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ドイツの社会構造と行動様式を理解する上で大切な要素に、「Zunft(ツンフト)」というものがある。ツンフトは、英国では「ギルド」と呼ばれる、中世に出来た手工業のマイスターからなる職業別組合であるが、このギルドという名称なら耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。ヨーロッパでは、中世に入ると小さな村々が大きな都市へと発展しはじめ、政治的、社会的構造もそれにともない複雑になっていった。地位と権力を確保するために、商人達は組合を結成、市政に大きな影響をもたらしていったが、それに対抗するように、手工業者たちも団結し商人とともに都市の成立と発展に貢献していくようになる。いわゆる社会保障の基準がまだなかった中世で、手工業者達が生き残るには、職業ごとに団結し力をあわせるしかなかったのである。マイスターと呼ばれる、その手工業の「親方」達は、職業ごとに「ツンフト」という組合をつくり、価格と品質の保証、職人の賃金の統一化などの、規則やガイドラインを確定していく。職業別に手工業者達はそれぞれ街の一角に集合し、(各地に残る、肉屋通り、靴屋通り、などはその名残である)そこでは、手工業が営まれるだけではなく、徒弟の指導、教育、宗教的なお祭りや儀式なども行われた。小さな封建社会がそこに出来上がっていたのである。各職種の頂点であり、親方であるマイスターは、徒弟や職人を雇い、職業に必要な技術だけではなく、知識、教養、道徳観を教え、社会の一員になるべく人格形成しながら伝統を継承していく。マイスターと死別した未亡人とその子供達はツンフトが援助し、病気の職人や、年老いた職人を介護する施設もあったようである。徒弟、職人、マイスターという厳しいヒエラルヒーはあるが、「手工業」という職業を通じて結ばれた連帯感は大きい。まさに運命を共にする共同体であったのだろう。近世になるにつれ、ツンフトは解体されてしまったが、ヨーロッパのなかでも遅くまで封建制が残っていたドイツでは、「マイスター制度」「デュアルシステム」そして、ツンフトを原型とする「Innung(イヌング)」という職業別の組合が存在し、その影響は根強い。ドイツの「デュアルシステム」が、企業が将来的に自社で使える人材を育てる為の訓練システムではなく、伝統の継承、職種の継続に重点がおかれ、場合によっては、未来の自分の「ライバル」を育てることになるシステムである、ということ。個人(企業)のメリットより、全体(手工業)を優先する、という点は、やはり、このツンフト(ギルド)の歴史をぬかしては理解出来ない。これこそドイツ社会の行動様式の根本的な部分を形成するものであると思う。 *なぜ、今、ツンフト(ギルド)のことを書いたかというと、、、、、実は、私が所属する、バイエルンGoldschmiedeinnung(金細工師組合)の役員選挙で理事に選ばれたからだ。先日、グランドマスターと理事10名からなる理事会に初出席したのだが、ヨーロッパの伝統工芸を継承する組織の幹部に日本人である私が入り込む、ということは大変恐れ多いことであり、今更ながら責任の重さを噛み締めているところである、、、(まあ、そう感じているのは、当人の私だけ、らしい、が。)20年前に、偶然あしを踏み入れることとなった、「金細工」という伝統工芸。職業訓練を受けはじめた時には、まさか将来、イヌングの理事になるなんて夢にも思わなかったわけだけれど、、、、たしかに、名ばかりであってないものに等しい組合もたくさんある、と聞く。自分に直接メリットのないイヌングの活動に興味をしめさないマイスターが多いのも理解出来るし、ディアルシステムも数々の問題を抱え、マイスター制度の前途も多難。そんなご時世である。ここまで意欲的にツンフトの意志を受け継いでいるイヌングなど、もしかしたらドイツ国内でももう残り少ない絶滅危惧種なのかもしれないが、、、しかしながら、微力でも、この職種の伝統を継承するために全力をつくそう。ビール片手に熱い議論を続ける、まさに「親方」という名称がぴったりくる先輩マイスター達に囲まれながら、心のなかでそう誓った。
2015年09月24日
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簡単な試作品」を頼まれて、30分以内で仕上げる予定が、、、、突如沸き起こったチャレンジ精神により、気がついたら球体になってました。笑自分が調子にのってしまった結果なので、もちろん、簡単な試作品としてお渡しします。でも、クリスマスツリーの飾りにもなるので、これはこれでよいか、と。笑
2014年11月23日
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金属アレルギーを持つお客様は多いので、ジュエリーをつくる際にもアレルギー対策に力を入れていますが、出やすいのは、ニッケル、クロム、亜鉛、銅、など。金はアレルゲンになりづらい金属ですが、ジュエリーで金を純度100%で使うことはほとんどなく、例えば、18金には、75%純金、その他の25%に銀と銅などが含まれますので、18金にかぶれてしまう方は、金ではなくて、他の金属のアレルギーの可能性が高いのです。今回は、市販の鼻ピアスにアレルギー反応がでてつけれない、というご相談。上質のゴールドなら大丈夫かも、ということで、まずは18金でおつくりしましたが、やはりばっちりアレルギー反応が、、、、。涙至急、純金100%の試作品をおつくりしてお渡ししました。その際に、ふと思い立って、(必要ないだろうな、と思いながらも)同時につくっておいていた純銀100%の鼻ピアスもお渡ししたのですが、、、、なんと!その方は、金アレルギーだったのです。そして、半信半疑でつけてみた純銀のほうには全くのアレルギー反応がでなかった、とのこと。スターリングシルバーにはかぶれる、ということで、まさか、、、の結果でしたが、その方は銅アレルギーもあるのでしょう。(スターリングシルバーには、純銀の他に7、5%ほど銅が配合されています)ということで、ダイヤの部分は残して、皮膚に当たる部分はすべて純銀に加工し直し。出来るだけ他の不純物を入れない為に、すべて純銀のみでの溶接です。長年、かぶれとかゆみと腫れを我慢し続けていた、という彼女も、これでこれからは快適にジュエリーを楽しめるようになるでしょう。万が一、金と銀アレルギーの両方だった場合の為に、最後の手段として医療用ステンレスを用意していましたが、、、、とりあえずよかったー♪
2014年10月18日
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依頼された石の鑑別をし終わったついでに、、、、クイズです! さて、これはなんと言う石でしょう〜?と問題を出したいところですが、写真のみで判断するのは(専門家でも)無理なので、、、、笑さて、何種類の石(またはそのような物)が並んでいるでしょう?一見、どれも同じようにみえますが、、、、実は、、、^^b(答えは、後日)
2014年10月13日
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ぁぁぁ、、、、!いつかやってしまうかも、と思っていたことが!オニキスとブラックトルマリンを混ぜちゃいました、、、(しかも同じ大きさ 汗)これから、顕微鏡で選別です。シンデレラが豆の選別で困っていたときには、小鳥さん達が助けてくれたのになー。ふぅ これじゃ、舞踏会には間に合わない。笑
2014年10月10日
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パーツはまだ全部ではありませんが、、、、さて、何になるでしょうか〜?
2014年09月12日
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4、17gの18金のネックレスと、7、51gの22金のネックレスを、一緒に溶かすと何金になるか。そして、18金にするには、あと何g銀と銅が必要か。お客様のネックレスから、指輪をつくる、というリメイクオーダーで必要な数値なのですが、、、例題では何回も計算したけど、実際に必要な時がくるとは。笑一瞬、(計算の仕方を)忘れたかと思って、焦ってしまった。おっとっと。3×5mmで11号の指輪は18金で何gになるか、とか、同じ指輪をプラチナでつくると何g重くなるか、とかは、日常的に必要だけど、上記のような計算は、ほとんどしないから。(言い訳)というわけで、計算し終わったので、明日、溶かして地金をつくります。
2013年06月24日
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ミュンヘン誕生祭での、デモンストレーションをしていたとき。小屋のなかで、指輪のヤスリがけをしていた私は、背後になにやら視線を、、、、振り返ると、後ろにたっていたのは、グランドマスター。そして、一言。「サトコ、誰に教わったの?それ。」(え?え? 私、何か変な削り方しているかな?汗)「(恐る恐る、私の師匠を指差し)彼に、、、ですけど、、たぶん、、、」(っていっても、何十年前の話?)「・・・・」「いや〜すばらしいね!うん。すばらしい。」(は?)何が起ったかわからず、ポカン、としている私を尻目に、隣で同じくデモンストレーションをしている先代グランドマスターにむかって今度は、「ねえ、誰に習ったの、それ?」(・・・・)先代のグランドマスターの怪訝そうな顔をみて、「わっはっは!」と豪快に笑っている現グランドマスター。彼の笑いのつぼはいまいちよくわからないけれど、一瞬、ドキっとしてしまったのは、まだまだ修業が足りない証拠か、、、。苦笑いやでもね、見習いの頃から知っている、大先輩のグランドマスター達と一緒にいると、未だに、半人前、のような気持ちになってしまうんだなぁ。一番年下、というのもあるけれど。なんかね、同等にマイスター、なんて、おこがましい、、っていうか、、、。その後で、またやってきたグランドマスターが、こそっと「サトコ。君は良いマイスターだから。心配しないで、そのまま続けなさい」いやぁ、もう、何がうれしいって、グランドマスターに、マイスターって呼ばれることでしょう。でも、それと同時にイヌングの会員として、恥ずかしくないように頑張らなくちゃ。もっと、貫禄もつけて、実績もあげてね。うん。だってね、いつかは、グランドマスターの座をいただこう、、、って思っているからね。ふふふ(ニヤリ)って、うそ、うそ!冗談です。それこそ、どんだけ、おこがましいんだよ!笑
2013年06月22日
