこへ急遽、進路を変えた洛銘西(ルォミンシー)たちが到着した。洛銘西は梓元の無事な姿に安堵したが、韓燁も北秦の密書を手に入れていたと知る。すると韓燁は伏兵と言っても1000人にも満たなかったと話した。その時、洛銘西の顔色が一変する。「しまった!」…青南(セイナン)城は激戦を極めた援軍が到着するまで決して退かないと誓った安寧(アンニン)城門で自ら待ち構え、敵兵を誘き寄せて罠にはめ時間を稼ぐことにしたしかしいくら待っても洛銘西は現れず、ついに安寧は敵軍に包囲されてしまうすると莫北(モーベイ)が現れ、靖軍の主帥を生け捕りにしろと命じた『ついに姿を現したわね…莫北!この恥知らずが!』『安寧、武器を置け!今、投降すれば主帥の座は保証する!北秦は強情者に容赦せぬぞ?! 青南城が血の海になってもいいのか?!』『望むところよ!お前ごときに屈するものか!』激怒した安寧は思わず莫北めがけて長槍を放った敵将は呆然と立ちすくむ皇子を慌てて助け、矢を放てと命じてしまう『やめろ!』莫北は慌てて止めたが間に合わず、最後まで抵抗した安寧は全身に矢を受け倒れてしまう…『終わった、全て、終わったのね あの夜、静心(セイシン)堂へ行かなければ真実を知らず、罪悪感も持たずに済んだ そうすれば西北で冷北(ランベイ)に出会うこともなく、青南城を奪われなかったのに 私の名に込めた父の願いを果たせなかったわ…″安寧に生きよ″』韓燁と安寧に届いた北秦の密書は青南城へ援軍を遅らせるための莫北の策略だった。呆然となる洛銘西、そこへ撤退した白諍(ハクソウ)が駆けつけ、無念の涙を流しながら皇太子に報告する。「青南は落城、安寧将軍は討死しました… 殿下!将軍は最期まで援軍の到着を待っていたのです!」「安寧はなぜ逃げなかった?!」「攻防戦で敵が兵力を失えば援軍の勝機となるとお考えに…」韓燁は梓元を救うため安寧と青南を見捨てた洛銘西に憤怒した。すると兵士たちは一斉にひざまずき、洛銘西を死罪に処して安寧公主の魂を慰めるよう嘆願する。「…私の罪です」洛銘西は潔く罰を請うた。「洛銘西を死罪に処す!引っ立てよ!刑の執行を待て!」その夜、大営に到着した梓元は韓燁に洛銘西の死罪を思い留まらせようと必死だった。「彼に償いの機会を与えて欲しい!」「どうやって安寧の死に報いると?!」「安寧を失い洛銘西まで失いたくない、代わりに私が罰を受ける」「罪は己で償うべきだ…洛銘西を殺す他に術はない 妹を失った私が喜んで親友の命を奪うと思うか?! だが靖の太子として殺さねばならぬ…心中を察してくれ」すると白諍が現れ、安寧から預かった文を渡した。…帝家の潔白が示され、西北に戻り英霊を供養しようと思ったでも実現する前に北秦に阻まれるなんて私は全力を尽くし、兵が散ったこの地を守るたとえ討ち死にしようと、これで堂々と英霊たちに会えるわ青南で生まれた韓家と帝家の確執は青南で解くだから梓元、太子哥哥2人には過去のわだかまりを捨て、力を合わせ、国の再興を目指して欲しい我が死に悔いなし、私の亡きあともどうかご自愛を…戦況は予断を許さず、韓燁には妹の死を悼むわずかな時間さえ許されなかった。温朔はそんな皇太子の心に寄り添い、黙ってそばに控えることにする。しかし韓燁は温朔を先に休ませ、安寧の生前の姿に思いを馳せながら訃報をしたためた。するとふいに涙があふれ出し、墨が滲んでしまう。その頃、梓元は投獄された洛銘西と会っていた。洛銘西は自分が死ぬことで軍の士気も上がると納得していたが、梓元は帝家の汚名をそそぐため尽力してくれた洛銘西を簡単に殺すことなどできない。「帝盛天(ディセイテン)のように力を持つべきだと言ったわね?」「ああ、言った」「…私も同感よ」翌朝、韓燁は吉利(キツリ)から温朔の姿が見えないと聞いた。もしやと思いながら梓元を探しに向かったが部屋はもぬけの殻、机に置き手紙がある。…韓燁、青南城の奪還と引き換えに洛銘西を救って欲しい…驚いた韓燁は将軍たちを呼び、直ちに兵を率いて青南城へ向かうと命じた。しかし将軍たちは洛銘西を殺すまでは兵の士気が上がらず、戦えないという。韓燁は戦況を考えず軍令を無視するのかと声を荒らげ、今この時も国士や民に戦火が襲いかかっていると嘆いた。「よく考えよ!安寧たちは国と民のため、撤退せずに死ぬまで戦った! 青南城を奪還せねば犠牲となった兵が報われぬ!」すると白諍は安寧将軍の遺志を果たすべく、皇太子に従うと声を上げた。温朔は安楽が青南城に出陣すると察し、先回りして合流した。実は安寧将軍が城内の軍の備品と食糧を全て処分したと知り、今の北秦には軍備が行き届かず、守りも手薄なはず、一気に攻め入る好機だと気づいたという。「韓燁の指導の賜物ね」梓元は弟が生きていたら同じことをしたと感慨深い。「行きましょう」その夜、梓元は青南城に夜襲をかけた。「歩兵は声を上げ敵兵の注意を引いて、その隙に私は冷北を見つけてひっ捕える 安寧の亡骸と青南城を奪還してみせるわ」莫北は城内の異変に気づき、剣を抜いて部屋を出た。その時、潜んでいた梓元が突然、襲いかかってくる。「帝梓元か…いい腕だ」莫北は殺された侍衛の剣を拾って二刀流で対抗、やがて2人は対峙した。「安寧を返しなさい!」「見返りはなんだ?!」「屍まで取り引きに使うつもり?!」すると莫北は安寧を長年、苦しめて来たのは帝梓元だと言い放った。「太后の罪が暴かれた時の安寧の心の痛みがお前に分かるのか?!原因は全てお前だ! 私が安寧を利用していると言うなら自分はどうだ? 安寧のためを思うなら和議の印として土地と歳幣(サイヘイ)を差し出せ! そうすれば安寧も安らかに眠れる」「冷北、もうたくさんよ、安寧は何より妥協を嫌う!」「ならば殺すまでだ!」梓元と莫北の激しい剣の応酬が続いた。しかしその間に皇太子が到着、城内は靖軍に制圧される。莫北は勝ち目のないことに気づき、ひとまず撤収すると決めた。そこで咄嗟に目潰しを放ち、一瞬の隙をついて梓元を蹴り飛ばす。するとちょうど韓燁が現れ、梓元を抱き留めた。「捕まえて…」温朔は寝殿に逃げ込んだ莫北を追いかけたが、すでに逃亡したあとだった。「韓燁…安寧を取り返せなかった」「君はよくやった、青南城は奪還した」つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ バンバン!冷北!何なの?!馬鹿なの?!
2024.05.20
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安乐传 The Legend Of Anle第32話青南(セイナン)城の夜、冷北(ランベイ)は将軍印のありかを聞き出すため、安寧(アンニン)公主にしびれ薬を嗅がせた。しかし白諍(ハクソウ)の声が聞こえ、慌てて手刀で打って安寧を眠らせてしまう。「将軍!将軍!白諍です!」「入れ」冷北の声を聞いた白諍が部屋に入ると、安寧は机にうつぶして寝ていた。「先ほどの名簿に漏れがあり、届け直したいのですが…」「分かった、将軍はお疲れだ、あとで私が取りに行く」翌朝、都では韓燁(ハンイェ)が四方館の火事の件で洛銘西(ルォミンシー)を訪ねていた。莫霜(モーシュァン)公主が使用人を下がらせ独りで部屋に残ったところをみると、やはりこの火事には裏があるらしい。「恐らく莫霜は死んでいない」すると琳琅(リンロウ)が現れ、靖南(セイナン)からの文を届けた。韓燁は洛銘西の表情から帝梓元(ディヅユアン)が出征すると知らせてきたのだと気づく。「琳琅、馬車を用意しろ」「私も行こう」青南城の大営では安寧が寝台で目を覚ました。しかし枕元の香炉で焚かれた薬のせいで身体に力が入らず動けない。そこへ冷北がやって来た。「冷北、今ならまだ引き返せる…なぜ故国を裏切るようなまねを?(はっ)まさか、お前は靖人ではないのね?!」焦った冷北は自分の言う通りにすれば今と変わらない生活を保証すると説得した。その時、安寧が力を振り絞って冷北の短剣を奪い、切り掛かる。冷北は瞬時に刃をつかんで阻止したが、ちょうど白諍がやって来た。「(コンコン!)将軍!お疲れだと聞いたので安神(アンシン)香をお持ちしました!」すると冷北は安寧の口をふさぐため、強引に唇を重ねた。白諍は返事がない将軍を心配して部屋に入ったが、衝立越しに寝台で睦み合う将軍と冷北の姿に気づき、慌てて出ていってしまう。一方、洛銘西は韓燁と一緒に皇帝に謁見、帝梓元に出征を命じて欲しいと嘆願した。「帝家は逆賊ではありません、安楽寨(サイ)も陛下の軍なのです」韓燁も西北の軍だけでは兵力が足りないと訴え、安楽寨なら先鋒が務まると進言した。「お願いの儀はもう一つ、私に軍献(グンケン)城を死守する役目をお与えください」古雲年(コウンネン)の死後、各軍営を統率できる将がまだおらず、皇太子が出征することで軍の足並みを揃えたいという。皇帝は唯一の後継者の出征に躊躇したが、結局、韓燁に皇太子としての本分を果たせてやろうと決断した。靖南の梓元は皇太子が自ら兵を率いて出陣すると聞いた。「この国の太子なら先陣を切るのは当然よ…」莫霜の死が発端となり、今や靖国の国境を守るのは青南城と軍献城のみだった。梓元は国と民を守るため、そして自分の人生に深い爪痕を残した韓燁と安寧を助けるためにも戦わねばならない。その頃、韓燁は久しぶりに任安楽(レンアンルー)の姿を描き上げていた。…梓元、ひとたび別れ、再び出会う、韓家と帝家の間で翻弄された私たちは一体、どこへ向かうのだろう…青南城では白諍が姿を見せなくなった将軍を心配していた。しかし居所を訪ねても冷北に阻まれ、部屋に入れば軍令に背くことになると脅されてしまう。一方、韓燁は出征を前に洛銘西を訪ねた。すると都では育たないはずの長思花(チョウシカ)がつぼみをつけていると気づく。「さすがだな…これに比べたら私が瑇(タイ)山に届けていた物など独り善がりに過ぎない」「韓燁…私が10年も守った女子が戦場へ行く、梓元に何かあれば許さぬぞ?」「案ずるな、命を懸けて守る、ただし私が死んだら引き続きお前が守れ」「死ぬな」その夜、白諍は偶然、密談している冷北と兵士を目撃した。「指揮官が死ねば青南城は落ちます! 殿下、これは弔い合戦です!公主の死を無駄にはできません!」白諍は冷北が間者だと知った。冷北は情が移った安寧を殺せず、何とか懐柔しようと試みた。「北秦の兵力では西北を占領して終わる、広大な領土があるのになぜ西北にこだわる?」「一片の土地すら渡さない、私は命懸けで国境を守るわ!」安寧は冷北が将軍印を盗み、偽の軍令で靖国軍を撤退させる計画だと気づいていた。「頑固だな、それでは君を守れない」その時、白諍が戸を叩いた。驚いた冷北は安寧の口をふさぎ、将軍ならすでに休んだと嘘をつく。しかし白諍は今すぐ判断を仰ぎたいと引かなかった。冷北は安寧の口に手巾を詰め込むと回廊へ出た。すると白諍に剣を突きつけられてしまう。「間者を捕えろ!」待機していた兵士は一斉に冷北を包囲したが、冷北は白諍こそが間者だと訴えた。将軍の腹心である冷北の言葉に動揺が走る兵士たち、その時、突然、部屋の戸が開き、安寧が現れる。「冷北が間者よ!殺して!」しかし冷北は咄嗟に白諍の剣を奪い、負傷しながらも兵士を蹴散らして脱出してしまう。冷北の長きにわたる潜伏が終わり、北秦の軍営に戻った。結局、敵将の公主を殺せず皇帝から厳しく断罪されたが、使いの宦官に賄賂をつかませ、取りなしを頼んでおく。一方、安寧から文をもらった洛銘西は急ぎ琳琅に冷北の素性を調べさせた。すると北秦に潜伏する間者が冷北の母親に仕えた女を発見、実は冷北は北秦の皇子・莫北(モーベイ)だと判明する。どうやら皇帝に疎まれている庶子のため公文書に記録がなく、簡単にばれなかったのだ。「琳琅、荷をまとめてくれ、西北の戦況が悪化した、北秦は大々的な攻撃を仕掛けてくるだろう 中郎将に任じられた私が援軍を率いて向かおう」韓燁は援軍を率いて軍献城に到着した。唐石(トウセキ)将軍の報告では西北で落城していないのはもはや青南城と軍献城のみだという。すでに兵士も民も士気が下がっていたが、韓燁は皇帝からの勅命で援軍を連れて来たと訴え、山河と民を必ず守ると鼓舞した。安寧は洛銘西の返信で冷北の正体を知り、愕然とした。普通なら皇子自ら敵国に潜伏するなど考えられないが、莫北の母は身分の低い宮女ため皇帝に疎まれているという。「私の過ちだわ」安寧は自責の念に駆られたが、そこへ思わぬ朗報が届く。青南城には洛銘西の援軍が向かっていたが、軍献城にも韓燁と梓元が来てくれると分かった。莫北の元に急報が届いた。韓燁が軍献城に到着、帝梓元もすぐ近くまで来ているという。このまま帝梓元が大軍と合流すれば北秦に勝ち目はないだろう。「帝梓元を近づけるな」莫北は帝梓元を利用してある策を講じた。「知らせは送ったか?」「はい、ご指示通りに」「将軍たちを集めろ、いよいよ青南城を落とす」…安寧、この結果を望んだのは君だ…安寧は洛銘西の援軍が届くのを待ちながら孤軍奮闘した。白諍は公主である安寧を心配して撤退を進言したが、安寧は最後まで退かないという。すると兵士が駆けつけ、北秦の密書を手に入れたと報告した。「…梓元が伏兵に遭ったわ」安寧は梓元の無事を祈りながら、援軍の到着まで何とか時を稼ごうと考えた。韓燁は梓元が伏兵に狙われていると知り大営を飛び出した。一方、青南城へ向かっていた洛銘西も靖南軍が行軍の途中で北秦の伏兵に遭ったと報告を受ける。「青南城なら数日は持ちこたえられる」梓元に危険が迫っていると知った洛銘西は勅命に背き、急遽、行き先を変更してしまう。その頃、梓元たちは敵軍と交戦していた。すると思いがけず韓燁が兵を率いて現れ、加勢する。つづく( ๑≧ꇴ≦)安寧nnnnnnnnnnnnnnnnnnnん!
