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彼は、何でも出来た。アタクシには、そう思えた。高校の頃は水泳部のキャプテンで、夏になると近くのプールでライフガードをしていた。同じ頃、彼と同い年で随分いたんでいた◯ォードの◯スタングをアルバイト代で買い、エンジン改造が得意のお父様から色々習いながらどうやらはしる所までなおし、リビルドした。この経験を持って、アタクシの父のおんぼろ車のトラブルはフュール・フィルターが詰まってしまっているから、とエンジン音を聞いただけでぴたりと診断した。頭上をヘリコプターが通ると、プロペラ音に耳をすましながら腕時計とにらめっこし、あれは何々社の何々号だ、いやちがう、絶対に何々号だ、などと仲間と当てっこをしていた。ベランダで聞こえる鳥のさえずりに急に耳を立て、「おばさん、珍しいよ、あれはスカーレット・タナジャーの声だね」と母に言ったそうだ。ベランダに出て、眼をこらして見てみると本当に赤い頭の鳥が木陰から出てきた、と母は言う。仲間に新しい友達が加わったりして馴染めないでいるときや、皆が心を許してとけあっていないような場では、一言で皆の心をなごましたり、皆を笑わせたりして連帯感をなにげなく、いとも簡単に育てた。出来ないことも、もちろんあった。絵が、思わず噴き出してしまうほど下手だった。設計図を描かせれば正確に描けるのに、絵はとりわけ下手だった。歌も、踊も、苦手だった。見かけによらず、遊園地の乗り物に弱かった。その上、「次はあれ!」と引っぱるアタクシの手前、痩せ我慢して、指の節が真っ白になるほどシートベルトやカートのふちに必死にしがみついていた。ローラーコースターの頂上でアタクシが手を放してバンザイなどをすると、蒼白になった。「つかまってないと危ない!危ないだろう!」とケラケラ平気なアタクシに叫んだ。運動神経や反射神経はあんなによかったのに、武芸では、最後までアタクシの方がずっと強かった。お酒に弱く、殆ど飲まなかった。作文も苦手だったのに、一生懸命、胸が熱くなり涙が止めどなくこぼれてしまう様な手紙を何通も書いてくれた。仲間中、皆の相談役だったのに、自分の心に秘めた苦しみや悲しみを表現できなかった。おてんばのアタクシの事を絶えず心配して、心を傷めた。アタクシは、こんなに丈夫なのに。そして、アタクシがいくら哀願しても、もう還ってはこれない所へ行ってしまった。いくら泣いても、青空の奥を眼をこらして探しても、星空のしたで立ち尽くしても、もう一言の慰めの言葉もかけてくれることのできない、一目も会ってくれることのできない人になってしまった。アタクシの願いなら、何でも叶えてくれたのに。アタクシが甘えてねだると、何でもできる限りしてくれたのに。アタクシの涙に、あんなに弱かったのに。
2005.06.28
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彼は、出会った時からアタクシをじっと見つめてくれていた。九つの時、異国での武芸の試合後、遊び場へ向かう途中、気がついたらずっと年上の、十二才の彼がアタクシ達の後をつけてきていた。無視して遊んでいると、近くまで来て黙ってアタクシだけを見つめていた。アタクシはそれに気付かない。気付いたのは、仲間達。ジャジャ馬なアタクシは「なんなのよっ」とばかり突っかかった。彼は、静かに、「君に話しがある」、そう言った。アタクシは周りの仲間にひやかされて、恥ずかしくて、きまり悪くて、さらにとんがった。「知らないわよっ、ついてこないでっ!」と冷たく拒否した。それでもついて来る。アタクシだけを見つめて。仲間にもっとひやかされる。仲間もおっかなびっくりだ。アタクシ達が小学四年生なら、相手は中一なのだから。ほとんどオジサンだ。でもアタクシは、変な時に勇気が湧く。「こんどついて来たらけっとばすからねっ!」と睨みつけても、彼は少し微笑んだだけだった。そして、まだついて来る。引き下がれない。これがアタクシの泣き所。「ほんとにけっとばすからねっ!」とまた睨んでも、彼はまた微笑むだけ。素直に好感を露にしてくれてもアタクシはとまどうだけ。「ねえ、」と切り出した彼のむこうずねを力任せに、思いっきり蹴った。これは、弁慶の泣き所。彼はびっくりしてうずくまる。アタクシ達はきびすをかえして全速力で逃げる。彼がアタクシを眼に止めたのは、その数時間前。でもこれが、幼いアタクシの彼との衝撃的な出会い。
2005.06.27
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Where are you now?Can't you tell me?I carry you in my heart - every day I think of you. With love. For a long time, I couldn't read over your letters. I tied them together into a bundle and buried them deep in a box, but they burned at me. If I look up at the night sky, and there's a star glowing brilliant beside the crescent moon, I think of the light in your half-closed eye - I snuck a look, once, as you embraced me. If I look up at the night sky and the moon shines wan or sharp or pale or bright, I think of you. Do you remember how we used to look up at the moon every night at a set time? And think of each other in the same moonlight, however far we were? And we dreamt.I still dream -Do you?