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先日、解体された小屋(大きなコンテナトラック一台分)を運び終えた後に、みんなでマイスター学校の食堂でお昼ご飯を食べていた時。隣にすわった先輩マイスターが、急に「君って、ここの学校に通ってたんだっけ?」「はい。8年前に通ってました。」「え!うそだろ!」(え、私がここに通っていたことが、ですか?笑)それから、しみじみと「もう、そんなにたつかねぇ、、、、、。でさ、いつかさ、みんなで研修旅行にいっただろ? 君がいろいろ大変だった時、あれって、、、、」「あの旅行は、1999年です。」「!!!そんな前だったっけ? あの時、君は、まだ見習いだったねぇ、、、」この先輩はその昔、イヌングの見習い相談係の役職についていて、当時、窮地に立たされていた私の相談にのってくれた人なのだ。彼の紹介で、最終的には私の師匠のところにたどり着いたわけだけれど、大きな事件に巻き込まれ、卒業試験を受験することも危うくなっていた私にチャンスを与え、絶対にもう二度とジュエリーなどはつくらない、とまで思い詰めていた私に、全く違う職人の世界をみせてくれたイヌング。私が、マイスターになってからすぐ、イヌングの会員になり、微力ながらお手伝いをさせてもらっているのは、今、私がこうして心からやりがいを感じ、この職につけているのも、イヌングと、その役員、マイスター達との出会いがあったからだ、と思うから。別に特別そういう組織的な仕事が好きな訳でも、自己掲示の為でもない。先輩マイスター。私の師匠。グランドマスター。 この素晴らしい先輩達の仲間に入れてもらえるなんて本当にうれしい。ご恩は何もかえせないけれど、私なりにイヌングの精神を継承すること。これが今の私に出来る感謝のかたちかな、と。そう思ったら、急に感極まって、食べかけていたチャーハンをじっとみつめてしまっていた。すると、今度はとなりに座っていた、私の師匠が、「サトコ、そのチャーハン、美味しくないんじゃないの?僕の肉、一切れあげようか?」いいえ、師匠。チャーハンの味は極めて普通です。 でも、少しだけ、塩味がきいているような気がします。
2013年06月19日
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全身筋肉痛なんて、すごい久しぶり。すべてが痛い。あはは先週末のミュンヘン誕生祭は最高のお天気にお恵まれ、大盛況。会場には、ドイツの手工業を代表する20のイヌング(職業協会)の小屋が建ち並び、職人達がデモンストレーションをするなか、、、大変盛り上がっておりました。その小屋の解体作業が、昨日だったのだけれど、、、。ミュンヘン、晴天、炎天下、38度、、、、、(厳しい)小屋、というと、プレハブの物置のようなものを想像されてるかもしれないけれど、ここはドイツ。簡易、といっても、かなりしっかりつくられているんだなぁ、これが。そもそも、この「職人村」の中心になっているのが、土木建築組合なのだから、そりゃあ、ちゃっちいものを建てるはずがない。その小屋をバラバラにして、コンテナトラックで運ぶのだけれど、大工さんとか、瓦職人さん(屋根専門)とかをみていると、さすがプロ。手際は良いし、力はあるし、ガタイはいいし、イケメンだし、、、(って、違うか。笑)みるみるうちに、組木が外され、運ばれていってます。それにくらべ、うちら(金細工)はというと、、、、屋根一つ解体するのに、悪戦苦闘。笑 あはは、、、すると、「手伝いますよ」と隣の職人さん達がスルスル、っと屋根に。あぁ、、、この美しく、力強い上半身の筋肉。輝く汗。う〜ん、やっぱり、職人さんってかっこいい!って、うちらも、職人だったっけ。笑でも、同じ職人でも、ジャンルが違うことは(外見からして)一目瞭然なんだなぁ、、、。苦笑私も、久しぶりに、50〜80kg近いものを、持ち上げ、ひっぱり、運んだら、、、それは、それは見事な筋肉痛。あー、なさけない。これじゃあ、土木建築関係の職人さん達から、「フッ、金細工師、、、」と言われるはずだよ。いままでは、そのたびに、なんだか、職人の仲間に入れてもらえていないような気がして、むかっとしたけど、これだけ、違ったら、当たり前か。いやね、私は別として、うちの同業者たちも、普通にがっちり体型なんですよ。全然、ひょろいわけじゃない。でも、比べるとね、、、、。いや! あっちは、建築!こっちは、宝飾!それぞれに、得意分野があるんだ!(と言い聞かせてみる)でも私も、いつか、スルスルっと高いところに登って、ガっと物を持ち上げて、ヒョイヒョイと運ぶ、イケメンになってみたい!(イケメン、は余計か)まぁ、こんなに激しく全身筋肉痛になっていて、何を妄想しているだ、、、って話だけれど。というより、私、高所恐怖症、、、だっけ。あーあ。笑
2013年06月18日
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「〇〇しているんだけど、うまくいかなくて。他にどんな方法があると思う?」と同業者から電話。「うーん、だったら、温度を変えて〇〇してみたら大丈夫だと思うよ。それでも駄目だったら、△△って方法があるよ。それは、こうして、ああして、、、」と説明したら、「ありがとう!助かったよ。でもさ、あんまりそういう技術的なこととか、人に気安く教えない方がいいと思うよ。おせっかいかもしれないけど。」はぁ〜? 聞いてきたのはそっちなのに、最後の一言はなんじゃい? ほんと、おせっかいだよ。でも、それを言われたのは今回がはじめてではないんだなぁ。マイスター学校の同期にも、「サトコはさ、聞いたら何でも教えてくれるけど、真似されたりとかしたらどうしよう、とか思わないの?」としょっちゅう言われてた。でも、その度に思ったのだけれど、私が教えた知識を使ってその人が私よりも優れた作品をつくったとしたら、私の技量もそこまでだった、ということであろう、ということ。同じ知識を共有して、差がでる、ということは、結局、その他の部分でどちらかが勝っている、ということなんじゃないか?って。もちろん、コピーされないように、著作権というものはあるし、特許、とか、企業秘密、とか、いろいろとあるのだけれど、それとこれは、ちょっと違う気がする。私が試行錯誤して得た知識もあるけれど、それだって、先人達の残したデータを元に、さらに追求した結果であり、私だけの功績ではない。金細工、という伝統工芸を継承する立場で、知識というものは、共有すべき財産だ、というふうに私は認識しているのだが、違うだろうか。「お人好しだよねー。」という同業者は、自分がどこぞで聞きかじった知識さえも後生大事に墓場まで持っていくつもりなのか。知識は財産であり、武器。だけど、結局は、それを使って何を生み出すか、ということ。カードをオープンにして宣戦布告(笑)するほうが、宝の持ち腐れより、断然いいと思うけどなぁ。まあ、そう考える人はあまり多くないらしい。じゃあ、人に聞かないでよね!笑おわり
2013年06月12日
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先日は、金細工師協会の上半期本会議だった。(写真は、会議会場のkünstlerhaus)まぁ、本会議、といっても、通常は、グランドマスターはじめ、役員と(私も含む)常連会員が数人が集まり、アットホームな会合なのだが、昨日は大入り満員! 危うく私の席がない状態、、、異例の人気の秘密は、会議前に毎回行われるセミナーのテーマ。「LPガスの保安の確保と取り扱い法」実は、2ヶ月ほど前に、ミュンヘン市内の同業者の店&アトリエが、ガス爆発事故で全部吹っ飛び、幸い、死者は出なかったけれど、この大事故があってからは、さすがのドイツ人同業者達も、プロパンガスに対する考えが少し変わったらしく、、、。この機会に、きちんとガスについて見直そう!ということで、衛生・配管職人協会、ガス業者、保険会社から、講師をそれぞれ呼んでの勉強会なのだった。ガス専門家が、---屋内でのLPガスは、地上でのみ使用可、地下での使用は全面禁止である。LPガスは一部屋につき、許可される個数は一個。戸で仕切られている別部屋で保管分を合わせ最高で2個、合計16kgまでとする。---という基本的な規制を説明しているあたりで、もうすでに、あちこちからため息が聞こえ、、、共同工房などでは、各自がガスを持ち込んだりすることがあり(知らずに)違法行為をしていた同業者も多い、、んだね。やっぱり 苦笑マイ工房は、設備投資の際に専門業者にすべてまかせて配管と設置をしてもらったため、なんとかすべてクリア。(専門的なことは、専門家に!というのが、私のモットー)ただ、4年毎のチェックだけしていなく、、、、近々、検査をお願いしないと。
2013年05月15日
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只今、ハートシェイプのダイヤモンドを探すミッションで苦戦中 >.<取引先のどこにもなかったので、面識のないディーラーさん達にも問い合わせ。先ほどは、なにやら怪しいアラブ系(?)のディーラーに電話が繋がり、「・・・△%&§$◯(言ってる事がよくわからない)1カラット?3カラット?」(いや、、、探しているのはもっと小さいダイヤなんですけれど、、汗)「なんでも見繕ってあげるよ、5カラット?」(いや、だからもっと小さいやつ、、、、汗)ふぅ。はたして見つかるのだろうか。ハートの(小粒)ダイヤ。みつからなかったら、普通のブリリアントカットだな。でも、さっきのアラブのおじさんが言っていた「普通の10分の1の値段の1カラットのダイヤ」というのは、ちょっと怖い。 どんなものかみてみたい気はするけれど。笑
2012年10月05日
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たま~にですが、修理もします。今回は、レーザー溶接使用。今日の患者さんは、イタリアの某有名ブランドジュエリー。日本の取扱店で長さの調節が出来ない,と断られてのご来店です。(注)... しかも、もともと18金のイエローゴールドのネックレスが、購入後になんと、ロジウムメッキされて真っ白に。なんでも、取扱店ですすめられたのだとか。こんなことをしちゃったら、イエローゴールドである意味がまったくない、、、と思うのは、メッキ否定派である私の個人的な意見です。依頼人も、もとに戻したい、、ということで、長さを変え,ロジウムメッキをとり、イエローに戻しました。貴金属も、やはりナチュラルなのが一番,です。注 イタリアの本店だったら、違う対応だったのでは。
2012年02月27日