2024.05.20
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第36話「妻の霊位」皇商大会の結果発表の宴。季曼(キマン)は勝者となった如月(ジョゲツ)郡主の新商品に多量の水銀が含まれていると気づき、この場で検査したいと上奏した。話を聞いた皇帝は検査を許可したが、その前に如月が自ら過ちを認めてしまう。「陛下、水銀が人体に害があるとは知りませんでした」…最終決戦前、如月は凌剣星(リョウケンセイ)に新商品を見せたやむを得ず強い薬を加えたせいで自信がない如月、しかし凌剣星は至って冷静で、勝敗にはこだわっていないように見える『大人…もしや目的は勝つことではなく、寧鈺軒(ネイギョクケン)夫妻を潰すことなのですか?』…如月は凌剣星の目的が勝敗でないことから、潔く負けを認めた。そもそも水銀粉は化粧品の成分として良く使われているため罪には問われない。結局、判定だけが覆り、安全な薬草だけで作った皓雪堂(コウセツドウ)が勝者になった。すると季曼は海坊(カイホウ)の商売を発展させるため、皓雪堂の処方を公開すると宣言する。皇帝は心の広い寧夫人に敬服、海上貿易組合の会長を決めることにしたが、その時、凌剣星が御前に出た。凌剣星は聶桑楡(ニェサンユー)の霊位を示し、ここにいる寧夫人は偽物だと暴露した。実は寧夫人が別人のように変わったことから、密かに調べさせていたという。すると如月がここぞとばかりに反撃した。「陛下、この女は聶桑楡ではありません!聶桑楡は絵が得意でしたがこの者は描けません 小さくて流暢な筆跡も大きく力強くなりました 聶桑楡の陰険さに皆が恐れをなしていたのに、急に寧家の掟を廃止したわ」寧鈺軒は咄嗟に季曼をかばおうとしたが、季曼は寧家と聶家を巻き込まないよう寧鈺軒を遮った。「陛下、私は確かに聶桑楡ではありません、これは私一人の罪です」そこで季曼は温婉(オンエン)を道連れにした。「周到な罠をかけたわね…でもあなたも自分の素性も認めたら? あなたは如月郡主ではない、寧府の第二夫人・温婉でしょう?」鬼白(キハク)は確かに郡主なら寧家の事情を知らないはずだと揚げ足を取った。宴は紛糾、皇帝は激怒して皆を静めた。寧鈺軒は仕方なく最初の妻である聶桑楡が亡くなったこと、如月郡主の正体が第二夫人の温婉だと認める。すると巻き添えを恐れた檀(タン)王は全てを知る凌剣星と温婉をあっさり切り捨てた。「凌剣星よ、毒婦と結託し君主を欺いた罪は許し難い!凌剣星も捕らえよ!」凌剣星は檀王の手前、罪を認めたが、寧鈺軒と聶桑楡も同罪だと訴えた。「この女は朝廷のお尋ね者、茶幇(チャホウ)の季銘(キメイ)の娘です! 県衙を捜索すれば必ずや証拠がみつかるはずだ!」温婉と凌剣星は引きずり出された。寧鈺軒は最後まで季曼を守ろうと抵抗したが、季曼は覚悟を決める。「すまない…ゥッ」「あなたは自分の身を守って…」一方、県衙を捜索していた陶思維は青雲(セイウン)が聶桑楡に預けた姿絵と婚書を手に入れた。婚書には寧鈺軒と季曼の署名がある。「季曼?…借りを返すべき時が来たようだ」(´・ω・`)ベン…いやそれ違うドラマw皓雪堂では皆が最終戦の結果を今か今かと待っていた。すると苜蓿(ムーシュ)が駆けつけ、夫人が如月の企みを暴いて皓雪堂が首位になったと報告する。水亦清(スイイーチン)と千怜雪(センレイセツ)は抱き合って喜んだが、そこに鬼白が現れた。「夫人の周りで問題が起きた、如月の正体は暴かれたが、夫人も素性がばれたのだ 陛下は奥様をひとまず行宮に留めた…侯爺は何があっても夫人を守る、だから慌てず待とう」陶思維は皇帝と寧鈺軒のもとに証拠を届けた。「ご覧ください、姿絵の詩は聶桑楡の筆跡と違います…それから婚書がありました」皇帝はひとまず陶思維を下げ、寧鈺軒の裏切りに激高した。しかし皇帝には大罪を犯しても聶桑楡を処罰できない理由がある…皇帝は海坊で寧鈺軒と再会、県令として果たした功績を称えたすると寧鈺軒は夫人に褒美が欲しいと嘆願する『夫人は向こうみずな性格で…今後、間違いを犯すやもしれません』皇帝は寧鈺軒が珍しく褒美をねだったことに驚き、こうして明るくなったのも夫人のおかげだと喜んだ『よかろう、今後、陌玉(バクギョク)侯夫人が過ちを犯しても朕が安全を守る』…皇帝は寧鈺軒が褒美をねだった理由を知った。すると寧鈺軒は自分が罰を受ける代わりに約束通り妻を許して欲しいと嘆願する。「夫として妻を守りたいのです、実は当時の事情が分かりました」それから3日後、袁朗(エンロウ)は帰路に着いた檀王の馬車を止めた。「檀王、当時のことを調べました」実は袁定山(エンテイザン)を騙し、蔡聞正(サイブンセイ)と寧忠天(ネイチュウテン)の離間を図って殺したのは檀王だった。当時、檀王は帰順に乗り気でなかった袁定山をそそのかし、蔡聞正として寧忠天に会うよう画策、火を放ったという。檀王は知らぬ存ぜぬの一点張りだったが、袁朗は檀王が父に宛てた密書を持っていた。「これで言い逃れでできないな」「…あり得ぬ、この目で見た、密書は燃えた」「つまり密書を送ったのか」「かまをかけたな、密書は偽物だ」確かに袁郎が持っていた密書のほとんどは偽物だったが、その中の1枚だけは袁定山が身につけていたため無事だった。「父はあの日の唯一の生き残りだ」すると檀王はついに茶幇の壊滅を画策したと認めた。そこで秘密を知った袁朗を捕えろと命じたが、そこへ寧鈺軒が衛兵を率いて駆けつける…寧鈺軒は袁朗を呼び出し、凌剣星が茶幇の件に詳しいのは檀王が関わっているからだと示唆した袁朗は確かに茶幇の帰順を準備していた頃、檀王は病と称して参内していなかったと思い出す茶幇の帰順は檀王にとって大きな脅威だったはず、さらに寧忠天は政敵だった『一夜のうちに父と茶幇が消され、檀王が利を得た』『だが証拠がない」『その頃、檀王は都にいた、やり取りは文だったはずだ』しかしもう何年も前の話、密書が残っているとは思えなかった寧鈺軒は皇帝に当時の事情を説明した『茶幇の掌握に失敗したのは檀王の邪魔が入ったからでした、ご明察ください …予想通り檀王は凌剣星の命を狙いました、鬼白に守らせています 檀王一派を一網打尽にできます』すると皇帝は令牌を渡し、全権を寧鈺軒に託した…檀王は寧鈺軒と袁朗が手を組んでいたと知った。すると寧鈺軒は檀王を反逆の罪で捕らえるよう命じ、皇帝の金牌をかざす。「陛下の命だ、抵抗すれば切り捨てる!」「チッ!御前で決着をつける!」檀王は大人しく引き返し、県衙の牢に入った。皇帝が自ら審問するため県衙の牢に現れた。檀王は寧鈺軒が逆賊と結託して自分を陥れたと訴えたが、寧鈺軒は檀王が遠定山に送った密書を示す。…蔡聞正は朝廷に重用されない、貴殿は不服であろう、私に協力すれば茶幇の未来は輝かしく、豊かに暮らせる…皇帝は確かに檀王の筆跡だと確認したが、檀王は偽造だと否定した。「寧鈺軒、他に証拠の品はあるか?」「はい陛下、証人がおります」すると傷だらけになった凌剣星が現れた。護送中の凌剣星に刺客を放った檀王は目を疑ったが…。つづく(  ̄꒳ ̄)いやあ~時系列がちんぷんかんぷんですよw
2024.05.18
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第35話「万事休す」寧鈺軒(ネイギョクケン)の父・寧忠天(ネイチュウテン)を殺したのは蔡聞正(サイブンセイ)を装った袁朗(エンロウ)の父だった。しかし季曼(キマン)はこれ以上、親の代の仇を引きずって悲劇を続けたくないと訴える。寧鈺軒は敵の息子を前に激情に駆られたが、何とか冷静さを取り戻した。「詳しく調べる、それまで決着は持ち越す」一方、季銘(キメイ)は娘が海坊(カイホウ)に戻ったと聞いていた。船員は老爺の指示通り止めなかったという。「娘が選んだ道なら父親としてなすべきことは何だと思う?」すると季銘は全力で季銘を守るよう命じ、海坊に引き返すことにした。寧鈺軒は季曼を連れて県衙に戻った。季曼と鬼白(キハク)は考え込んでいる侯爺を黙って見守っていたが、やがてふいに寧鈺軒が口を開く。「やはり裏に何かありそうだ、遠定山の策略なら誰が火を放った? 茶幇の2番手が仲間まで見殺しにするだろうか?…誰の思惑だ?」その時、寧鈺軒と季曼は同時に檀(タン)王と叫んだ。「実は帰海号の出航も凌剣星(リョウケンセイ)に秘密を知られたからだったの」季曼はもはやどこへ逃げようと危険だと悟り、ここに残って寧鈺軒と戦うと言った。すると寧鈺軒は必ず季曼を守ると誓い、準備していた婚書を渡す。「正式な結納も友の祝福もない…それでもいいかい?」「星たちが見ていてくれる、あなたに嫁ぐわ」そんな2人の姿に触発された鬼白はその夜、水亦清(スイイーチン)を訪ねた。「今まで私に勇気がなかったせいで君を悲しませてきた…今なら言える、一緒になりたい!」水亦清は鬼白の告白が終わるのを待ちきれず、思わず先に口づけした。凌剣星は季曼が海路を使って瓶を仕入れたと聞いた。そこで袁朗に茶幇の残党83名の名簿を渡し、朝廷に引き渡されたくなければ船を港に入れないよう脅す。袁朗は兄弟を守るため仕方なく船を襲うことにしたが、季曼には匿名の文で荷物が劉(リュウ)家村にあると伝えることにした。しかし皓雪堂(コウセツドウ)へ向かっていた趙虎(チョウコ)がちょうど巡回中の陶思維(トウシイ)の目に留まってしまう。…凌剣星が袁朗に荷を奪わせると言っていた、皓雪堂へ知らせるつもりかもしれぬ…「皇商大会が終わるまで捕らえておけ」一方、歓顔(カンガン)堂では思わぬ騒ぎが起こっていた。銭一明(センイツメイ)の処方通りに作った試作品が失敗、侍女の顔がただれてしまう。如月(ジョゲツ)は激怒したが、銭一明は強い薬を加えれば効果が出ると訴えた。「ただ副作用が現れることが難点です…」「この戦いに勝つことが先決よ!薬を入れて構わないわ!」その頃、皓雪堂にも危機が訪れていた。実は船が港に入る直前に海賊に襲われ、積荷を全て奪われてしまったという。商品があっても詰め込む瓶がなければどうにもならない。皆が絶望する中、季曼は必死に他の手立てを考えるが…。皇商大会の第2戦、如月郡主率いる歓顔堂が期限前に商品を1000個収め、一番乗りで合格した。しかし季曼たちは線香が燃え尽きそうになっても現れず、寧鈺軒は内心、気が気でない。すると刻限ぎりぎりになってついに季曼たちが到着した。「お待たせしました!商品を検査してください!」皓雪堂は無事に商品を収めて合格した。実は街中に″本日の午前中に限り、非晩霜の空き瓶を商品券と交換します″と触れ書きを貼ったという。「皓雪堂のお客様の支えで課題をこなせました」結局、間に合わなかった清心(セイシン)堂が敗退、最終戦は皓雪堂と歓顔堂の一騎打ちとなった。成功を目前にまたもしてやられたと憤る凌剣星。しかし阿正(アセイ)が思わぬ証拠を持って戻ってきた。実は聶向遠(ニェキョウエン)が立ち寄った古寺である位牌を見つけたという。そこには″聶桑楡の霊位″と彫られていた。陶思維は想い人だった聶桑楡の無念の死を知り、人知れず憎しみを募らせていた。そこで季曼が聶桑楡ではないと証明するため、ある策を講じる。ある日、県衙に青雲(セイウン)がやって来た。青雲は陶思維が自分の姿絵を描いてくれたと嬉しそうに報告し、姉に詩を書き入れて欲しいと頼む。「分かったわ」檀王が海坊に到着した。しかしわずか数ヶ月の間に海坊は寧鈺軒のせいですっかり雰囲気が変わってしまったと嘆く。「凌剣星…何をしておる?!よくも…ギギギギ…」檀王は激怒したが、凌剣星は実は聶桑楡が偽物だったと報告した。「今度こそ寧鈺軒の息の根を止めて見せます!」「忘れるな、皇商大会の一戦で寧鈺軒が無事なら死ぬのはお前だ」皇商大会の最終戦、如月は到着した檀王に挨拶した。「如月がご挨拶します、舅父大人」「そなたが如月か、そなたは幼い頃から病弱で会う機会がなかったな しかし公平な場で私が手を貸すことはできぬぞ?」「実力で勝って見せます(๑•̀ㅂ•́)و✧」季曼は2人の白々しい芝居に呆れていたが、新商品には自信を持っていた。最終戦は皇帝の臨席を賜り、最終結果の宴が開かれた。すでに内侍省の審査により優勝者が決定、秦奕閑(シンエキカン)が御前に出て発表する。「まずは化粧品部門から…優勝は(はっ!)歓顔堂とする」如月は皇商の認定証を受け取ると、季曼の席まで挨拶に向かった。「寧夫人、勝たせていただきました」「おめでとうございます」その時、季曼は偶然、如月の手がひどくかぶれていることに気づいた。そこで皇帝に如月郡主の手が荒れているため、非晩霜を渡したいと上奏する。「あ、でも確かあなたの商品にも同じ効能があったはず…どうして使わないの?」「余計なお世話です」長年、化粧品を研究してきた季曼はすぐにぴんと来た。実は多くの化粧品には美白や艶を出すため少量の水銀が含まれているが、量が多すぎると副作用が出てしまうという。「これは花粉の過敏症による発疹よ」「発疹ならただれることはない、それは水銀中毒の症状よ?」季曼は他の商家の手本となる商品に大量の水銀が含まれているのは危険だと指摘、この場で検査したいと嘆願した。つづく( ゚ェ゚)ちゃんと消毒したよね?@リサイクル瓶
2024.05.17
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第34話「漏らされた秘密」聶向遠(ニェキョウエン)は海坊(カイホウ)で季曼(キマン)と再会。やはり見分けがつかないほど姉妹が似ていると驚嘆しながら、桑楡(サンユー)を看取ることもできなかったと涙した。しかし季曼から青雲(セイウン)に縁談話があると聞いて目を丸くする。実は青雲は父から海坊を訪ねると文をもらっていたが、陶思維(トウシイ)の求婚ですっかり舞い上がり、姉に報告するのを忘れていた。聶向遠は自分と同じ武人である陶思維と娘の縁談を喜んだ。そこでその夜、季曼は寧鈺軒(ネイギョクケン)の協力のもと、県衙で陶思維と青雲の婚約をまとめることにする。陶思維は聶桑楡への想いを封印、青雲に婚約の証しとして陶家伝来のかんざしを贈った。すると青雲も自分で刺繍した手巾を渡し、2人の縁談はすんなりとまとまる。聶向遠は急ぎ正式な婚約の儀を行うと決めたが、その前に寧鈺軒と話さねばならないことがあった。祝宴がお開きになり、寧鈺軒と聶向遠は偏殿で2人になった。寧鈺軒は岳父がすでに聶桑楡の死を知っていると聞いて謝罪したが、聶向遠は自分が甘やかしすぎて横暴な娘になってしまったと反省する。「もっと厳しく躾けていればこんな不幸は起こらなかっただろう」「救出した桑楡が別人だったとは予想外でした、詳しく調べていればあるいは… 私がうかつだったのです」「聶桑楡が双子だと知らなかったのだ、仕方がない」すると寧鈺軒は古寺に聶桑楡の位牌を納めたと報告した。聶向遠は季曼との関係をどうするのか心配したが、寧鈺軒は季曼を傷つけるようなことはしたくないという。しかしその話を運悪く陶思維が立ち聞きしていた。…聶桑楡が死んだ?!変わったと思っていたが別人だったとは…季曼は酔っ払った青雲を送って行くことにした。すると中庭で陶思維に呼び止められ、聶桑楡に話があるという。季曼は仕方なく青雲を苜蓿(ムーシュ)と桑葚(ソウシン)に任せたが、陶思維の態度は今までとどこか違っていた。「時が経つのは早いな、幸い、君は夢を叶えた、今では店を持つ身となったな」「色々あったけれど何とか叶ったわ」「そうか?あの頃の君の夢は愛する人に嫁ぐことだったぞ? ふっ…君は変わった、人好きのする女子になって、まるで別人のようだ」そこで陶思維は季曼が知るはずのない学堂時代の話を始めたが、季曼は咄嗟に遮った。「今は黙って見守って欲しい、まだ明かせない事情があるの、いずれ話すわ ただあなたと青雲との幸せは私の願いよ」「…ありがとう、もう休むよ」季曼は陶思維が自分の正体に気づいてしまったと分かった。季曼は念のため寧鈺軒に陶思維に気づかれたと報告した。なぜばれたのか分からなかったが、寧鈺軒は誠実な陶思維を信じているという。その時、荷物をまとめた苜蓿と桑葚がやって来た。「じゃあ行くわね、県衙にいる間、面倒をかけたわ…ありがとう」「いいんだ」こうして季曼は後ろ髪を引かれる思いで県衙をあとにした。…寧鈺軒、無理しないで、私のために苦しむ姿はもう見たくない……季曼、そなたのためなら何もかも手放せる、でもそれは裏切りになるだろうか?…一方、深手を負った鬼白(キハク)は水亦清(スイイーチン)の秘伝の処方と献身的な介抱で元気になった。すると鬼白はこの機に自分の気持ちを伝えることにする。「水姑娘、私は明日をも知れない命、君を幸せにできない」「分かってる、でも平気よ、気にしない、あなたの心にいるのが私ならそれでいいの」如月(ジョゲツ)は凌剣星(リョウケンセイ)に陶器の瓶を買い占めたと報告、これで聶桑楡に勝ち目はないと自信を見せた。その時、突然、外が騒がしくなる。凌剣星は如月に物陰に隠れるよう指示すると、そこへ陶将軍が阿正(アセイ)の首をつかんで乗り込んできた。「2人だけで話がある」陶思維は凌剣星に聶桑楡の正体を暴いて帰って行った。にわかに信じられない凌剣星だったが、如月は自分も聶桑楡が別人だと疑っていたという。「合点がいきます、今の聶桑楡が以前の聶桑楡と違うのは確かです」しかし確認しようにも父親の聶向遠は今、海坊を離れていた。そこで凌剣星は季曼の父である季銘(キメイ)を訪ねることにする。「大会の選抜について意見を聞きたくてな…そう言えばご息女がおられるとか? 豪商の父がいれば優勝は間違いないだろう、なぜ出場しない?」「娘は病弱なため故郷で静養しております」「都の名医を紹介するぞ?」「感謝します、ただ都の乾いた空気は病を悪化させてしまいます」「それで養女に肩入れを?…寧夫人の義父だそうだな?関係者は大会の公平さが疑われている」「だが如月郡主も出場されているとか、聶桑楡以上に不満が出ているのでは?」季銘は急ぎ皓雪堂(コウセツドウ)に駆けつけ、凌剣星が季曼の素性を探りに来たと伝えた。聶桑楡が別人だと明かされれば季曼だけでなく寧鈺軒も命がない。「今すぐ出航だ、今日中に発たねばならぬ」すると桑葚は密かに寧鈺軒へ知らせを送った。…小姐の素性が暴露、老爺は小姐を連れて雲州に逃げます…季銘は船の準備を整え、急遽、港を離れた。息急き切って駆けつけた寧鈺軒だったが、夜の海は穏やかで帰海号も船員の姿もない。寧鈺軒は急に全身の力が抜けたように桟橋にしゃがみ込み、途方に暮れた。「もし、もう一度会えるなら…ゥッ…」「もう一度会えるならどうするの?」その声は季曼だった。固く抱き合い、互いの想いを改めて確認する2人、すると突然、袁朗(エンロウ)が現れる。「小妹、君の船出を見送りに来た」「私は行かない、今後は何があっても寧鈺軒と立ち向かうと決めたの」袁朗は季曼の決断を尊重したが、実は茶幇(チャホウ)のことで話があるという。袁朗は最近、様子がおかしかった。今夜も話があると言いながら酒をあおり、なかなか切り出そうとしない。季曼は困っているなら一緒に解決しようと言ったが、袁朗は解決の道などないと嘆いた。「寧鈺軒、小妹と別れたのは間違いだ、お前たちの間に親の仇はない」実は寧忠天(ネイチュウテン)を殺したのは蔡聞正(サイブンセイ)を装った袁朗の父だった。袁朗は自分こそ寧鈺軒の敵だと訴え、敵を討ちたければ自分を殺せと迫る。ようやく決心して真相を話したのは季曼の幸せのためだった。役人など皆、傲慢で民を虫けらのように見下していたが、寧鈺軒だけは違ったという。「お前は全ての民を幸せにできる男だ、立派な役人だよ!」「お前の父が…私の父を殺した?」「そうだ、都でお前を狙ったのも俺だ、俺が阿狼(アロウ)だ」「知っていた、だが蛟龍(コウリュウ)幇を再起させる姿を見て見逃したんだ、なのになぜなんだ?!」寧鈺軒は激高して袁朗の胸ぐらをつかんだが、季曼が2人の間に割って入った。「親の代の仇で散々、苦しんできたわ、まだ悲劇を続けるつもり?!」つづく( ๑≧ꇴ≦)やっぱり一緒にいる~!って…今さら感w
