サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2007.01.10
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 青山さんが言われるのは、まず
1.韓国はいずれ半島が統一したときに、核保有国としてのPresence(存在感)を国際社会において保持できる、(わざわざそれを捨てるに及ばない)と思っている。
2.中国、ロシアは、いずれにしても当面北朝鮮の核爆弾が、自国に向くということはありえないと思っている。
3.アメリカも当面北朝鮮の核爆弾が、直接本土への脅威になるとは思ってない。
 というわけで、真剣に北朝鮮の核爆弾を脅威に感じているのは、日本だけであり、さらにはその日本に対する揺さぶりこそが、北朝鮮の目的とされます。
 今の北朝鮮の体制で「拉致問題」は、おそらく体制の中枢を揺さぶる問題であり(現在拉致されている人たちの、相当数が金正日体制の中枢に拘わされてしまってしまっている)、それだからこそ日本はずしを図っているのでしょう。
 というわけで論理必然的には「拉致問題」の解決とは、金正日体制の転覆に帰結してしまい、核問題のように金正日体制を容認して交渉による解決を図る、という選択肢は論理的にありえない。日本と他の5カ国との立場の違いです(外務省が本音のところは、拉致問題を後回しにしたいのは、そうしないと6か国協議の対北朝鮮網の足並みが乱れるため)。
 青山さんの論旨は、常に金正日体制の転覆を前提にしているので、パリ亡命説のようなこともささやかれていますね。
 しかし政治体制というのは、個人の力で成り立っているのではなくて、ある種のカリスマをいただいた広大な利益集団の塊りであるとするなら、金正日一族を追い出したところで、それで利益を得ていた組織が無くなるわけではない。むしろこれが実際に起これば、内部クーデターの危険が高まるでしょう。

 とはいえ、ここでは最近の政治情勢を素人的に予想するつもりはありません。そちらは専門家にお任せするとして、大国のしゅん動というものが歴史的にはどういうものであるかを、考えてみたいのです。
 「遠交近攻」とは、古代中国で紀元前8世紀の春秋戦国時代から、紀元前221年に秦が再び中国を統一するまでの500年以上の動乱の世にさまざまに編み出された戦術の一つとして、伝えられた「兵法三十六計」の第二十三計にあたる戦術で、遠くの国と手を結び、近くの敵国を滅ぼす戦術をいいます。
 この戦術は群雄割拠の中国戦国時代においては、一国で敵国と戦うのが困難だったため出てきた知恵で、「孫子」の「戦わずして勝つのが最上の策」(国を全くするを上となし、国を破るは之に継ぐ。…是の故に百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり ―Wikipedia)の格言とともに、近代西欧の外交戦術にも通ずるものでした。

 前にも触れたことがありますが、基本的に国民国家の概念が規定された19世紀以降、国家を超えた主権というのは世界には存在せず、国家機関は厳密に言うと、その国民の生殺与奪の権限を唯一握っている組織です。他国は原則的には、自国及び自国民の生命財産に被害が生じないかぎり、他国を侵犯することはできません(その意味でも北朝鮮は、日本から干渉される理由があるのです)。
 とはいえ、直接一戦交えないまでも、多国間の外交交渉で標的の国の力を、たわめる事は日常的に行われているので、大国にとって一番の上策は直接戦わずして、近隣同士が戦ってお互いに弱体化することでありました。このあたりのサジ加減を、おそらく中国はみているので、北朝鮮がやたらと核武装してもらっても困るが、かといって完全に崩壊してしまうのも具合が悪い。というのも北朝鮮が亡くなれば中国は必然的に韓国(西側)と直接対峙せざるを得ず、他国同士にやらせて、双方の力をたわめる代理戦争は難しくなります。
 このあたり、中国以外の韓国もロシアも本音のところはいっしょで、国内的にどんなに醜い国であっても、大国の間に小国は存在しないと困るのです。これを地政学(Geopolitics)的な論理といいます。

 中国が一番恐れているのは、紛れもなく軍事的ポテンシャルで頭抜けている経済大国の日本であり、世界国家へ伸張するうえで、常に足かせであるでしょう(アメリカもまた、かつてのソ連に対すると同様の戦略的位置を日本に見出しているでしょう)。
 したがって、北朝鮮が日本を核とノドンで恫喝するときは、必ず裏に中国の影があると考えるべきで、もし日本が本気で核武装の論議を始めた場合、真っ先に非難を開始するのは中国でしょう(事実的に核保有している北朝鮮のことなど、ほったからしにして)。

 例によって話が過激な妄想に近くなってしまいました。やっぱり政治談議はいけません。それにしても外交とか他国との付き合いというのは、たぶん私たちが想像する以上に冷徹で、100万人200万人の死者など最初から織り込み済みのシナリオを、何の躊躇もなく描ける感覚というのが、この種の世界かなと、何となくうんざりしてしまいますね。
                                     ― つづく ―





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Last updated  2007.01.10 10:08:12
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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