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さて、ロングツーリングに備えて様々な準備を整えてきた。ヘルメットはもちろんバイクにつけるサイドバッグも送らねばならない。中にはズボンやジャケット、靴、グローブ、雨具、パンク修理材、車載工具などなど、必要な物を詰め込む。適当な段ボール箱2つにツーリング用具を入れてフジイに向けて黒猫宅急便で事前に発送した。行きは飛行機だし背広を着ていかねばならない。それに研修に参加するので教科書やユニフォームなどでキャスター付き旅行バッグは一杯だ。いよいよ9月9日早朝家を出る。岡山までは電車。岡山からリムジンバスで空港へ。同じ研究会に参加する2人と合流し、9時40分岡山空港を飛び立った。私は飛行機はどちらかというと苦手だ。時々ドンと落ちることがあり、あのフワッとした落っこちる感じが好きになれない。ただ、離陸するときのお尻を持って行かれるような加速感は好きである。バイクの加速に通じるのかも。岡山-羽田間はたったの1時間。快晴でもあり、たまたま座った窓際の席から地上がよく見えた。羽田に無事到着し9日・10日の研究会は・・・ベンキョウさせて頂きましたよ。10日の昼過ぎに研究会は終了し(飛ばしすぎ!)、いよいよ埼玉に向かう。、ところが蕨駅から乗ったタクシーの運転手がフジイの場所を間違えた。地図も住所も渡したのに迷子。この近くだわい、とタクシーを降りてウロウロすると見つかりました。道路を1本間違えておりました。なんちゅうタクシーだ。そんなこんなで15:30ころフジイに到着。愛しの90/6は玄関前で私とご対面。元気そうである。フジイではこのバイクに適したオイルを教えてもらったり、整備の様子を聞かせてもらう。要所を押さえた整備により状況はバッチリだそうである。整備中の写真や動画はCDに焼いて改めて下さるという。楽しみ楽しみ。また、帰りの道は中央道か東名かで迷っていたので状況を教えてもらう。やはり夕方の東名へ出るのは地理に疎い田舎者+ナビのないバイクでは首都高で迷いそうだ。中央道で帰ろうと決め、中央道へ出るルートを教えてもらう。たまたま修理のため入庫してきたGSを分解するというのでしばらく見せてもらった。90/6と同じくエキゾーストのフランジが緩まずタガネでガーーーン、ガーーーン。無理して十数万円するヘッドを壊すよりは、数千円のフランジを壊す方がいいけど修理のスペシャルツール、ハンマーとタガネは心臓に良くない。まだまだ見ていたいのだがぼちぼち出発せねば。岡山は遙か彼方、750キロ先なのだ。ガソリンスタンドや、高速の入り口を教えてもらい17:30に出発。写真は中央道最初の休憩地、藤野パーキングにて、もう真っ暗だ。
2010.11.11
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さて、フジイでの1000キロ点検作業メニューは1,バルブクリアランス調整。バルブシートが新品になっているので1000キロ走行後詰まっていることが予想される。2,キャブレター調整。エンジン回転全域での燃調調整はシャーシダイナモ上で全域全負荷テストを行う。3,エンジンオイルとオイルフィルタの交換。重要なのは2,であろうことが予想される。馴らしを終えたエンジンは全回転域で正常な燃焼が行われるべく、バルブクリアランス調整と共にキャブレターの燃調調整が行われ最後にオイルが交換され完成する。作業自体はそんなに時間がかかるものではないと思われた。ただ、気になる音が一つ。エンジンが完全に暖まると出てくる音がある。キュルキュルという音で、どうもブローバイガスの通路にあるバルブの音のようである。アイドリング時だけ聞こえる。静かなBMWにふさわしくないのでこれの対策もお願いしておいた。東京-岡山間の長時間運転に備え、2-3用意しなければならない物がある。まず、アクセル操作である。長時間アクセルを開けることは右手手首をずっとひねっておくこと、これが疲れるのである。そこでアクセルグリップに取り付けて手のひらで押すようにアクセルを開けておくことができるものを探した。以前どこかで見たことがあった。岡山の南海部品で探したら、あった、あった。アクセレーターアシスタントマットと何だか長い名前の商品。1000円程だった。次に反射材。以前岡山市内で夜、バイクを運転していた女性がトラックに追突されて亡くなるという事故があった。テールランプが小さく、赤い光がトラックから見づらかったのかもしれない。実は90/6も小さいのである。この頃の年式のバイクはどれも小さかった。そこでオレンジ色の夜光テープを買ってきて、サイドバックの後方と、ヘルメットのうしろに貼り付けた。これで夜間、後方からの認識度が上がるだろう。ついでに肩から斜めに襷状にかける反射材も買ってきた。(走っている姿を想像すると何だかおかしい!?)さらに、退屈さを紛らわし、眠気覚ましに音楽でも聴きながら走りたいと、ズボラ+一石二鳥を考え買ったものがある。何だか長い名前のアクセレーターアシスタントマット、手のひらで押すようにアクセルグリップを回すことができる