2024.05.16
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第33話「暴かれた過去」間者の目を欺くため、思わず季曼(キマン)を抱きしめた寧鈺軒(ネイギョクケン)。夫婦の様子を探っていた間者はすぐ引き上げたが、寧鈺軒はなかなか季曼を手放せなかった。「…郡主の店には警告のために行ったんだ、誤解するな」「ふふ…私が妬むと思ったの?」季曼は言い訳する寧鈺軒に思わず笑みがこぼれたが、ふいに冷静になった。「間者は?」「去ったよ」「早く言ってよね」すると季曼は慌てて寧鈺軒から離れ、母屋へ戻ってしまう。阿正(アセイ)は凌剣星(リョウケンセイ)に寧夫妻が不和どころか仲睦まじいと報告、監視の必要はないと結論づけた。「別の策を講じては?」実は手を組んだはずの袁朗(エンロウ)の動きがどうも不可解だという。船を襲撃しているものの失敗を繰り返し、蛟龍(コウリュウ)幇にしてはやけに手ぬるかった。袁朗は商船を襲っても失敗したとみせかけ、のらりくらりと時間を稼いでいた。故意だと気づいた凌剣星は袁朗を呼び出したが、袁朗は不首尾だったと手付け金を返す。すると凌剣星は袁朗を自分に従わせるため切り札を出した。「お前の父親は寧鈺軒の親の敵であり、茶幇(チャホウ)の敵でもある」かつて茶幇の幇主・蔡聞正(サイブンセイ)は朝廷への帰順を決意した。しかし袁朗の父で2番手だった遠定山(エンテイザン)は従わず、幇主の名前で寧忠天(ネイチュウテン)を呼び出し斬殺したという。「疑うなら自分で確かめるんだな」遠定山は呉(ゴ)叔たちと人里離れた山奥でひっそりと暮らしていた。すでに父は成長した息子の姿も分からないほど衰弱していたが、袁朗から茶幇の話を聞くと急に興奮してしまう。「お前は何者だ?!どこから来た?!阿狼(アロウ)はどこだ!」「蔡聞正を装って寧忠天を殺し、茶幇を裏切ったのは本当か?!本当なのか?!」父子の言い争う声に驚いた呉叔たちは慌てて駆けつけ、2人を引き離した。しかし遠定山がその場にひざまずき、自分が悪かったと謝罪しながら倒れてしまう。「過ちを犯した…何もかも私のせいだ…」皇商大会の第2戦の課題は商品を1000個作って期限内に収めることだった。如月(ジョゲツ)は嫌がらせに膏薬作りに長けた女子を全員、雇ったが、聶桑楡(ニェサンユー)が慌てている様子はないという。実は鬼白(キハク)から人手不足だと聞いた寧鈺軒が季曼に恩がある女たちに声をかけ、働き手を集めていた。「見張りを続けて、また窮地に追い込んでやる」面白くない如月は次に海坊(カイホウ)にある陶器の瓶を全て買い占めた。袁朗は急遽、招集をかけ、旧茶幇の兄弟たちに真実を明かして謝罪した。「茶幇が潰れたのは父のせいだった…父は蔡幇主を装って寧忠天を殺した その裏切りが茶幇壊滅と大勢の仲間の死を招いたのだ…全ての元凶は俺の父だった、 親の咎は子が負わねばならぬ、俺を斬れ!」袁朗はひざまずいて自分の前に剣を置いた。しかし兄弟たちは過去を水に流し、再び結集できたのも袁朗のおかげだと感謝する。「流浪せず、こうして安心して暮らせるようになったのも幇主のおかげだ」すると兄弟たちは拝礼し、これからも幇主に従うと誓った。季曼は父に事情を話し、陶器の瓶を海路で運んで欲しいと頼んだ。海運に関して右に出る者がいないと言われる帰海一刀(キカイイットウ)、季銘(キメイ)は娘のたっての頼みとあって快諾してくれる。安堵した水亦清(スイイーチン)は苜蓿(ムーシュ)と買い出しに出かけた。今日も鬼白は密かに水亦清を見守っている。すると水亦清たちが店に入ったところで再び銭一明(センイツメイ)が現れた。罠とも知らず追いかけた鬼白は袋道で銭一明を見失い、潜んでいた刺客に襲撃されてしまう。寧鈺軒は鬼白が深手を負ったと聞いて駆けつけた。「何があった?!」「分かりません、店で買い物していたら怪我人だという声が聞こえて… そうしたら鬼白が倒れていたんです」胸の傷を見るに刺さったのは十字の弩(ド)、どうやら至近距離で狙われたらしい。水亦清は最近、許嫁だった銭一明につきまとわれていたと明かし、鬼白が襲われたのは自分のせいだと涙した。「銭一明か…鬼白を頼む」鬼白はうわ言で水亦清の身を案じた。「私は侍衛、死と隣り合わせだ、命は短い… 望みはただ一つ、君が生涯、安全でいること…命を懸けて君を守る 君のことを守りたいんだ…」「バカね、好きなら好きと言ってよ…」水亦清は鬼白が自分を突き放した理由を知り、心配しながらも笑顔になった。銭一明は鬼白が深手を追えば必ず、水亦清があの秘伝の傷薬を使うと踏んだ。すると案の定、水亦清に頼まれた処方を持って苜蓿が薬舗に駆けつける。銭一明は苜蓿が慌てて店主に頼んでいる薬材を暗記、その処方を如月郡主に渡した。「私の家は薬を作っていました、薬材のことは全て頭に入っています 調合すれば功を奏すはずです」「いいわ、調合から商品作りまであなたに一任する」一方、季曼は帰海号で父の仕事を手伝っていた。間者もいなくなり娘が戻ってくるのを楽しみに待っている季銘、しかし季曼は荷物を大体まとめたと言いながら歯切れが悪い。その時、都から聶向遠(ニェキョウエン)が到着した。季曼と再会した聶向遠はやはり桑楡と瓜二つだと驚き、複雑な心境になってしまう。「私でさえ見分けがつかん、だが天は桑楡に残酷な仕打ちを…」つづく( ๑≧ꇴ≦)机に腰掛けてガックシしている侯爺が可愛いw
2024.05.15
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第32話「皇商大会初戦」いよいよ皇商大会の初戦。参加する商店は各部門ごと自慢の商品で品質を競うが、寧鈺軒(ネイギョクケン)は凌剣星(リョウケンセイ)を牽制するため、最終的な判断を民の投票に委ねると決めた。季曼(キマン)率いる皓雪堂(コウセツドウ)は人気商品の非晩霜(ヒバンソウ)で勝負、すでに愛用者が多いお陰で客が殺到する。そこで如月(ジョゲツ)郡主は歓顔堂(カンガンドウ)に投票してくれれば明月霜(メイゲツソウ)を1個贈呈し、さらに1年間は半額で購入できると謳った。商品ではなく特典で客を集める邪道な歓顔堂、しかし思いがけず客たちは非晩霜にも負けていないと明月霜を絶賛する。審査官による検査結果でも2つの商品は品質も使用感もほぼ同じだと判明し、審査は店主が提出した成分で優劣をつけることになった。するとほぼ同じ成分ながら、明月霜に貴重な薬剤が一種多く配合されていると分かる。如月は自慢げに季曼も明月霜を使ってはどうかと1瓶、渡した。「では遠慮なく」季曼は早速、蓋を開けて匂いを確認すると、確かに明月霜には″犀牛角(サイギュウカク)″が入っていた。処方を盗まれたのは明らかだったが、証拠がなければ追及することもできない。こうして民の投票は高価な薬剤を使った歓顔堂に流れ、皓雪堂は2位に甘んじた。季曼は大会のお陰でむしろ処方を盗まれていたことが分かったと前向きにとらえた。恐らく勝負は最終戦までもつれそうだが、まだ新商品の処方を決めかねている。そんな中、水亦清(スイイーチン)のもとに再び銭一明(センイツメイ)が現れた。「一緒に帰って幸せに暮らそう」しかし鬼白(キハク)が駆けつけ、腕をひねり上げられてしまう。水亦清は銭一明が許嫁だったと明かし、その実、自分が持っている秘伝の処方が狙いだと呆れた。「銭公子、水姑娘に二度と付きまとうな」「俺よりこんな侍衛がいいのか?!」すると水亦清が激怒、銭一明を往復びんたして追い返した。水亦清は新商品の処方に悩む季曼に秘伝の処方を渡した。実は水亦清の実家は都で薬舗を営んでいたが、父から死に際に託されたという。「新商品の助けになるかも」「だめよ、もらえないわ」「いいから受け取って、この難関を越えることが急務なのよ?」「私を信じてくれるのね、ありがとう」県衙には相変わらず間者が張り付いていた。仲睦まじい夫婦を演じながらも一線を画す季曼、しかし寧鈺軒は季曼が心配でたまらない。「処方を盗まれた件は私が調べよう…で、対策はあるのか?」「新しい処方は考えた、明日、薬草を採りに行くの」「私も行こう!…あ、他意はない、また処方を盗まれないよう用心しなくては」「そうね」一方、如月は侍女の蘭児(ランR)から水亦清と争っていた男がいたと聞いて早速、会うことにした。銭一明の話によると水亦清は罪人の娘だが、家伝の傷薬の処方を握っているという。如月はその処方を手に入れれば凌剣星に引き合わせると約束、喜んだ銭一明は期待に応えて見せると誓った。翌朝、寧鈺軒は秦奕閑(シンエキカン)に呼ばれて歓顔堂に駆けつけた。実は郡主から屋根の修理を命じられ直させたが、今度は梁が傾いていると言いがかりをつけられ、寧鈺軒を呼ぶよう頼まれたという。その頃、凌剣星から脅された袁朗(エンロウ)は季銘(キメイ)に相談していた。季銘は凌剣星の世代で茶幇(チャホウ)の事情を詳しく知るはずがないと困惑したが、袁朗は裏に大物がいる可能性を示唆する。ともかく黄漢(コウカン)に凌剣星を探らせ、略奪の任務は一芝居打って失敗したように見せかけることになった。季曼たちは約束の時間になっても現れない寧鈺軒を諦め、薬草採りに出発した。すると歓顔堂の前に人だかりができている。何でも店の梁が傾いてい今にも潰れそうだとか。苜蓿(ムーシュ)と桑葚(ソウシン)は自業自得だと失笑したが、その時、店の中にいる寧鈺軒に気づいた。野次馬は面白がって寧大人が正室を捨てて高貴な郡主を選ぶのではと揶揄し、傷ついた季曼は足早に去ってしまう。如月は寧鈺軒を引き止めるため、職人たちが何度、修理してもまだ問題があるかもしれないと難癖をつけた。「全員で屋根に登って点検しなさい!」職人たちは仕方なく一斉に屋根に登ったが、そのせいで屋根が崩れ、ちょうど下に置いていた薬材が台無しになってしまう。「なんてこと…全員、棒打ちよ!」しかし寧鈺軒はそもそも命じたのは郡主だったと指摘、職人には急ぎ屋根の穴を直すよう指示した。「ただ…一月はかかるな」「一月ですって?!…聶桑楡(ニェサンユー)に勝たせるためにわざとやったわね!」すると妻の名前を出された寧鈺軒はさすがに我慢も限界、秦奕閑を連れて帰ってしまう。陶思維(トウシイ)は聶桑楡から聶青雲(ニェセイウン)との縁談を勧められ困惑していた。するとその夜、客桟の中庭で偶然、青雲に会いに来た聶桑楡と出くわす。陶思維は聶桑楡との将来に希望があるか探ろうとしたが、陶思維の気持ちを知る由もない季曼は妹の幸せが自分の幸せでもあると訴えた。…確かに青雲は良い子だ、もう諦めて手の届く相手を大切にするべきなのか?…「分かった、私は青雲を娶る、女は青雲ただ独り、側室は持たぬ」その言葉をちょうど中庭に出てきた青雲が聞いていた。「本当なの?!私を娶ってくれるのね!」季曼は聶桑楡の代わりに青雲の幸せを見届け、そこで帰って行った。寧鈺軒は季曼がまだ戻っていないと知り、回廊で待っていた。すると夜も更けた頃になってやっと季曼が帰ってくる。「遅かったな、今日は悪かった」「梁の修理でしょう?」「知っていたのか、あれは秦奕閑に呼ばれて…」「説明は結構よ」季曼は母屋に戻ることにしたが、急に寧鈺軒が腕を引っ張って季曼を抱きしめた。「間者だ」その時、ちょうど阿正(アセイ)が物陰から2人の様子を見ていた。つづく(-_-)ん〜侯爺と季曼のシーンが激減したせいで盛り上がらないのかしら?いやどうした?(←何が?w
2024.05.14
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第31話「復讐のための生還」…凌剣星(リョウケンセイ)が海坊(カイホウ)へ出立する数日前のこと檀(タン)王は利で動く輩では信用できず、既存の商家を頼らずに自分たちの手の者を仕込むという実は檀王には妹がいた辺境に嫁いでから行き来はなかったが、いずれは郡主である姪を高官に嫁がせようと考えていたというしかし最近、姪が砂嵐に巻き込まれて行方知れずだと聞いた『もはや生きてはいまい…』『つまり誰かを郡主に仕立て、皇商大会に出すおつもりで?』『だが相応しい者の心当たりがない』『最適な人物がおります』凌剣星は罪人となった温婉を救ったもし寧鈺軒への想いを断ち切って自分の駒となるなら贅沢な暮らしを与え、檀香(ダンコウ)も助けるという温婉は寧鈺軒に未練があったものの、生き延びるために情を捨てた…凌剣星は如月(ジョゲツ)郡主に皇商大会の規則を教えた。審査は3段階、初戦は部門ごとに自慢の商品で品質を競う。第2戦では生産能力が試され、規定の刻限までに商品を納めることが要求される。そして最後は独創性を競い、勝ち抜けば皇商に選ばれ、海上貿易組合の会長に任命されるという。凌剣星はすでに各部門に手の者を配してあると教えた。実は最近、寧鈺軒夫婦が仲たがいし、聶桑楡(ニェサンユー)が県衙を出たという。「人に見張らせている」「夫婦仲が悪いと噂になれば寧鈺軒の評判は落ちますね?」凌剣星は反応を見たが、如月は冷静だった。温婉が舞い戻ったことで皓雪堂(コウセツドウ)の結束は一層、強まった。どんな計略にも負けないよう監視も怠らない。実は寧鈺軒も密かに季曼の警固を鬼白(キハク)に任せていた。今日も夫人が無事に店に入るのを確認した鬼白、するとちょうど水亦清(スイイーチン)が出勤してくる。水亦清は店の前で銭一明(センイツメイ)にしつこく引き止められたが、何とか振り払って店に入って行った。すると激怒した鬼白は男を横道に連れ込み、ボコボコにしてしまう。「なぜ水姑娘につきまとう?」「俺は清清の知り合いだ!」「清清だと?!うせろ!二度と現れるな!」県衙に戻った鬼白は夫人を探る間者がいると報告、実は寧鈺軒も誰かにつけられていると教えた。「凌剣星か温婉だ、私たちの不和を察したのだろう…調べたければ好きにさせるさ」そこで寧鈺軒は帰海号に季銘(キメイ)を訪ね、事情を説明した。実は袁朗(エンロウ)も黒装束の男を見かけたという。「誥命(コクメイ)夫人の妻と私が不仲だと陛下の耳に入れば重い罪に問われます そこで間者の前で一芝居打つつもりです」寧鈺軒は季曼に県衙に戻って欲しいと頼み、皇商大会が終われば必ず船に戻すと約束した。困惑する季銘だったが娘の安然のためならと決断し、皇商大会が終わったら聶桑楡の死を公にするよう迫る。「それでこそ曼児は自由になれる」「…いいでしょう」凌剣星は阿正(アセイ)から如月が一度も寧鈺軒を訪ねていなと聞いて安堵した。しかし間者の話では昨夜、帰海号に住んでいた聶桑楡が寧鈺軒と一緒に県衙へ帰ったという。すると翌日、凌剣星は買い物に来ている寧鈺軒夫妻と出くわした。夫婦が和解したという報告はどうやら事実らしい。寧鈺軒と季曼は仲睦まじい夫婦を演じて凌剣星と別れた。季曼は凌剣星が道を曲がって戻ってこないことを確認、その途端、笑顔が消えて他人行儀に戻る。「店に戻るわね」「送って行くよ」「独りで大丈夫」その夜、なかなか寝付けない季曼は中庭へ出た。するとちょうど考え事をしていた寧鈺軒とかち合ってしまう。寧鈺は海坊への道中で季曼と星を眺めたことを思い出し、確か一番、明るい星が参宿(シンシュク)だったと言った。「まだ覚えていたのね…あの時、参宿の反対側にあるのが商宿(ショウシュク)だと話したわ 2つの星は永遠に出会うことはない、それが宿命なの」「私が商宿ならたとえ光を失おうと全力で参宿に会いに行く」「…2つの星は出会えたとしても近づけない、それぞれの軌道を進むしかない」「そうだな、運命で定められた隔たりは越えられない…もう休むよ」皓雪堂の今月の売り上げは倍増、皇商大会でも勝ち抜けそうだと期待が高まる中、秦奕閑(シンエキカン)が水を差した。実は如月が歓顔堂(カンガンドウ)を買い取って店を再開するという。郡主の店とあって名士たちがこぞって親交を持ちたがり、鳴り物入りの開店だった。「正面対決するつもりだ」すると郡主を調べていた鬼白が現れた。温婉は都への護送中、病で死んだことになっているという。しかも郡主の証書をもっているため疎漏は見つからなかった。陶思維(トウシイ)が店にやって来た。季曼は青雲(セイウン)との縁談を進めたかったが、陶思維は青雲を妹としか見られないという。「お似合いだと思ったけど…嫌ならいいの、大事なのはお互いの気持ちだから ただ最近、思うことがあってね、良縁にめぐまれたら逃さないで掴み取って欲しい」陶思維は思い切って本心を明かそうとしたが、運悪くそこへ青雲が現れた。すると季曼が青雲のために席をはずしてしまう。焦った陶思維は自分も用事を思い出したと断り、出て行った。一方、凌剣星は蛟龍(コウリュウ)幇の新幇主である袁朗(エンロウ)を懐柔しようとしていた。実は凌剣星は前幇主の沈連成(シンレンセイ)から蛟龍幇に茶幇の残党がいると聞いたという。「寧大人が知ったらどう思うかな?」すると凌剣星はある仕事を頼みたいと切り出し、多額の手付金を差し出した。つづく( ๑≧ꇴ≦)いーにゃんがオカルト!w
2024.05.13
