サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2006.12.29
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暦の話
 というわけで年甲斐もなく、古典の言葉つきに、心惹かれている今日この頃ですが、若い時のように肩肘張って硬直して構えて読んでいたころと違い、ずいぶん自由な気分で読めるのが面白く、またしんどくなればいつでも止められるというのが、気軽でいいですね。古典は今どきの情報系と違って、私たちを煽るようなことはしません。煽るまでもなく、云わば傲然と山のように屹立しています。近づくには登山のように準備が必要ですが、倭建(ヤマトタケル)よろしく徒手空拳で取り付いても、その相貌の余韻とか、後味を感じることはでき、また準備の仕方やこちらの気分で、そのたびごとに別のSoundを響かせます。
 これは古典(Classic)が変わらないのではなく、いつも我々の横にいて今あるので、それを聞くか聞かないかは、こちらの気持ち次第のようです。

 またまた音楽の話ですが、たとえばバッハなど、相当今様の音楽に変形されたりして演奏されることも多いのですが、それでもいかように変形されてもやはりバッハはバッハのSoundを響かせますね。これは同時代のバロック音楽のヘンデルその他の作曲家とずいぶん違うので、それがどこからくるのか、現代の音楽家あるいは音楽研究家は格闘しているようです(闘いすぎてちょっとおかしくなった指揮者もいましたな)。
 バッハの厳かな声楽やオルガンの宗教音楽ではなく、平均律を駆使した云わば(宝物を見つけたときの子供のような)遊びの音楽は、時代を超えて私たちに降りかかってくるので、ベートーベンやモーツァルトに比べても、はるかに古さを感じさせません。これは彼の音楽が歴史性よりも神話性を帯びて、魔術的に現在に示現するからです。まあしかし、この話はまた別の機会にしましょう。

 ところで、年も押し詰まって今年のブログのUPは今日でお開きです(年明けはいつからにしましょうか?)。今年のおしまいに暦の話をしたいのです。
 皆さんは1年の区切りが、なぜこの冬の前半に置かれているのか、不思議に思われたことはありませんか?現在一般に使用されている暦は、16世紀のトリエント公会議で決定されたグレゴリオ太陽暦ですね。キリスト生誕の8日後であることでキリスト教との関連も考えられますが、この暦の起源がローマ帝国時代の紀元前45年から開始されたユリウス暦であること、さらにユリウス暦の100年ほど前から1年の区切りを、冬至に近いこの時期にしていたことから、キリスト教とは関係なく季節的な冬至近辺の移り行きが、西欧社会で考えられた年の区切りだったと考えられます。
 これには太陽の日照時間が最も短くなる冬至近辺が、古代人にとって世界の死と復活を祈念する重要な時期であったことと明らかに対応するので、日本において新嘗祭が収穫の感謝と来年に向けての祈念の祭りとして重要であったように、おそらくキリスト教以前の古代西欧社会にも、同じような祈年祭があったでしょう(キリスト生誕をわざわざ12月25日に持ってきたのは、明らかにこの古代の世界感に、新しい宗教を密着させるためだったでしょう)。

 子供のころはなぜ新年を初春というのか、不思議に思ったものですね。周囲はどうみても、これから冬本番の時期なのに、どうして新春などと言祝ぐのか、わからなかったのです。
 これは太陽暦(グレゴリオ暦)の世界観に、旧暦の行事を無理矢理当てはめた結果生じた感覚のズレで、四季の移り行きの変化に乏しい中近東から西欧地域では、天体の観測から導かれた抽象的な暦の発想が自然なのに対し、日本では目に見える季節の変わり目こそ年の初めなのでした。これもよく言われることですが、日本には天体をモティーフにした神話や物語が少ない、織姫彦星やかぐや姫は大陸由来の説話ですね。
 これは私の妄想ですが、日本のように地上の風景の移り行きが激しいと、のんきに天体を眺めているヒマはなかったんじゃないかと思うのです(今でも)。逆に砂漠のように何もないところでは、人間の存在の取っ掛かりは天体を観測するほかなかったのかなあ。

 前にも触れましたが、日本の古代人にとっては、時間とはアメのように横に伸びているのでなく、主体的に日々更新していくものでありました。お祈りやお供えは日々更新するべき時間を(ほっといたら夜は永遠に明けないかもしれない)、神様といっしょに憮活し、奮い起こすためでした(古代では一日の始まりは日没からだったのです)。
 旧暦の立春は現在の太陽暦の2月4日ごろにあたり、季節感としてはまさしく春の気配が、ほの見える時期を新年としていたのです。古くはイネをトシとも呼んでいたようです。イネの栽培は2月4日ごろを基準に、八十八夜とか二百十日とか測られますね。
 「 豊葦原の瑞穂の国 」ではイネを中心とした、周囲を取り巻く映像の変化そのものが時間の移り行きだったのでした。
                                     ― おわり ―





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Last updated  2006.12.29 13:10:38
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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