2010.10.20
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機械物、特にエンジンなど金属同士が摺動するものは”馴らし”が必要だと思う。最近の機械加工精度は以前よりも飛躍的に向上し馴らしなど不要だ、という人もいる。しかし私は必要だと思っている。6月に17年、10万キロ乗ったHONDAアクティトラックを買い換えた。今度もHONDAのトラックである。最近走行距離が2000kmを超え、明らかにエンジンがなめらかに動くようになったと思う。ましてや36年前のバイクのエンジンである。走り込むほどにエンジンがなめらかになっていくような気がする。特に、高速を走り数10kmを超えた頃からエンジンが”伸びる”ようになってくる。アクセルを開けないでも車体がすぅーっと滑るように前に行くようになってくる。反対に長いこと乗らなかったエンジンは最初はなかなか回らないような印象である。8/6にはブログにあるように萩さんのハーレーと太さんのGSとショートツーリングを、8/7には高速ばかり400kmを走ってみた。1000kmにあとちょっとである。馴らし運転を終えた90/6は最後の調整をしなければならない。新車時における1000km点検に相当する。地元でもできるかもしれないが、このエンジンを加工、修理、組み立てた”職人”としては最後の仕上げをきちんとしてオーナーに渡すのが責務であるし、もし自分が職人だったら他人にさわってほしくないと思う。遠いのは承知でオーバーホールをお願いしたのだから再度埼玉に送ることにしよう。実は9月9日・10日と東京でとある研究会に参加することになっていた。とすると、ひょっとしたら10日から11日にかけて完調になった90/6に乗って帰ることができるかもしれない。50才をかなり過ぎた”おっさん”が東京-岡山間750キロをバイクで夜中一気に走行することは”無謀”と言わざるをえない。かつて(少し若い頃)1日750km程度を走行したことが何回かあるにしても、この年ではいささか自信もない。その前哨戦として考えたのが先日の高速400km慣らし運転の旅、である。このとき400kmを半日で走行した。BMWはその乗車姿勢ゆえ、たいてい首のうしろに疲労を覚える。また加齢?と共にお尻と腰の負担も大きくなっている。しかしこの時、疲労の度合いにいささか自信が持てた。エンジンの調子良さ、適度な鼓動にあまり疲れを感じなかったのである。これなら一気に750km走れるかもしれない、と内心ほくそえんだ。8/16には太さんのGSと奥吉備街道を走り、この日は200km弱走行、予定の馴らし1000kmを超えた。8/18いよいよ埼玉に向けて送ることにする。90/6をBAS岡山デポに持ち込み輸送をお願いした。岡山デポでは東京に向けてトラックが出るのは毎火曜日らしい。持ち込んだのが月曜日だったのでフジイに着いたのは8月27日であった。到着時のブログhttp://blog.goo.ne.jp/ams-fujii_1973/d/20100830
2010.10.18
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さて、楽しみな馴らし運転の開始である。素人ながらも慣らし運転はエンジン回転を一定にして走るのが良い、と考えている。フジイは「4000回転以下で1000km一気に走る」のがいい、と言う。当然だが1000km一気はできないので、できるだけ一度に走る距離を多くしながらも高速を使い短時間で1000kmを走ることにする。岡山自動車道は現在社会実験中で何と通行料無料である。これを使わないテはない。最初は7月19日中国道の北房IC往復150km走行を考えた。車検から持って帰るとき乗ったのが最初であるが、このときは数キロの道のり、でもエンジンのスムースさに感激した。今回は高速道路である。我が家から高速入り口は目と鼻の先、すぐに100km/h走行が可能である。入念な暖機運転では700回転くらいで安定したアイドリングを続ける。このときの音は低く、静かである。身支度を調え出発、高速に乗り入れる。90/6の100km/h走行時のエンジンは3800回転くらいで、馴らしにはちょうど良い。