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第30話「残酷な事実」山草採りに出かけた季曼(キマン)は雷雨に見舞われ、転んで動けなくなった。そこへ思いがけず寧鈺軒(ネイギョクケン)が駆けつける。「なぜ私を避けるんだ?!」「私のことは忘れて…」季曼は居たたまれなくなって去ろうとしたが、寧鈺軒は訳が分からず引き下がれない。「無理だ!今生で私の心にはそなただけ…私を信じてくれ」すると季曼はついに理由を明かした。「私の本当の父は蔡聞正(サイブンセイ)なの」実は聶桑楡(ニェサンユー)と季曼は蔡聞正の双子の娘で、生まれてすぐ別々に引き取られたという。確かに2人が双子なら間違って入れ替わった説明がつく。寧鈺軒は激しい衝撃を受け、もはや季曼を追いかける気力も失い、そのまま動けなくなった。寧鈺軒が目を覚ますと県衙に戻っていた。鬼白(キハク)の話では寧鈺軒は2日も昏睡していたという。すると寧鈺軒は鬼白に季曼が蔡聞正の娘だと明かし、季曼に関わる物を全て片付けるよう命じた。その夜、千怜雪(センレイセツ)は県衙に戻ってこない季曼を心配し、店まで迎えに来た。「大夫人、もしかして表哥と喧嘩した?私には何も話してくれないの?」季曼は海坊を去る前に仕事を片付けたいと話し、千怜雪にも自分が聶桑楡ではないことを明かした。「私は帰海一刀(キカイイットウ)の娘なの、寧鈺軒とは夫婦じゃないと分かった でも誥命(コクメイ)夫人の身分が妨げになって言えなかったの、機を見て季曼に戻るわ」千怜雪は狐につままれたような顔をしていたが、それでも従兄にとって季曼の代わりはいないと訴える。しかし夫婦にどんな美しい思い出があろうと、季曼は二度とあの頃には戻れないと分かっていた。「私が誰であろうと私たちは最高の仲間よ、今までも、これからもね…」皇帝が皇商大会のため海坊に出かけることになった。聶向遠(ニェキョウエン)は街の守りを固めるため、急ぎ海坊へ向かうと決める。一方、転運使(テンウンシ)に任命された凌剣星(リョウケンセイ)は海坊への道中にいた。侍衛の阿正(アセイ)はすでに大半の商人と話をつけていたが、生産から販売まで担う皓雪堂(コウセツドウ)には手が出せないという。しかし凌剣星にはある有力な駒があった。季曼は鬼白を店に呼んで寧鈺軒の様子を聞いた。「正直に申します、昨夜は心の病がぶり返し、氷水に一時、浸かっていました …でもなぜ救ったことを内緒にするのですか?」あの時、季曼は逃げるように去ったが、途中で寧鈺軒が心配になって引き返し、雨の中で倒れている寧鈺軒を救った。「私たちは会わない方がいい、それが2人にとって最善の道なの」そんなある日、皓雪堂の水亦清(スイイーチン)を訪ねて都から銭(セン)公子がやって来た。しかし水亦清は公子の甘い言葉が全て芝居だと分かっている。「あなたに清清と呼ばれると吐き気がするの…帰って」凌剣星は海坊に到着すると早速、寧鈺軒夫妻を食事に招いた。しかし聶桑楡の姿はない。寧鈺軒は仕事で忙しいとごまかしたが、凌剣星は阿正の報告通り2人が不仲だと怪しみ、県衙を訪ねて挨拶したいという。「陛下からの命なのでね…」寧鈺軒は仕方なく凌剣星を県衙に案内した。すると鬼白から知らせを聞いた季曼が駆けつけ、仲睦まじいふりをしてくれる。当てが外れた凌剣星は引き上げたが、鬼白が夫人を呼びに行ったと気づいていた。「阿生、聶桑楡を見張り、不仲の程度を探れ」「はい、如月(ジョゲツ)郡主がもうすぐ到着します」一方、季曼はほとぼりがさめるまで県衙で時間を潰した。やがて日が暮れる頃、独りで屋敷を出たが、その姿を寧鈺軒は物陰から寂しそうに見ていた。皇商大会には当地の商人の他に各地から商人が招かれた。多くの商人たちが集る中、最後に参加者の1人である如月郡主が到着する。すると輿から現れたのは都へ護送されたはずの温婉(オンエン)だった。凌剣星は他人の空似に過ぎないと一蹴、檀(タン)王の姪である如月郡主に無礼があれば檀王や皇帝の怒りを買うと釘を刺す。こうして船舶司の設立と皇商大会の開始が宣言されたが、千怜雪は郡主となって戻ってきた温婉に怒り心頭だった。開会の儀が終わると千怜雪が温婉を引き留めた。「罪人のくせに…とぼけないで!」如月はあくまで人違いだとしらばくれたが、侍女が無礼な千怜雪を捕えろと命じてしまう。驚いた季曼は咄嗟に千怜雪をかばい、天に背く行いはいずれ皇帝の耳に届くと警告した。「私に忠告できる立場なの?…誰か、この者を捕らえて」しかし慌てて凌剣星が止めた。誥命(コクメイ)夫人の寧夫人に下手に手を出せば大事になる。すると如月は寧夫人がどうやら自分を気に入らないようだと牽制し、大人しく引き下がった。「寧大人、寧夫人…失礼するわ」温婉が郡主となって舞い戻ってきた。どんな手を使って高貴な身分になったのかは分からないが、どうやら檀王が関わっているらしい。しかし季曼は仲間たちと協力して温婉を必ず打ち負かすと決意、海坊の出航を延ばしてもらうと決めた。一方、如月は凌剣星と合流、今日は聶桑楡の悔しそうな顔を見て胸がすく思いだという。つづく≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズゴーッ!いーにゃんの再来
2024.05.12
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第29話「消えた花嫁」季曼(キマン)は父に祝福されない結婚に戸惑いながらも、幸せをかみしめながら花嫁支度を整えていた。すると突然、袁朗(エンロウ)が現れる。「過ちを止めに来た!」「どういう意味?」一方、寧鈺軒は婚儀の準備が整い、亡き両親に思いを馳せながら、愛する伴侶を迎える幸せを実感していた。しかし季曼を呼びに行った鬼白(キハク)が慌てて戻ってくる。母屋はもぬけの殻、使用人たちの話によると夫人は自ら去ったという。寧鈺軒は真紅の婚礼衣装のまま帰海号へ駆けつけた。しかし桑葚(ソウシン)が現れ、季曼なら県衙に戻ったはずだという。「一緒のはずでは?小姐は老爺に眠り薬まで飲ませて出て行ったんですよ?!」一体、季曼はどこへ消えたのか。その頃、秦奕閑(シンエキカン)は千怜雪(センレイセツ)に妻になって欲しいと求婚していた。するといきなり寧鈺軒が現れる。「夫人を知らないか?!」「いいや?」寧鈺軒は鬼白と手分けして一晩中、季曼を探したが、結局、行方は分からなかった。皓雪堂(コウセツドウ)の前であたまを抱える寧鈺軒、その時、ふいにまだ探していない場所があると思い出す。「私の夫人はどこだ?!」寧鈺軒は蛟龍(コウリュウ)幇に乗り込んだ。しかし苜蓿(ムーシュ)が現れ、季曼ならすでに帰海号に戻ったという。「小姐は侯爺より父を選ぶと仰いました、鴛鴦はそれぞれに旅立つと…」寧鈺軒は悲しみに打ちひしがれ、鬼白の支えて何とか引き上げた。その悲痛な後ろ姿を黙って見送る袁朗、一方、季曼は迎えに来た父と一緒に馬車に揺られていた。…寧鈺軒は季曼と2人だけの婚礼をあげた花嫁の紅蓋頭を外すと一段と美しい季曼の顔が現れる『寧鈺軒、私たちは一生離れず、永遠に一緒ね』ようやく愛する人と結ばれた幸せな瞬間…しかし目を覚ますと全てが夢だと気づき、寧鈺軒は絶望の淵に突き落とされた。季曼は店を水亦清(スイイーチン)たちに任せて海坊を去ると決めた。しかしせめて皇商大会の準備だけでも手伝うことにする。すると袁朗が船室を訪ねた。これまで敵討ちのために生きてきたが、三叔父と季曼に再会してから考えが変わったという。「君が俺と共に生きてくれるなら、全ての恨みを捨てても良い」「私は海坊を離れるわ、だからあなたも今の言葉を忘れないでね」季曼は仕事に戻ったが、ふと気がつくと涙があふれてきた。すると港へ積荷を取りに向かった桑葚が慌てて戻ってくる。「小姐、船乗りの不注意で紅花が水浸しに…」皇商大会も目前、仕入れ直しても間に合わず、このままでは非晩霜を作れなくなってしまう。季曼は落ち込んでいる暇もなく、海坊を去る前に何とか紅花の代わりになる薬材を探すことにした。水亦清は効能が多い紅花の代わりはないと困惑した。しかし季曼はいくつかの薬材を加工すると説明、急いで山へ採りに行くという。「でも雨になりそうよ?」「大して降らないわ」そこで手分けして水亦清は街で紅花を探すことにした。すると誰かにつけられていると気づく。それは寧鈺軒に店を見守るよう命じられた鬼白だった。水亦清は鬼白が自分を守っているわけではないと落胆したが、寧鈺軒に夫人が困っていると伝えるよう頼む。実はそんな2人の様子を密かに探っている人影があった。県衙に戻った鬼白は早速、皓雪堂の一件を寧鈺軒に報告した。「独りで山へ行ったのか?」寧鈺軒は雲行きが怪しいことに気づき、急いで季曼を探しに山へ入った。すると雷鳴と共に雨が降り始める。「季曼!どこだ!」寧鈺軒は途中で医書を拾ったが、季曼の姿はなかった。聶青雲(ニェセイウン)は雨だというのに陶思維を食事に誘いに来た。すると偶然、苜蓿が訪ねてくる。「侯爺を知りませんか? 実は夫人が薬草を探しに山へ入ってしまい、侯爺に知らせたくても見つからなくて…」驚いた陶思維は聶桑楡を探しに行くと言って飛び出し、青雲も後を追った。陶思維はふもとの茶屋で雨宿りをしている男たちに山に入った娘を知らないか聞いた。すると美しい娘を連れていたせいで男たちにからまれてしまう。陶思維は手を出さなかったが、背後からいきなり頭を殴られ、反撃に出た。将軍の娘である青雲も見事な武功で男たちを蹴散らしたが、陶思維は怪我のせいで立ちくらみを起こし、そこで引き返すことになってしまう。季曼はぬかるみに足を取られ、動けなくなっていた。そこに思いがけず寧鈺軒が現れる。「どうした?!転んだのか?」すると季曼は袁朗の話を思い出し、激しく動揺する。…あの夜、酒楼から戻った袁朗は季曼を思いとどまらせようと思い直し、帰海号を訪ねたしかし季曼の姿はなく、三叔父を訪ねてみるすると季銘が桑葚に眠り薬を盛られて意識を失っていた焦った袁朗は慌てて県衙に忍び込み、婚礼支度をしていた季曼を見つける『話は後だ、すぐ俺と来てくれ!』『教えてくれないなら行かない』袁朗は仕方なく苜蓿を下げ、季曼の本当の素性を明かした『18年前、茶幇の集落で君が生まれた時から兄として君を守るよう言われてきた 君は茶幇の継承者だ、君の実の父は茶幇3番手の雷虎(ライコ)こと季銘ではない 蔡聞正(サイブンセイ)幇主なんだ、寧鈺軒の父親・寧忠天(ネイチュウテン)は蔡聞正の手にかかり死んだ その後、蔡聞正も寧家の追っ手に殺された 死の間際、叔叔に託した双子が聶桑楡と君だ 独りで赤子2人の世話はできず、叔叔は姐を聶向遠(ニェキョウエン)に託したんだ 叔叔は最後まで隠し通すつもりだったが俺は見過ごせない、君を守るためだ』季曼は聶桑楡が自分の実の姉だと知り呆然、実は袁朗が自分の素性を知っているのは、茶幇の2番手・袁定山(エンテイザン)の息子だからだという聶桑楡と季曼が肌身離さずつけていた羽根の玉佩は袁朗が子供の時に贈ったものだったすると季曼は思わず玉佩を外してしまう『そんな話、信じられない!寧鈺軒が待っているから行くわ!』『君が全て忘れたとしても寧鈺軒は?君が父の敵の娘だと知ったらどうなる?』夢にまで見た寧鈺軒との結婚、しかし季曼は寧鈺軒が茶幇のせいで長年、苦しんで来たことを思い出し、泣き崩れてしまう…つづく( ;∀;)ハオイエ…カワウソ?いや可哀想wでもネタバレまでが長すぎて切なさのピークを超えてしまった感がw
2024.05.11
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第28話「運命にあらがう恋」季銘(キメイ)の厳しい監視の目を盗んで逢瀬を続ける季曼(キマン)と寧鈺軒(ネイギョクケン)。今日は皓雪堂(コウセツドウ)の中庭で落ち合い、寧鈺軒の差し入れを仲良く2人で食べた。「この前、そなたを呼び出したのは…その~」「求婚でしょう?ふふ、衣装を見ちゃったの」「アハハハ…季曼、一緒になろう」互いの気持ちを確かめ合い、自然と顔と顔が近づく季曼と寧鈺軒…。しかし2人の仲を引き裂くように思わぬ邪魔が入った。「夫人!夫人!…老爺です!」ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ季曼は寧鈺軒を裏門から逃がし、慌てて店で待つ父の元へ駆けつけた。水亦清(スイイーチン)と千怜雪(センレイセツ)には皇商大会の相談役として豪商の帰海一刀(キカイイットウ)を招いたと説明、義父と呼んでいると取り繕う。季銘は娘が皇商大会に参加すると知り困惑した。人目を引くような行動は娘の身を危険に晒すようなもの、万が一にも茶幇の娘という身分が知られたら面倒なことになる。そこで季銘はちょうど帰海号を訪ねた袁朗(エンロウ)に季曼を連れてしばらく航海に出ると話した。「無理にでも連れ出す、他に手立てはない、完全に寧鈺軒との仲を断つ」しかしその話を回廊で苜蓿(ムーシュ)が聞いていた。苜蓿の話を聞いた季曼は父に対抗するため、仮病を使うことにした。しかしあっさり父に見破られてしまう。そこで今度は銀子をかき集めて船を買い、脱出しようと思いついた。すると突然、父に金めの物を没収されてしまう。「どういうことなの?毎回、父上に見抜かれるなんて…」「夫人、間者がいるのでは?」苜蓿の思わぬ指摘に桑葚の顔色が一変、観念して自分が密かに報告していたと認めた。桑葚は老爺の命に逆らえなかったと謝罪した。しかしそのせいで小姐を苦しめてしまったと号泣する。「もうしません」苜蓿も季曼が来て初めて侯爺の笑顔を見たと話し、2人は互いに必要な存在なのだと諭した。すると桑葚は自ら寧鈺軒に出航を知らせてくると申し出る。「そうだ、明日は父上が友人たちと会食に行くわ、港で待つよう伝えて」皇商大会を開催する檀(タン)王は凌剣星(リョウケンセイ)を転運使(テンウンシ)に任命、海坊へ送り込むことにした。そこで皇帝は寧鈺軒が邪魔されないよう接待使に秦奕閑(シンエキカン)、指揮使に陶思維(トウシイ)を指名してくれる。一方、季曼は久しぶりに寧鈺軒と会えるとあってめかし込んでいた。すると突然、会食に出かけるはずの父が現れ、季曼も一緒に連れて行くという。「出航までは私と行動を共にせよ」そうとは知らず、言づてを聞いた寧鈺軒は季曼に贈る花を鬼白に買ってくるよう頼んでいた。鬼白は急いで街に出たが、偶然にも露店の花屋で水亦清と出くわしてしまう。「ねえ、私たち友だちになりましょう?それなら気まずくないでしょう? もうあんなことはしないから…」水亦清は寂しそうに帰って行ったが、頑固な鬼白は引き止めることができなかった。父の会食に強引に同席させられた季曼。すると友人たちはちょうど年の頃も近い袁朗と季曼がお似合いだと言い出し、喜んだ季銘は2人の相性を見るという。これに怒った季曼は厠へ行くと言って個室を出たが、一階に降りるとなぜか寧鈺軒がいた。「どうしてここに?!」「酒楼に行ったと聞いて急いで来たんだ」季銘が邪魔をすればするほど深まる2人の絆。その時、突然、流しの占い師が現れ、寧鈺軒には生涯孤独の相があると言い出した。季曼は思わず熱い茶を浴びせて追い返し、これからは自分が一緒にいると安心させる。そこで寧鈺軒は季曼を海坊に留めるため、既成事実を作ろうと提案した。「つまり…そなたを娶って夫婦になってしまえば君の父上も反対できないのでは?」季曼が帰海号に戻るとすでに父が待っていた。「いつ酒楼を出たの?外でずっと待っていたのよ?」「…仲睦まじい様子を見て邪魔せずに帰ったのだ」実は季銘は上階から季曼と寧鈺軒が一緒にいるところを目撃していた。「どちらにしても明日、出航する」すると季曼は横暴な父に憤慨、つい言い返してしまう。「占い師をよこしたのは父上ね?ひどいわ、わざわざ心の傷に触れるようなことを… 傷ついた寧鈺軒を私が守って幸せにしたい」「黙れ!お前たちは幸せにはなれぬ!一緒になれば2人とも不幸になるだけだ!」「納得できないなら1人で出航して!」季銘は思わず手を挙げようとしたが、何とか思いとどまった。「明朝出航し、二度と海坊へは戻らぬ、私が生きている限り寧鈺軒とは一緒にさせぬ!」その夜、追い詰められた季曼は桑葚に頼んで父に眠り薬を盛って帰海号を抜け出した。県衙ではすでに婚儀の飾り付けを終えた寧鈺軒が出迎えてくれる。すると季曼は急にしゃがみ込み、涙があふれ出した。「緊張しているし…何だか怖いの」「大丈夫、私がついている、でも嫌なら片付けるよ」「ふふ、私が嫌なはずないわ」季曼は母屋で花嫁衣装に着替えた。父に祝福されない結婚だと思うと心から笑えなかったが、幸せになればいつか分かってくれるだろう。その時、突然、袁朗が現れた。「過ちを止めに来たんだ!」つづく( ;∀;)水姑娘、切な…くない?何でだろうwww
2024.05.11