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オーダーの制作が一息ついたので、展覧会用の作品の試作&実験、開始!数年ぶりに合成樹脂を使います。 が、、、あぁぁぁ、忘れてた!この臭い!げげげ!窓を開けたけれど、真冬の換気は命がけ。シンナー臭で気持ちが悪くなるか、風邪をひくか。なんだか、究極の選択になってきました。涙
2012年02月19日
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ジュエリートレードフェア、inhorgenta は,なんでもヨーロッパ最大のジュエリー系の展示会なんだそうだけれど、日本での知名度は、、、いまいちのような気がする。会場は、大きな体育館が6つ分程。時計部門、ジュエリー部門、宝石部門と分かれていて、ビジターも、バイヤーから制作業者、アーティストまでと幅広い。私も、日頃お世話になっている取引先へ出向いたり、新しいコンタクトや、宝石を探したり、、、毎回4日間連続で会場をまわるけれど、それでもまわりきれないほど、の大きなトレードフェアなのであった。でも、やはり世界的な不況の影響か、年々寂しくなっていく インホルゲンタ。昔は、ボールペン、バックなどのおまけや、スナック、お菓子、コーヒー、シャンパンなど、、、ブース内でもいたせりつくせりだったのに、ここ数年前から、必要最小限になっているような。コスト削減、というのもわかるけれど、派手で華やかな(イメージの)宝飾業界が、こんなにショボくてどうする!と思ってしまったりもするのである。どうせ贅沢品なんだから、ラクジュアリーに頑張ろうよ!と思っているのは、私だけではないだろう。それにしても、スタッフ用の飲料等はあるけれど、カスタマーには接客中に何もださないところが多くなってきているのにはさすがにびっくりした。自分はコーヒーを飲みながら接客、その際にお客側にはお水の一杯もださない、というのは、どうかと思う。これは、コスト削減、というよりも、心遣い、客商売の基本だと思うのだけれど、どうだろうか。
2012年02月11日
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先ほど、金細工師の資格試験を受験中の友人から電話が。無事合格したら,資格授与式と解放の儀式のパーティーに招待したい、とのこと。未だに、ギルドの伝統に法って、見習いから職人に昇格することを「解放」と呼ぶのだけれど、そういえば、私が解放されてから、、、もう12年たつんだなぁ。(しみじみ)友人が無事合格するようにお祈りしなくっちゃ。...私も初心に戻って精進します。(写真は私の職人資格試験に提出した作品)
2012年02月06日
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来週の宝飾トレードフェアの案内が取引先から到着。ファンシーダイヤモンド専門のディーラさんだけれど,なんと今年の目玉商品(笑)はピンクダイヤ!ピンクダイヤはそもそもダイヤのなかでも大変希少。私も数年前に超レアもので婚約指輪をつくらせて頂いたきり、ここ数年、市場でもおめにかかれなかったので、思わず興奮です。あぁ、来週までに、ピンクダイヤの指輪のオーダー、入らないかな~ 笑投資価値もばっちりなんだけどな~・・・そして、自分もすごく欲しかったりする。
2012年02月02日
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只今、仕事中です。
2011年10月04日
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パーツをつくりながら、「これ、何かに似てるな、、、」とふと思いました。何に似ているかはよくわからないのですが、ジブリにでてきそうな、何か、です。↓
2011年10月02日
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カメオは、紀元前からもうすでに好まれていたが、ルネッサンス時代と17-18世紀に再び大ブレークした宝飾品。カメオには、貝殻(シェル)に細工が施されるシェルカメオと、縞瑪瑙に細工されるストーンカメオがあり、瑪瑙の色も、黒,青,緑,赤、、、、、といろいろで、モチーフも様々。↓爽やかな青のストーンカメオ家紋などを彫って代々受け継ぐ、ということはヨーロッパでは頻繁におこなわれるが、最近は写真をもとに家族の肖像画やペットの図案をカメオにしてもらう、ということも人気らしい。確かに、自分の飼っている猫や犬のカメオのペンダント、なんて素敵かも。通常モチーフには、乙女、女神、花、などが好んで用いられるが、たまに、「だれが身につけるのだろう???」と思うような珍しい図柄も。仕入れ先でみつけたこのカメオも、そのひとつ。「ルードヴィッヒ二世」と名前がついたこのカメオ。しかし、これはどうみても、バイエルンのメルヘン王ルードヴィッヒ二世では、、、、、。↓これ納得がいかない顔で眺めていたら、その場にいた同業者が、「ああ、これは君らの昭和天皇の肖像じゃないのかい?日本人として、ぜひ購入するべきだね」と一言。(うーん、愛国心はあれども、それはちょっと。)それにしても、これは誰?誰の肖像かわからないまま、つい買ってしまいそうになった一品であった。
2011年09月08日
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ジュエリーがジュエリーである意味、そして宿命。それは、身につける人を輝かせる事。ジュエリ-が人をもっと魅力的にさせ、そしてその魅力がジュエリーをもっと輝かせる。その微妙な相互関係が他の造形分野にはない、ジュエリーならではのおもしろさ、なのだろうか。リメイクを含め、ジュエリーをつくる、ということは、宝石に新しい命を吹き込む、という作業。新しく生まれたジュエリーが手にとられ、身にまとわれ、そのひとのオーラとともに光輝いている様子をみるのが、私にとって至福の瞬間であったりする。satoko
2011年08月13日
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取引先のHPでみつけました。アラゴナイトを探していてヒットしたのですが、「・‥へ?ミッキー?」う~ん、これはどうみても、ミッキー本人ではなく、ミッキーのお友達じゃ、、、、。試しに、「mickey」で検索をかけたら、5種類の石のミッキーがヒット。(デザイン同じ)でも、全員、ねずみじゃない。笑よくみると、すべて微妙にかたちが不揃いで手彫り、なの。(だれがつくったんだ?)ねずみじゃない、ミッキ-。これ、なんだか欲しくなってしまいました。
2011年07月14日
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それは今日、月に一度やってくる苦難に見舞われ、あちこちの痛みと戦いながら、必死に鎮痛の祈り(注)を唱えていたときのこと。(注 私は痛み止めがほとんど効かない体質なのだ。薬は効くまで飲んでしまうと、ラリるので、ただ祈るしかない)ドイツ人男性と少し浅黒い(失礼!)小柄な女性がはいってきた。「約束通り、彼女をつれてきたよ!」(・・・・・・だれだっけ?この人。)鎮痛の呪文のおかげで、通常よりさらにトロい私。「スリランカ、の彼女だよ!」(あぁ!)「スリランカ」と聞いた時点で、一ヶ月前くらいに、このおじさんから、「スリランカから宝石を持ってくる女性がいるので、ぜひ石をみてやってほしい」と頼まれていたことを思い出した。(そんな話もそういえば、あったね)では、、、、といって、彼女は、ゴソゴソとバックのなかからビニールの袋をとりだした。そのなかから、包み紙が5つ。1つめの包みには、アメジストが30個ほど、もう一つの包みにはガーネットが50個ほど、続いて100個くらいのオレンジサファイヤ、ブルーサファイアが1つはいった包み、そして最後はなんだかよくわからないミックスの袋。パっとみて、あまりのクオリティーの低さに絶句した。いや、この言い方はフェアじゃない。目の前にだされている石は、クオリティ-のクラスからいうと、中の下、いや、下の上(あまり、フォローになってないような、、、)くらいなのだけれど、ここ数日(トレードフェアで)ハイクオリティーの宝石しかみていなかった為に、目がビックリしたのだろう、と思う。「この品質クラスの石はうちでは使いません」と言いたいところだったが、ズバっとそれを言ってしまうのもかわいそうだな、、と思ったので、「う~ん、、、この大きさのガーネットなんてそもそもあまりお値段がはらないわけですから、最高級のものを持ってきていただかないと、、、」とお茶を濁すようなことをつぶやいていると、「え?ガーネットって安い石なの?」(は?)「ガーネットってどのくらいするもの?」(あのぉ、そちらは、宝石の業者じゃないんですか?)「・・・・いや、、私の仕入れ先ではこのあたりの大きさは、15ユーロくらいですけど。」「じゃあ、15ユーロ、ってことで」(へ?)「(さらに、サファイヤをとりだして)じゃあ、これはいくらでしょう?」(クイズ番組か?私は鑑定士か?)「そんなこと、私に聞かれても、、、、」「プロなんだから、教えてくれたっていいだろう?(スリランカ女性に英語で)値段を教えてくれないみたいだよ。もったいぶってるね。」(プロって、、、もったいぶる、って)「・・・・・(汗)このサファイヤ、何カラットあるんですか?」「知らない。秤、持ってるでしょ?」(サファイアを自分のカラット計で計りながら、段々何がなんだかわからなくなる私)「1、37カラット、ですね。」「じゃあ、250ユーロで!安いでしょ」(適当にいってるな、このおやじ、、、)「残念ながら、私の探している石はこのなかにはないようですね、、、。」(このひとたち、胡散臭すぎ。買い手に相場の値段を聞いてくる業者がどこにいる?)すると、私に買う気がないことがわかった途端に機嫌が悪くなるスリランカ女性。(じゃあ、もう少しちゃんとした石を持ってきてよ。というか、石のこときちんと勉強してきて。)私が持っている石をだしてきて、どのくらいクオリティーの違いがあるのかみせてあげても良かったのだけれど、なにせ私は今受難の身。弱っているから面倒なことは勘弁、なのだ。ガンガンする頭で、「スリランカ人だったら、だれでも宝石を売っても良いものなのか?」「浅黒い肌のひとが宝石を持ってきたら、ドイツ人はついつい買ってしまうのか?」「素人が宝石を売ったら違法なのではないか?それとも、これは個人売買になるのか?」と今起こったことを整理してみたが、そんなこと容赦なく襲ってくる痛みを前にはどうでもよいことなのであった。たぶん、私に痛みがなかった、として、そしてもう少しずる賢かった、として、破格の値段で(ほとんど無知な)彼らから石を買い取ることも可能ではあったであろう。しかし、そんな出所がはっきりしない宝石をどんなに安かろうとも仕入れるわけにはいかないのだ。(しかも、あのクオリティーでは、、、)私が信頼し保証するものだけを提供している、という「信頼関係」が私とお客さまの間にあるのだから。(どんな激痛が走ろうとも)この信頼を裏切ってはいけないといつも心に誓っている。おわり
