オペラ彩カルメンプレコンサート

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2020年12月19日

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オペラ彩第37回定期公演
オペラ『カルメン』プレ・コンサート

2020年12月19日(土)14:00開演
サンアゼリアホール・大ホール（埼玉県和光市）

第1部：プッチーニオペラ「ラ・ボエーム」から
1幕クリスマスイヴのボヘミアン達　　
2幕ムゼッタのワルツ

第2部：ビゼー「カルメン」
1幕・2幕から　

ハバネラ
ホセとミカエラの二重唱
セギディーリャ
闘牛士の歌
五重唱
花の歌

第3部：ビゼー「カルメン」

間奏曲

3幕・4幕から　
ミカエラのアリア
・ホセとエスカミーリョの二重唱
・終幕の二重唱

音楽監督・指揮・ピアノ：佐藤正浩
演出・構成：直井研二
総合プロデューサー：和田タカ子

出演：
布施雅也　
原田勇雅　
井上雅人　
佐藤泰弘　
矢田部一弘　
鳥木弥生　
丹呉由利子　
樋口達哉　
小野弘晴
飯田裕之　
鷲尾麻衣　
東城弘恵　
奥村さゆり　
本松三和　
巌淵真理　
はやかわ紀子　
福井克明　
パク・ドンイル

ピアノ：
今野菊子　
新保あかり　
竹ノ内純子　
柳橋幸子

フルート：泉真由

ナビゲーター：和田タカ子
舞台監督：加藤正信
衣装：藤井百合子

主催・制作：特定非営利活動法人オペラ彩
協力：公益財団法人和光市文化振興公社
助成：埼玉県文化振興基金
後援：和光市・和光市教育委員会

令和2年度オール埼玉で彩る文化プログラム公募事業

＊＊＊

オペラ彩が和光市で開催しているオペラが今年はコロナのため、中止になり、コンサートという形で行われた。
本来のABダブルキャストが総出演する豪華なコンサートになった。
しかもABダブルキャストの競演なので、本気で熱演するので色々違う魅力を堪能できて最高だった。
また私にとって最も楽しみなのは新しい声を聴くことである。
本日は初めてお聴きするすばらしい声がたくさんあって勉強になった。
特にカルメンの丹呉さん　感動的にすばらしかった！

＊＊＊

このホールはリサイタルホールではなくやや大きめの多目的ホール。音響板もなく、間口が横に広く、響きはデッドに近い。ステージはだだっ広い。ステージはピアノ（スタインウェイ）が１台、かみてがわに書割数点。字幕はなく、総合プロデューサー、和田タカ子さんのナビゲートで進行する。

第1部：プッチーニオペラ「ラ・ボエーム」から
1幕から
クリスマスイヴのボヘミアン達　
ロドルフォ：布施雅也　
マルチェッロ：原田勇雅　
ショナール：井上雅人　
コッリーネ：佐藤泰弘　
ベノア：矢田部一弘

「ラ・ボエーム」冒頭から、ロドルフォ以外のボエミアンたちが階段を下りて出かけるまでのシーン丸々。芝居もついていて楽しめる。小道具が紙のコップ（黒）や紙の酒瓶（黒）。色のついた線が入った黒い箱（椅子替わり）マルチェロの絵を置くイーゼル。ストーブ、コップなどをかけている棒のようなもの（？）背景の書き割りはパリの街を表す黒い影絵のようなもの。
　普段はこのシーンを抜粋ということはあまりないので不思議であったが、合唱が絡まない男たちのシーンということなのか。
　原田、井上、佐藤の低声トリオが重くよく響く重厚な声だった。わちゃわちゃしているおとなの男たちがどこかユーモラス。
　ベノアの矢田部一弘さんの演技がコミカルで秀逸だった。このくらい大仰にやらないとです。