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第27話「出会いは因果か運命か」寧鈺軒(ネイギョクケン)の部屋で偶然、棚の中にある真紅の衣を発見した季曼(キマン)。てっきり寧鈺軒が女子を囲っていると憤ったが、衣を引っ張り出してみると婚礼衣装だと分かった。季曼はついに寧鈺軒が求婚してくれると期待、すると翌日、鬼白(キハク)が店に寧鈺軒からの差し入れを届けにやって来る。「確かにお渡ししました」すると菓子の間から待ち合わせ場所の絵を描いた書き付けが見つかる。季曼は時間になるとお洒落して店を出たが、ちょうど海坊(カイホウ)に戻った父・季銘(キメイ)が現れた。寧鈺軒は薔薇の花を心の形に敷き詰め、ろうそくで囲んで準備万端、しかしいつまで経っても季曼は現れなかった。すると使用人が駆けつけ、苜蓿(ムーシュ)から夫人が高齢の男と出かけたとこと伝言だという。その男は苜蓿も面識のない男で、何でも夫人が″父″と呼んだとか。「帰海一刀(キカイイットウ)か」季曼は父との再会を喜び、すでに記憶が戻ったと安心させた。しかし寧鈺軒の話題になると途端に父の様子がおかしくなる。季曼は自分と瓜二つの聶桑楡(ニェサンユー)が父の隠し子だと疑い、そのせいで寧鈺軒の妻と誤解されたと説明した。すると桑葚(ソウシン)がうっかり小姐の想い人が寧鈺軒だったとバラしてしまう。季銘は季曼以外に娘などいないと否定し、他人の空似だとごまかした。「まさか寧鈺軒とはすでに男女の仲なのか?」「違うわ、でも一緒になりたい」「だめだ!」季銘は一緒に帰海号へ戻るよう命じ、これから約束があるという季曼を強引に連れて帰ってしまう。翌日、季曼が自分の船室でふて腐れていると、桑葚が慌てて駆けつけた。「小姐!寧大人(ダーレン)が来ましたよ!」喜んだ季曼は桑葚と苜蓿に見張りを追い払わせ、その隙に寧鈺軒と密会した。「父上が無理やり連れ戻すとは…一体、何があった?」「寧夫人のふりをするのが心配なだけよ」しかし2人だけの甘い時間も束の間、突然、季銘が現れた。寧鈺軒は季銘の誤解を解くため、季曼を正式に寧家に迎えると約束した。「季曼にこのまま代役をさせるつもりはありません、唯一人の正妻として求婚します ただ聶桑楡として誥命(コクメイ)夫人に封じられてしまったため、本名は当分、明かせません でも必ず解決します」しかし季銘は娘の婿には誠実さと苦労に耐える強さを望むと言った。確かに寧鈺軒の求婚は誠実だが、県令という高い地位にあっては人に命じるばかりで労働者の雇用の現実など分からないはずだという。「娘は帰海号で暮らさせる、曼児が公然と船に住める策も考えた、離縁だ」「離縁には同意できません!」寧鈺軒は婿として認めてもらえるよう努力すると訴えたが、季銘は一蹴した。「寧大人のお帰りだ」季曼は仕方なく自分が説得すると寧鈺軒をなだめて帰したが、父には絶対に別れないと宣言した。寧鈺軒は季銘に誠意を示すため、実際に港で働くことにした。初めての肉体労働に悪戦苦闘しながら労働者の雇用環境を自分の目で確かめる寧鈺軒。一方、季曼は父と港の様子を眺めながら、船舶司の設立や悪人の一掃で海坊はますます繁盛すると寧鈺軒の手柄を称えていた。その時、桑葚が汗水流して働く寧鈺軒の姿に気づく。季銘は寧鈺軒の姿を見せるために季曼が自分を連れ出したと邪推したが、季曼は自分も何も知らなかったと否定した。…私も寧鈺軒は立派な青年だと分かっている、だが2人は結ばれてはならぬ運命なのだ…その頃、袁朗(エンロウ)は季曼が港で老先生と一緒にいたと聞いた。「皆から″老爺(ラオイェ)″と呼ばれていたぞ?」袁朗は帰海一刀が戻ったと気づき、早速、黄漢(コウカン)と一緒に訪ねることにした。その夜、寧鈺軒はようやく仕事を終えて帰ることにした。すると桑葚を身代わり寝かせて帰海号を抜け出した季曼が駆けつける。季曼はまめが潰れて血だらけになった寧鈺軒の手に薬を塗りながら、父の言ったことなど真に受けるなと言った。しかし寧鈺軒は実際に働いて港に問題があると分かったという。「岳父大人に感謝するよ、皇商大会も開かれる、港の健全な運営を図らねば」それにしてもなぜ季銘は娘と自分の中を反対するのだろうか。ともかく今後は鬼白と苜蓿を使い、2人はこっそりやり取りすることにした。季曼は夜が明ける頃、帰海号に戻った。季曼の代わりに寝台で寝ていた桑葚はようやく解放されて部屋を出たが、そこで季銘と出くわす。実は季銘は娘が寧鈺軒に会いに行ったと知っていた。「止めもせず手伝うとは何事だ?!何かあれば二度と嫁に行けなくなるのだぞ?!」季銘は桑葚に季曼の動きを見張り、寧鈺軒と会う時には知らせるよう命じた。密かに連絡を取り合うことになった季曼と寧鈺軒。その日は密かに帰海号で夕食を共にすることにしたが、ちょうど乾杯したところで季銘に見つかってしまう。( ゚ェ゚)あ、でぃえ! (´゚ω゚):;*.':;ブハッ!こうして娘の相引きをことごとく潰す季銘、そんなある日、蛟龍(コウリュウ)幇が挨拶にやって来た。季銘は礼を尽くして訪問してくれた幇主・袁朗に感心していたが、その時、同行した黄漢が茶(チャ)幇の礼で挨拶する。すると袁朗も三叔父に拝礼した。「阿狼(アロウ)なのか?!父上は?!」「健在ですが…身体がずい分と衰えてしまいました」袁朗の予想通り季曼は茶幇の継承者だった。実は季銘は寧鈺軒と娘の件で頭を痛めているという。袁朗は季曼に本当の素性を明かすよう訴えたが、季銘は永遠に知らせるつもりはないと言った。「忌まわしい過去の仇をお前たちに継がせたくない」季銘は悪縁を自分たちの代で断ち切るため、帰海一刀という商人を名乗っていると明かした。つづく( ゚ェ゚)だんだんワケワカメになってきた…って、ちゃんと見ろw
2024.05.10
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安乐传 The Legend Of Anle第31話姜瑜(キョウユ)の謀反が公となり、北秦(ホクシン)の公主・莫霜(モーシュァン)は自分たち兄妹も巻き込まれるのではと不安になった。その夜、妹を呼び出した冷北(ランベイ)は自分が必ず守ると安心させたが、やむを得ず協力を頼む。「できるならお前を巻き込みたくはなかったが…」「哥哥のためなら何でもするわ」翌日、帝梓元(ディヅユアン)は沅水閣(ゲンスイカク)を訪ね、皇太子の釈放に協力してくれた帝承恩(ディチォンエン)に感謝した。帝承恩は洛銘西(ルォミンシー)のおかげで故郷が分かったおかげか自身を取り戻し、そろそろ目を覚ます時が来たという。「都を離れることにしたわ、故郷へ帰るの」すると帝承恩は拝礼して別れを告げ、翌朝、慕青(ムーチン)と一緒に旅立った。安寧(アンネイ)は梓元を誘って翎湘(レイショウ)楼にやって来た。久しぶりに韓燁(ハンイェ)を顔を合わせてばつが悪そうな梓元、しかし安寧は今夜だけは存分に飲もうという。「私は西北に戻る、梓元は靖南に帰る、これが別れの杯になるわ」すると梓元もこの時ばかりはわだかまりを捨て、楽しく飲むことにした。その頃、冷北はすでに軍隊を結集させていた。これで複数の地を征服し、最後に青南山を落とせば鉄騎兵で都まで一気に攻め込める。冷北は安寧に帯同して西北に戻り、内部から北秦軍に協力する計画だった。酔いが回った4人は思い出話に花を咲かせ、最後は笑い合って散会した。梓元は独り夜風に当たっていたが、そこへ韓燁がやって来る。「来年の君の誕辰は祝ってやれぬ」「靖南に戻れば長思花(チョウシカ)が満開の季節… 春に咲き誇る長思花は殿下の兎の灯籠より贅沢だわ、クスッ」「あれが気に入ったのなら毎年、届けよう、太子手作りの灯籠だぞ?ふっ」2人は冗談めかして笑ったが、梓元はふと冷静になった。「わざわざ靖南くんだりまで届ける必要はないわ いつかもっと美しい上元節を迎え、殿下の灯籠を宝物だと思う女子に出会える」「…梓元、君も私と離れたくなかったはずだ」「私たちの間には歳月と重荷がある、殿下も結果を分かっていたはずよ?」「確かに…分かっているから止められぬ 谷の底だからこそ、あの時が永遠に続くことを願えた」「約束した太平の世を見せてちょうだい」「…もう二度と会えまい、ここで一生分の誕辰の祝福を贈っておくよ」そんな2人の様子を遠目から洛銘西が見ていた。前線からの戦報が届いた。姜瑜の計略によって辺境の複数の城が北秦に寝返っているという。何とかもちこたえているのは安寧が率いる青南城と唐石(トウセキ)将軍が指揮する軍献(グンケン)城だけだった。皇帝は娘の身を案じて西北へ戻ることを反対したが、安寧は国と民を守るのが将軍の務めだという。「はお、西北に戻るといい…安寧、そちは将軍であるが朕の娘でもあるのだぞ?」「私がいなくてもどうかご自愛ください」こうして安寧は急ぎ西北へ出立することになった。韓燁と梓元は安寧の無事を祈りながら城門で一行を見送っていたが、その隙に温朔(ウェンショウ)は何とか都に残るよう苑琴を説得する。「安楽(アンルー)姐は君が残ると言うなら許してくれる」「小姐は帝家のために自分の思いを封印してきた、私にできるのは寄り添うことだけなの」安寧を見送った梓元も靖南へ出発することになった。「殿下、行くわ、もう会うこともない、私のことは忘れてね」「…私は一国の太子だ、政務が忙しいから思い出す暇もないよ、ふっ」「それなら私も安心だわ」「梓元、長思花が咲いたら文で知らせてくれ」「…いいえ、心をすり減らすのはお互いにやめましょう」苑書(エンショ)は梓元と苑琴を乗せ、馬車を出した。走り去る馬車を見つめる韓燁、すると梓元が窓の外を見たが、すぐ簾を下ろしてしまう。…全て終った、認めたくはないけれど、今までの人生で一番、楽しかった日々は都でのこの1年だった…それぞれの道を歩き始めた梓元と韓燁。一方、青南城に戻った安寧は陥落地の将軍たちが敵に寝返った者以外、殺され、すでに敵が軍の名簿や地図を持っていると知る。「内部に間者がいて軍情を漏らしていたのでしょう」驚いた安寧は白諍(ハクソウ)に全将兵の素性を調べるよう指示、万一に備えて都から戻った兵も対象に加えた。焦った冷北は長旅の疲れを取るため休むよう勧めたが、安寧は休んでいる暇などないという。韓燁は初めて翎湘楼の楼頂にある洛銘西の部屋に案内された。「まさかこんな隠し部屋があったとはな~この部屋で梓元と相談を?」「そうだ」韓燁は梓元の行き先を聞いたが、洛銘西は都を離れたらどこでも同じだろうとつれない。「梓元を支えてくれて感謝している」「太子殿下、私など殿下に遠く及ばぬ」洛銘西はすでに韓燁が帝家の遺児を救ったことを知っていた。しかし梓元には温朔の素性を明かしていないという。「殿下の功労だ、私が話すことではない、だが当人たちは知る権利がある」「どう伝えたらいいものか…」温朔の件は君主を欺く大罪であり、国は今、内憂外患の危機にあった。その時、2人は露台から大街で火の気が上がるのを見る。火事になったのは北秦公主が滞在している四方館だった。四方館から火が出て莫霜公主が亡くなった。皇帝は直ちに皇太子と洛銘西を呼んで協議したが、韓燁たちは事故ではなく放火だと疑う。確かに警固の厳しい四方館での火災は不自然だった。未だ公主の亡骸も見つかっていないことから、何者かが仕組んだ可能性がある。「目的は戦でしょう、北秦が戦を仕掛ける気なら公主の死は開戦の絶好の口実になります」安楽寨に戻った梓元は暇を持て余し、川沿いでのんびり昼寝していた。夢に見るのは韓燁のことばかり、しかしいつかは目が覚める。その時も苑琴と苑書が魚が釣れたと喜ぶ声で気がついた。しかしそこへ思わぬ知らせが舞い込む。…西北で変あり、おそらく開戦間近…その夜、軍営の安寧は都からの急報で四方館の火事を知った。何としでも青南城を死守せねばならない安寧、その時、ちょうど白諍が北秦の間者から手に入れた密書を届けてくれる。密書にはこれまでの任務も書かれていたが、その中に″除夜の宴での暗殺″があった。すると安寧は当時を思い出し、ハッとする。…冷北と莫霜は妙に親しい、あの刺客の体つきも傷の箇所も…そこで安寧は白諍だけでは心配なので冷北にも間者のあぶり出しを頼んだ。「分かりました」安寧は部屋を出ようとする冷北に背後から斬りかかった。咄嗟に冷北は応戦、すると除夜の宴で兄と刺客の手合わせを見ていた安寧に正体を見破られてしまう。「除夜の宴の刺客はお前ね?!」「そうだ、さすがだな」すると冷北はしびれ薬をふきつけ安寧の動きを封じ、手刀で打って眠らせてしまう。その時、白諍の声がした。「将軍!」つづく( ๑≧ꇴ≦)ランベイィィィィィィィィィ
2024.05.09
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安乐传 The Legend Of Anle第30話大街で人目もはばからず左丞相・姜瑜(キョウユ)を殺してしまった皇太子・韓燁(ハンイェ)。 しかし投獄された韓燁は洛銘西(ルォミンシー)にも安寧(アンニン)にも決して事情を明かさず、全て独りで背負う覚悟だった。洛銘西は手がかりを求めて皇太子府へ、すると温朔(ウェンショウ)が昨夜から行方が分からないと知る。そこで琳琅(リンロウ)に千月閣を使ってくまなく捜索させたが、温朔は見つからなかった。帝梓元(ディヅユアン)は韓燁との面会を拒んだが、結局、都に留まった。すると左丞相府を探っていた苑書(エンショ)が偽の梅花衛の令牌を見つけて戻って来る。梓元は古雲年(コウンネン)だけでなく、実は自分たちも姜瑜の駒にされていたと知り、憤りを隠せなかった。苑琴(エンキン)は思い立って翎湘(レイショウ)楼の洛銘西を訪ねた。実はかつて五柳(ゴリュウ)街で温朔が皇太子を助けた話は逆だったと明かし、梓元には伝えていないという。「小姐は苦労続きでした、都のもめ事には巻き込まれず、靖南(セイナン)に戻って欲しいのです」「安心しろ、必ず靖南に帰らせる、急いで戻りなさい、梓元が心配するぞ?」「はい…それから温朔を必ず見つけ出してください」その頃、何者かに連れ去られた温朔は目隠しされ、暗闇の中で絶望していた。しかし皇太子から″窮地に追い込まれても決死の覚悟で戦え″と教えられたことを思い出し、後ろ手に縛られた縄を切ろうと格闘する。…必ず生きて帰るんだ…五柳街の件を調べていた琳琅は事実が苑琴の話とも違うと突き止めた。どうやら実際は皇太子が温朔を引き取るため、画策したという。実は琳琅は常々、疑問に思っていた。「人と距離を置く太子殿下がなぜか温朔とだけはまるで肉親のように親しく接しています」温寧は父皇の御宸(ゴシン)殿を訪ねた。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は娘が兄の命乞いに来たと分かったが、もはやかばいようがないと落胆する。大臣からも厳しい処分を求める奏書が山のように届いていた。「皆が納得するだけの事情を韓燁が明かすしかない、皇帝といえども叶わぬことがあるのだ」安寧はすっかりやつれた父を心配し、自分がわがままだったと謝罪した。「皇祖母を追い詰め、陛下を苦しめ、太子哥哥を守れませんでした…お許しください」しかし皇帝は娘に罪はないという。「そちは皇族にあっても自由に生きて欲しい…そう願って来たのに最も苦しめてしまったな」皇帝は辺境を守って来た娘を誇りだと称賛し、ようやく娘とのまだかまりが解けた。その夜、洛銘西は任(レン)府を訪ねた。偽の令牌で梓元もすでに気づいていたが、やはり除夜の宴の刺客も化縁(ケエン)山で韓燁の命を狙ったのも古雲年ではなく、黒幕は姜瑜だったという。つまり古雲年は姜瑜の思惑により操られていただけだった。ならば証拠を集めて弾劾すれば済むはず、梓元はなぜ韓燁が自ら姜瑜に手を下したのか分からない。しかし洛銘西は梓元を巻き込みたくないと訴え、あとは刑部に任せて欲しいと言った。冷北(ランベイ)は温朔に逃げられたと聞いて憤慨した。しかし主を失った腹心はもはや配下の統制が取れず、冷北を頼るしかないという。「左丞相の死で多くの計画が頓挫するだろう」そこで冷北は朝廷をさらに混乱させるため、皇太子が帝家のために姜瑜を殺したと噂を広めることにした。皇帝が日に日に追い詰められる中、洛銘西の奏書が突破口を開いた。しかし左丞相の息がかかった大臣たちが反発し、納得させるためには左丞相の謀反の証拠と殺しの動機が必要となる。洛銘西は3日以内に示すよう命じられたが、背後で大臣たちを扇動する者がいると怪しんだ。「真の黒幕はその者かもしれぬな」そこで洛銘西は沅水閣(ゲンスイカク)の帝承恩(ディチォンエン)を訪ねた。帝承恩の対応は冷ややかだったが、洛銘西は左丞相の情報と引き換えに素性を教えるという。「私が今さら知りたいと思う?」「…鳥や獣でも故郷は忘れぬと言う、本当に知りたくないのか?」「はお」その夜、梓元は安楽(アンルー)がもらった婚約の証である玉の如意を眺めながら物思いにふけっていた。するとふいに姜瑜が皇太子妃に推していたのが北秦(ホクシン)の公主だと思い出し、慌てて席を立つ。「洛銘西に会うわ」一方、帝承恩から手がかりを得た洛銘西は任府に向かっていた。…謀反の証拠は揃った、だが温朔とは何の関係が?韓燁はなぜ温朔を手元に置くため策を講じたのか?姜瑜は帝家の遺児を利用しようと企んでいたいう(はっ)まさか10年前の温朔が?!…命からがら逃げ出した温朔は任府にたどり着いた。その時、ちょうど梓元と苑琴が出てくる。「温朔?!」「安楽姐…」「話はあとよ!中に入って!」梓元は温朔に肩を貸して屋敷へ戻ったが、その様子をちょうど洛銘西が見ていた。…韓燁はあり得ぬことをやってのけたのか?…温朔は傷だらけで憔悴していたが、命に別状はなかった。いきなり襲われたため刺客の顔は見ていなかったが、梅花衛を装った刺客と同じ黒装束だったという。「安楽姐、同じ連中の仕業だよ!」「この件は私たちに任せて休みなさい、養生して太子殿下を待つのよ」温朔の無事な姿に安堵する梓元と洛銘西、しかし韓燁の件は一刻を争う。すると姜瑜と北秦の結託について調べていた琳琅が任府へ駆けつけた。「文書庫で左丞相の辞令状を調べ、近侍を尋問しました 姜瑜は西北の辺境で名を上げたのち、20年で左丞相の座についたとか 母親は北秦人です」冷北は洛銘西が左丞相府から証拠を持ち出したと知った。思いがけず局面を覆された冷北、姜瑜の身元が割れたなら帝家の配下の扇動は中止するしかない。「証拠となる品は国に遅れ、西北での反乱を早める」洛銘西の調査により左丞相が北秦の間者だったと証明された。皇太子は逆賊を成敗したと認められ釈放、知らせを聞いた安寧と温朔が刑部大牢へ駆けつける。すると韓燁は元気そうな温朔の姿を喜んだ。「お前と来たら、自ら逃げ出したと聞いたぞ?よくやったな」韓燁はそれとなく梓元の姿を探したが、物陰に隠れていた梓元に気づかなかった。翎湘楼の楼頂。琳琅は皇太子のために奔走した洛銘西の体調を気遣っていた。しかし温朔の正体に勘づいた洛銘西は韓燁の梓元への献身には到底、及ばないという。当時、梓元の弟・帝燼言(ディジンイェン)は皇太子府で病死していた。まさかその1年後、韓燁が死者を生き返らせ、策を弄して自分のそばに堂々と置いていたとは…。「大した知略と度胸だ、とても叶わぬ」洛銘西は自分が梓元のために身代わりを用意したのとは次元が違うと脱帽した。温朔は自分のせいで皇太子が姜瑜を殺したと責任を感じていた。しかし韓燁は温朔とは関係ないと安心させる。「監禁されていた時、頭に浮かんだのは殿下のことでした 家族はいませんでしたが、孤独だったことはなかった 殿下が私を育てて守ってくださったからです、心から感謝しています」「バカだな、急に何だ」「殿下のご無事だけが私の願いです、もし私のせいで何かあったら、悔いを千載に残します」すると温朔は手作りの料理を振る舞った。…梓元、燼言は成長した、立派な青年になった、安心してくれ、機を見て君に返そう…洛銘西は温朔が燼言だと梓元に伝えられずにいた。琳琅は主に何か考えがあるのだと思ったが、洛銘西は私心に過ぎないと明かす。「怖いのだ、梓元が韓燁のして来たことを知るのが…想いを手放せなくなる」一方、安寧は冷北が北秦の皇子だとも知らず、北秦への恨みを募らせていた。「もしや私の近くにも間者がいるのかも…早く北西に戻り、軍営内の間者を見つけ出すわ」その夜、冷北は都に残っている妹を呼び出した。莫霜(モーシュァン)は姜瑜が北秦人だと暴かれ殺されたと動揺し、兄の身を心配する。「私たちも巻き添えになるの?」つづく(」゚ロ゚)」<安寧!後ろ後ろ!