2005.06.26
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この時期になると学生時代、一生懸命夏のアルバイトに励んでいたころが懐かしい。昔、アタクシは学生アルバイトで「お化粧カウンター嬢」をしていたことがある。それも、畏れ多くも、シャ◯ルのカウンターで。化粧などしたことのなかったアタクシは、ドギマギした。でも、周りのお洒落で奇麗なお姉様方は優しかったし、給料もアルバイトにしては結構よかったし、一日中ヒールをはいて立っているのはちょっとこたえたけれど一応楽しく過ごした。コチラのシャ◯ルのカウンターに寄るのは、少し年配と思われる上品な身のこなしの欧米人か、日本からの若い女性が多い。時々、ニュー・◯ークの支店から派遣されるプロのメイクのお兄様が手をとって優しく指導してくれる。稀に、憧れの灯りの町パ◯、シャ◯ルの生まれの里から出張員が訪れる。こんなときは、よりによって少し仏語がしゃべれるアタクシが対応者に選ばれる。新聞くらいなら読めるがしゃべるのは苦手だ。相手の言っている事が解っても、さて返事を発するとなると最初は適当な言葉が浮かばずうろたえる。それに、自分でも発音がひどいのが判る。少ししゃべっているとだんだん言葉に詰まらなくなる。下手な下手なアタクシの仏語をパ◯からのスタイル抜群の出張員様がにっこり笑って聞いて下さる。ああ。喜んでさえくれる。日本語も、最終的には自信がない。勉強がたりないのだ。すべて。でも、容姿端麗でその小さなしぐさまですべて優雅なシャ◯ル・パ◯の出張員に、うっとりするような美声で、それも饒舌な仏語で、「嗚呼、貴方は本当に奇麗でシャルマン*ね」などとため息まじりにいわれた日には、ただのお世辞だと分かっている、分かっていても頬が染まってしまう。(*charmante=チャーミング)思い出しただけで赤面。
2005.06.25
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今日から、五週間休暇。二人とも毎年、有給休暇が最低八週間、残業などが溜まってしまったりすると三か月休暇になってしまう。アタクシが、きっと要領が悪いせいで参ってしまい会長に哀願して部長を降ろさせてもらった年など、休暇が四か月溜まってしまっていた。やれ衆議院議員との会議だとか、支えになってくれているつもりらしいが気味の悪い上司だとか、臨時にくじけてしまっている同僚とか、もう少し励ましたい部下とか、そういうのは何とかなる。が、人生は仕事仕事仕事で削ってしまえない。愛する人達と如何に充実した毎日を過ごせるか、アタクシにはそのほうが大切だ。丁度その年はムーミンがサバティカルだったので、夏から初秋の四か月をスカーッと休んだ。W島に行き、流星群が降りしきる下、波打ち際に二人で大の字に寝て流れ星を数えた。夜の海にビオルミネセンスで緑色に輝きながら泳ぐオットセイにみとれた。J海峡ではイルカの家族に囲まれ、いつか習ったように、彼等が聞こえるように、パドルでカヤックをコンコンコンッと信号のように叩いた。イルカは好奇心が強い。しばらくカヤックの周りをぐるぐる泳いでいた。手を延ばせばその灰色の湯で卵の様な皮膚に触れるほど近く。「プフッ...プフッ...」という呼吸音とともに発せられるわずかな飛沫が、深呼吸をすれば体に入って来そうなほど近く。その数分後、鯨にも出会う。カヤックに鯨が寄ってくると胸が高鳴る。(ムーミンは感激で涙を浮かべていた。)でも、ひっくり返されては大変。やはりコンコンコンッと信号を送る。それだけで、鯨と対話をしている気がして、嬉しくなる。鯨は、大きな澄んだ眼をしている。眼そのものは大きいのだけど、体に比べるととてつもなく小さい。その眼をゆっくりと海面に近づけ、ちっぽけなカヤックに乗るアタクシたちを、涙を流しながら微笑んでいるムーミンを、ポカンと口を開けているアタクシを、ほんの一瞬なのだろうけれど長い長い時間をかけて覗いて行く。「...解った」という言葉が伝わって来そうな、すべてを見抜いてもらった様な、不思議な気持ちが余韻の様に残る。
2005.06.24
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D入江は都心から車で二十分。気軽にカヤックを出せるが、出発点のマリーナが混んでいたりして、「だれもいない大自然の見渡す限りの砂浜」が好きなアタクシ達はちょっと遠慮していた。勿論、カヤックを出して四十五分ほど漕げば「だれもいない大自然」に達するのだが、原始林ではないし、稀に水上タクシーなどの音が聞こえる様な所なので、贅沢なアタクシ達はやっぱり遠慮していた。が、三十分経過の所でR島という禁漁区ことマリーン園がある。ここにならカヌー好きの友人と、その子供達をつれてピクニックなどできそうなので、探検してみることにした。それに、さらに三時間ほどゆっくり漕ぐとG滝のもとに結構おいしそうなキャンプ・サイトがある。R島経由でG滝へ行ってみることにした。昨日。波打ち際でカヤックに荷物を積み込んでいると、「三か月ほどのご遠征ですか?」と聞かれてしまった。思わず爆笑。