急激なアクセル操作は謹み、4000回転を超えないように操作しながら慎重にアクセルを開け加速していく。それでもエンジンのスムースさは十分伝わり、重いフライホイールのトルクを味わうことができる。平坦な所なら40km/h程で5速が使えるほど。以前はクラッチ操作に気を遣いながらのスタート、変速だったが、少しラフにつないでも車体へのショックは少ない。しかし、もともとBMWのミッショッンは、国産車よりはかな?り気を遣う。確実に変速操作をしなければ抜ける事もあるし、変速ショックも大きい。特に減速時は回転を合わせてやらなければ「ガリガリ、ガッチャン」となってしまう。エンジンやミッションへの負担を考えると、丁寧な操作が一番である。瀬戸中央道から山陽道、すぐに岡山道とエンジンの鼓動を確かめるように流す。同じ速度を維持しようと努めるため、加速を楽しむようなことは謹む。北房までは70kmほど、暑い夏の初めだったが気持ちのよいこと。同じ速度を保たねばならない馴らしだが、ちょっとだけコーナーも楽しみたいと、誘惑にかられ北房から奥吉備街道に入る。有漢ICまでの10kmほどだけコーナーを楽しむ。906/はタチの強いバイクだが、コーナーにはいるときや切り返しの”ヨッコラショ”が以前より軽快に感じる。ちょっとのきっかけできれいにバンクするようだ。車体で唯一さわったのはステアリングポストの締め付け。以前私が修理したときの締め付けが強かったらしく、フジイで緩める方向で調整してくれた。有漢から再び高速に入り帰路につく。最初の馴らし150kmは、あっという間に終了。2回目は同じコースを8/1に行い300km完了。フジイにあったBMWのクランクケース。私の90/6のではないがアルミの固まりである。
2010.10.16
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いよいよ完成間近。フジイはシャーシダイナモも完備し、走行状態でエンジン調整ができる数少ない修理工場である。KEIHIN CR SPECIALキャブが取り付けられバッチリ燃調を合わせる。混合 気中の酸素と燃料が、過不足なく反応する時の空燃比を理論空燃比といい、ガソリンにおける理論空燃比は14.7だそうである。エンジン回転全域において燃調が最適になるよう調整するのだが、私のBMWはエンジン内部が新品状態になっており、「馴らし運転」をしなければならない。(その方法・レポートは8月19日のこのブログに書いた。)馴らし運転をすることでエンジン内部が変化し、密閉性もより高まる。ただバルブクリアランスも相当変化するだろう。完璧なる調整は1000kmの馴らし運転終了後、再度行う必要がある。腐って穴が開きそうだったマフラーも純正新品マフラーに交換された。フジイによる走行テストも終了し、6月15日、90/6は私の手元に送り返される。長く修理に時間がかかったため車検が切れてしまったが6月22日岡山に到着、いつも車検をしてもらっている地元の修理業者のキャリアカー(3.5t積み、何とおおげさな)で取りに行きそのまま修理工場へ。エンジン関係はいじる必要もなくここではブレーキ関係の整備とタイヤ交換を行い車検を取得する。この間インターネットで捜し物をしていた。90/6はフロントフォークにゴム製の”蛇腹”が付いている。ゴム製故いずれ傷む。ところが純正で引いた蛇腹はかっこわるいのである。当初(新車時)付いていた蛇腹は山が13ある。これが最近引くと11になっていて、ちょっと短いのである。つけるときボトムケースの正常な位置に取りつけると短いので少し上につけなければならない。これがかっこわるいのである。機能としては問題ないのだが、かっこわるいのはいただけない。そこで探していたら、何と13山の蛇腹があったのである。九州の中野モータースというところが作っていたのを見つけ購入、車検を済ませた90/6に取り付けた。やっぱりこれでなくっちゃ。7月初旬に車検もできあがり5か月半ぶりに手元に帰ってきた90/6を眺めながらニヤリ。さてどんなエンジンに仕上がっているのだろうか。楽しみ楽しみ。写真は中野モータースで購入、交換した13山の蛇腹ゴム
2010.10.13