2011年03月02日
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今日も手が真っ黒です、、、、。ネイルアートって一度してみたいけれど、この職業じゃ絶対に無理!笑これだけは、憧れで終るんだろうなぁ。 (下にたまっている粉は、金の粉です。)
2011年02月23日
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世の中は不況。貴金属の買取レートは高値圏をキープして、下がる気配もない、、、、。貴金属を加工している側としては、なんとも、ため息がでてしまう状況ではあるが、こればかりは致し方ない。そんな貴金属相場をみて、「これは儲かる!」と思うひとが増えたのか、それとも「貴金属を現金に換金したい!」というひとが増えたのか、よくわからないけれど、あちこちに、「金買取のことはお任せ下さい!」「金歯、ジュエリー、なんでも買取中!」「その場で現金!」という張り紙をめにするようになった。それも、宝石店や時計屋さんや質屋さんではなくて、だ。そのなかでも一番驚いたのが、ギャラリーの筋向かいの「ペットショップ」「かわいい子猫、産まれました!里親募集中!」という入り口のお知らせの横に、「貴金属ならなんでも買い取ります!」という紙が、、、、、、。ペットショップが、貴金属買取をしてよいのか?という素朴な疑問はおいておいて、それ以上に、素人ゆえの大胆さ、、、といおうか、、、、浅はかさ、といおうか。びっくりすると同時に少し(いらぬ)心配をしてしまった。というのも、貴金属、宝石の鑑定、というものは、素人が考えるより、そう簡単ではない。「そんなの押してある刻印をみて、その日の金の相場で計算すればいいのでは?」と思うかもしれないが、たしかに、ジュエリーの重さを計り、18金、14金、8金、などに含まれる純金グラム数を割り出して、本日の金相場レートで計算はするが、、、、、もし、刻印がついてなかったら?(高価なものでも、作家の作品にはついていない場合もある)刻印が偽造だったら?(刻印などいくらでも偽造できる)純度がわからない場合は、金属に含まれる純金の割合を調べる溶液で確かめる方法はあるが、、、、(↓この薬品) でも、金メッキされていたら?(メッキを削ってから調査する必要有り)なかに芯がはいっていたら?(極薄のつくりで、なかに樹脂、ゴムなどの芯がはいっている場合も有り)中央が鉛だったら?(表面のみが純金の偽造金貨、というものも存在する)外国製の金歯だったら?(金歯の金の純度はジュエリーと違う。まして出所がわからないものだったら、、、)こんな風に落とし穴は思いのほかたくさんあるのである。しかも、宝石(石)などがはいっている場合など、素人には鑑定は出来ない。合成、人工宝石が多く出回るこの世の中、プロでもルーペでみただけでは100%の鑑別は出来ず、鑑定機械を使わなければいけないことも多いのだ。貴金属鑑定も、宝石鑑別も、金細工師のマイスター国家試験の必修科目。その難しさは身を以てよくわかっているし、なめてかかると必ず痛い目にあうのを私は知っている。私自身が、貴金属の買い取りはリメイクやオーダーの際にお客様からお手持ちのジュエリーを引き取ることをサービスとして提供するのみにしている、というのはこのような理由にもよる。(石は、はずしてお返ししている)こうしてお客様から受け取ったジュエリーは、まとめて貴金属リサイクルにだすが、ここでも手数料、鑑定料(ホワイトゴ-ルドとプラチナ)などがかかるため、結局かなりの量を集めなければ割にあわない。知識と経験が必要とされる貴金属、宝石鑑定。ペットショップの副業にしては、私が「和金」を「ランチュウ」の値段で買うよりリスキーだと思うのだが、まあ、大きなお世話、というところだろう。おわり
2011年02月12日
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「これ、何の石?」と思われるかもしれないけれど、実はなんの変哲もない普通のシルバー。先日、シルバーを溶かしている最中に来客があり、作業を中断。るつぼのなかでまた冷却してしまっていたシルバーが今日こんな色になっていた。シルバーを溶かす際には、酸化防止の為にボラックス(ほう砂)を加えるが、それとの反応だろうか。七宝のようにきれいに光っている。また溶かしてしまおう、と思ったけれど、とても奇麗なのでもう少しこのままに。
2011年01月30日
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不況、不況、といわれつつもここ数年、ドイツでは確実に経済は持ちかえしているように思える。先輩同業者たちからは、嘆きの声しか聞かないけれど、それは、彼らが9月からもうクリスマスがはじまっていた宝飾業界の「黄金時代」を経験しているからであって、私なんて、起業したころにはすでに経済はどん底の大不況。過去の栄華がないだけ、失望も少ない、、、、ということか。まあ、ものは考えようである。そんなわけで、ドイツ(少なくともミュンヘン)ではもう、「節約!節約!」という切り詰めモードではないはずなのだけれど、最近また、流行はじめた(?)ことがあったりするのだった。それは、、、、、「中古ジュエリー」ここでいう、「中古」とは、「アンティック」をさすのではない。そして、「これは、おばあさまがひいおばあさまからいただいた指輪なのよ。」と孫が受け継ぐジュエリーのことでもない。ただ単に使用済みのジュエリーのことである。そして、自分で使っていた宝飾品、または、質屋で購入したものを持ってきて、彼らはこう言うのだ。「これ、プレゼントにするから、綺麗にしてください。」(・・・・・)たしかに、ジュエリーはクリーニング次第で、新品のように蘇るものではある。(ある程度のところまでは)そして、私もお客様にメンテナンスのサービスを提供している。だから、こちらとしては断る理由もないし、違法行為でもないわけだから、特にあらためて驚くようなことではないのかもしれないけれど、どうもなじめないところがあることは否めないのだ。クリーニングの際に、「ひとにプレゼントする」ということは、別に言わなければいけないことにもかかわらず告知している、という時点で、彼らには何の違和感も(罪悪感も)ないわけで、、、、。傷がつき、酸化し、垢とホコリがついて黒くなっているジュエリーが、また昔の輝きを取り戻していく様をみるのは、それはそれでうれしい。でも、磨かれて別物のようになっているジュエリーを目の前にして感じる、なんともいえないこの気持ち。これは一体なんなのだろうか。プレゼント、とはこちらから相手に対する気持ちである。新品で高価なプレゼントよりも、中古でも、心のこもったもののほうが良い、ということを、このジュエリーたちは私に言いたいか、と考えてはみる。う~ん、、、、、でもはたして私は、3年着たジャケットのとれたボタンとほつれを仕立て屋さんに直してもらってから、それをひとにプレゼントとして渡すことが出来るのか。まあ、これは衣服とジュエリ-とでは大違い。全く別次元のお話、比べる私が間違っている、ということになるのだろうけれど。おわり
2010年12月13日
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ドイツの手工業には、ギルドを原型に持つ、マイスター達の組合、「イヌング」という組織がある。その職種の伝統継承をその活動目的とし、その一環として、職業訓練システムの管理などもするのだが、そのイヌングの会議が先日あり、会員の私も出席してきた。まずは、2011年の予算の審議や、新会員の加入の可決等があった後で、恒例になっているミニ講義の時間へ。これは、ドイツ宝石学協会から講師がやってきたり、新素材の紹介があったり、と各業界の様々なエキスパートが1~2時間の講義をしてくれる、というものだが、今回は、CADの3Dジュエリーソフトの最新バージョンをプレゼンテーションだ。以前、少しだけかじったデザインソフトにくらべると、私が知らぬ間に技術がとてつもなく進歩しており、ハイテクなデモンストレーションの数々をみながら、「これからは、コンピュ-ターでジュエリーをつくる時代だ!」という気にも(数秒だけ)なってしまう。たしかに、お客様と一緒に、PCソフトで、「厚さを2mm太く、幅をもう少し広げて、、、」と3Dアニメーションでデザインを決めていくのも方法の一つなのかもしれないし、あまりデザイン画が得意ではない職人さんには、本物そっくりに仕上がる3Dデザイン画は、まさに天からの救いの手であろう。まあ、つくっているジュエリーがコンピューターではかえって面倒なデザインばかり&デザイン画で苦労したことはまったくない私にとっては、実際問題どのような活用法があるのか、、、、、というのが第一印象だが、今の技術で何が可能か、ということを知っておくのは大切なことだし、他の同業者と意見交換をするのも大変興味深い。そもそも、金細工師、という職業は世界で一番古い職業のひとつであるだけあって、かなり「時代遅れ」のひとが多い。ホームページはおろか、PCも持っていないひとが大勢おり、この現代にかたくなに「アナログな生き方」をつらぬいていたりするのであった。そんな金細工師職人達にとって、コンピューターのなかでジュエリーが本物そっくりに出来上がっていく過程は、驚嘆と驚異の連続。ハイテクな展開に息をのんで見守っていたわけだが、途中、プレゼンテーターが、指輪の一部の厚みのグラデーションに失敗した。「う、う~ん、、こういう場合は、ここの余分な部分の処理は、、、ええっと、、」と自分のミスに戸惑っている彼に、私のとなりにすわっていた同業者が一言。「そこの部分は、糸鋸で切り取りなさい」ドっと会場に笑いがおこり、その瞬間、少しだけ最新コンピューター技術に圧倒されていた我々の顔に「職人」としての自覚が戻ってきた、、、、。そんな多少古い「職人気質」な我々だが、やはり時代と共に、このような新しい技術も取り入れていくべきなのである。3Dデザインも、技術的なプラスアルファであって、伝統技術ととってかわるものではない。複雑なカットの石のセッティングを計算したり(これは私も、すでに利用している)、手書きのスケッチをもとに、3Dでジュエリーを組み立てることが出来るこのソフトの今後の発展を楽しみにしつつも、自分のジュエリーのありかたを再確認したいと思う。最後に、帰りのタクシーのなかで、「あんな下手くそなデザイン画、職業訓練生の一年生でもゆるさないわ!」と憤慨していたのは、職業学校でジュエリーデザイン画を教えている同業者。どんなにコンピューター技術が進歩しても、人間も努力を続けなければいけない、結局はそういうことなのだろうか。おわり
