「真夏の夜の夢」

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2005年04月29日

カテゴリ： BALLET

「真夏の夜の夢」(東京バレエ団初演）

タイターニア：斎藤友佳理
オベロン：木村和夫
パック：古川和則
ボトム：平野玲
ハーミア：小出領子
ライサンダー：後藤晴雄
ヘレナ：井脇幸江
デミトリアス：高岸直樹
村人：野辺誠治　氷室友　長瀬直義　横内国弘　松下裕次
エンドウの花の精：高村順子
蛾の精：門西雅美
蜘蛛の精：長谷川智佳子
カラシナの精：西村真由美

指揮：アレクサンダー・イングラム
演奏：東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱：TOKYO FM 少年合唱団

※ネタバレ注意です。

舞台は森の中。
妖精たちが踊っている。
上手からオベロンが現れる。
タイターニアがインドの少年を連れてくる。
オベロンは美しいこの少年にご執心で、タイターニアと奪い合いになる。
少年は舞台にすっ転ぶ。
タイターニアは怒って少年を連れて行く。
オベロンは激怒し、なんとかタイターニアに仕返しをしてやりたいと考える。
妖精パックにいたずらを命令する。

パックは惚れ薬を使って、人間関係を大混乱に陥れる。

相思相愛のハーミアとライサンダーが現れる。
小出さんは優美で美しいダンス。

友人のヘレナとデミトリアスはヘレナの片思い。高岸直樹さんはコミカルに井脇さんから逃げ回る。
「こら～待てー」と上手に消えるヘレナ。

ハーミアとライサンダーはなぜか森の中で眠り込む。
パックはライサンダーに最初に見たものに惚れる薬を振りかける。
そこへヘレナがやってきて、ライサンダーを起こし、デミトリアスとの仲を取り持つよう訴えようとする。ところがいきなり目を覚ましたライサンダーは、ヘレナにホの字。キスの雨を降らせる。
｢なに、ヤダアー」と逃げ出すヘレナ。
一方ハーミアは目を覚ましたらライサンダーが消えているので動揺して探し回る。上手に消える。

今度はデミトリアスが寝ている。
デミトリアスにも薬を振りかけたパック。
目を覚ましてヘレナを目にする。
ここがおもしろかった。デミトリアスもライサンダーも今まで目もくれなかったヘレナにラブラブ。二人でチュッチュッとキスしまくりですごい笑える。

それを目にしたハーミアは激怒。ヘレナをぶっ飛ばして、女同士の大ゲンカ。

さて、タイターニアは妖精たちと踊っている。
群舞、4人×3組。ジュテ・アントルラセ。
4組はソリスト。上記の4人。

タイターニアのソロ、ここがすばらしかった。
斎藤さんは妖精などの人間でない役が似合っているようだ。ふわーっとした存在感、いっしゅいたずらっぽく、しかも可憐で現実感のない雰囲気が非常に妖精っぽい。
出てきた瞬間｢シルフィードだ」と思っちゃったもん。（こないだ見たばっかり。）羽も生えているし。
足を少しだけ床から浮かしたピルエットでぐるぐる回りながら舞台前方に出てくる。すばらしい。
ここの群舞＆ソロは少年合唱団が歌っている。非常に新鮮な感じだった。

タイターニアは木の洞で眠り込む。美しい寝姿。やっぱ妖精。
オベロンは惚れ薬をタイターニアに振りかける。

さて、いよいよボトムが出てくる。
村人たちが現れ、なんともファニーなダンスを踊る。このへんがアシュトン～！　すごく面白い。
さてさてパックがいたずら。村人の一人ボトムがロバに変身させられてしまった。もちろんパックの姿は村人には見えない。
村人はロバに恐れをなして逃げていった。
ここからのロバのソロがすばらしかった。
ポワントなのだ、びっくり。男なのに。うまい。
ファニーで楽しくて。こういうダンスはぜひ子供に見せたい。
拍手が沸き起こった。

目を覚ましたタイターニアはロバに一目惚れ。
ここの斎藤さんの演技がおもしろい。ほんとに一目で恋しちゃったわという、それが信じられる可憐さ。
ロバとのダンス。
オベロンが可笑しくてたまらない表情で見ている。
このロバとのダンスはユーモラスで、
ボーンの｢スワンレイク」の｢蛾のバレエ」で、蛾の姫と木こりがお互いに意地になって足を前に出そう出そうとする面白いところがあるが、まさに同じ振付をやっていた。可愛い…。
ボーンは、アシュトンが大好きなのだ。そのユーモアのセンスが似ている。
ロバとタイターニアは仲良く木の洞で眠り込む。

さてそろそろ何とかしなくては。
事態の収拾に入ったオベロンとパック。
恋人たちは一組は元の仲良しに戻り、一組は相思相愛になってめでたしめでたし。
ここでメンデルスゾーンの有名な｢結婚行進曲」が演奏される。

パックはロバに変えられていた人間ボトムを人間に戻す。
オベロンはタイターニアの寝所を開けると、そこには人間と寝るタイターニアの姿。タイターニアは我にかえって、
「あれ？　おっかしいなあ～？？？」
しかし男との浮気の現場を押さえられたタイターニアはオベロンに少年を返す。
オベロン、少年に
「なんて、可愛いんだ！」
タイターニアに
「なんて、美しいんだ！」（パントマイム）

ボトムは目を覚まし、
「あれ？　俺の脚、ひづめじゃなかったっけ？　俺の耳、長かったような？？？」という演技が笑える。ユーモラス。そして
「きれいな妖精と…ぐふふ…」というのもちょっとつぼった。

オベロンとパックが踊りまくる。ここがすごい。
木村さんは左足軸のピルエットは完璧でくるくるくるくる4回転ぐらい平気な顔で回る。ジュテ・アントルラセ、ブリゼ・ボレもやっていた。
すごかったのはピルエットで4回回った後に足を下ろさずそのままアチチュードでまたふわっと1回転。超絶技巧。

パックの古川さんはジュテは高いわ、演技は最高だわ、すごかった。ジュテは仔馬が跳ねるようなジュテを多用していた。両足を後ろに蹴上げるようなジュテ。ピルエット10回転は度肝を抜いた。中盤に8回転のピルエットがあり、おおお…とのけぞったがさらに後半で10回転を見せた。君はアンヘルか、カレーニョか。将来有望。
有望と言えば平野君も！

オベロンとタイターニアのパドドゥ。
ここでタイターニアがオベロンに飛び込んで瞬間に体の向きを変えるという難しいパがあったが、あまりうまくいってなかった。2回あったが2回とも。きょうのコンビネーションはいまひとつ、というところか。

パックが楽しく踊りまくって、終わり。

なんといっても古川さんがすごかった。
この話しはABTの｢ドリーム」と同じなんだが、このABT版もパック役のエルマン・コルネホがすごくて！　このコルネホは必見ですよ。

カーテンコールでロバそのまんまだった平野さん、すごい。
そこまでやらなきゃね。
素に戻っちゃダメよ。キャラクテールは。

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