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矢さんの100RSに乗ったことはないが、アクセルを吹かしたことがある。そのときの印象は「フライホイールが軽い」という印象だった。回転の上がりは確かに軽快だが私は重いフライホイールのトルク感が好きである。90/6のフライホイールは重量的には100RSの倍ほどありそう。これのバランスが取れると・・・ワクワクするね。バランスを取り終えた重いフライホイールが取り付けられ、加工の終わったシリンダ、シリンダヘッドが組み立てられてゆくのは5月末頃であった。この頃私はたまたま上京する用事ができた。せっかくの上京だからどこか観光を・・・そうだ東京スカイツリーの工事現場を見に行こう、と考えた。まてよ、わがBMWは埼玉県で修理をされているはず、フジイを訪問できるかもしれない、スカイツリーはその後にしよう。早速地図で場所を探す。都内から30分ほどで行けそうである。5月27日、東京都内某所での用事を済ませ埼玉、蕨駅に向かう。駅に降り立っても当然フジイの場所は分かるはずがなくタクシーに乗り込んだ。着いたフジイの店は・・・バイク屋らしくないのである。普通バイクメーカーのロゴが入った看板なぞがあるのだが・・・ない。HPやブログで見る限りフジイは、近所のおじちゃんがミニバイクを買いに来るような雰囲気はない。重修理を得意とする知る人ぞ知るマニアックな店である。店の外には90/6が置かれ、店の中はワクワクするような工作機械やよく分からない(私には分からないという意味で)機械がぎっしり。そこでまた衝撃的な事実を聞くことになる。何と純正BINGキャブレターがちゃんと働いてくれないというのである。新品ピストンにボーリングされたシリンダ、バルブシートを新規に製作、バルブもカットされ本来のエンジンに生まれ変わった。今までいい加減な状態で動いていたエンジンは排気量が増え、更に機密性も高まり、BINGの調整範囲を超えてしまったというのである。一番おいしい100km走行時にキャブがかぶってしまう。あらー、どうしましょ。解決策はキャブの交換・・・何に換える・・・KEIHIN CR SPECIALキャ ブ、だそうである。以前、フジイとメールでやりとりしていたときFCRキャブについて尋ねたことがある。そのときは90/6は車齢が高いのでFCRはつけない方がよい、むしろCRの方がよい、と言われたことがある。そのときは修理代の事もあり断念したのだが、ここにきて避けて通れなくなった。エエィ!いってまえっ!てなもんでまたまたやっちまった!職人が手を動かしている姿を見ているのが好きな私は工場内をウロウロ。岡山の某ディーラーは修理工場に入ったら怒られたっけ。フジイはそんなことはなく自由に見せてくれた。店に長いこと居たためスカイツリーはあきらめ、店の前で写真をパチリと撮ったあと帰路につく。http://blog.goo.ne.jp/ams-fujii_1973/d/20100528訪問時の写真90/6に装着されたKEIHIN CR SPECIALキャブレター
2010.10.07
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次の作業は「走行中の振動を取ること」である。エンジンフィーリングの中でバイクにおける「振動」は「心地よさ」につながることはバイク乗りなら分かるはず。しかし日本のメーカーはバイクの気筒数を増やすことでエンジンの振動を抑えてきた。単気筒よりも2気筒、2気筒よりも4気筒、さらに6気筒なんてエンジンも存在する。その極めつきはHONDA GOLDWING GL1800である。水平対向6気筒はクランク120度毎に爆発し、エンジン振動は皆無に等しい。だが、最初に書いたようにこの振動を「心地よいもの」と感じるのは2気筒まで、と思う。ここにきてわがBMWの振動は何と「耐えられないもの」であった。時速120kmあたりで出る振動は気筒数によるものではないと思えた。その原因がどこにあり、修理可能なものなのか、可能なら直したいと考えての依頼であった。フジイは修理のため送られてきた90/6にまず試乗し、このバイクの振動の元はクランクではない、と指摘した。数多くのBMWを修理してきた経験が即座に悪いところを指摘するのである。長いこと90/6に乗ってきたが、このBMWにしか乗ったことのない私には分からないことであった。だからクランクまでは分解する必要がなかったのである。悪いところはフライホイール(+クラッチ板)であった。この回転バランスが狂っていた(タイヤの回転バランスが狂うとハンドルや車体が振動するように)のである。よくピストン+ピストンピン+コンロッドの重量バランスを合わせるとエンジン回転がスムースになるという。この作業は当然行われている。タイヤの軽いところに重りを付け回転バランスを取ると同じようにフライホイールもバランスを取るのだが、測定する機械が必要なのは当たり前。何とフジイはこの機械を持っているのである。なんでも先代がこの機械を開発したそうな。(とBMWバイクスという雑誌に載っていた)測定の結果11.15g狂っていたようだ。(私にはその程度は分からないのだが、フジイにいわせると、とんでもない量らしい)どのようにしてバランスを取るのか、その作業はヒミツのようだが、きれいに修正されエンジンは組み立てられてゆく。http://blog.goo.ne.jp/ams-fujii_1973/d/20100513はピストンなどの重量バランスの様子http://blog.goo.ne.jp/ams-fujii_1973/d/20100515はフライホイールダイナミックバランスの様子