2024.05.08
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七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第3話父親同士が親友という縁で祥雲(シャンユン)は初空(チュコン)の転生・陸長空(ルーチャンコン)の許嫁になった。今生で何とか初空と縁を切りたい祥雲。すると陸夫人が息子の嫁にはおしとやかで教養があって欲しいと話しているのを耳にする。(  ̄꒳ ̄)なるほどね…そこで長空の顔にいたずら書きをして泣かせたが、陸夫人は潔癖症の息子に荒療治してくれたと感謝した。次は部屋の中で爆竹を鳴らし、長空の髪をチリチリにしてしまう。しかし陸夫人はさすが武家の娘だけあって知勇兼備だと称賛、子供のうちから火薬の研究とは長空の良きお手本になると喜んだ。長空もすっかり年頃になった頃、陸家は辺境に出征することになった。幼なじみの祥雲を慕う長空は離れ離れになると寂しがったが、戦で手柄を立てて必ずや祥雲を娶ると誓う。これでしばらくは穏やかな日々を過ごせるはずだった祥雲、しかし予想外に長空の帰還が早かった。「5年はかかると聞いていたのに2年で平定させるなんて! 自由でいられるのもあと数日よ~李(リ)天王に何とかしてもらってよ~!」焦った祥雲は姻縁祠(インエンシ)で紅線翁(コウセンカク)の神像に抱きついて号泣したが、道士たちに引きずり降ろされてしまう。翌日、祥雲は男装で変装し、再び姻縁祠を訪ねた。そこで今度は丁重に紅線翁に手を合わせて籤を引いたが、助言はない。仕方なく廟を出ると、偶然にも姻縁祠を訪ねた修茗(シゥミン)の転生と出くわした。修茗にも記憶があるとは知らず、思わず逃げ出す祥雲。ともかく鬱憤ばらしに賭場で遊ぶことにしたが、あまりに勝ち過ぎたせいで店主にイカサマだと疑われた。祥雲は店の用心棒に追われ屋根の上に避難、するとうっかり足を滑らせ、ちょうど真下で別の用心棒たちに襲われている公子の横に落ちてしまう。驚いた祥雲は咄嗟に公子を連れて逃げ出したが失敗、その時、公子が凄まじい霊力で用心棒たちを退けた。実はその公子は女媧(ジョカ)石の化身・紫輝(シキ)だった。私塾に落ちた霊石は日と月の光を浴びながら書生たちの知識を得てついに人像(ヒトガタ)を得たという。そこで早速、街へ出たところ、呼び込みに促されるまま酔春(スイシュン)楼に入り、無一文だと分かるや追い出されて用心棒に乱暴されていた。「あなたは女子でしたか」「訳あってね…あ、詮索しないで つまり私はあなたの恩人ね?これからは私を頼って、普通の人間にしてあげる」喜んだ紫輝は鈴を渡し、これを鳴らせばすぐ駆けつけると約束した。陳(チン)国軍が凱旋、陸長空は見事な手腕で潼関(ドウカン)での難局を覆し、皇帝からその功績を称えられた。しかし陸家の増長を恐れた第2皇子は散会後、腹心の馮(フウ)大臣に長空を襲うよう指示する。第2皇子の企みを知った第3皇子・寧(ネイ)王は陸少将軍を引き止め、誉れ高い長空と友になりたいと言った。「友として急ぎ伝えておきたいことがある…」寧王は朝廷に不穏な動きがあると警告、用心するよう伝えた。「私の助けが必要な時は全力を尽くそう」実は寧王こそ転生した修茗だった。ついに祥雲が最も恐れていた日がやって来た。侍女の話では陸府の使いから小将軍が訪ねると知らせが届き、何でも″最後の文に返事がなければ承諾したと見なす″という言づてだという。実は長空は辺境から3日に1度、祥雲に文を送っていた。しかし祥雲は一通も開封せず、戸棚にしまったまま読んでいない。「時を稼いで!」祥雲は急いで文を確認することにしたが、どれが最後の文か分からなかった。長空は祥雲との2年ぶり再会に胸を躍らせ宋府を訪ねた。しかし部屋はもぬけの殻、長空からの手紙が散乱している。「居場所は分かっている」祥雲は長空の予想通り中庭の大木に隠れていた。長空はすっかりたくましくなって戻って来た。幼い頃、祥雲と過ごした日々を懐かしむ長空、しかし祥雲は嫌味だと誤解し、仕返しにやって来たのだと焦る。「やだ~昔の話でしょう?まだ覚えていたの?」「2人の思い出だ、忘れるものか!」長空は2年も離れ離れになり、祥雲が怒っていると心配した。「今度は遠征せずにそばにいるよ」「あ?…それはだめよ、将来に障るわ~」「心配無用だ、将来も君も大事にする、それで文の件だが…あれでいいか?」「ダメよ!」祥雲はてっきり婚礼の日取りだと誤解して反対した。しかしよくよく聞いてみると長空は最後の文で婚礼延期を申し出ていたと知る。「そうか、君が嫌なら来月にでも婚礼を済ませよう」「イヤイヤイヤ~同意する!同意する!」「分かった、遅くとも年内に済ませよう」( ゚д゚)<はぁ?!祥雲は門まで長空を見送った。すると別れ際、長空は明後日の縁日に買い出しに行こうと誘う。「長空、婚姻のことはよく考えて、親同士が決めた縁談なんて上手くいかないわ」「大丈夫!上手く行くさ!」「うわ~ん!もう!」祥雲は挨拶もせず、居たたまれなくなって逃げるように屋敷へ戻ってしまう。そんな祥雲を可愛いと目を細める長空、その様子を寧王が見ていた。「寧王殿下、先日、姻縁祠で出くわした方は宋家の小姐で、陸長空の許嫁です」祥雲は長空と退婚するため策を講じ、紫輝に手伝わせることにした。…破談に導く策その1「散財させる」…祥雲は縁日の買い出しの日、次々と買い物をした。「私は金遣いが荒くて窮屈な暮らしが嫌なの」驚いた従者の陸放(ルーファン)は小姐の浪費で蓄えが無くなると警告したが、長空は心が広かった。「婚姻したら我が家の家財は全て君に任せるよ」( ๑≧ꇴ≦)<なんだと~!つづく
2024.05.07
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第26話「悪夢の原因」寧鈺軒(ネイギョクケン)は新しくなった非晩霜(ヒバンソウ)を温婉(オンエン)に試すよう迫った。温婉は肌の調子が悪いとごまかしたが、激怒した寧鈺軒が非晩霜を投げ捨て割ってしまう。「毒が入っていると知っているからか!」そこへ鬼白(キハク)が拷問で全てを白状した檀香(ダンコウ)を連行した。「何も知らぬふりはここまでだ」実は寧鈺軒は温婉の陵辱が狂言だったと知っていた。以前、聶桑楡(ニェサンユー)を鞭で打たせたのも、婚礼で自ら腹を刺して聶桑楡に罪をなすり付けたのも、全て温婉の企みだと分かっているという。「確かな証拠もある、証人もいる、これから都へ送り、大理寺に引き渡す」言い逃れできなくなった温婉はハサミを自分の首に突きつけ、死んで無実を証明すると叫んだが、寧鈺軒はこれも狂言に過ぎないと分かっていた。「そこまでだ、連れて行け」寧鈺軒は季曼(キマン)を呼んだ。かつて寧家と温家は交流があったが、父の死後は行き来が途絶えていたという。しかし1年前、温父が急に現れ、家出した娘を探して欲しいと懇願された。すると山賊の家であられもない姿の温婉とすでに息絶えた賊を発見する。温婉は泣きながら辱めを受けたと訴え、思わず護身用の短剣で男を殺してしまったと説明した。『どうか誰にも言わないで…』『分かった、約束しよう』『でももう汚れた身です、行き場がありません、どうか助けてください』『ひとまず寧府に来ると良い、ほとぼりが冷めるまで待て』温婉の名節に関わるため寧鈺軒は側室を迎えた理由をこれまで伏せていた。腹黒さに気づいたのは聶桑楡を鞭打たせた日からだったという。その時は旧情から見逃したが、火事が温婉の企みだと知って再び調査を始めたところ、恥辱は偽りで、死んでいたのは罪のない杣人(ソマビト)だと分かった。「安心してくれ、もう何も起こらない」季曼は劉家村が自活できるよう草薬の植え付けを教えた。今後は皓雪堂(コウセツドウ)が薬材を全て買い取るという。一方、水亦清(スイイーチン)は水宴居(スイエンキョ)を離れ、新居に越した。そしてその夜、鬼白を招待し、愛する人だけのために舞を披露するという夢を叶える。しかし鬼白は決して一線を越えることはなかった。…私では君を幸せにできない…「君の舞や琴に感心しただけ、私に気持ちはない」劉家村から戻った季曼は今日が寧鈺軒の父の命日だと知った。驚いた季曼は急いで脇殿に駆けつけたが、寧鈺軒がまた悪夢にうなされている。「寧鈺軒?起きて!」寧鈺軒はふと目を覚まし、ばつが悪そうに背中を向けた。仕方なく季曼は出て行くことにしたが、寧鈺軒が急に添い寝して欲しいという。「何ですって?」すると寧鈺軒は季曼の手をつかんで寝台にひきずり倒した。寧鈺軒の悪夢の原因は幼い頃の悲惨な体験だった。「あれは茶幇(チャホウ)が帰順を決めた日だ しかし幇主の蔡聞正(サイブンセイ)が裏切り、私の目の前で爹爹を斬った」当時、まだ5歳だった寧鈺軒は炎に巻かれながら必死に父を引きずり出し、屋敷へ帰ったという。「あの夜から深く眠れたことがない」「ごめんなさい、辛いことを思い出させて、だから火が苦手だったのね …でもこれからは私がそばにいるわ」やがて2人は仲良く並んで眠りについた。寧鈺軒は改めて季曼と婚礼を挙げようと決めた。そこで衣装選びに出かけたが、種類が多すぎて好みが分からない。すると店主が通常、婚礼衣装を選ぶのは新郎ではなく友人だと笑った。「鬼白、水姑娘の助けが必要なんだ、頼む!」鬼白は昨日の今日で水亦清と顔を合わせ辛かった。しかし侯爺の頼みを断ることもできず、仕方なく店に書き置きを残しておく。水亦清は鬼白の初めての誘いに胸を躍らせ海坊製衣舖に出かけたが、待っていたのは寧鈺軒だった。「私がことづてを頼んだ」「はあ?」水亦清は寧鈺軒が季曼の婚礼衣装を選んでいると知り、喜んで協力した。するとちょうど水亦清が試着したところで鬼白が戻ってくる。鬼白は美しい水亦清の姿に見とれていたが何も言えず、虚しくなった水亦清は急いで着替えて帰ってしまう。「相手がお前でないと分かり、水姑娘はがっかりしていたぞ?何を気にしている?」「私は侍衛ゆえ常に命の危険があります、平穏な幸せを望む相手の伴侶にはなれません 私の腹は決まっています、私は不器用で両立はできぬゆえ護衛を全うします!」「いやそうじゃなくて…はぁ~堅物め」その頃、都では檀(タン)王が凌剣星(リョウケンセイ)に次の任務を与えていた。寧鈺軒を抑えるにはうってつけだという役職・転運使(テンウンシ)、実は今回の皇商大会で勝ち抜いた店の主の中から海上貿易組合の次の会長を選ぶという。そこで凌剣星は自分の手の者を会長にすると約束した。一方、海坊でも秦奕閑(シンエキカン)が聶桑楡たちに皇商大会が海坊で行われると知らせていた。大会で優勝すると皇室御用達に選ばれると聞いた季曼は俄然、やる気を出す。「でも寧鈺軒は何も教えてくれなかったわ…そう言えば最近、様子がおかしいの」水亦清は婚礼の件だと知っていたが、ただ忙しいだけだろうとごまかした。季曼は寧鈺軒が皇商大会のことで何か隠していると疑った。そこで寧鈺軒の留守の間に脇殿を調べることにしたが、思いがけず棚の中に隠した真紅の衣を発見する。「なんてことなの、寧鈺軒!私に隠れて女子を囲っているなんて!」つづく( ๑≧ꇴ≦)いーにゃん!さようなら~!
2024.05.07
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七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第2話過って故障した紅塵(コウジン)井に落ち、偶然にも1回目の転生修行を終えた姻縁(インエン)閣の仙女・祥雲(シャンユン)と上古の戦神・初空(チュコン)。天界に戻った祥雲は初空の報復を恐れたが、なぜか初空から今後も修行の伴侶になるよう指名されてしまう。実は初空は今回の歴劫で元神の回復を実感していた。情劫はあと6回、これで元神が完全に回復するなら願ってもない機会だろう。昊軒(コウケン)帝君は弟の報告を喜びながら、3万年も独り身を通した初空の相手がどんな女子なのか興味があった。一方、紅線翁(コウセンカク)は祥雲の苦労も知らず、これで姻縁閣も安泰だと内心、喜んでいた。祥雲は伴侶になりたくないと泣いて嫌がったが、どちらにしても牽糸引(ケンシイン)はあと6本、残っている。「え?!まだ6回も一緒に転生するの?! 私は3000歳で向こうは50000歳…って、相手は年寄りじゃないの! きっと私に仕返ししたくて伴侶にしたのよ!絶対に嫌っ!」すると兄貴分の李(リ)天王が2人の転生の筋書きを任されたので安心だとなだめた。( ;∀;)<エエエエエエエエ~もっと嫌ァァァァァァァァァァ~!初空の友で帝休(テイキュウ)族の皇子・修茗(シゥミン)もまたこの3万年、独り身を通していた。修茗と言えば自分の命より大切にしている玉を持っているのは有名な話、しかしその理由を知る者はいない。すると初空が歴劫で猪に転生したと聞き及び、早速、友を訪ねることにした。姻縁閣に鶯時(オウシ)公主が乗り込んできた。初空の情劫の伴侶は自分だったはず、鶯時は激怒して姻縁閣を壊すと息巻く。焦った祥雲は高貴な公主を獣に転生させるわけにいかなかったと釈明し、実はある作戦があると耳打ちした。何とか苦肉の策で鶯時公主を納得させることに成功した祥雲。しかしふと紅線翁の言葉を思い出して意気消沈した。実は牽糸引は修行を終えて紐を切らなければ他に解く方法は1つだけ、どちらか一方の元神が失われて魂が飛散するしかないという。…助かるためには初空仙君にお願いするしかないわ…修茗はあの初空が情劫の修行に行くと知って興味津々、相手の女子に会いたいと頼んだ。「3万年も思い続ける玉の女(ヒト)がいるだろう?」「気づいていたのか、実は初空は彼女に会ったことがある、でもお前は当時の記憶がないからな」「彼女が消えたのは滄日(ソウジツ)の戦の頃か?」「その通り、初空…3万年前に何が起きたか気にならないのか?」一方、女媧(ジョカ)石を手に入れた摩羅(マラ)族の護法・錦蓮(キンレン)は石を人間界に送ることにした。「惜しいことにこの石はまだ目覚めていない、情愛に染まってこそ真の力を発揮する」こうして人間界に投げ込まれた女媧石は文淵(ブンエン)閣にある植木鉢の中に置かれた。女媧石が人間界に落ちると天界に突如として霊柱が立ち上り、花びらが宙を舞った。初空は話を中断して席を立ったが、ふいに立ちくらみを起こし、また身に覚えのない光景が脳裏をよぎる。…なぜいつも同じ光景を?…初空の失われた記憶には決まって顔の見えない女子の姿があった。その時、初空の視線の先によく似た女子が立っているのが見える。懐かしさを覚えた初空は女子の元へ駆けつけたが、振り返った女子は祥雲だった。すると初空は急に倒れてしまう。祥雲は初空仙君の様子を心配したが、修茗はいつもの病だと笑って安心させた。「君が初空の転生の伴侶だね?やっと会えた」「姻縁閣の仕事が忙しく、他の神仙とは行き来がありません」「初空と歴劫に行きたいか?」「フル(・_・ ))(( ・_・)フル」すると回復した初空が現れた。修茗は祥雲と意気投合したと報告し、転生の修行を見逃すよう口添えして帰ってしまう。実は祥雲は修茗が3万年探し続けていた″玉の女″とうりふたつだった。祥雲は初空の前でひざまずき、伴侶を外して欲しいと懇願した。「…構わないが姻縁閣はどうする?」「仙君?!私を脅すのですか?」「姻縁閣の処遇は修行が終わってから決める…他に何か?」(,,Ծ‸Ծ,,)<ご心配なく!修行を成功させて見せます!とは言ったものの祥雲は不安でたまらなかった。「李天王、あなただけが頼りなのよ?!きれいな死に方にしてよね!」すると紅線翁はせめて記憶が消えないよう、忘川水に″忘川蜜″を仕込んでおくと約束した。「何か困ったことがあったら姻縁祠(シ)で祈りなさい、力になろう」転命星君(テンメイセイクン)の立ち合いのもと、初空仙君と祥雲の転生の儀式が始まった。転生では忘川の水を飲んで記憶を失くすのが掟、しかし初空はこっそり薬を入れようと企む。その時、突然、修茗が現れた。修茗は一緒に行きたいと懇願し、自ら用意した忘川水を招喚する。おかげで初空は薬を仕込む機を逃し、結局、記憶がないまま人間界へ転生してしまう。一方、鶯時も祥雲にそそのかされ、人間界で初空仙君と結ばれるために忘川水を飲んであとを追った。…宋勤文(ソウキンブン)は文武両道で婉娘(エンジョウ)は良妻賢母私はこの両親に育てられたの両親は私を溺愛し、長命玉を授けた苦労知らずよ…宋勤文は栄進、都の10万の兵を任され、統領と呼ばれる身分になった。ちょうどその頃、親友・陸涼(リクリョウ)に男児が生まれる。祥雲は父に連れられ誕生祝いを届けに陸府へ、すると陸夫人は赤子を許嫁だと紹介した。( ゚д゚).oO(かたや都を守る軍の統領、かたや辺境を守る大将軍、皇帝がよっぽど間抜けじゃなかったら両家の婚姻を許すはずないのに~先が思いやられるわ(汗「もしかしてこの子の名前は初空?」「いいえ、陸長空(ルーチャンコン)よ」時が経つのは早いもの、長空も大きくなった。祥雲も美しく成長したが、そんなある日、陸夫人が息子には平和で穏やかに暮らして欲しいと話しているのを耳にする。「そして教養があってしとやかな嫁と孫ができれば十分よ」(  ̄꒳ ̄).oO(教養があってしとやかだと?!早く言ってよね~つづく( ̄▽ ̄;)祥雲と長空、すごい年の差があるけど普通なの?w
2024.05.06
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第25話「第二夫人の罠」温婉(オンエン)の罠とも知らず、弟が多額の借金を抱えてしまった千怜雪(センレイセツ)。返済期間はわずか3日、追い詰められた千怜雪はつい皓雪堂(コウセツドウ)の売り上げ金に手を出してしまう。すると誰もいないはずの深夜の店に温婉が現れた。「あなたが遅いから心配で迎えに来たの、まさかこんなことをするなんてね」千怜雪は仕方なく温婉に事情を話し、秘密にして欲しいと泣きつく。そこで温婉は自分が銭を工面する代わりに、いずれ時が来たら手を貸して欲しいと頼んだ。翌日、寧鈺軒(ネイギョクケン)は季曼(キマン)に水晶の首飾りを贈った。しかし運悪く回廊を歩いていた温婉が2人の仲睦まじい様子を見てしまう。「この水晶には″一生涯2人だけ″という意味があるんだ」「な~にが2人だけよ?温姨娘がいるのに…」すると寧鈺軒は温婉とは契約書も結納も交わしておらず、居場所のない温婉を受け入れたに過ぎないと釈明する。「私を信じてくれ、君を裏切ったことはない」「あなたを信じるわ」寧鈺軒の言葉を聞いた温婉は激怒、寝殿に戻ると檀香(ダンコウ)に千怜雪を呼ぶよう命じた。皆が寝静まった頃、千怜雪は密かに温婉を訪ねた。しかし温婉の要求が毒で大夫人を害することだと知り、恐ろしくなった千怜雪は協力を拒否する。すると温婉は弟を海坊へ呼び寄せ、賭場で遊ばせたのも自分だと明かした。「選択肢は2つよ、弟の骸を待つか、私の銭で弟を救うか」「…分かったわ」千怜雪は温婉から毒を受け取ったが、その時、聶桑楡(ニェサンユー)が現れた。温婉は虫も殺さぬような顔で何も知らないふりをした。しかし千怜雪は弟を使って脅すなど許せないと激怒、毒を従兄に渡すという。すると騒ぎに気づいた寧鈺軒が現れた。千怜雪は温婉が夫人を害そうとした毒だと言ったが、温婉の異変に気づいた季曼は咄嗟に誤解だったと否定してしまう。「温姨娘、霊芝なら受け取るわ」結局、この一件はこれで終わりとなった。実は温婉は千怜雪と会う前、念のため賭場を訪ねていた。すると秦奕閑(シンエキカン)が借金を肩代わりして弟を連れ帰ったと分かる。「危うくしくじるところだったわ…」温婉は千怜雪が聶桑楡と秦奕閑に全て話したと知っていた。…千怜雪は良心の呵責から季曼に事情を明かした金を工面しようと店の銀票を盗もうとしたが、温婉に見つかってしまったという『でもなぜ店に温婉がいたのかしら?』季曼は全て温婉の企みだと気づいたそこで温婉の要求が何か確かめるよう提案、その間に秦奕閑に頼んで弟の安全を確保すると決める『これからは何でも私に相談してね、一緒に立ち向かいましょう』…季曼は寧鈺軒に事の顛末を説明した。すると寧鈺軒はまた温婉が暗躍していたと知り頭を抱える。実は例の倉庫の火事にも温婉が関わっていた可能性があった。「まだ証拠はつかんでいない、でも必ず真相を確かめるよ」そんなある日、港にいた袁朗(エンロウ)はちょうど積荷を引き取りに来た苜蓿(ムーシュ)と桑葚(ソウシン)を見つけた。「桑葚姑娘、君の小姐は回復したかい?」「ええ、水中に落ちたら記憶が戻ったのよ」驚いた袁朗は積荷の運搬を手伝うと申し出て皓雪堂に同行、久しぶりに季曼と顔を合わせた。「記憶が戻ったと聞いたよ、全て思い出したとか」「そうなの、私はおてんばで、父親(フーチン)を良く怒らせたわ」「もっと幼い頃は?」「普通、覚えていないわ〜そんな幼い時のことまで、ふふ」「聶姑娘、実は俺たちは昔…」袁朗は何か言いかけたが、そこへ桑葚が慌てて駆けつけた。「小姐~!老爺から文が届きました!海坊へ戻る途中だそうです!」千怜雪は弟を探しに賭場へ駆けつけた。しかし秦奕閑が引き止め、会うべきではないという。実は千炳言(センヘイゲン)は命の危険に晒されてもなお目が覚めていなかった。そこで秦奕閑は賭場には裏があり、勝たせたい者を勝たせて他が負けると種明かしする。「お前のような鴨が仕掛けた穴に飛び込むと、深みにはまって全て失うまで抜け出せない」千炳言はようやく自分の過ちに気づき、涙に暮れた。すると秦奕閑は黄(コウ)州に用意した職に就き、改心するまで怜雪に会わないよう釘を刺す。「今度、姐姐に金をせびったら私が容赦しないぞ?お前が望むならきっとやり直せる」「秦大哥、姐姐に悪かったと伝えてください」千怜雪はそもそも弟を甘やかした千怜雪にも責任があると苦言を呈した。「少し苦労させた方がいい、あいつのためだ、見張りもつけてある」怜雪は素直に秦奕閑に従って見送りは諦めた。すると秦奕閑は怜雪の手を握りしめ、これまで犬猿の仲だったが、実は言い争わなかった日は怜雪のことが頭から離れなかったと明かす。「私は…」「私もあなたが好き、てっきり嫌われていると思っていたから言えなかったの」「君が私を好きだなんて思いもしなかったよ!」2人は互いに相手を好きだったが、意地を張っていただけだった。季曼たちは千怜雪と秦奕閑の急展開に驚きながらも祝福した。すると秦奕閑が新たな処方で値段を下げた非晩霜(ヒバンソウ)の売り出しに協力してくれるという。「その代わり怜雪の給金をあげてくれ」2人の熱々ぶりに当てられっぱなしの季曼。あれ以来、温婉も鳴りを潜めていたが、それでもなぜか胸騒ぎがしてならない。その時、季曼はふと新しい非晩霜に違和感があったことを思い出した。…ねえ、何だか色が濃いような気がしない?…「苜蓿、店に戻るわ」秦奕閑は民のため一新した非晩霜を広めようと市で売るよう提案した。すでに水亦清(スイイーチン)と千怜雪を連れて出かけたという。季曼は急ぎ医者と寧鈺軒を呼んで薬材を検査、すると誰かが薬材に細工したと分かった。「牽機散(ケンキサン)です、正常な肌なら問題ないが、傷があると毒で発作を起こします 軽くても半身が不随に、最悪の場合は死に至ります」季曼は市に駆けつけ、直ちに非晩霜の販売を中止した。購入した人からは5倍の代金で引き取り、何とか全て回収することに成功する。水亦清たちは理由が分からず困惑していたが、季曼は毒を盛られたと教えた。寧鈺軒は官服姿で温婉の寝殿を訪ねた。想い人の来訪に心が躍る温婉、すると寧鈺軒は贈り物だと言って新しい非晩霜を出した。「すぐに試せ」つづく( ๑≧ꇴ≦)イーニャンがあからさまに黒服wそう言えばムーシュって記憶が戻ったこと知ってたのね( ̄▽ ̄;)