2幕から
♪ムゼッタのワルツ
ムゼッタ：鷲尾麻衣

　さきほどのシーンと違って指揮がついていない。指揮は4人以上の場合ついたようだった。
鷲尾麻衣さんはキラキラのドレスに赤い上掛けを羽織っている。クリスマスカラーなのか。
ソロなのだが、芝居がついていて、魅力的だ。
彼女が歌いだすと、そのパワーと存在感、表現力でパッと華やかになり、これぞオペラだとうれしくなる。
　途中で赤い上着を脱ぎ棄てる。マルチェッロのイーゼルにかけてあった赤いカバーを引っ張って外すと、最後に投げ捨てる。

第2部：ビゼー「カルメン」
1幕から
ハバネラ
L'amour est un oiseau rebelle
カルメン：鳥木弥生

カルメンの登場のアリア。鳥木さんは背が高く舞台映えがする。出てきただけで回りまで明るく照らし出されるような明るいオーラがあり、カルメンに抱いていたイメージを覆す。陽のカルメン。美しく、幸せなカルメン。ハバネラでは通常やらないことだが、フラメンコのステップを中間部と最後の方で２回踏んでみせる。長いアリアなのに彼女の表現力であっという間に時間が経つ。

ホセとミカエラの二重唱
ドン・ホセ：小野弘晴
ミカエラ：東城弘恵

東城弘恵さんは、初めてお聴きするかもしれませんが、ソプラノ・リリコ・スピントでしょうか。とてもパワフルです。ドン・ホセの小野弘晴さんは先日のポリオーネがまだ頭から離れませんが、やはり巨大な声です。ホセ・クーラの声のようなスピントです。小野弘晴さんはすべての高音を胸声で出しました。

セギディーリャ
Séguedille et duo
ドン・ホセ：小野弘晴
カルメン：丹呉由利子

Près des remparts de Séville

いよいよ丹呉由利子さん、登場です。初めてお聴きしたのですが、すばらしかったです。さきほどの鳥木さんを陽とするとまさに陰です。美女なのに、どこかあきらめたような目をしていて、薄幸そうで、シニカルな微笑みを浮かべている。美しくコントロールされた美声に酔いました。ドン・ホセ：小野弘晴さんは巨大なパワーで恋心を表現。この２人のシーン、すばらしかったです。

しゃべるなって

しゃべってないわ。歌ってるの。

Je pense à certain officier qui m'aime

動揺するホセ

カルメン！

このせつない一声、すばらしかったです！カルメンに惹かれていく男の心の震えが伝わってくる表現。

カルメンに駆け寄り、縄をほどく。

Carmen,
Carmen tu m'aimeras

Ah~~~!
Nous danserons la séguedille

第２幕から
闘牛士の歌
Couplets
Votre toast ... je peux vous le rendre
ESCAMILLO
エスカミーリョ：飯田裕之　
フラスキータ：奥村さゆり　
メルセデス：巌淵真理
ズニガ：矢田部一弘

いよいよ飯田裕之さん、登場。超巨大な声量。リリック・ドラマチック・バリトンです。背が高く、存在感がすごい。予想した通り、演技もすごいです。彼独特の華があります。
登場するとメルセデスに帽子を渡し、フラスキータに缶ビール（？）を投げます。しかしここでハプニングが。フラスキータが受け止め損ねて、缶はころころと転がりステージの最前まで行ってしまいます。すると飯田裕之さんは何事もなかったかのように落ち着き払って、歌いながらしゃがんで缶を拾うとまたフラスキータににこっと笑いながら手渡します。ふおおおお～さすが飯田裕之さん！とそんなところで感動してしまう私。とにかくオーラが発されていて目が離せません。背景の書割の巨大な闘牛の絵のカバーをちょっとだけ外します。この少しだけ外すのに何か意味があったんでしょうか？不思議でした。
最後は投げキスをしながら退場。かっこよすぎです。

