サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2007.01.04
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カテゴリ: 建築
 明けましておめでとうございます。
 今年が私たちにとって、良い年でありますように。

 さて、新年にちなんで、というわけではありませんが、お伊勢さんの話をしたいと思います。
 以前にもふれましたが、日本の古代のニオイを嗅ぐなら「 伊勢神宮 」に行くに限る。
 伊勢神宮は中に入ることは許されず、また全景を撮影することも禁じられているので、塀の外から望見し、あとは図面などで想像するしかないのですが、その起源といえば、弥生時代来の定置農耕社会にとって、もっとも大切な建物であった穀倉庫「 高床式倉庫 」、これは神奈川県で復元された遺跡ですが(それにしても、すごい復元ですね、掘立柱も藁屋根もたわんでる)、一見して神明造といわれる、もっとも古い神社建築様式の伊勢神宮社殿が、高床式倉庫の直系であることがわかります。
 伊勢神宮の建物の特色は、掘建柱・切妻造・平入(入り口が棟方向に開いている)の構造で、円柱と鰹木(カツオギ、屋根の上にのせた丸太の補強材)を除けば、すべてが平面の板で形作られ、きわめて直線的な簡潔さを印象付けます。その印象をさらに強くしているのは、神社建築の看板でもある、両側の切妻から交差して飛び出している千木(チギ)、簡潔さを旨とする伊勢神宮といえども、千木には金色の装飾金具が施されて、実際に見ると思いのほか華美な感じがします。
 とはいえ、いくら装飾されていても、もともと千木が棟木(屋根を乗せる横木)の上に乗っかって妻側の屋根を支える構造であり、鰹木が屋根の頂上部を覆う板を上から押さえて、萱葺きや板葺きの屋根が飛ばないように、補強した部材であることは明らかです。下図参照して下さい(ネットで調べていたら出てきためずらしい構造図ですが、どこの出典なのか分らなくなってしまいました、すいません)。

 こうした直線の織りなす簡潔さと力強さは、同じく古い起源を持つ「 大社造 」のカーブをえがいた屋根(大陸の影響でしょう)とは著しい違いを感じさせます。

大社造の特色は、構造が田の字型の古典的な日本家屋であることから、穀倉庫由来の神明造と違い、古代の宮殿由来であるとされますが、現在の形が鎌倉時代以降のものであることから、この形が原古のものであったかどうかはわかりません。千木と鰹木もここでは完全に装飾としての扱いで、この社殿が時代とともに構造も変遷したことを表わしています。
 したがって神明造の伊勢神宮との、一番の違いは何といっても、そのケタ違いの大きさで、現在の出雲大社の社殿の高さは約24m、かつて上古においては現在よりもはるかに高く、始めはおよそ96m、そのうちに48mとなったという伝承があり、同時代の東大寺大仏殿や天皇の御座所(大極殿)より巨大とされました。
 その巨大さは、日本神話の例の大国主神が天津神に国譲りを行う際、その代償として天孫が住むのと同じくらい大きな宮殿を建ててほしい、と求めたのに由来するとされ、大和政権の平定時における出雲の勢力、あるいはその平定の仕方など、これまたいろいろあるのですが、それは別の話。
 その当時の想像図がコンピューター・グラフィックスで再現されたりしていますが、異様に柱を高くした構造体のために、倒壊を繰り返したようですね。この巨大構造物に対する執着というのは、何かピラミッドやバベルの塔ではありませんが、古代人の定置農耕的感覚とは別のパッションがあるように思え、少し前までちょっとブームだった超古代的想像力を刺激しますが、そちらへの興味は今のところ、直接に日本の文化や心象に反映していないということで、ここでは取り上げません。

                                     ― つづく ―





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Last updated  2007.01.04 17:41:10
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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