ベルリンマジック

世の真実

世の真実を語れるのは世間離れした人ここで言う「世間離れ」とは世間と距離を置いていること、「世捨て人」なんて言い方も出来るその人たちはその真実を語れる場を常に探しているその真実を、世間から離れていない普通の人に言っても通じない、多分、不快感をあたえるだけ作家とか、芸術家なんていう人たちも、わりと世間離れしているいわゆる「世捨て人」に見られがち、自分はそうは思っていなくとも、多くの場合、そう見られている私の魚屋にもその世間離れした人々が、世間離れしているように見える私のところへよって来る私は絵を売って家賃を払っているわけで、世間と距離を置くわけにはいかない絵を買ってくれる人々に不快感を与える行為は出来れば避けたいただ、絵を買ってくれる人々にわりと世間離れしている人が多いのはうれしいことだ先日、いつものように、世間離れした友人が魚屋に来た「イタリア料理屋の前でパスタ食ってる貧相な連中、ほんとかわいそうだよなぁ」いきなり何を言うのかと思ったが、すぐにわかったうちの魚屋の隣はイタリア屋、そのまた隣はあふれんばかりの在庫をかかえる古本屋春の日差しがまぶしいその日、古本屋も、うちもひっそり、誰もいない真ん中のイタリア屋はサングラスをかけた老若男女がイタリアを満喫、バカそう、世間離れした彼が言いたい世の真実は「本屋と画廊の間で、パスタと太陽で優雅な気分の、文化的に貧相な人々」ということまったくその通り、私も大笑いでもその世間の目は「いつもぶらぶらしてる、世間に適応できない哀れな世捨て人」なんだろうな、と考え、ますます大笑いでもその世間離れした友人はぜんぜんひがんだりしていないからますます笑えるいやいや、しかし笑い事ではない、私もそう見られているだろうしましてや、そのせいで、ここが世捨て人の「たまり場」になっては困る世間と距離を置きたいが、ある程度、世間と商売している、どっちつかずの卑怯者の私普通の「世間様」を拒否するような魚屋にしてはいけないそれでもやっぱり世間離れした人々の「世間の真実」を聞くのは痛快だ私の思っていることをずばり代弁してくれる、私はずるいから自分では言わない人は、自分の趣味、立ち居地、を共有する人々がいるところに集まるまたは身につけているもの、食べているもので自分の立ち居地を確認する普段からスポーツウエア着ている人々は、画廊にも古本屋にも行かない、イタリア屋にも行かないイタリア屋でサングラスをかけてパスタ食べている人々は、着ているものがぜんぜん違う襟が立ってる、ポルシェとか好き、カネはあるけど絵は買えないアウトドア系ブランドのシャカシャカしたのを着てる人々はアジアレストラン好き、ビオスーパーで買い物、高級自転車好きなんていろいろ、私の勝手な見解ですけどで、世間離れした人々は？いつも同じ服装、いつも同じ通り、いつも同じ公園に出没、歩き、または壊れかけの自転車レストランには行かない、もうひがんだりうらやましがったりしない、、、私だ、やっぱり世間から離れないように気をつけよう写真【ファンのたまり場】