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2022.12.12
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皎若云间月 Bright as the moon
第13話「記憶を取り戻す旅」

月岐(ゲツキ)の公主・拓跋葉倩(タクバツヨウセイ)が軍機大営で四皇子・夜軽染(ヤケイセン)と一緒にいることが皇帝の知るところとなった。
しかし四弟を失脚させるつもりだった三皇子の目論みは失敗する。
皇帝は怒るどころか月岐公主の来訪を歓迎、宮中に滞在することを許し、これを機に四皇子を宮中に戻すと決めた。
「本日よりそなたの任務はひとつ、公主を楽しませよ」
「はあ?!」

三皇子は雲浅月(ウンセンゲツ)との関係が一向に進展せず焦っていた。
そこで思い出の場所を訪ねる旅を計画するが、浅月は過去より今を大切にしたいと乗り気ではない。
「少し考えさせて…」
「はお」
しかし李蕓(リウン)は確かに記憶を取り戻せば本物の雲浅月が戻ってくるかもしれないと気づいた。
自分が身体を借りているせいで浅月が想い人である三皇子と再会できないとしたら不憫でならない。
すると軍営を出た葉倩が浅月を訪ねてきた。

浅月は月岐から戻ってすぐの頃、容景と想いが通じ合ったと葉倩に報告した。
しかしある日突然、容景の態度が一変したと嘆く。
葉倩は三皇子への嫉妬ではないかと推察し、改めて容景に気持ちを伝えるよう助言した。
「でも避けられているのよ?」
「待っているだけじゃ機会を逃しちゃうわ!」
すると葉倩は浅月を強引に引っ張って栄(エイ)王府に連れて行ってしまう。

弦歌(ゲンカ)は雲郡主への愛に苦しむ主の姿に心を痛めていた。
すると偶然にも郡主が訪ねてくる。
まさに渡りに船、弦歌は郡主を招き入れ、葉倩は門で待っていると笑顔で見送った。

容景は用がないなら帰ってくれと浅月を突き放した。
そこで浅月は三皇子から記憶を取り戻す旅に誘われたと教える。
「行きたくないの…だって過去の記憶と引き換えにあなたを忘れてしまうかも…
 記憶を取り戻したいと思わないわ、過去がどうであれ私は今の雲浅月でいたい」
しかし容景は郡主にふさわしいのは三皇子だと心にもないことを言って浅月を追い返そうとする。
傷ついた浅月はたとえ記憶が戻ってどうなろうと容景とは無関係だと言い残し、飛び出して行った。
「葉倩、決めたわ、三殿下と旅に出る!」

三皇子はかつて浅月と訪れた寺院を参拝、大師に預けた書き付けを返してもらった。
すると封書に入っていた金の葉には″10年後も変わらぬ愛を誓う″と書いてある。
「10年前、結婚の約束をした時に預けた文だ」
そこで三皇子は月岐に届いた浅月の文を渡した。
…はっ!この手紙は一体、何?雲浅月と私の筆跡が全く同じだなんて、こんなことがあるの?…
浅月は確かに自分の筆跡だと認めたが、どうしても自分が書いたとは思えなかった。
「君の心は変わってしまったのかもしれない…だが私の心はあの頃のままだ、君を忘れられない
 まだ諦めたわけじゃない、月児、因果や輪廻といった営みにもそれが生じる理由があるはずだ
 記憶を失った君は遠くにいる私の代わりに奴を好きだと思い込んだ
 その気持ちは本当の愛なのか?それも不変の愛だと言えるのか?」
…そうよ、李蕓、あなたはどうしたいの?元の世界に帰らずここで一生を終えるの?…
三皇子は浅月も迷っているのだと察した。
「やはり君の記憶を取り戻したい」



旅を終えた浅月はかえって混乱した。
寺院で文を目にした瞬間、覚えていないにも関わらず懐かしさを感じたのはなぜなのか。
…筆跡も同じだった、ここに来たばかりだし、体験しているはずないのに…
その時、浅月は容景の弟・容楓(ヨウフウ)の言葉を思い出した。
『持ち主は見つからないよ?だってその万年筆は君のだから…』

容景は愛する浅月を傷つけた自責の念から体調が悪化した。
三皇子よりずっと前から浅月を愛していた容景、しかし当の本人は何も知らないだろう。
この2ヶ月、浅月から三皇子を遠ざけようとしてきたが、いずれ記憶が戻れば浅月はこれまでの日々を忘れてしまうに違いない。
…そうなれば私もこれ以上、思い悩む必要はなくなる…

翌朝、浅月は不思議な夢を見た。
城門で月岐へ旅立つ三皇子を見送る浅月、そこへ容景が現れる…
容景は浅月が望んだから来たと言って手を伸ばした
『私とおいで』
『どうして?』
浅月はどこへ行くとも知らず容景の手を取ったが、急に容景が消えてしまう
『容景!…容景?!』
容景を探し回る浅月、するとそこで目が覚めた。

浅月は屋上で急に倒れた時の記憶をたぐり寄せた。
よくよく思い出してみると、見知らぬ世界で目を覚ました時、確かまだ幼い浅月の姿だったはずだ。
あの時、李蕓は宮中の池のほとりでびしょ濡れ、隣には見知らぬ少年が倒れていた。
…私は10年前、ここに来ていたのね
…それからずっと雲浅月の中身は李蕓だった
…何が起きてそうなったの?まさかもう戻れないの?なぜ私がこの時代に?
…しかも10年も経ってるなんて、あなたは何者なの? 
一方、容景は浅月を忘れようとすればするほど、かえって想いが募っていった。

李蕓は改めて三皇子から届いた金の葉を読み返してみた。
すると次第に10年前の記憶が蘇ってくる…
李蕓は元の世界に戻れず浅月として鬱々と過ごしていたが、偶然、三皇子と出会った
意気投合した2人は共に過ごし、やがて三皇子が月岐へ派遣されることになる
あの時、李蕓は慣れない針仕事ながら手巾に刺繍し、月岐へ発つ三皇子に贈った
『君への便りを金の葉に書くよ、それを読んで私の気持ちを感じて欲しい
 文箱を渡しておく、寂しい時はこれを見て私のことを思い出してくれ』
『忘れないで、絶対に太子より目立ってはだめよ?』
『うん、2人の未来のために気をつける』
それ以来、李蕓は現代の知識を使って陰ながら三皇子を助けて来た…
三皇子から届いた金の葉には辺境も安定し、これなら浅月を妻にできる日も近いと書いてあった。



冷王は四皇子が月岐公主と結婚し、月岐の後ろ盾を得ることを懸念した。
そこで皇帝に年頃の三皇子と四皇子の縁談を上奏、長幼の序からすれば四皇子の婚儀が後になると進言する。
三皇子が後継者なら雲郡主を嫁がせるはず、しかし皇帝は美しく才女と評判の宰相の娘・秦玉凝(シンギョクギョウ)がふさわしいと言った。
報告を聞いた三皇子は到底、受け入れがたく、すぐ冷王を呼ぶよう命じる。
一方、玉凝も三皇子との縁談話を知り激高していた。
…あの人以外、誰の元にも嫁ぐものですか?!…

つづく


( ๑≧ꇴ≦)記憶を取り戻す旅、短っ!w
小三皇子が可愛くて憎めない、いや浅月が塩対応過ぎて三皇子を応援してしまうわw





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最終更新日  2022.12.19 00:01:28
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