2010年10月27日
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宝石(裸石)のディ-ラーさんで、お店をかまえて(そこで石を売って)いるひとは実はあまり多くはない。大体が、品物(宝石)を持ってジュエラーや職人を訪問して営業をしている。大きなスーツケーツに宝石を入れて運ぶので、ディ-ラーさんが歩いているのをみると、ちょっとした旅行者のような出立ちだ。でも、その鞄の中は、、、、、そう。宝石でいっぱい。(そして、総額◯千万円、、、、のときも。)今日も、取引のあるディーラーさんにきてもらった。彼は、ブラジル産の宝石を取り扱っている業者さんだ。もちろん、トルマリンやアクアマリンの良いものもたくさんもっているけれど、このひとのこだわりは、水晶。かなりレアなクオーツの数々をもっていたりする。他ではみたことのないような、レアものをみせてもらう。「・・・これは、ここの成長線でわかるんだけど、まずはここまで結晶化したんだ。そして、後からまた再結晶化した際にこの数種類の鉱物が一緒に結晶してきているのがみえるだろう?こんなに綺麗な角度ではいっているのは本当にめずらしいだよ!」と熱く語っているのを聞いていると、彼にとって宝石の美しさは、「見かけの美しさ」(色とか、カットとか)ではなく、「鉱物としての希少価値=美しさ」の場合も多くて、他の業者さんとはまた違った、彼の宝石への愛が感じられておもしろい。私はもちろんジュエリーにすることを前提に宝石を選ぶため、彼の「一押し商品」をながめながら、つい「これは、はたしてジュエリーとして身につけることが可能なのだろうか、、、、」と考え込んでしまうこともある。そんな時に、「アイデア、が浮かばない、のかな?」と挑発的な(彼にそのつもりはないのだろうけれど)一言を聞いたときには、「じゃあ、これを素敵なジュエリーにしてみせよう!」と一瞬思ったりするのだが、そのほかにも「普通に」美しいジュエリー変身できる宝石がたくさんあるのだから、このチャレンジは老後の楽しみにでもとっておこうか。(どんな老後だ)宝石の宝庫ブラジルだが、最近は鉱山もかなり閉山しているらしい。不景気、ということもあるのだろうが、多くの宝石がもう出尽くした、という事実もあるという。石も人間と同じで、出会いを大切にしなければいけない。宝石に同じものはひとつとしてないし、もう二度と巡り会うことはないのかもしれないのだから。そんな想いにふけながら、こちらの予算とも相談してみる、が、、、、・・・まあ、すべてを手に入れることは出来ない、、、これもまた、世の摂理ではある。おわり ↑ルチルが、見事に120°に入っています。光の加減で金色にみえますが、とてもめずらしいグリ-ンルチルの一品。
2010年10月01日
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ふたりの研修生にかこまれ、彼女らの仰天発言(注 私にしてみれば)に少々神経をすり減らしている今日このごろ、なにやらA4の大判封筒が郵便受けにはいっていた。中を開けると、『履歴書』と書かれたプラスチックのファイル。(こんなファイルが売ってるんだ、、、)ファイルを開いた1ページ目には、金髪の女性がにっこり笑った写真が。9月からはじまる職業訓練の見習い生としての採用応募らしい。「goldschmied(ジュエリー工芸)」という職業は、人気があるわりにかなりの就職難なので、私のところにも、見習い生の問い合わせが多数くるのだが、最近は、メールでの応募が多くなっているなか、このような「クラシカル」な履歴書はかえって新鮮だったりする。履歴をみてみると、見習い希望、とはいっても、この女性はもうすでにひとつ資格をもっているようだ。ええっと、、、、「・・・2004年、機械工具整備士の資格を習得。」(おお~ なんだか良くわかないけどかっこいい)習得した技術は、、、、「・・・旋盤、研削加工、溶接、放電加工、鋳造、、、工具の整備一般」(おお~放電加工、やりたいぞ!)とある。でも、一番グラっときたのは、特技の欄。特技、「・・・回路図」(おお~!)ジュエリーをつくる際に、回路図が必要になることが果たしてあるのだろうか、という素朴な疑問はここではおいておいて、こういう(自分には出来ない)ものになぜか弱い私なのである。今のところ弟子をとる予定はないが、ここまでの経歴を読んで、かなり興味を持ったことは否めない。「・・・私の実践での実力をみていただく為に、短期研修をさせていただければ幸いです。」と添え状の最後にはある。さて、どう返事を書こうか。少し悩む週末になりそうだ。おわり 送られてきた履歴書ドイツでは、写真、添え状、資格試験の成績、最終学歴の成績表などが添えられる。
2010年07月15日
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本日のミッション---ミッションそっくりさん---イヤリングは、結構片方をなくしたりする厄介なものだ。しかし、耳が2つある以上、1つだけではつけることが出来ないために、もう片方をつくりなおさなければいけない場合もしばしば。今回のお客様もお気に入りのイヤリングを片方だけなくしてしまったらしい。しかし、彼女が持ってきたのは、なにやらインドか中南米のにおいがプンプンする個性的な一品。たぶん、現地の民族工芸のお土産屋さんで(違っていたら失礼!)、お手頃なお値段で購入されたものと思われるが、これと同じものをここ(ヨーロッパ)で、私(マイスター)がつくることになると、そうもいかない。現地では同じものが3ペアほど買える値段になってしまうが、このお客さまにとってはとても思い入れのあるものらしく、特別に片方をつくることになった(このようなオーダーは通常あまりうけない)↓写真でももうすでにコピーをつくりかけているが、右がそのオリジナル。 同じような石(レインボームーンストーン)をみつけるのも大変だったが、面倒なのは、その周りにならんでいる、仁丹のような玉↓このような破片から、、、、↓銀の仁丹に!↓それを、周りに一つずつ並べていく、、、、(現地では流れ作業なんだろうなぁ、、、) そして、すべてを組み立てると、、、、↓そっくりさんの出来上がり! 一見簡単そうにみえるかもしれないが、オリジナルの、このなんともいえない歪み具合と、微妙なブレ加減を再現するのは大変難しいのだ。数日後にひきとられていく予定だが、さて、ミッション、達成、なるか。おわり
2010年03月15日
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最近ギャラリーの住所がタウンページに載ったからか、問い合わせの電話が少しだけ増えているような気がする。先日も、「ちょっと、聞きたいんですけど、、、、」と女性の声で電話がかかってきた。「赤い石ってそこにありますか?」ある、と答えると、「それって、いくらぐらいするんですか?」という。いくらぐらいするって突然聞かれても、今ギャラリ-にある「赤い石」の値段のことなのだろうか。(ここには、ジュエリーにまだなっていない、ルースの「赤い石」だってあるわけだし。)それとも、「赤い石」全般のことを言っているのだろうか、、、、。よくわからない。もう少しくわしく聞いてみると、なんでも、今手元に「赤い石」のついた指輪があるのだという。「とにかく、赤いんです、、、。」と彼女は言うけれど、赤い色の石は、ルビーかもしれないし、レッドサファイヤかもしれないし、ガーネットかも、スピネルかもしれない。そもそも、宝石ではなく、ガラスや、イミテーションの可能性だって十分ある。(「タイでルビーを購入した」とみせてもらったルビーが、薄いルビーを表面にはった水晶だったことがあって、ビックリしたこともあった)電話での判断は難しいので、一度持ってきてもらえないだろうか、と提案してみると、なぜか反応が鈍い。「本物だと思うんです。どうしてもわかりませんか?」とそのひとは、無理矢理でも、今この場で私にその「赤い石」の正体を突き止めてほしいらしい。(石が目の前にある場合でも限界があるのに(注1)、電話口じゃあ、、、、)一通りの可能性(本物、偽物、石の名前等)を並べた上で、「赤い」という情報だけでは、申し訳ないけれど電話口では判断しかねる旨を伝えると、納得したのか、しなかったのか、ここで私たちの電話は終わった。「指輪をつくってもらいたいんですけど、どのくらいかかりますか?」という問い合わせはよくいただく。オーダーの際にどのくらいかかるのか、事前に知っておきたい気持ちはよくわかるし、それが、数千円、数万円の話なのか、それとも何十万もかかるのかという、基本的な疑問もあるだろう。(注1)しかし、電話で自分の指輪にはいっている石の値段を聞く、という行為の理由はなんだろうか。遺産相続?それとも、もしかして、自分の指輪ではない、、、、、?たとえば、それは自分のおばさんのルビーの指輪で、彼女は老人ホームに入っていて、売って借金のかたにしようとしている、とか。それとか、知人に、「これは、ルビーの指輪だから、500万の値打ちはあるはず。だから100万貸してくれ」といわれた、とか?それとも、その指輪を間違って壊してしまった?みちでひろった?それとも、、、、と思わず、いろいろと想像を膨らましてしまうのだが、果たして真実のところはどうなのであろうか。とにかく、電話で向こう側の石を当てることは、電話相手の服装をあてると同じように難しい。おわり注1 大体の場合は、石をみればおおよその検討はつく。しかし、きちんとした検査をせずに100%の判定は不可能なのだ。検査、というのは、機械で、屈折率を測ったり、内包物をチェックすることで、肉眼、ルーペのみで「100%絶対天然ルビー処理なし」などと言いきることは、宝石鑑定士でも出来ないし、しない。注2 これも素材がシルバーなのか、ゴールドなのか、プラチナなのかでも全然ちがうし、デザインでもお値段はピンキリ。オーダーの場合は、加工賃+材料費だが、加工賃はシンプルなもので、1~2万円から、少し手の込んだものになると、5~6万位だろうか。(もちろん上限はないけれど。笑)
2010年02月11日
