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2009年10月13日

その理由ですが、当時カーマニアを自負していた私の目標は、やはり当時最速車であったこの車だった訳です。

カタログ最高速度こそ、当時のスーパーカー、フェラリーやランボルギーニの一部の車両には及ばないとされたものの、実走行での加速力は圧倒的で、実測での最高速度260km以上　ss1/4 12秒台の数値は、現在でも十分に通用するものでした。

とは言っても、おいそれと手に入れる事の出来る様な車ではなく、カレラの二倍以上という価格は私に取って天文学的な数字でした。

しかし、念ずれば通ずといいますか、数奇な運命の悪戯?によって、その930が私の所に来る事になったのでした。

そして、私が子供の頃に描いていた「アホな夢」の一つが実現する事になったのです。

ポルシェでレースに出るという現実希望的な夢は、それ以前に911で実現していたので、930の時のそれは、全く趣旨の違う何とも恥ずかしい「オコチャマ的?」な事でした。

当時、ラジコン技術の表紙には、後ろの本物と一緒にＲＣモデルを抱えて立つオーナーという構図というのが流行っていたのです。

よっしゃ、それじゃやったろという事で考えたのが、子供の頃通っていた模型店に930で行って930の模型を買ってくるという、本当に何とも「アホらしい」計画でした。

でっ、用意周到。その模型店の常連である小中学生達の来店時間に合わせる為に、ある日曜日の午後に計画は実行されました。

大人気ない事に、わざと店の前の駐輪スペースに930を停めて店内へ、そして目指す９３０ターボの箱を選びレジへ。

店の外では、案の定というか、子供達が930の周りに集まっています。

はははっ、どれ、頃合いも良し「おとな」の態度で、「あっ、君達、ちょっとごめんね」と言って格好良く乗り込む積りだったのに。

ところが、ところが、丁度そこへ店番をしていた店のおばさん(その店の店主の奥さんであるおばさんは、子供の頃目からおばさんで、いつになっても印象はおばさんのまま)がやってきて、「何、あんた、これどうしたの?、ふう～ん、とうとう夢が叶ったんだね」「でっ、今日は見せに来たって事か」

「あんたが子供の頃は、模型作りが下手糞で、失敗してはまた同じのを買っていってたけど、少しは上手く作れる様になったの?」

って、おばさん、何も子供たちの前で言わなくてもいいんじゃない。あ～っ、あっ、せっかく格好つけてたのに面目丸つぶれ。

おまけに、レジの会計でも、幾らかのお釣りはいいよと、そのまま置いて出て来たのに。
「ほら、お釣り忘れない様に、それからまた接着剤足りなくなると困るだろうから」と言って瓶入りの接着剤をご褒美に上げるからと、わざわざ持って追いかけてきて渡してくれたのです。

あ～っ、私の完敗でした。模型店の「おばちゃん」にとって、私はずっと子供時代のまま。大人になって、ちょっと格好良いところを見せたかったのにな。

運転席に乗り込み、自分の考えの浅はかさが恥ずかしく思えると同時に、子供の頃からずっと成長を見ていてくれたおばちゃん。

私は、そういう人達に見守られながらここまでこれたのだなと目頭が熱くなるのを感じずにはいられませんでした。

この模型店の話の続きは、またの機会にしたいと思います。

写真は、その時の930ターボです。模型ではなく実物です。

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