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分は基本凡庸な作り手の優れたクリマよりも秀逸な作り手の下位のクリマの方が楽しめる。凡庸な演奏家の大曲よりも優れた弾き手の小品の方が深遠かつ心踊らされる楽しさを感じられるからだ。でもまあこう言うワインを飲むとやはりブルゴーニュのクリマは作品なのだと再認識してしまう。Gramontもこのドメーヌもそれほど優秀ではないのだが両ドメーヌともにこのクリマだけはやっぱり別次元のエレガントさを感じる。決して大輪の花ではないが華奢中にも知性、品性を感じスタイリッシュにまとまっている。フィニッシュも良い。中盤で少しintermezzoのようにトーンダウンするがその後香り果実が沸々と湧き上がり最後まで昇り調子だった。このドメーヌはBouchard時代のLa Romaneeも作っているが多分そっちは結構抽出が強くこちらの方がバランス良いのではと思う。ただこう言う大作を飲んでしまうと自分はやはり圧倒され何と無く場違い感に囚われる。ま、出自がそれほど良くない自分は垢抜けないクリマがほっこり感じてちょうど良いような気がする。美人のヨメを持つと落ち着かない感じかな。ヨメにはMoreyが良いかな。それかやっぱりVolnay辺りが良いかな。適度に可愛くちょっと田舎っぽくて。ただ熟成にはあまり向かないかも。ん、何の話だ。
2023/10/30
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今まで何杯のグラスを重ねたことだろう。一杯のグラスからワインが味われ咀嚼されそれが思い出に変わる。そして空になったグラスにまたワインが注がれその繰り返しだ。今のグラスを飲みながらその前にあったワインの記憶は朧げに昇華していく。それはあたかもサンサラのようだ。グラスといういう肉体にワインという心が注がれ時には高揚し、時には落胆し、怒り、諦め、色々な感情を生みながらサンサラは続いていく。サンサラ、それは輪廻というよりむしろ遊戯なのだろう。優雅で甘美な遊戯。一度、二度、いや何千回、何万回も繰り返された遊戯。これからも繰り返して行くのか。是という自分がいる。そして否という自分もいる。とりあえず遊戯を演じ続けよう。夕闇が来るか、自分の中で何かが壊れるまでは。ところでこのワインめっちゃ美味しかったんだけどね。
2023/10/28
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ブルゴーニュの懐深いのはradar screenに映らない優れた作り手が存在する事だ。この作り手も日本に入っておらずその存在を知る人は日本でも非常に少ない。Moreyを名乗るドメーヌは色々有ってそれぞれの複数の息子や娘が別ドメーヌを建てているので非常にややこしいがここはMarc Moreyの息子と伝説となるFernand Coffinetの娘が結婚してできたドメーヌ。90年代から元詰を開始しているが急速に有名になったのは実質息子が継いだ2010頃からだった記憶が有る。抜栓直後から淡い白果実。少し硫黄臭を感じるのはSO2だろう。口に含むと凝縮したフレッシュな果実が広がるが半端ないミネラルで中盤から締まりフィニッシュは長く完全に縦切れ。膨らみは微塵もない。樽は自然。樽熟は12ヶ月に留め、新樽40%だが大樽の狙い通りにワインが仕上がっている。長期熟成を眼中に還元的に作られていて非常に堅い。5年経っているがキャラファージュが必要だ。或いは前日抜栓だろう。ちょっとスレンダーなところが有りブラインドではCocheやBoisson-VadotのMeursaultに間違えそうな気もする。だが数年経てばゆっくりと堅さが解れ果実が溢れ出してくるだろう。9ヘクタールと比較的中規模であまり知られてなかったせいもあり適度に買えていたのだがここ2-3年でかなりブレーク。量も少ない事もあってか2021は完全な争奪戦。出来れば日本に入って欲しいが入ってきても少量、瞬殺だろう。とりあえずまだ市場にある19、20を追加しよう。まあ既に有るのだが。また増えるのはしょうがない。
2023/10/23
