ジュエリー宝飾細工師マイスターのミュンヘンより愛をこめて

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2009年05月14日
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カテゴリ: 職人は語る
「壊れたジュエリー等は応急処置をしないでそのままもってきてほしい、、、、」

と以前書いた。

この、よかれと思ってした(してしまった)「ファーストエイド」が命取りになってしまう、とはどういうことか。

ジュエリーが壊れる、という場合は、たぶん大体がどこかの部分が折れる、とれる、曲がる、という症状なのではないだろうか。

「車に轢かれてペッチャンコ」という重症患者(これまた見事に紙のようにフラットになった指輪を私はみたことがある)もたまにはいるが、ブローチのピンの部分がとれた、とかイヤリングの接続部が折れた、とかそういう軽症である際には、

「ちゃんとなおしてもらうまで、これで我慢しよう」

と、日曜大工用具から、「ハンダ」を持ち出して、電子部品を修理する感覚で、

「ペトっ」

とハンダ付けしてしまうひとが結構いるのである。

ハンダとは鉛とスズの合金。
ハンダゴテ、で熱してハンダを溶かし、金属を接着する。(この場合使用温度500度以下)

ハンダは金属だが融点が低い為に、いってみれば接着剤のようなもの。
金属(銀や金)とは直接「結合」していない。
しかし、それは、この「応急処置」の段階で、の話。

本当の修理としての「手当」では、金属は、「接着」されることはなく、「結合」されなければならない。

金属と金属が高温で溶接されるのだ。(この場合500度以上)

簡単に説明すると、金属が液体化するちょっと手前で、金属同士が仲良くくっついてくれるのだが、そこに「ハンダ」くんがついていると、、、、、、。

高温で熱されることによって、そこの部分の金属と「ハンダ」くんが混じり合ってしまうのだ。
鉛や錫は銀や金とらべてものすごく融点が低い。

勝手に、「ハンダ」くんと仲良くなってしまった金属部分は、他の部分よりもずっと融点が下がっている為に、、、、

そこだけ溶けて、穴があく、という惨事が起こる。
(これを、我々は、金属が「食われた」状態、という)

こうなると、もう手のほどこしようがない。
突然、ポッカリ開いた傷口を前に、ただただ呆然と立ち尽くすのみ、だ。

「もう手遅れ、ってそんなバカな!ちょっと直しておいただけなのに!」

と落胆するお客さまに、この「ハンダの呪い」を説明しなければいけないたびに、胸が痛む。

「ハンダ」には要注意。
ぜひ、「治療」ははじめからプロにまかせていただきたく思うのである。
おわり

おまけ はじめからハンダで処理してあるジュエリーはこんな惨事が起こる前にお断りするしかないが、困るのが、一見「ハンダフリー」と見受けられるケースだ。

特に、イギリスのアンティークの銀食器などは、すでに「ハンダ」で修理された状態で市場にでていることも多い。
そして、外から状態が良く見えないこともかなり、ある。

(穴のあいた銀食器を格安で買って、修理して使おう、又は高く売ろう、というひとが結構いるが、注意が必要だ。)





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最終更新日  2009年05月15日 07時20分14秒
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