五重唱
カルメン：丹呉由利子
フラスキータ：本松三和
メルセデス：はやかわ紀子
ダンカイロ：福井克明　
レメンダード：パク・ドンイル
指揮：佐藤正浩

この盗賊たちのアンサンブルは実はカルメンの中でもっとも玄人好みのシーンです。ここで指揮者の力量が問われるシーンなのです。なかなかすばらしかったです。フラスキータの本松三和さんがソプラノの圧倒的な華やかさを発していてすばらしかったです。
ダンカイロの福井克明さんは声量があります。
驚いたのはレメンダードのパク・ドンイルさん。彼はいわゆるバリ・テノールです。以前バリトンだったのですが、テノールに転向したということ。重い声です。通常レメンダードは軽い声のテノールがキャスティングされるので不思議でした。ダンカイロとほぼ声が近いので。

花の歌
ドン・ホセ：樋口達哉

真打登場！樋口達哉さんです。美しいリリコ・スピントで、甘くせつなく歌い上げます。すばらしいです。お聴きするのは自粛前の「椿姫」以来です。赤い花の花びらが散っていきます。もちろん最後の難しいH音、胸声で行きました！

第3部：ビゼー「カルメン」

間奏曲
フルート：泉真由

3幕から
ミカエラのアリア
Je dis que rien ne m'épouvante
ミカエラ：鷲尾麻衣

　さきほどと異なり、清楚な村娘の服装です。リリック・ソプラノです。パワフルで美しく、表現力があり、すばらしいです。

・ホセとエスカミーリョの二重唱
Duo
Je suis Escamillo, Torero de Grenade
ドン・ホセ：小野弘晴
エスカミーリョ：原田勇雅

　ライフルを構えるホセ。発砲。エスカミーリョがかみてそでから登場。ここは大好きなシーン。お二人ともパワフルで迫力満点でした。原田勇雅さんは美声でノーブル、パワフルとすばらしいバリトンです。

女を追いかけてきたんだ

誰？

カルメン

カルメンだって？

そうさ。

お前だな脱走兵は

そうさ
女を連れてくには代償が必要だ
払ってもらおう、これで

ナイフを出す

決闘する二人

Mettez-vous en garde
Et veillez sur vous

かっこいい二重唱

・終幕の二重唱
Duo et choeur final
C'est toi? C'est moi.
ドン・ホセ：樋口達哉
カルメン：鳥木弥生
ピアノ：佐藤正浩

背景の書割の巨大な闘牛の絵が効果を上げています。
びっくりだったのは指揮者自らのピアノ演奏！
これがまたとても上手でした。ピアノでオペラしてました。

C'est toi?

C'est moi

Je ne menace pas, j'implore, je supplie

Entre nous tout est fini

Carmen, Il en est temps encore

俺に殺させないでくれ
カルメン
お前を救いたいんだ

Non! Non! Non! Je ne céderai pas

Ah laisse-moi te sauver, toi que j'adore!
Et me sauver avec toi!

Tu ne m'aimes donc plus?
もう愛してないのか？

Carmen, Carmen, moi je t'adore

Mais ne me quitte pas,
O ma Carmen

捨てないでくれ

Libre elle est née
Et libre elle mourra

歓声

どこへいくんだ？

行かせてよ

行かせない

やつを愛してるんだな？

そうよ、何度でも言うわ！
あの人を愛してるのよ

俺の魂は救われないのか

もう脅すのはやめだな

Eh bien! Frappe-moi donc
Ou laisse-moi passer
刺したらどうなのさ
さもなきゃ行かせて。

鳥木さん迫力。

Pour la dernière fois, démon,
Veux-tu me suivre?
このアマ！
俺に付いてくるのか？

このdémonがものすごかったです！

指輪を返すわ、ほらっ！

ホセは指輪をとっさに押さえる。

カルメンはホセの横を通り過ぎようとする。
何もしないホセを見てそのまま行こうとするが…
ホセが叫び声を上げながら、カルメンの腹を刺した。
カルメンはステージ手前によろめき、ばったり倒れる。
すごいうまい倒れ方！

ホセはおののく。

Vous pouvez m'arrêter
C'est moi qui l'ai tuée.
Ah! Carmen!
Ma Carmen adorée!

すばらしい！
圧倒的パフォーマンスでした。
ありがとうございました。
お疲れ様でした。

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