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人もワインも永遠の命がない」という事を実感する時はやはり還暦を過ぎた頃だろう。20代から40代は未熟さを若さの力で補い少し仕事も覚え、家庭を持ち順風満帆で自信を覚え、社会的にも中核になり責任も重くなり達成感を覚えた50代と怒涛のように進んで来る。その傍にはワインがいつも有る。セラーにあるワインは自分を困難な時には自分を鼓舞しその困難な局面を乗り越えた時に大切な人と分かち合う美酒になる。人生はこの繰り返し、それが永遠に続くと思っていた。その繰り返しはある時唐突に終わる。家族は巣立ち、社会的にも段々とmarginalizeされ、気力、体力、そしてアルコール分解能は落ち、かつての飲み仲間は一人また一人と悟りの道へ消え、あるいは傷病退職。そして昔買ったセラーのワインは持ち主同様既にピークを過ぎて下り坂。そしていつか自分の番が来る。このワインも多分そういうプロセスを辿っているように感じる。熟成が進みノワゼットが前面に出る。くたびれたワインだが10年ほど前は力も漲りクリマ的にもはち切れんばかりの素晴らしさだったのだろう。ただ最後3分の1を過ぎた頃から一瞬果実の煌めきを感じる。白色矮星の新星爆発のようだ。そしてゆっくりと心肺停止へ。冒頭の言葉だが「ワインも人も命あるうちに楽しむべし」と読みかえるべきなのだろう。そしてエピローグとも言えるこれからの人生はその都度ごと大切に思える人と自分が大切にしてきたワインを開けて行くのが最高の大団円なのでだろう。星は最期の瞬間を迎える直前に銀河全体にも匹敵する煌めきを見せるという。超新星爆発だ。自分も爆発するかな。と言ってもテロじゃないけどね。
2023/10/19
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前にRMシャンパーニュはシングルモルト、NMはブレンデッドウイスキーに喩えれると書いた。基本自分はRMしか飲まないが手持ちにはNMの上級キュベも幾多か有る。殆どセラーからの出番はないが。今日は久方ぶりに拠出。まあ勿論どちらかと言えば美味しい方なのだがやはりマキアージュが気になってしまう。肌理の粗さを隠すためのファウンデーション的な炭酸にコンシーラー的な少量のドザ。まあ普通に美味しい範疇のシャンパーニュだ。褒め言葉だが。話は変わるが贋作で有名なRK氏が逮捕された時所持していたワインも押収されたがその中に200本を超えるこのワインがあった。FBIの鑑定で全て本物。となるとこのワインを使って何を作りたかったのだろうと言う疑問が自然に湧く。自分の推測ではこのワインと同時に見つかったMeursault Charmes 1971を混ぜてCristalを作る積りだったののだろう。実際Cristalの空き瓶と木箱も見つかっている。実際ブルゴーニュ、それもCdBのワインをちょっとばかり足してあげればかなり肌理細かいシャンパーニュ(と呼べるかは分からないが)になる事は何度も経験している。Cristalの細やかさは10g/lと言う驚異的ドザージュによるところが多いのだがブルゴーニュを加えて半分以下のドザージュで模倣出来れば本物よりもフレッシュ、ピュアに感じるのだろう。本物を越える贋物。本当の所はどうか分からないが、何と無く彼の真髄の一片で有るように思える。まあどんなに素晴らしいシャンパーニュでもやはり炭酸のマキアージュは必要な訳で残った気の抜けたシャンパーニュを翌朝飲んだら前夜はあれほど肌が綺麗で魅力的であったのにどうしても肌理が粗く単純に感じられる事は経験しているだろう。ある意味妖艶な美女と一晩過ごして翌朝隣を見たらファウンデーションが落ちてて素肌を見てしまった的な。知らんけど。とりあえず1本減った。
2023/10/14
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いやはや30年余飲んできて何度か現地踏査しSancerreのfirst tierは両CotatとVatanで終わりだと確信していた。ダグノーのシェヴィニョルも飲んだけどあれはmicro oxidizationをかけて膨らましたところにあざとさを感じ、感心はしたが感動は受けなかった。が、ここでまさか新しい作り手が入ってくるとは思わなかった。久々に感動したSancerre。完熟、低収量から来る物凄い凝縮。青臭さは感じられない。それでいて綺麗な酸が有り柔らかさも感じられる。酒躯は中庸で安Sancerreに有りがちなシャバシャバ感はない。複雑味厚みの有る果実は18ヶ月樽熟から来るのだろう。樽はFoudreで酸化や樽香をつけないように考慮している事が窺われる。スタイル的には線が細いCotatよりも洗練さを感じ、力強いVatanよりもスタイリッシュ。3(4)ドメーヌどれもスタイルが違って面白くなってきた。所有畑は13ヘクタール余と中規模だがだがキュベは赤1、ロゼ1、白は区画、樹齢を考え作りを変えた7つとこの規模のドメーヌにしてはかなり細かい。Cadastre(土地台帳)の区画番号入りMonopercelle(単独畑)は2つ、いずれもこのドメーヌのフラッグシップ。残念ながら日本にはほぼ未入。米でもまだブレークしていないが早晩のブレークはほぼ間違いないだろう。とりあえず少し抑えた。かなりの感動に久しぶりにSancerreに行ってこのドメーヌを訪問したくなった。今ならまだ会えるだろう。行くかな。
2023/10/09
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