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ziecke(チッケ)というのは、ドイツ語で雌のヤギのことだが、ドイツでは女性に対して使われることが多い。この雌のヤギに比喩される女性には、「気分にムラがある」「いちいちケチをつける」「すぐ機嫌が悪くなる」「融通がきかない」「個人的にとる」などという代表的な特徴をあげることが出来るのだが、(良くも悪くも)主張が強いドイツ人女性はだれもがこのような要素を(多かれ少なかれ)持っている様な気がする。それは、別に険悪なムードになったときだけではなく、普通に話していたりしても、「このひと、結構『雌ヤギ風』かも、、、」と自然ににじみ出てきてしまうものだ。先日、この「雌ヤギ疑惑」が元々あった取引先のドイツ人女性との電話で、彼女が思ったとおり、「ヤギ」であったことが発覚した。その女性は50代半ば位のドイツ人で、あるスイスの研磨師(男性)をプロデュースしており、半貴石の原石をくりぬいた指輪などを扱ってるのだが、その研磨師が結構(カットの)センスが良く、以前最高級のスギライトの指輪を気に入って仕入れたことがある。(これは、某ひろえさん所蔵)そこで、今回はそのスギライトの指輪の別バージョン(ラリマー)をオーダーしたのだが、その交渉はその女性がミュンヘンに営業にきた際にマイギャラリー内でおこなわれ、すでにあるスギライトの指輪を彼女にみせて上でサイズをはかり、「最高級」のクオリティーでお願いした。その指輪が先日届いたのだが、開けてびっくり。大きさが、かなり違う。あまりにも違いすぎるので、確認の電話をかけることに、、、、。(この段階では、まだクレームではない)私 「・・・先日オーダーしました指輪の件ですが、実は、全体の大きさが少々お話ししていたサイズより大きくて、、、。」(はじめは控えめに、「少々」と言う。)彼女 「えっ?どういうことでしょう?」(語尾がもうすでにキレそう、ヤギ化がはやいぞ、おばさん。)私 「・・・ですから、オーダーした大きさより、40%ほど大きくて、、、」彼女 「40%ですってぇぇ?そんなパーセンテージで言われたって、全然わかりません!」(ここで、もう彼女の声量120%アップ)私 「・・・では、センチメートルで言い直しますと、見本が3cmで、届いたリングの幅は、、、」(私の話をさえぎって)彼女 「3cm!そんなセンチメートルはどーこにも、書いていません!」(書いていないのであれば、それはこちらのミスではないような、、、)私 「でも、見本をおみせしましたよね?その見本が、、、、」(また話をさえぎり)彼女 「いいですかぁ?この指輪は、アーティストがつくっているんです。アーティストが!そんな多少の大きさの違いは、アーティストの自由にさせていただきたいですね!」私 「・・・いえ、『多少』ではなく、『かなり』違うのですが、、、」(しかも、かたちも違うし、、、、)私 「私は、1mmとか、5mmの話をしているのではないんですよ?」(まあ、ジュエリーの5mmはかなり大きいけど、、、)彼女 「あなたとここで、何時間議論しても何の意味もありませんね!」(議論って、、、。はたしてこれは「議論」というのだろうか?)私 「・・・たしかに、このように何時間議論する気は私にはこれっぽっちもありませんよ。」(ヤギと話したって、、、、ねえ?)私 「・・・しかしですね、とにかく、この大きさではオーダーしたお客さまが納得、、、」(また、話の途中で。このひと、絶対に人の話を最後まで聞かない)彼女 「送ってください。」私 「?」彼女 「両方の指輪を送ってください。そんなあなたの主観的な比較ではわかりません」私 「・・・」 以上のような話し合いのもとに、指輪を送ることになった。とまあ、こんな感じでそのドイツ人女性の「雌ヤギ度」が少しわかっていただけたかと思うが、これが、私が年下の女性ではなく、年下の男性であったのなら、まったく違う対応だったのでないかと思う。(男と女への対応のギャップも、「雌ヤギ」の特徴である)どちらにせよ、この2つの指輪の大きさの違いが、はたして「主観的」で、私はいちゃもんをつける器の小さい人間なのか、今後の展開が期待されるところではある。おわり(下が、その指輪2個。左が送られてきたラリマーの指輪。右が見本。) 追伸 この研磨師はなかなか素敵なものをつくるので、ぜひマイギャラリーでも展示を、、、と思っていたのだが、(彼と以前直接交渉済み)プロデュースしている彼女がヤギだと、、、、。残念だが、こればっかりはどうしようもない。
2009年09月12日
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私はジュエリーの金具も自分でつくっている。別に既製品を毛嫌いしているわけではない。(「そんな機械で大量生産されたものなんか!」とも思っていない)私のジュエリーのシステム自体がオリジナルなので、それにあう金具が売っていない、ということだけの話である。最近パワーブレス等の注文が増えるにつれて(これは大変よろこばしいことなのだけれど)金具の需要も上がってきて、一応つくりおきはしているのだが、気がつくとなくなっている、ということが多くなってきた。「あっ、もうない!」と気がついてからつくる、となると、仕事自体は難しくなくても、面倒だ。第一、ひとつの金具が出来上がるまでには、まずは、板(シルバーやゴールド)をローラ-でのばし、それを丸いコインのようにうちぬいて、さらにそれを円くカーブさせ、上についているひっかける輪を、金属の棒をのばしワイヤーにして、それから芯に巻いてコイル状にしたものを糸鋸で切断してつくり、その二つのパーツをロウ付け(溶接)して結合させなければならないのだから、少量をその都度つくっていたら、大変効率が悪い。というわけで、またちょっと多めにつくっておくことにした。 (写真 左 輪とお皿 右 フジツボようになっている完成品)単純作業なので、飽きないように注意しなければならない。(なるべくお客さまの来店が少ない時間に、一気にやるようにしている。)こんなときに、弟子が欲しい、と思ったりもする。(弟子に押し付けるのか!と非難されるかもしれないが、弟子の頃の苦労は買ってでも、、、というではないか。)でも、そんなやさしい(使える)弟子がいない今現在、もっと効率よくつくる方法を考案中。はやく実現化したいものである。おわり
2009年07月16日
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「壊れたジュエリー等は応急処置をしないでそのままもってきてほしい、、、、」と以前書いた。この、よかれと思ってした(してしまった)「ファーストエイド」が命取りになってしまう、とはどういうことか。ジュエリーが壊れる、という場合は、たぶん大体がどこかの部分が折れる、とれる、曲がる、という症状なのではないだろうか。「車に轢かれてペッチャンコ」という重症患者(これまた見事に紙のようにフラットになった指輪を私はみたことがある)もたまにはいるが、ブローチのピンの部分がとれた、とかイヤリングの接続部が折れた、とかそういう軽症である際には、「ちゃんとなおしてもらうまで、これで我慢しよう」と、日曜大工用具から、「ハンダ」を持ち出して、電子部品を修理する感覚で、「ペトっ」とハンダ付けしてしまうひとが結構いるのである。ハンダとは鉛とスズの合金。ハンダゴテ、で熱してハンダを溶かし、金属を接着する。(この場合使用温度500度以下)ハンダは金属だが融点が低い為に、いってみれば接着剤のようなもの。金属(銀や金)とは直接「結合」していない。しかし、それは、この「応急処置」の段階で、の話。本当の修理としての「手当」では、金属は、「接着」されることはなく、「結合」されなければならない。金属と金属が高温で溶接されるのだ。(この場合500度以上)簡単に説明すると、金属が液体化するちょっと手前で、金属同士が仲良くくっついてくれるのだが、そこに「ハンダ」くんがついていると、、、、、、。高温で熱されることによって、そこの部分の金属と「ハンダ」くんが混じり合ってしまうのだ。鉛や錫は銀や金とらべてものすごく融点が低い。勝手に、「ハンダ」くんと仲良くなってしまった金属部分は、他の部分よりもずっと融点が下がっている為に、、、、そこだけ溶けて、穴があく、という惨事が起こる。(これを、我々は、金属が「食われた」状態、という)こうなると、もう手のほどこしようがない。突然、ポッカリ開いた傷口を前に、ただただ呆然と立ち尽くすのみ、だ。「もう手遅れ、ってそんなバカな!ちょっと直しておいただけなのに!」と落胆するお客さまに、この「ハンダの呪い」を説明しなければいけないたびに、胸が痛む。「ハンダ」には要注意。ぜひ、「治療」ははじめからプロにまかせていただきたく思うのである。おわりおまけ はじめからハンダで処理してあるジュエリーはこんな惨事が起こる前にお断りするしかないが、困るのが、一見「ハンダフリー」と見受けられるケースだ。特に、イギリスのアンティークの銀食器などは、すでに「ハンダ」で修理された状態で市場にでていることも多い。そして、外から状態が良く見えないこともかなり、ある。(穴のあいた銀食器を格安で買って、修理して使おう、又は高く売ろう、というひとが結構いるが、注意が必要だ。)
2009年05月14日
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ふうぅ。たった今、ごっついシルバーのブレスレットの金具が90%出来上がったところ。本当に、一息つきたいところである。なんといっても、このタイプの金具をつくるのは、何年ぶりだろうか。チェーンのパーツの一個を半分に切り離して、それから金具のパーツをつくっていくのだが、これがなかなかつくり慣れていないと厄介なのだ。いくらでも大量生産の商品が安く手に入るこのご時世に、なんと面倒なことを、、、、と思われるかもしれないが、まだまだ機械では出来ないことも多いし、需要があれば、こんな七面倒な仕事をする職人も(まだ)健在なのである。弟子時代に何回もつくらされたこの金具。しかし、そんな記憶はもう遥か向こうへ、、、、、仕方がないので、手探りで記憶の糸をたぐり寄せながら、まずは、頭のなかではじめから組み立ててみる。見習いの頃に犯した失敗の数々が脳裏に浮かび、思わず苦笑いのひとつも出てしまう。が、そんな失敗も今思えば、宝だ。かなりのブランクに少々作業が難航したことは認めるが、無事終了。あとは、磨くだけ。すべてのテクニックを普段まんべんなく使うことは不可能だが、たまにはこういう仕事も良いものである。おわり(しかし、この大きな銀のチェーンパーツを曲げるのはなかなか、、。はじめウンともスンともいわなくて、さすがに焦った。が!自分の馬鹿力に改めて感動。でも彫金って、やっぱり女の子の仕事じゃない。それも改めて実感。)
2009年05月12日