2024.05.06
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第24話「不意打ちの口づけ」寧鈺軒(ネイギョクケン)が記憶を取り戻した季曼(キマン)から聶桑楡(ニェサンユー)と入れ替わった経緯を聞いていた頃、都では聶向遠(ニェコウエン)と季銘(キメイ)が再会を果たしていた。しかし季曼の双子の姉・聶桑楡が他界したと知って季銘は愕然、さらに季曼が聶桑楡に成り代わって寧鈺軒の妻になっていたという。「桑楡は寧鈺軒と争った末、崖から落ちたらしい、季曼と入れ替わった経緯までは分からぬ」18年前、万策尽きた季曼は聶向遠を頼って双子の片方を託した。当時は門兵だった聶向遠も今や将軍、双子の再会も難しいと思っていたが、思わぬ運命の渦に巻き込まれてしまう。「まさか1人は命を失い、1人は記憶を失うとは…なんとむごいことか まるで前世代の者たちが呪いでもかけたようだ 今もなお寧家との因縁が断ち切れていないのか」すると季銘は聶向遠に全て明かすことにした。季銘の正体は茶幇(チャホウ)の三番手・雷虎(ライコ)だった。当時、朝廷が寧忠天(ネイチュウテン)に茶幇討伐を命じ茶幇は壊滅。その時、かろうじて難を逃れた季銘は蔡聞正(サイブンセイ)幇主の双子の赤子を救ったという。聶向遠はてっきり季銘の娘だと思って預かっていたが、まさか蔡聞正の血族を守る片棒を担がされていたとは知る由もなかった。「朝廷はまだ茶幇を徹底的に追っているんだぞ?」「我らの友情と娘たちへの情に免じて季曼を見逃してくれ!季曼が安全なら私が罰を受ける!」しかし季曼は今や二品誥命(コクメイ)夫人、君主を欺いたと知れたら族滅は免れない。聶向遠は今のまま寧鈺軒のそばにおくべきだと助言したが、季銘は反対した。「寧鈺軒だけはならぬ!」実は寧鈺軒の父こそ姉妹の父を殺し、茶幇を潰した張本人だった。そこで聶向遠は季曼が寧鈺軒と離縁を考えていると言ったことを思い出し、静観しながら自然と離縁するまで見守ろうとなだめる。季銘は不満が残るものの娘の安全を考えるとやむを得ず、ともかく急いで海坊へ帰ることにした。寧鈺軒は季曼の想い人が自分だったと知り、独りになると嬉しくて小躍りした。しかし翌朝には寧夫人が侯爺に関する品をこっそり集めていたと噂が広まり、季曼は女主人としての威厳を失ってしまう。するとその夜、屋敷から季曼の姿が消えた。季曼はあまりの恥ずかしさで中庭の大木の影に隠れていた。するとふいに寧鈺軒が現れ、この木の下にも自分の物を隠したのかとからかう。「ずっと前から私を好きだったと認めたな?」「もう帰る!」季曼は気恥ずかしくなって立ち上がったが、寧鈺軒が止めた。「待った!もし私がそなたの尊厳を取り戻すと言ったら? 私の夫人への想いの方が強いと分からせれば良い」季曼は何をするのか分からなかったが、寧鈺軒が不意打ちで口づけした。季曼はすっかり機嫌を直して母屋に戻った。しかしちょうど苜蓿(ムーシュ)と言い争っていた桑葚(ソウシン)の言葉を聞いて再び意気消沈してしまう。「小姐じゃない、れっきとした夫人よ!」「小姐は婚礼を行なっていないから″夫人″じゃない!″小姐″よ!」翌朝、寧鈺軒は季曼が朝餉に来るのを待ちきれず、母屋へ迎えに行った。しかし寧鈺軒を見た季曼は逃げるように出かけてしまう。( ゚ェ゚)<え?何で無視?千怜雪(センレイセキ)は秦奕閑(シンエキカン)の助けで弟の借金を工面したものの、千炳言(センヘイゲン)は姉の突き放したよう文に不満を募らせた。そんなある日、海坊を訪ねた千炳言の前に温婉(オンエン)の侍女・檀香(ダンコウ)が現れる。「主からいかなる要望にも応えるよう仰せつかっています」一方、寧鈺軒は自分を避けている季曼を心配し、劉家村へ慰問に行こうと誘った。実は王錦堯(オウキンギョウ)の件に決着がついたという。劉家村を気にかけていた季曼は迷わずついて行ったが、村では夫や息子たちの死を悼む村人たちが悲しみに暮れていた。そこで寧鈺軒は村の安全を守ると約束し、しばらくは官府が配給を送ると安心させて引き上げる。帰路の途中、季曼と寧鈺軒は河原で一休みした。「本当のそなたはどんな風だったのだろう? そなたはがめつくて食いしん坊、普段は怒りっぽい 夫婦の情を勘定すると言ったり、些細なことにも対価を求めてくる だが生死がかかると迷うことなく私を救ってくれる、自分の命さえ顧みずに… 私にとってそなたが最も大切だ」「…私もあなたが大事よ?でもいつまで聶桑楡として生きればいいの? 季曼に戻れるのはいつ?いつ季曼としてあなたと正々堂々と一緒にいられるのかしら?」すると寧鈺軒は季曼の手を握りしめ、必ず納得できる答えを出すと約束した。その頃、千炳言は檀香にそそのかされ、大好きな賭け事に熱中していた。しかし運も尽きて負けが続き、そろそろ引き上げることにする。するといつの間にか借金が1000両にも膨らんでいた。てっきり檀香が工面していると思っていた千炳言は銭など持っていないと訴え、県衙にいる姉を呼ぶよう頼む。実は賭場の店主と檀香はぐるだった。千怜雪は弟からの文を受け取った。東山賭場で捕まり、銭を返さねば手を切り落とされるという。「東山賭場?…海坊にいるの?!」驚いた千怜雪が賭場に駆けつけると、弟はすでに痛めつけられ傷だらけだった。そこで銭を集めるまで猶予が欲しいと頼んだが、3日しかもらえない。つづく(((>_
2024.05.05
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第23話「門前の魚に秘めた想い」季曼(キマン)は海に落ちて昏睡していたが、目覚めると記憶が戻っていた。ひとまず桑葚(ソウシン)だけに報告し、実は想い人が寧鈺軒(ネイギョクケン)だと分かったという。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ″<寧鈺軒がががが!「小姐、ならお宝の箱の中身は寧鈺軒に関わる物ですか?」「お宝の箱?あ~!思い出した!ふふふふっ」確かに季曼は憧れの人を下手な詩に詠んだり、絵姿を描いては大切に保管していた。桑葚はともかくこれで帰海(キカイ)号へ帰れると喜んだが、季曼に拒まれてしまう。「大好きな寧鈺軒のそばにいられるのよ?出て行かない!」翌朝、寧鈺軒は鬼白(キハク)と海坊(カイホウ)港にいた。回復した季曼が再び船に戻ってしまうと思うとやるせない寧鈺軒。そこで季曼を引き止めようと帰海号の修繕を無理やり引き伸ばしてしまう。すると蛟龍(コウリュウ)幇の幇主・袁朗(エンロウ)が現れた。袁朗は寧夫人の見舞いに行きたいと言ったが、寧鈺軒は静養中につき遠慮して欲しいと断る。年貢の護送の件では民のため手を組んだ2人、しかし季曼のこととなると途端に敵意をむき出しにした。一方、季曼は仕事に復帰、早速、新商品の開発に意欲を見せた。すると水娘子(スイニャンズー)こと水亦清(スイイーチン)がついに水宴居(スイエンキョ)を離れることになったと報告する。そこで季曼も親友の水亦清と千怜雪(センレイセツ)には記憶が戻ったと知らせ、3人は抱き合って喜んだ。皇帝に寧鈺軒から奏状が届いた。寧鈺軒は海坊に船舶司を置いて海上貿易の拠点市場にしたいという。喜んだ皇帝は寧鈺軒を元の爵位と官位に戻し、海坊船舶司設立の職務の兼任を命じた。当然、資金源を奪われた檀(タン)王は激怒、その怒りの矛先は寧鈺軒を始末できなかった凌剣星(リョウケンセイ)に向けられる。檀王の逆鱗に触れた凌剣星は都にいては海坊の者の手を借りるしかなかったと釈明し、自ら海坊へ出向くと決めた。寧鈺軒は季曼のため魚の汁物を作って届けた。「魚は目や頭をよくするし、病後の回復にいいそうだ これを作るため私は大きな恐怖と戦ったが、そなたのためなら平気だ!」季曼は寧鈺軒の優しさに感激したが、実は寧鈺軒は魚が大の苦手だという。かつて寧府に差出人不明で毎月のように魚が届いたことがあった。時にはおかしな詩まで添えてあることもあったという。季曼は寧鈺軒が自分の贈った魚に気づいていたと内心、喜んだが、思わぬ結末が待っていた。「だが怪しい物は口にできない、だから夏には門を開けるたび腐った魚の臭いがした 怪しい送り主は私に恨みを持つ者で、嫌がらせだったのかもしれぬ」季曼は自分の愛を込めた魚を嫌がらせと勘違いされ激怒、寧鈺軒に汁物を突き返した。「魚は嫌いよ!持って帰って!」水亦清は鬼白の護衛で新しい居所を探していた。ようやく気に入った物件が見つかったが価が折り合わず、交渉中に別の買い手が現れてしまう。水亦清はあきらめるしかなかったが、思いがけず鬼白が破格の価で買い取ると申し出た。「水姑娘が気に入ったなら渡せない…すぐに払う」皓雪堂(コウセツドウ)では季曼と聶桑楡(ニェサンユー)の妹・青雲(セイウン)が互いに恋の悩みで悶々としていた。想い人が寧鈺軒だと打ち明けるきっかけがつかめない季曼、しかし青雲の問題なら手を貸せると気づく。「そうだ、私が陶(トウ)将軍を呼び出して2人きりになれる機会を作ってあげる でもその後は…自分で何とかしてね?」聶桑楡に誘われた陶思維(トウシイ)は喜んで駆けつけた。そこで季曼は青雲と3人で街を散策しながら、妹の世話を頼みたいという。陶思維はもちろんだと承諾したが、聶桑楡は青雲を残してさっさと店に戻ってしまう。季曼は帰海号の修繕がそろそろ終了すると聞いた。しかし最後に船室の点検があると分かり、あのお宝の箱を開けられたら一大事だと慌てる。そこでその夜、桑葚と2人で船に戻り、寝台の下に隠しておいた箱を取り出した。「小姐、私が海に捨てます!」「待って!想いがつまっているのに捨てられないわ」季曼はひとまず箱を持って県衙に戻ったが、その様子を運悪く第二夫人・温婉(オンエン)に見られていた。季曼は母屋で箱の中身を見ていたが、突然、寧鈺軒が現れた。「皆は下がれ」驚いた季曼は咄嗟に箱を椅子においてその上に座り、衣で何とか覆い隠す。しかし温婉から報告を聞いた寧鈺軒はすでに季曼が箱を持っていると知っていた。「その箱の中身は何だ?…力になる、中身を私の物に替えれば大丈夫だ」「アイヤー!絶対に見せない!」一方、都では聶桑楡の父・聶向遠(ニェコウエン)がついに季銘(キメイ)の居場所を突き止めていた。季銘は再会を喜んだが、聶向遠の表情は険しい。「どういう経緯で帰海一刀(キカイイットウ)になった?なぜ18年も娘に会いに来なかったのだ?」「過去の私の人生を消すためだった、私と向遠大哥の身を守るためだった」「保身のために双子の娘の片方を見捨て、自由に暮らしていたのか?!」すると聶向遠は季曼の姉が亡くなったと明かした。季曼は意地でも箱を渡さなかった。さすがに腰が痛くなってきたが、寧鈺軒は中身を見るまで帰らないという。そこへ鬼白が入ってきた。「屋敷で争い事が…夫人の侍女・桑葚と温姨娘の侍女・檀香(ダンコウ)です」痺れを切らした温婉は侍女に騒ぎを起こさせ、母屋に乗り込むことに成功した。「姐姐、私の目が行き届かずお許しを…私が厳しく戒めます」すると寧鈺軒は皆に下がるよう命じた。しかし隙をついて檀香が引き返し、季曼を突き飛ばして椅子の下にあった箱を奪ってしまう。( ゚Д゚)゚Д゚)<アアアアアアアアアアアアッ!檀香は箱の中身を取り出して自慢げに掲げた。そこで鬼白が何を隠していたのか確認したが、下手な侯爺の絵姿と紛失した侯爺の巾着だと分かる。温婉の目論見は外れ、夫人を侮辱した檀香は寧鈺軒の逆鱗に触れた。「次はないぞ?!…温婉、しっかり侍女を躾けるんだな」思わぬ誤解で面目丸潰れの季曼。しかし寧鈺軒は季曼の宝物が自分の絵姿だったと知って天にも昇る心地だった。それにしても自分の巾着をなぜ季曼が持っていたのだろうか。「どうしてこれを?」「正直に言うわ…全部、思い出したの」「記憶を取り戻したのか?」「そうよ」つづく( ゚ェ゚)侯爺は何を持ってると思ったの?よく分からなかったわw
2024.05.04
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安乐传 The Legend Of Anle第29話帝(ディ)家軍の霊牌を胸に抱き、万感交々至る梓元(ヅユアン)。すると韓燁(ハンイェ)は靖国の皇太子として英霊に誓いを立てた。「今後は忠誠を誓う民が無実の罪に苦しまないことを約束する、必ず太平の世を築く… 英霊たちよ、長風に乗りて我が国の山河を見よ」すると一同はひざまずいて霊牌に叩頭し、拝礼の儀が終わった。「英霊たちよ、長風に乗って天に昇れ、そして天より山河を見守りたまえ…」最後に梓元が祈りを捧げると、まるで英霊たちが呼応するように山間を強い風が吹き抜けて行った。祭礼一行は山で一夜を過ごすことになった。温朔(ウェンショウ)は苑琴(エンキン)と星空を眺めながら、梓元が近寄り難い存在になったと嘆く。しかし苑琴は靖南にいた頃に戻っただけだと言った。「太子殿下と再会して任安楽(レンアンルー)を演じるようになり、次第に明るくなったの 殿下だって小姐に想いを寄せるようになってから穏やかになったわ」「2人とも互いを想っているのに、まるで敵対しているようだ、2人に非はないのに」「これが運命なのよ」すると梓元が弓矢を背負って天幕から出てきた。「狩に行ってくる」「お供します!」温朔は慌てて安楽姐の後を追った。梓元は2羽の雉を仕留めた温朔の腕前を褒めた。「あなたは弟の燼言(ジンイェン)に似てる…」「それなら私を家族だと思って、弟の話を聞かせてよ!」「そうね、いつも私に付きまとって、叱られそうになると甘えて許しを請うの」梓元は温朔と一緒にいると不思議と気が晴れたが、その時、仮面をつけた刺客が現れた。梓元と温朔は突然、刺客に襲われ、2人きりで応戦した。すると剣戟の音に気づいた韓燁が衛兵を率いて駆けつけ加勢、刺客は撤退する。おかげで2人は無事だったが、洛銘西(ルォミンシー)は刺客が落とした令牌を見つけた。「梅花衛か…」実は梓元に刺客を差し向けたのは北秦(ホクシン)の密偵である冷北(ランベイ)と姜瑜(キョウユ)だった。刺客にわざと皇帝直属の梅花衛の令牌を落とさせ、帝梓元が嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(カンチュウエン)を一層、恨むよう仕組んだのだ。冷北はすでに西北にいる帝家の配下の名簿を手に入れていた。もし帝梓元が韓仲遠に襲われたと知れば配下も黙っていないだろう。冷北と姜瑜は両家を再び離間させ、この機に乗じて事を起こすつもりだった。「ただ奴らの心を束ねる者がまだ見つからぬ…」「殿下、ご安心を…帝家の娘に代わる者を見つけました、恐らく殿下が思いもよらぬ人物です」冷北たちの予想通り梓元と洛銘西は刺客が皇帝の仕業だと断じた。しかし韓燁は罪を認めた皇帝が今さら帝梓元を暗殺するとは思えず、裏があると疑う。実は刺客の剣術が梅花衛とは異なり、むしろ除夜の宴に現れた刺客とそっくりだった。とは言え除夜の宴の件なら古雲年(コウンネン)の配下と調べがついたはず、すでに古雲年は死んでいる。梓元は皇帝でも古雲年でもない別の誰かが自分の命を狙っていると気づいた。「だが狙いは君ではなく、靖国そのものかもしれぬ…」韓燁は陰謀渦巻く都で何者かが長年、機をうかがっていた可能性を示唆した。「北秦ね…」梓元はすぐ分かった。「だとすると古雲年は哀れですね」温朔は古雲年があらゆる謀を巡らせたが北秦の駒に過ぎず、結局、無駄死にだったと同情する。しかし梓元は自業自得だと吐き捨てるように言った。その夜、韓燁は夜営を離れて酒を飲んでいる梓元を見つけた。「これからどうする?大理寺に戻りたいなら…」「官を辞して靖南に帰るわ」「私は君に残って欲しい、だが叶わぬ望みだな 今後3年、靖南の税を免じるよ、かつての平和な光景を取り戻してくれ」「…靖南の民に代わって感謝するわ、でもその程度で償いきれると思う? あなたには過去の過ちを繰り返さないでもらいたい 太子として民に尽くし、清廉な政(マツリゴト)を行うと誓ったわね? それでこそ英霊たちも旅立てる」「必ず誓いを守るよ」梓元はそこで先に戻ることにしたが、韓燁が引き止めた。「梓元、蒼(ソウ)山で伝えた思いは今も変わっていない@11話」あの時、韓燁は安楽と2人で隆盛の世を築くという予感がすると明かし、知己としてそばにいて欲しいと懇願した。しかし梓元は何も言わず、そのまま行ってしまう。…3万の水軍を嫁荷として求婚し、幾多の事件を解決に導いた女海賊・任安楽彼女が皇太子妃か忠臣になると誰もが信じ、美談として語り継がれることを望んだことだろうしかし帝家の冤罪は晴れ、任安楽は帝梓元に戻った果たして彼女はこれからどんな人生を歩んで行くのだろうか…都では講談師も民衆も帝梓元の去就に注目した。そんな中、任府に戻った梓元は趙福(チョウフク)から帝家の名誉回復の聖旨を賜り、これで一区切りがつく。「帝大人、陛下からご質問がございます、″そちのわだかまりは解けたか?″と…」「いいえ…正直に言うわ、まだ釈然としない 全てが決着しても、父や青南山で散った8万の将兵の命が戻ることはないもの でも恨みは捨てました 私の願いは天下太平、帝家のような悲劇が二度と起こらない事を祈ります」洛銘西は梓元が覇権を取り戻すことを望んでいたが、梓元の韓燁に対する信頼は予想以上に篤かった。「韓燁なら太平の世を築いてくれる… 靖南に帰ったら二度と都ヘは足を踏み入れない、銘西哥哥も一緒に帰りましょう? 今頃は長思花がきれいに咲いている頃よ?」「そうだな…後始末を終えたらすぐ後を追うよ」一方、冷北は密かに姜瑜と接触した。実は姜瑜の策略がまたしても失敗、帝梓元は自分を襲撃した黒幕が皇帝だと信じなかったという。そこで姜瑜は例の″別の駒″を使うと伝えた。ある夜、温朔は屏から任府の庭に潜入した。すると苑書(エンショ)に鼠と間違われ、いきなりほうきで叩かれてしまう。「私だよ私!」温朔が草むらから姿を見せると、苑琴はなぜ表門から来ないのかと呆れた。「門前払いされるかと思って…安楽姐と殿下は顔も合わせないから…」「バカね~殿下と温朔は違うわ」その声は梓元だった。温朔は安堵したが、安楽姐が靖南に帰ると聞いて駆けつけたという。「このまま残れないの?」「都にいる理由がなくなったから…」「殿下は?!殿下のために…(ぐふっ!)」苑書が咄嗟に温朔の口をふさぐと、梓元は寝殿へ戻った。すると温朔は安楽姐はもちろんのこと、何より苑琴との別れが辛いと告白する。その時、急に腹の虫が鳴った。一方、洛銘西は皇太子府を訪ね、韓燁に報告書を渡した。実は西郊(セイコウ)大営の件に関わっていのは古雲年ではなく姜瑜だったという。洛銘西は帝承恩(ディチォンエン)に接触した姜瑜を疑い調べていたが、まだ北秦と結託した証拠まではつかめずにいた。「私も靖南へ帰ることにした」「…あとは私が引き継ごう」温朔は苑琴の手作りの夜食を堪能した。するとふいに子供の頃、皇太子と出会った時のことを思い出す。あれは五柳(ゴリュウ)街にいた時のこと、温朔は養母から十分な食事を与えてもらえなかったせいで、大病を患った際に以前の記憶を失っていた。そんなある日、物乞いの子供と縁日で遊んだ帰り道、街外れの廟で休んでいる皇太子を見かける。裕福そうな男を見た温朔は銭を盗もうとしたが、あっけなく見つかった。しかし韓燁は家が貧しいという温朔を許し、しっかり勉学に励むよう諭したという。その時、突然、ならず者が現れ、皇太子に襲いかかった。皇太子は温朔をかばい、負傷してしまう。苑琴は聞いた話と違うと首を傾げた。「温朔が殿下を救って侍衛に迎えたのではないの?」実はその時、韓燁は迎えが来るまで温朔をそばで待たせていた。駆けつけた衛兵に温朔が自分を救ってくれたと思い込ませ、皇太子の恩人として迎え入れさせたという。「殿下に会えたことは何よりの幸運だった」しかしその頃、姜瑜の魔の手が温朔に迫っていた。温朔は後ろ髪を引かれる思いで任府をあとにした。夜道には誰もいなかったが、突然、背後から何者かに殴られ、連れ去られてしまう。一方、西北では梓元が梅花衛に襲われたとの急報が帝家配下たちに届いていた。報告を聞いた洛銘西は黒幕の目的が帝家の配下を扇動することだと気づき、やはり帝家の末裔である梓元は都に留まるべきだと確信する。琳琅(リンロウ)は洛銘西が梓元を家主として帝家軍を再興させたいと願い、そのために邪魔者を排除するつもりだと分かった。しかしその時、突然、皇太子の侍従・吉利(キツリ)が血相を変えて飛び込んで来る。「洛大人!大変です!太子殿下が左丞相を殺してしまいます!急いでください!」冷静沈着な韓燁が大街で姜瑜に剣を突きつけていた。民衆は皇太子の暴挙に怯えながら、遠巻きに見つめている。「あの者はどこだ?私に謀反の片棒を担がせるつもりか?」「ふっ、韓燁よ、私が陛下に真実を話すのが怖いか? 気が変わったぞ、陛下だけではない、天下に向けて真相を暴いてやる 私を殺すなら帝家をあの世へ道連れにしてやる!」すると帝家を持ち出された韓燁は激情に駆られ、人目もはばからず姜瑜の首を切り裂いてしまう。「地獄への道連れは私1人で十分だ…」その時、洛銘西が駆けつけた。しかしひと足遅く、返り血を浴びた皇太子が事切れた姜瑜の前で呆然と立ちすくんでいた。梓元はいよいよ靖南へ発つことになった。「この屋敷ともお別れね…」梓元は任府の扁額を見上げていたが、そこに安寧(アンニン)と冷北が馬で駆けてくる。「安寧?どうしたの?」「梓元!哥哥が左丞相を殺して投獄されたの!」( ゚д゚)はあ?@うさぎ風宮中に激震が走った。皇帝は皇太子が起こした凶行に激怒、刑部に拷問もいとわないと指示する。しかし韓燁は面会に来た洛銘西にも決して理由を言わなかった。「姜瑜を断罪できる証拠はあった、なぜ大理寺に任せなかった?話せぬ事情でもあるのか?」…温朔をさらったのは姜瑜だった韓燁は左丞相を訪ね、なぜ帝承恩に手を貸し、温朔をさらったのかと追及する実は姜瑜は韓燁の秘密を知っていた『陛下は帝梓元を快く思っていません、まだ娘一人だけならいいでしょう ですが弟の帝燼言が生きていると知ったら? しかも太子府にいると耳に入れば陛下はどうすると?』『やれるものならやってみろ?!』…洛銘西は韓燁を助けるためにも理由を聞かせて欲しいと食い下がった。すると韓燁は温朔の荷物が役に立つはずだという。「探してみろ」「分かった、私が必ず出してやる」洛銘西が刑部大牢を出ると安寧と梓元が待っていた。安寧は兄が理由を話さないと知り、冷北と一緒に牢へ入ってしまう。しかし梓元は足が動かなかった。「君が聞けば話すかもしれない」「靖南に帰る私は会わない方がいいわ ただ太平の世を築き、清廉な政を行うと誓ったのに、まだその途上だと伝えて」すると梓元は帰ってしまう。つづくヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ びっくり!