2010.10.05
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さて、前回ピストンにもう一手間、と言った。正確にはピストンとシリンダー内面、バルブリフターの3点にもう一手間かけることになる。かけた一手間はWPC加工、これは”ショットピーニング加工”と言われるもの。ネットで調べると● ショット(Shot): 小さい硬球を表している。● ピーニング(Peening): ハンマーの平らではない方の頭で叩く事を表している。 ショットピーニングとは、無数の小さい鋼球(ショット)を対象物に強烈に打ち付ける事で、 ハンマーで叩く(ピーニング)事と同様な組織状態にする意味でこのように呼 ばれている。 ショットピーニングは、金属の疲れ強さと同時に、硬さの増加に有効な加工法として実用化され、航空機部品、自動車部品、機械部品等に広く応用され、その効果は定評がある。金属疲労欠陥の発生源となる引張残留応力を取り除き、圧縮残留応力を高めることにより、繰り返し荷重に対する金属疲労強度を大幅に増加させる。金属表面への衝撃に対する抵抗が増大し、表面の強固さが生じる。生成された表面硬化層が母材を保護し、削蝕や摩擦に対して強化される、等々、とある。フジイからは、ショットピーニング加工を別のR90/Sのシリンダーとピストンに加工したことがあり、かなり良かったのでメーカーに直接オーダーし、かなり上々の仕上がりだった。90/6もこれから長く乗るのに加工作業を勧める、とのことであった。90/6と90/Sは同時代の兄弟車、圧縮比やキャブなどの細かい違いはあるが、エンジン内部はほとんど同じだったはず。する前としたあとを比べることはできないが、”かなり良い、長く乗るのに勧める”と言われ、ついふらふら・・・ok!要するにこすれ合う金属同士の表面が固く、且つなめらかになるわけでエンジンフィーリングがよくなるって事。(この作業の影響かどうかは分からないが、馴らし運転中のエンジンフィーリングは絶妙であった。)5月に入りこれらの作業を終えたエンジンは組み立てられ、次の修理作業へと進んでゆく。写真は交換されたバルブリフター4本・ピストンピン2本・ビッグエンドメタル4個・バルブスプリング4本+プラグ2本
2010.09.22
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4月初旬、オーバーサイズピストンが入荷した。当然ピストンリングも交換しなければならない。シリンダーをボーリングしさらにシリンダー上面の研磨。あわせてシリンダーヘッドの面研磨、バルブガイド製作、バルブのシートリングの入替え&シートカット、バルブの研磨と作業は続く。昭和40年代後半から50年代にかけて車をとりまく「環境問題」が騒がれていた。それは排出ガスの清浄化である。車が増えるとともに排出ガスは人体や環境に悪影響をおよぼし始めた。排出ガスをきれいにしようとすると、ガソリンに含まれる”鉛”がネックになる。鉛をなくするとエンジンのバルブシート周りの潤滑ができなくなる。この頃車は「有鉛」「混合」「高速有鉛」「無鉛」なる区別が必要で、ガソリンを入れるとき注意が必要だった。車の給油口近くには4種類のいずれかのステッカーが貼られていた時代である。現代の車の排出ガスはへたな場所の空気よりもきれいなので、この頃はすごい時代であった。我がBMWは当然”有鉛”仕様である。無鉛ガソリンを使い続けるとバルブシートがガタガタになってしまうのである。当時のBMWジャパンの公式コメントは「有鉛ガソリンで3000キロ以上走っていれば大丈夫」?ほんまかいな、と当時思いつつもこれまでバルブシートは大丈夫だったのでホントだった。でもこれを機に無鉛対策バルブシートに交換したのである。ついでにバルブガイドも打ち換えバルブリフター、バルブスプリング、ピストンピンも新品に。ついでにピストンにはもう一手間かける。だんだんメーターが上がっていくぞっ!写真は交換され手元に戻ってきたノーマルピストン、でかい!