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先日、ユリアが昼休みにわざわざクッキー(彼女のおばあさま手作りの)を届けにきてくれた。クッキ-についてはまた別の機会に書くとして、、、、、。さっそく先日の一件をグチってみる。(彼女も金細工職人なので。)すると、彼女は一言「クリスマス、だからねぇ、、、、いろいろあるんだろうねぇ、、、、」と、最近職場で起こった話をしてくれた。 ーーー彼女は、ミュンヘン市内の某老舗宝石店に勤務しているのだが、先週、ジュエリーをとりにきたお客様(男性)が、支払いの際にアメリカンエクスプレスで払おうとしたのだそうだ。あいにく、そこのお店はアメックスのクレジットカードの契約店ではなかった為に、レジにいたユリアの同僚が他のカードでの支払いをお願いすると、その男性が突然、キレた。「はあ?使えない?これは、アメリカンエクスプレス!世界のどこでだって使えるっていうカードなんだ!」「、、、、ですから、当店では残念ながら取り扱っておりませんので、、、、」と説明する店員の言葉をさえぎり、「これは、ア・メ・リ・カ・ン・エ・ク・ス・プ・レ・ス、なんだよ!これが使えない店があってたまるものか!◯◯店でも△△店でも払えたんだ!私はこれで払う!払わせない、なんていわせない!」(ここで、騒ぎに気がついた支配人登場)「お客様、申し訳ございませんが、アメリカンエクスプレス社とは、ここ数年いろいろとトラブルが相次ぎましたために、契約を解除させていただきましたので、ご理解のほどを、、、、。」(っていうか、理由はどうであれ、使えないんだから仕様がないじゃん・・・・)「問題があったことは一度もないよ!すごく満足してるんだ!それにそんな理由なんて私には関係ないし、退屈だよ。実に、退屈。退屈としかいいようがないね!」(退屈っていわれてもねぇ・・・)「、、、、ですが、このカードではお支払いしていただけませんので、他のカードか現金で、、、、、、」結局、15分ほどもめた後、支払い額が大きくなかった為に現金を引き出しにいってもらうことになったそう。そこで、出口でドアを開けて店員が待っていると、(ここの店ではいつも、店員がお客様を出口まで案内してドアをあけてくれる)「君、親切ぶるのはやめてくれ!そういう『フレンドリー』なのがムカつくんだよ!」唖然とする店員と他のお客の前にしばらくたって現金とともに再び現れたその男性は、今度は紙幣をレジの前にバラまいた。(ユリアの証言では、「投げつけた」らしい)ここで、怒りをずっとおさえていた支配人の堪忍袋の尾が切れ、「あーあー、結構です!ついでに引換券もバーっと投げちゃって下さい!」と、さらにエスカレート。「さぁ、さっさとお帰り願えますかねぇ!」品物を奪うようにうけとり出口に向かうその男性を待ち受けていたユリアがドアを開けようとしたその瞬間、、、、、。(彼女は、ニッコリと、「メリークリスマス」と言おうと思ったらしい。)「ストップ!ドアに触るな!ドアは自分で開ける!この店の世話になるのはウンザリだ!もう二度とごめんだ!」とその男性は叫び、自分でドアを開けて去っていった・・・・街中がクリスマスで賑い幸せな気分が漂うなか、なにが彼をそうさせたのだろうか。因に、彼がとりにきたのはリフォームした結婚指輪。婚約が破棄、使い物にならなくなってしまった結婚指輪の文字彫を消す依頼だったそうだ。クリスマスにはいろいろなドラマがある。おわり
2008年12月19日
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今、ちょっと立腹している。いや、ちょっとではないかもしれない。原因は先ほどかかってきた電話。私 「はい。ギャラリー テラ・アウリです。」相手 「K・H社(鋳造工場)だが、オーナーをだしてください。」私 「私ですが。」相手 「先週こちらから納品したものを返品しましたね。欠陥があったとかで。」私 「はい。残念ながら数個欠陥品があったので戻させて頂きましたが。」相手 「もうあなたからの注文は我が社では受け付けませんので。」私 「・・・・」(はっ?何を言っているんだ、このおやじは?)私がつくるジュエリーは基本的に一点もの。金属をのばして、叩いて、切って、削って、組み立ててつくる。だから、同じものは2つない。しかし、同じパーツがたくさん必要なジュエリーや、シリーズものの(例えばシルバーの)ジュエリーなどは、ひとつもとになるものをつくりそれを型にとって流す、いわゆる鋳造(キャスティング)ということをすることがある。(因に、大手のジュエリーは大量生産されるために、ほとんどが鋳造である。)同じものがたくさん出来る、コスト削減が可能等、メリットもあるのだが、さてこの仕事、大きな設備が必要なので、我々のような金細工師たちは鋳造を専門にしているところに依頼しなければいけない。ドイツには、個人でやっているところから、大きな会社までいろいろあるのだが、今回のこのK・H社というのは、フォルツハイムにある大手の会社。数ヶ月前、いつも頼んでいるミュンヘンの小さな鋳造業者さんが休暇中だった為に、この会社に依頼した。仕上がりも満足のいくものだったので、先日3度目の発注をしたのだが、届いたもののなかに数個欠陥品がまじっていた、というわけなのだ。鋳造の場合、型にワックスを流す過程を経るため、ゆがみが生じたり、細かいところが欠けたりすることがある。どんなに熟練した職人でもこのようなことはあるし、実際、いままでお願いしていたミュンヘンの職人さんもこの道ウン十年のベテランだが、たまにそのようなことがあった。そもそも鋳造とは、オリジナルの「コピー」をつくるわけで、鋳造されたものはすべてオリジナルと同じでなければいけない。オリジナルと異なるものは、欠陥品である。しかし、たまにそういう事がおこっても、他の業者さんたちはすぐ新しいものを納品してくれていた。そこで、今回も(私的には当然のごとく)返品したのだが、この会社はそこが気に食わなかったようで、「グタグタといちゃもんつけて!」と電話口で叫んでいる。こちらが、「言い掛かりではなく、こちらにはオリジナルがあり、明らかにそれと違うために商品としてなりたたないので、返品したのですが。」といっても、(大体、ブレツェルの腕の部分がひとつは右側が欠け、もうひとつは左側が欠けている、しかも穴もあいている、という指摘をこのひとは「いいがかり」と呼ぶのだろうか?)「あんたのようなうるさい客は、うちは必要ないんだよ。第一、うちには800人顧客がいるんだから。」ときた。要するに、私のような「小さな」客はお呼びではないようだ。たしかに、私は大量生産をしているわけではないので、100単位、1000単位での発注をすることはないだろう。(でも、大量生産専門の大手の会社だけを相手にしたいのなら、ロット数も最低100とかにすれば良いのではないか。)とにかく、普段ならこんなことをいわれて黙ってはいられないが、なにしろこちらは師走で少々エネルギー不足。やりあっているパワーがなかったが、こちらの言い分は聞いてもらいたかったので、感情的にならずに説明していたら向こうも落ち着いてきたのか、「じゃあ、今回の分を次回にまわして、、、」といってきたが、私もここまで言われてそんな気にはなれず、「いいえ、あなたからビジネス関係を絶つ提案をされたのですから、お望み通りに今回で最後にしましょう。きちんと清算して、そちらに預けてある私の型もすべて送り返して下さい。このような展開になったのはとても残念ですが、こちらといたしましても、以後そちらに発注する理由はまったくございません。」と電話をきった。私もかなり疲れがたまっているようで、いつもなら気にしないところ、弱り目に祟り目、この電話、ちょっとこころが折れそうになった。「私は社長だ~!」と電話口で叫んでいたあのおやじは、私のような小さな金細工職人なんてぞんざいにあつかっても良い、と思っているのだろう。ただ、ヨーロッパ一、ジュエリー職人の密度が高いこのミュンヘンにいる職人たちなど、ほとんど皆私のような「小さな」職人なのだ。この会社の悪口を積極的にいいふらすつもりはない。(エネルギ-がもったいないから)しかし、もちろんもう絶対にだれにも薦めはしない。他の金細工職人組合の会員のマイスター達にも、だ。ひとりの客を失うと、100人失う。そんなことをどこかで聞いたことがある。おわり
2008年12月18日
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ペンチでまげる
2008年11月26日
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地金をひいて針金にする
2008年11月25日
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金をローラーでのばす。
2008年11月24日
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、、、、溶かす。 つづく
2008年11月22日
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デザインが出来たところで、制作にとりかかることになるが、ここで必要になるのが金。一般的にジュエリーに使われる金といえば、純金ではなく、合金である。14金、18金、などというのがそれだ。ここでいう、14とか、18、という数字は、24金を100%とした場合の純金の割合である。したがって、14金には、58、5%純金がはいっており、18金の純金度は75%、ということになるわけだ。さて、18金の場合のあとの25%の正体はなにか、というと、、、、、。それは、銀と銅。金、銀、銅というこの3つの金属、元素的にはまったくことなるが実はなかなか仲が良い。(まあ、アジア人、ネイティブアメリカンと白人の幼稚園児が仲良く手をつないでお遊戯している様子を想像していただたい。)3つが奇麗な金属結合をし、銀の割合が多ければイエローゴールドに、銅の割合が多くなるとピンクゴールドや、レッドゴールドになる。因に、この仲良し3人組にもうひとり加わった合金もある。ホワイトゴールドがそれだ。(注1)ここには、パラジウムという金属が加わるのだが、これは、例えるのであれば仲良し幼稚園児組にヤンキー高校生がまじったようなもの。一応おとなしく幼稚園児の輪のなかにおさまろうと努力はしているが、結局のところ彼らにとって幼稚園児とお遊戯をするより「ゲーセン、カラオケ、合コン」のほうがいいにきまってるのだ。(ここで金属結合的に歪みがでてくるのが、ホワイトゴールドのちいさな問題点、ということになる。)閑話休題・・・・今回必要なのは、ピンクゴールド18金。それを、、、、つづく写真 純金ナゲット。別名「鼻くそゴールド」(正式名でではない。念のため)注1 くわしくは、ホワイトゴールドの謎
2008年11月21日