2024.05.03
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安乐传 The Legend Of Anle第28話韓燁(ハンイェ)は嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)に洛銘西(ルォミンシー)の解放を嘆願した。重陽門では未だ帝(ディ)家潔白の勅命を請う者が後を立たなかったが、韓燁はこれも皇帝への信頼の証しだという。「陛下は諫言を聞き入れ、民心を重んずる方ゆえ、私も書生らと同じく陛下を信じています 哀れな8万の魂をお鎮めください」「太子…そちまで朕が間違っていると?」その時、侍従・趙福(チョウフク)が慌てて帝梓元(ディヅユアン)が来たと知らせた。約束の3日を過ぎても勅命が下らず、痺れを切らした梓元は自ら決着をつけに来た。「陛下、帝家の事件も幕引きとなりました、なれどいまだ青南山を英霊がさまよっています どうか陛下自ら英霊を都にお迎えください」しかし韓燁は反対、自分が代わりに行くと嘆願する。「尊き御身が遠出などもってのほか…私が忠魂をお迎えに参ります!」すると皇帝は洛銘西の釈放も西北行きも認める代わりに1つだけ聞きたいことがあると言った。「今もなお帝梓元を娶りたいのか?」「…私の願いは靖国の平和と繁栄だけです」皇帝は10年前の過ちを認め、詔で己を罰し、天下万民に詫びると決めた。約束通り梓元の悲願を叶えた韓燁、しかし嵐清(ランセイ)殿を出ても梓元に笑顔はない。「何度も考えたんだ、もし過去に戻れたら私たちは今後も笑い合えるかと…」「殿下、分かっているはずよ?私が帝梓元に戻ったらもう引き返せない」「そうだな、分かっている…ただ私たちの間に情がなくても、恨みが和らぐといい」韓燁は力を尽くし、親たちが起こした悲劇にけりをつけると約束した。洛銘西が釈放され、梓元は刑部大牢まで迎えに行った。すると遠目から2人の様子をうかがう韓燁の姿がある。梓元は韓燁が尽力してくれたと明かしたが、決して感謝しないで欲しいと言った。「あなたを傷つけたのは韓家なんだから…」しかし洛銘西は韓燁に声をかけてしまう。「陛下のご恩情に感謝を…水責めにされても殿下の薬のおかげで生き延びられました」梓元は洛銘西が持っていた薬が本当は韓燁の差し入れだと知ったが、結局、目も合わさないまま馬車に乗ってしまう。( ;∀;)せつな~い帝梓元が書生をうまく扇動したおかげで姜瑜(キョウユ)の目論見は失敗した。しかしこれで韓家と帝家の対立があらわになり、民にも動揺が広がっている。北秦(ホクシン)の皇子・冷北(ランベイ)は姜瑜の配下と接触、次の手があるのか聞いた。「韓仲遠は帝梓元に手が出せなくなりました、しかし我々は動けます」それから3日後、梓元は西北への出発を前に翎湘(レイショウ)楼へ見舞いに行った。しかし洛銘西は床を離れ、すでに仕事に復帰している。安楽はまだ洛銘西が納得していないと分かったが、これで朝廷を去ると決めていた。「…ちゃんと静養して、西北から戻ったまた来るわ」一方、韓燁は安寧(アンニン)の好物の菓子を持って公主府を訪ねていた。「我らは皇家に生まれ、何かと取捨選択を迫られる 私は兄としてお前がやりたくない事や耐え難いことを肩代わりする 何か悩みがあったら私に言うのだぞ」韓燁は妹が自由でいられるよう守るつもりだったが、自分の事となると口が重かった。「哥哥はどうなの?私には分かる、梓元は哥哥が好きなのよ?」「…私が手を尽くしても8万人の無念は晴らせぬ、どんなに頑張っても梓元の血族にはなれぬ ただ己の持てる力を尽くして傷ついた人々の心を癒やしたいのだ」一方、沅水閣(ゲンスイカク)では帝承恩(ディチォンエン)と慕青(ムーチン)が肩身の狭い思いで過ごしていた。侍女たちは帝承恩が物乞いだったと知ってあからさまに蔑み、帝承恩の装飾品を盗んでは堂々と身につけている。慕青は帝承恩をかばって侍女たちを叱りつけた。そもそも皇太子は帝承恩には罪がないと許し、できれば過去を忘れて都で暮らすようこの屋敷を与えている。しかし面白くない侍女たちは反発し、引き上げた。「いずれにせよ私は君のそばにいるよ」|ω・`)むーちん…琳琅(リンロウ)は甲斐甲斐しく洛銘西の世話を焼いた。「これで帝小姐も恨みを手放せますね」「琳琅、お前なら手放せるのか?」実は琳琅の父と兄は10年前、青南山で殺され、絶望した母も後を追うように亡くなっていた。「8万人の無念を詔で晴らせると言うなら、この10年は何だったのだ?」「ですが、ご苦労を重ねた大人に残された時はもう…」「だからこそ無駄にはできぬ… 靖国の領土は韓仲遠の手から離れ、帝家のものとなるべきだ その日が来てようやく哀れな8万の将兵と帝家の先祖が浮かばれる」洛銘西は梓元が選択を誤らぬよう最後まで支えてやりたいと訴えた。「鍼を打ってくれないか?お前に鍼を打ってもらうと顔の血色が良くなる」(´・_・`)、琳琅も色々とせつない韓燁と梓元は皇帝から勅命を受け取り、青南山へ出発することになった。城門にはすでに皇太子の馬車が待機していたが、梓元は同乗を断って苑書(エンショ)に自分の馬車を用意するよう命じる。仕方なく韓燁は梓元に馬車を譲って自分が馬で行くと決めたが、そこへ洛銘西が現れた。「太子殿下の馬車を奪うわけにいきませんよ、帝大人は私の馬車で行こう」しかしその頃、冷北と姜瑜は道中の帝梓元を襲撃すべく動いていた。韓燁は梓元のために手あぶりや毛布を準備しておいたが無駄に終わった。そこで温朔(ウェンショウ)に休憩時間になったら酒だけでも届けるよう頼んだが、やはり思い直す。「用意周到な洛銘西なら準備万端だろう」温朔は皇帝が罪を認めたのなら皇太子と梓元も以前の関係に戻れるはずだと訴えたが、韓燁は否定した。「あの者は帝梓元だ、任安楽(レンアンルー)ではない」韓燁は自分の心から離れないのは帝梓元ではなく任安楽だと言った。変わりやすい山の天候、馬車は激しい雨のせいで車輪がぬかるみにはまって動けなくなった。そこで皇太子たちには馬車を降りてしばし雨宿りしてもらうという。韓燁は先にあずま屋に入って座ったが、梓元は病み上がりの洛銘西を奥の席に座らせ、自分は入り口近くに腰を下ろした。すると雨が吹き込み、梓元は濡れてしまう。韓燁は席を立ち、外套を取りに行った温朔を待つふりをしながら梓元の雨よけになった。しかし梓元はあっけなく洛銘西の隣に移動してしまう。「バカみたい(ボソッ」梓元は洛銘西と仲良く談笑を始めた。「全て終わったら靖南に帰りましょう?」しかし急に洛銘西は席を立って韓燁の横に並び、一線を画する。「靖南では帝家軍が惨殺された日に白い幟が立ち並ぶ 毎年、その日は笑い声が聞こえない、大切な家族を奪われたからだ そんな場所があると太子として把握していたか?」一方、冷北は帝家軍の生き残りがどこにいるのか探っていた。すると安寧が西北周辺で散り散りになってしまった帝家の配下たちを密かに調べ続け、大半の行方を突き止めていたと知る。安寧は冷北が北秦の皇子だと知る由もなく、今日も皇帝への奏状と西北に送る密書を届けるよう頼んだ。馬車に戻った韓燁は洛銘西の辛辣な言葉を思い出し、意気消沈していた。「青南山に近づくにつれて思い知らされる、私が一生を懸けても梓元の隣に立てないと… これまでの努力も執念も、罪悪感も償いも、共に歩んだ日々も 8万人の前ではあまりに軽すぎる、滑稽なほどに何の価値もないのだ」一方、梓元は洛銘西が韓燁にだけでなく、自分にも苦言を呈したと気づいていた。洛銘西は自分にかつての帝盛天(テイセイテン)のような力を持ち、帝家の土地を取り戻して欲しいと願っているのだろう。「梓元、君は帝家の唯一の生き残りとして民のことを考えるべきだ」「天下を取るには戦以外に方法はない、無垢の民まで巻き込むことになるのよ? それに太子には皇帝たる器があると思う、民と義を重んじ天下太平を望んでいる いつか必ず明るく豊かな世を築いてくれるわ」激しい清めの雨が止み、青南山は梓元の来訪を歓迎するかのように晴天となった。山頂には大きな慰霊碑が建てられ、そばには帝家軍の鎧が飾られている。韓燁は冠を脱いで裸足で祭壇まで歩くと、梓元に霊牌を渡した。つづく(^ꇴ^)今週はジュゴンのせつない話w
2024.05.03
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七时吉祥 Love You Seven Times(全38話)第1話…太古の昔、彩雲たなびく中、大地が誕生して六界ができたわ小仙が住んでいるのはその中で最も輝かしい場所五色の雲の上に浮かび、他の世界を牽引する比類なき至上の世界、そう天界よ!天界に集う大勢の神仙はその力も千差万別、それぞれの職を務めているの小仙が働くのは姻縁(インエン)閣、姻縁閣は六界の縁結びを担っているわ各地から届く縁結びの願いを祈願札にしてから書にしたため、その内容に従って世の全ての恋人たちのために唯一無二の赤い糸を結ぶの私?私は天界でも最も大事な位にある小仙子、皆のためにひたすら赤い糸を結んでいるわ!…祥雲(シャンユン)は姻縁閣の仙女。ある日、縁結びの神・紅線翁(コウセンオウ)が昊軒(コウケン)帝君から難題を命じられ泣いていた。聞けば7日のうちに初空(チュコン)仙君と女子の縁を結ばねばならず、失敗すれば姻縁閣を取り潰すという。しかしこれまで何度も初空の縁談を世話したが、1件も受け入れられたためしがなかった。初空仙君と言えば伝説の戦神。3万年前に妖魔・滄海(ソウカイ)を倒して世の安寧を守ったが、それ以来、姿を見た者はいなかった。「翁翁、私が何とかするわ!」祥雲は親代わりでもある紅線翁のため一肌脱ごうと決めたが、実はそれが紅線翁の手だった。٩(¨ )ว=͟͟͞͞ ピュー!<頼んだぞ~! …3万年前、摩羅(マラ)・麒麟(キリン)・帝休(テイキュウ)の三大神族が並び立っていた中でも摩羅族の帝君・滄海は六界を束ねていたが、″滄海が魔に落ちて世を滅ぼす″という神託が下る危機が迫る六界、しかし勇敢な若者が天から舞い降り、滄海に討ちかかった若者は己の元神(ゲンシン)の半分を犠牲にしてまで滄海を滅ぼし、安寧をもたらしたというその若者こそ麒麟族の戦神・初空だった…祥雲は初空の縁結びを利用して一儲けしようと思いついた。そこで仙女たちを集めて縁談を競売にかけたところ、価は500霊石まで上昇する。これで決まりかと思われたが、その時、破格の1万霊石を提示する強者が現れた。「女媧(ジョカ)石もつけるわ、どう?」祥雲は幻の女媧石にすっかり魅了され、初空仙君の相手を鶯時(オウシ)公主に決めた。天界に古の神器・女媧石が現れた。報告を聞いた摩羅族の護法・錦蓮(キンレン)はこれで滄海帝君を蘇らせることができると期待する。「この時を3万年も待っていた…」天界に摩羅族が襲来した。神仙たちが避難する中、祥雲は置き忘れた女媧石を取りに戻り、錦蓮に目をつけられてしまう。すると突然、初空が現れ、祥雲を助けた。「錦蓮、私がうたた寝している間にこうも天界を騒がすとはな」こうして初空と錦蓮の激しい戦いが始まった。初空は麒麟の力で摩羅族を退けたが、祥雲が落とした女媧石を奪われてしまう。神託が降った。…千年のうちに滄海が復活するだろう…大殿に集まった神仙たちに動揺が広がった。3万年前は初空戦神が滄海を倒してくれが、その時に元神の半分を失って記憶も失くしている。元神を癒すため長らく閉関していたが、今回、錦蓮と戦ったせいで回復が遅れることは必至だ。しかし初空が現れ、妖魔が復活しても倒せる自信があると断言した。「それなら安心だ、皆は下がれ」昊軒は弟の顔を立てたが、これまであらゆる修行を重ねても弟の元神は完全には戻らない。実は唯一、初空が試していない修行があった。「情劫だ、姻縁閣にお前と女子の縁を結ぶよう命じておいた これでお前の元神も回復するだろう」一方、祥雲はあの麒麟族の青年が本当に初空仙君なのか半信半疑だった。「上古の戦神でしょう?軽く5万歳はいってるはずよ?」しかしその凄まじい霊力のおかげで容貌を若々しく保っていられると知る。( ๑≧ꇴ≦)まじか!怖っ! ←とは言ってないwその夜、祥雲は姻縁閣の神木に隠してある神器をこっそり取り出した。(」゚ロ゚)」<こら! Σ(°∀°ノ)ノ<うわっ!祥雲の兄貴分である李(リ)天王は姻縁閣の宝を盗むつもりかと呆れたが、祥雲は古の戦神には古の神器が必要だという。「この牽糸引(ケンシイン)なら例え運命の相手でなくても決して切れない縁で結べるって聞いたの」すると李天王は祥雲から神器を取り上げ、どんなものか確認することにした。しかし箱を開けた瞬間、火花が散って熱くなり、思わず落としてしまう。そこで今度は祥雲が神器を開けてみたが、赤い糸に問題はなかった。(  ̄꒳ ̄)オイオイ… あれ?( ̄▽ ̄;)ここは天地の間で最も霊気の強い場所・晨星(シンセイ)台。祥雲は初空仙君が元神を癒している隙にこっそり牽糸引を結ぼうとしたが、思わず寝顔に見とれてしまう。すると初空がふいに目を覚まし、驚いた祥雲は慌ててひざまずいた。「私のそばに近寄ったな…何をするつもりだった?身分をわきまえよ」「お許しください!初空仙君のために必ず良縁を結びます! 手を伸ばしたのは…仙君と前にどこかで会ったような気がして懐かしくて…」「懐かしいだと?ふっ、立て…姻縁閣への命を下す、取り潰しだ」焦った祥雲は何としてでも任務を遂行して姻縁閣を守るしかないと決意した。そこで初空を追いかけ衣を引っ張ろうとしたが、瞬時に腕をつかまれてしまう。その時、隠し持っていた牽糸引が落下、中から赤い糸が現れ、祥雲と初空の手首に巻きついた。初空は牽糸引を切るため短剣を招喚した。祥雲は自分の腕ごと切り落とされると怯え、咄嗟に逃げ出してしまう。しかしすぐ初空が追いついた。「うわ~来ないで!来たら飛び込むから!私の行方がつかめなくなりますよ?!」「この紅塵(コウジン)井は故障中だ、どこへ飛ばされるか分からぬぞ?」その時、祥雲は足を滑らせ、本当に落ちてしまう。初空は手を下すまでもなかったとほくそ笑んだが、手首の赤い糸がするすると伸び、祥雲に引っ張られて一緒に転落した。祥雲が目を覚ますと小白虎に転生していた。「あら?猪がいる…」「お前か?」「え?初空仙君が猪?!…ぶははははは~!猪空(ヂュコン)仙…いや初空仙君! 誰にも言いません!猪に生まれ変わったなんて~ふふっ」「にっ!私の名声に傷をつけるわけにはいかぬ、こうなったら…」初空はヒヅメを祥雲の頭に乗せて消そうとしたが、無駄だった。「しまった…転生修行中の時は術が使えない(ブヒッ」祥雲は初空の報復に怯え、必死に機嫌を取った。しかしどんなに努力しても初空は冷たい。すると翌朝、森に入った猟師たちが仲良く寝ている猪と小白虎を見つけた。目を覚ました初空は人間に気づいた。「この身が死ねば天界に戻れる」そこで初空はあえて人間に向かって行ったが、祥雲に邪魔されてしまう。「行ってはダメ!英雄になろうなんて思わないで!」「邪魔だ!あっちに行け!」猪と小白虎が戦う姿を見た猟師はひとまず大きな岩を投げてみた。すると祥雲は忠義を示す機会が来たと初空をかばい、頭を打って死んでしまう。「ろくでもないことばかりして!天界に戻ったら仕返ししてやる!…って(グサッ!)」初空はいきなり猟師に斬られた。…(バッタリ)戦神としての面子丸潰れだ…つづく( ๑≧ꇴ≦)あはははは~!1回目の転生はディズニーか!
2024.05.01
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