2010.09.08
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0.5ミリオーバーサイズピストンの値段の高さにびびった私は、楕円に摩耗したシリンダライナー(この頃のBMWはアルミシリンダに鋳鉄のライナーが挿入してある)を抜き取り、新たなライナーを打ち込みシリンダをボーリングする、という作業をお願いした。何日かして連絡がありその結果は「ライナーが抜けません。無理に抜こうとするとシリンダが割れる可能性があります。」再び ぴえーっ、である。結局オーバーサイズピストンを探すことになった。なんせ年式が古いので部品が日本に無ければドイツから取り寄せることになる。大体20日前後かかる。でもたいていの部品が出てくるのがBMWのすごいところ。36年前のバイクの部品が出てくるのである。以前高速走行中にプラスチック製のサイドカバーを落とした事がある。このときも「900cc」のシールと共に塗る前のカバーが手に入った。裏を見ると製造年月の鋳込みが・・・比較的最近作られた物だ・・・、そう、時々製造をしているのである。ガソリンタンクや外装部品は欠品のようだが、ここがBMWのすごいところである。そういえば最近の国産エンジンには「オーバーサイズピストン」なる部品が設定されていないと聞いたことがある。こんな時の修理はどうするのだろう。いや、こんな壊れ方はしない?、または、こんな修理をする人がいない?はて。ともかく部品を待たねば・・・。R90/6の修理画像は下記ブログがらどうぞ。http://blog.goo.ne.jp/ams-fujii_1973/d/20100227
2010.08.30
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フジイに到着したR90/6は早速試乗の上、各部を点検、痛み具合をチェックするため左右シリンダ上部を分解される。BMWはエキゾーストパイプのシリンダヘッド取付部分が冷却フィン付き巨大ナットで止まっている。早速このネジが緩まなかったようだ。28年間(それ以前は知らん!)緩めてないんだからしょーがない。割って外すことになる。あとは順調に分解できたようである。BMWはOHVなので分解はわりと簡単。で、フジイから届いた写真の内の1枚、左のシリンダ上部の様子。まあ盛大にオイルが漏れている。この写真では後日判明する重大な損傷は分からない。同時に送られてきたインレットバルブやエキゾーストバルブの写真には付着したカーボンがどっさり写っている。バルブフェイスも当たりが大きい様子。きれいに掃除してオイルやカーボンを落とし、内燃機屋に持ち込まれ各部を測定したところ大変なことが判明した。何とシリンダ内面が”楕円”にすり減っている。おまけにシリンダ上面は”歪み”があり、平面でなくなっているらしい。オイル漏れの原因はこれだっ!、と、嬉しがってはいけない。こんなことは予想していなかったのである。ともかく直さねば。方法は二つ。1,オーバーサイズピストンを手に入れシリンダボーリング。2,ノーマルピストンは傷んでないようなのでシリンダスリーブを打ち換えボーリング。 はて、どちらがお安い?オーバーサイズピストンは1個35,000円!ぴえーっ、に、に、2,でお願いしますっ。
2010.08.22
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我がBMW R90/6は昭和49年型、昭和57年に中古として購入以来28年、大きな故障をすることなく楽しませてくれた。しかし、最近シリンダーヘッドとシリンダー合わせ目からのオイル漏れ、100km+走行時の車体の振動が気になりだした。フロントフォークの作動も固く動いていない様子。乗っていても楽しくない。クランクのバランスが崩れたのか、はたまた他に原因があるのか分からない。BMWは丈夫だといっても車齢は既に36年、私もごじゅうウン才、あと何年バイクに乗れるだろう、修理をすべきかどうか、などなど考えながら専門の業者をネットで探す。目にとまったのが埼玉県のAMSフジイ、確かここの主人は以前バイク雑誌でよく見た人。HPの作業風景などを見ながら半年ほどメールでやりとりした。AMSフジイはBMWやドカティなどの重整備を得意としているようで、同じBMWでも車齢にあった修理をしてくれそうな印象であった。難点は岡山から遠いことだが私は修理を決断した。昨年11月のことである。12月から1月は忙しいので冬眠。年が明け1月末冬眠から目覚める。フジイのHPにあったバイクを輸送してくれるBASという業者に輸送を依頼。2月初めに自宅まで取りに来てもらい、ここから埼玉に向けてバイクを送ることになる。写真は輸送のトラックに積み込まれたBMW。
2010.08.21
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