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ジュエリ-デザイン画、というものは、実際にジュエリーがつくられる前に描かれるイメージ完成像である。(オーダーの場合は、お客様に完成予想図を想像していただくためにも重要なデザイン画となる)寸法大に描かれることがほとんどで、出来るだけそのジュエリーの質感や石の輝きなど、完成品のイメージがそのまま伝わるよう考慮しながら立体的に描いていく。(ジュエリーデザイン画には様々なきまりがあり、普通の絵とは少々タイプのことなるものだが、この話はまたの機会に、、、)デザイン画が完成したら、いよいよ製作にとりかかるわけだが・・・・・・(もし、金具等があればその設計図も必要になるが、今回は金具がなかった為にデザイン画のみ)つづく
2008年11月17日
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さて、一点もののジュエリーというものは、はたしてどのようにつくられるのか。今回のイメージジュエリーの製造過程をおっていきたいと思う。まずはじめに、イメージを頭に浮かぶがままにスケッチしていく。(この時点ではまだ殴り書きに近い)段々イメージがかたまってきたら、細かいところの構想をねっていくわけだが、例えば金具等があればその構造なども考え全体像をふくらませながら、素材、使う宝石、大きさ、厚さ、太さなどをきめる。(この段階では、頭のなかで組み立てたり、構造やテクニックのことばかり考えているので、何時でも上の空のことが多い。寝ても覚めてもあなたのことばかり、、、、、という過程である)この際に、使われる素材の量、完成時の重さ、見積もり等も計算してだしておかなければならない。(つくっている最中にゴールドが足りなくなったり、長すぎたり、短すぎても困るでしょ?)デザイン、寸法がきまったら、それを実物大のジュエリ-デザイン画にして、よりはっきりとした完成像が出来上がっていくわけだが・・・・・・つづく
2008年11月16日
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クラシック音楽からうけるインスピレーションでジュエリーをつくるという新しい経験をした。しかも、ピアニスト柴郭惠氏のためのイメージジュエリー。イメージはすぐにかたちになったが、こんなに集中的にテーマジュエリーをつくったのはひさしぶりである。(もしかしたら、マイスター試験に提出した作品以来かもしれない)ここのところ毎日夜遅くまで工房にこもって仕事をしていたわけだが、(もちろんギャラリーの経営、他のジュエリーの制作も並行で)先日、ギャラリーに訪れた方に、「本当に、『手でものをつくっている』んですね」といわれた。はじめ、何をいわれたのかわからなかったが、そのひとの視線をたどっていくと、、、、、、、、私の真っ黒に汚れた手が。(笑)もちろん接客の際には手を洗うが、長時間インテンシブに仕事をしていると、汚れが手を石けんで洗ったぐらいではとれないのだ。ギャラリーではスーツにネクタイ姿が多いが、そんな格好をしていても、手が私のハードワークを物語ってしまうのである。そもそも、私の職業はポピュラーではない。(特に日本では)「ジュエリーをつくっています」というと、ジュエリーデザイナー、だと思われるのが常だ。「奇麗なお仕事ですね~」ともいわれる。たしかに、完成品はきらびやかで美しいが、仕事内容は決して、「きれい」とはいえないし、(黒い手はうそをつかない)なかなか力もいる。(私の手首等が細いせいもあるのか私と力仕事が結びつかないようだが、実は怪力なのだ)そんなわけで、今回のコラボでは静岡会場に小さな「メイキング オフ イメージジュエリー」を展示していただけることになった。金の粒が溶かされ、のばされ、曲げられて、熱されて、ジュエリーになるまでを短く写真で紹介しているものだが、これで少しどのように制作されたのか想像していただけたら、と思う。「手のお手入れ、大変でしょう~」とねぎらわれることも多いが、お手入れも何も、そんなことはまったく効果がないほど荒れてしまうのだから、これは本当に悩みの種なのだ。しかし、荒れた手ではじめて私の仕事を認識されたとなると、それはそれで少々微妙な思いではある。おわり
2008年11月13日
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ミュンヘン在住のピアニスト、柴郭惠氏の日本公演が来週からはじまります。今回は、私にとってもはじめての企画、彼女の音楽からインスピレーションをうけた、「イメージジュエリー」を制作しました。澄み渡る音色、軽やかな響き。柔らかな曲線となってあたりを包み込む旋律からつくりだされる空間・・・このようなイメージでつくられたジュエリーですが、それがどう実際に音楽と融合するのか。本当にその場にいれないのが残念です。私自身はその空気を感じることは出来ませんが、ジュエリーに私の愛を託して明日送り出しますので、日本のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします
2008年11月12日
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ミュンヘンは今日も雨。どんよりした灰色の空、芯から冷えるような風に吹かれながら、ついついこころも沈んでしまいそうになる。ああ、また鬱の季節がやってきたのか、、、、。アンニュイな気分にひたりながら、無気力、脱力エリアに突入、、、、。と言いたいところだが、しかし!そんなことを考えている暇はないのだ。私には新しいミッションがある。それは、、、、、、、「音楽とジュエリーの融合」をテーマにしたジュエリーをつくる、というもの。実は、ミュンヘン在住のピアニスト、柴郭恵さんの日本公演が11月にあるのだが、その場で私のジュエリーをお披露目する機会に恵まれたのだ。(くわしくは、猫手ピアニスト 柴猫のミュンヘンエンジョイライフで)いままでいろいろなテーマでジュエリーをつくってきたが、今回はかなり特別。まだデザイン画の段階だが、次々とインスピレーションが湧いてきてワクワクする。しかし、その反面プレッシャーも大きい。とにかく、イメージ通りの作品を仕上げなければいけないし、コンサートに間に合わせなければいけない、、、日本公演は、東京、静岡、京都で行われるので、この機会をお見逃しなく。というわけで、これから数週間全力をつくすことをここに宣言したいと思う。おわり
2008年10月30日
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「ゴールドが大変なことになってるでしょ。そこでいろいろと聞きたい事があって。」と知人から電話があった。大変なことって、もしかしたら私が知らない間に金相場が暴落したり倍にはねあがったのかと一瞬驚いたが、そういう話ではないようでとりあえずホッとする。「金貨の価値ってどうなの?いい金貨ってどんな金貨?本物の金貨を見分ける方法ってあるの?」というような質問だった。まず、すべての金貨が100%純金、というわけではない。90%のものもあれば、80%のものもある。金貨自体には表示されていないことが多いので、金貨のカタログ等をみて、どこの国のなんという金貨が何%で、何g、、、といった情報を確認すると良い。お値段のほうには、その純金の分の価値以外に、加工賃(金貨として製造されるので)、そしてその金貨としての値打ち(希少価値があるとか、プレミアがついている、とか)が関係してくるのでかなりバラつきがでるようである。値打ちが高い金貨のほうが良いにきまっているが、しかしこれも切手、古銭と同様、コレクターの間で買い手がついてはじめて意味をもつものであって、そうあてにはならない。本物か、偽物か、、、、。まあ、手っ取り早い方法は、カタログをみてグラム数を確認して実際にはかってみることだろう。(金でない場合は重さが違うはずである)というより、本物だろうか、、、、と疑ってしまうようなところで買い物はしないほうが良いのが鉄則だと思うのだが。実は彼女は、古銭商に、「金貨を安く売ってやる。」といわれたそうなのだ。それでも金貨を買いたい理由がいまいちわからなかったので、どういう目的なのかを聞くと、「投資」なのだという。しかし、投資目的であれば、金貨などを買うより、「延べ棒」にするべきだろう。そこで、「どこで延べ棒を買えばよいのかしら?」と聞かれたので、「銀行」と答える。「そうじゃなくって、あなたはどこで買うの?って聞いてるんだけど。」と言う彼女にもう一度、「だから、銀行」と答える。彼女は、我々業界人は格安に金地金(インゴット)が買える、と思っていたようなのだ。しかし、金(純金)の相場は全世界共通である。卸値のようなものはない。(ただし、銀行で私が購入する金地金は、「リターナー」という少し傷がついて返品のようなかたちで戻ってきた、いわゆる欠陥品。傷がついてしまっては「延べ棒」としての価値はさがってしまうのだが、そのまま金を加工してしまう者にとってはそんなことは関係ない。そういうインゴットは少しだけ安く手にはいるので、それをねらって買う。)とにかく、私に聞けば秘密の金の入手ルートがわかる、と思って電話したらしい彼女は、「銀行」という月並みな答えにすっかり拍子抜けしてしまったようだ。こちらとしても、あっと驚くようなコネを紹介してあげられなくて申し訳ないが、我々業者も「純金」には同じ金額をはらっているのだから仕方がない。(だから、古銭商が、金相場以下で金貨を売るようなことはあり得ない)なんでも、アメリカ経済の低迷に不安を抱いた末の金投資、なのだそうだが(因みに彼女はアメリカ人)その日同じように金投資を思い立った人が多かったのか、最寄りの銀行では、延べ棒はすべてソールドアウト。「今日中に買わなければ意味がないのよっ!」とパニクっている彼女に、もしどこでも買う事が出来なかったらもう一度連絡するようにいって電話を切った。値段はどうにもならないが、入手ルートは銀行以外にも我々業者にはたくさんあるし、いかなるときにでも金は必ず手に入れる事が出来る。そこは、我々の(唯一の)強みかもしれない。しかし、今さらあわてて金を買ってどうするのだろうか。そんな素朴な疑問も残るが、私は経済のエキスパートではなく、ジュエリー職人。専門(貴金属)について聞かれたことだけにしか答えれない。まあ、あれから電話のないところをみると、彼女もお目当ての延べ棒をめでたく購入することが出来た、ということか。1kgの延べ棒ならひとめみたいような気もする。おわり
2008年10月05日
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