あまりにも大きなタンデム・カヤックに山ほどの荷物を積み入れているのでからかわれているのだ。「ああ、笑われちゃった、無理もないですけど、ほんとにすごい荷物ですよね、反省してます」と笑いながら雑談をした。「やっぱり、G滝?」はい。あそこは初めてなんです。「今朝、十艘ほどのグループがあそこへ向かってったけど。」ええー?という訳で笑われてみるものだ。重要な情報を思わぬところから入手。残念だけど計画を急変更。G滝のずっと手前のS滝で折り返し、R島でキャンプ...のつもりだった。風もなく、涼しく曇った日で快適なパドル。いつもの様に胸のすくような素晴しい景色はないにしても、ゆっくりぶらぶらと気楽なパドル。水が澄んで奇麗だ。夕暮れに雲が薔薇色にそまるころ、R島に到着。R島は、小さくこんもり森がしげっている。十分で簡単に周航できるほど小さい島。ガイドブックにここでキャンプできると示してある。だが、気に入るサイトが眼につかない。ムーミンは考え込む。キャンプはできることはできるが、タンデム・カヤックを抱えて夜の満ち潮に流されない所まで運ぶのはちょっと面倒な地勢なのだ。面倒で危なっかしいが、しようと思えばできる。相談する。R島に戻って来ているということは出発点がすぐそこに見える。さて。そして、出発点に、丁度暗くなるころ、戻って来てしまった。一日で戻ってきてしまうなど初めてだ。ちょっと残念な日だったけれど時々こういうのもいいのだろう、と話し合いながらまた山ほどの荷物を今度は車に積み込む。
2005.06.19
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そう、ムーミンは「リング・トリロジー」のフロードに本当によく似ている。クリクリの栗色の巻毛や、大きな瞳、ちょっとはにかみ屋なところまで、そっくりだ。瞳が緑がかっているのと、足の甲に毛が生えていないのを抜けば、感心するほどそのままメークなしで「フロードのお兄さん」役ができる。アタクシは調子に乗って、どこかで待ち合わせなどをすると、殆ど必ず「フロードのお兄さん」みたいな人と待ち合わせなのですが、と切り出す。そして殆ど必ず爆笑されてしまう。が、笑いが治まると、「はい、その方ならあちらへご案内いたしました、どうぞ」と結構すぐ解るので便利だ。
2005.06.10
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彼は、逞しく、優しかった。背はアタクシよりちょっと高くて、筋肉質で、いつもすっきりとした格好をしていた。実践的で、もの静かなのにひょうきんで、人気者だった。動作も思考も決然としていた。相談されると、まっすぐ相手の眼を見つめて、黙って聞いてくれた。そして問題の新しい見方を、結論に近づく道を、一緒に考えてくれた。仲間の集まりなどでは、前に進んで指揮をとることはなかったけれど、自然に皆が彼の意見を重んじて、グループ内からリードをいつのまにか譲られていた。動物好きで、アタクシ達の小さな妹や他の子供達は彼を選り抜いてじゃれついていた。不思議な磁性を持つ、ごく自然に人を引き付ける明るい性格で、思わせぶりや秘密めいた素振りはしなかった。そのさっぱりとした、素直な、清らかな心を、アタクシはいつのまにか愛していた。愚かなアタクシを、彼は命懸けで愛してくれた。そして、彼は、死んでしまった。そして、アタクシは、亡き彼を、毎日想う。
2005.06.05
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hoy un poema de neruda (sin acentos desgraciadamente).no, perdoname si tu no vivessi tu, querida, amor miosi tu, te has muertotodas las hojas caeran en mi pechollovera sobre mi alma noche y diala nieve quemara mi corazonandare con frio y fuego y muerte y nievemis pies querran marchar hacia donde tu duermespero seguire vivoporque tu me quisiste sobre todas las cosas indomable...and it does. it does rain on my soul night and day, llovera sobre mi alma noche y dia. i walk with frost and fire and death and snow. i write to you letters i can't send. i read you words you can't hear. but i will live, and you will live with me.
2005.06.03
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