サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.10.28
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 破壊的な猛暑で、随一の楽しみである「源氏読み」を中断してしまい、いわばこの狂った気候に挑戦するように、私の内部にずうっと巣食っている一番うっとうしい話題(だって、こんな不愉快な気分で、何で一番の楽しみを話さないといけないのか?)をあえて取り上げて話をしていたら、例によってそれもまた際限なくおしゃべりが続いて、どうやって着地したものかと思案しています。パラグライダーでもスカイダイビングでも大空に身を投じて、自然とじかに戯れているあいだは、ときに予期せぬ事態が起こるにしても、それらはすべて高揚感に覆われてしまうものですが、真に危険かつ情緒不安定に陥るときというのは、言うまでもなく着地する局面でしょう。
 そもそも重力で大地に縛られているべき生き物が、ある日何を思ったか想像の翼を羽ばたかせて、いわば周囲の自然に抗って浮揚しようとする。飛び出した瞬間とそのあとに持続する浮遊感というのは、何ものにも変えがたく、要は今まで二本足でしかと大地を踏みしめて、周囲を睥睨(へいげい)していた我が身が、木の葉のようにゼピュロスの西風に身を任せてみれば、自ずからそれまで地上では見えなかった別の自然の相貌を、体全体で受け止めることになる。未知を体感するというのは、限りなく気分を高揚させるものです。

 とはいえどんな空中飛行も、いずれは必ず娑婆という退屈な現実世界に着地せざるを得ず、この作業は実際問題としての物理的な危険とは別に、垣間見えた未知なる自然との別れを意味するので、気持ち的にははなはだ萎まざるを得ない。情緒不安定に陥るとはそういう意味です。
 考えてみれば、私のこのブログというのは、次から次へと自分の楽しみのためのパラグライダーを飛び立たせたものの、それらはいずれ着地させることになる、という退屈な現実を考えずに飛ばしまくっているので、しょうことなく、まるで壁にピン止めして放り出してある(ときに、そのまま蒸発してしまっている)、という景況になっています。

 今回なぜ「戦争」についてしゃべり始めたのか?きっかけはもちろんハッキリ(夏の戦争報道)していて、さらにはその結語部分も何となくボンヤリとした想念が、(あの暑い最中に)浮んでいたので、じつはもっとサッサと終わるつもりでした。私のような戦争身体験者が語れる「戦争」というのは、本来タカが知れていて、山のような戦争体験報道の前では、うずくまってひたすら(見)聴き入るしかない。それでもなぜ前世紀にあれだけ未曾有の死者を産出しながらも、(人間)世界は戦争を止めないのか、止められないのか、という疑問を口にする権利は、今ここに生きて在る私たち全員に本来あるべきものでしょう。
 で、もしそれを語り出すなら、それこそ「源氏物語」の比ではなく、たぶん際限なくしゃべり出さなくてはならない、というのはそのシビアなテーマからいって当然のことなのでした。そんなことはしゃべる前から分かっていたことなので、したがって出来るだけ軽く(以前と同様に)、この夏、気になったことだけを壁にピン止めして済ましておこう。どちらにしても、いずれ繰り返し何度でも話さなければならない重いテーマなのだから、というところがあったのでした。

 しかし今回「戦争」に関して、さまざましゃべっているうちに、かつてないほどのスピードで「戦争」に関連した本を、さまざま読みあさっている自分に気づくのです。若いときは別として、私はもともとそこらにある本を、かたっぱしから乱読するというタイプではなく、どちらかというと、同じ本を年月を変えて、しつこく繰り返し読むほうなのですが、このテーマをはじめて以来、イヤに「戦争」にまつわる本を買っては読み耽っています。分量でいうと、過去二年間ほとんど「源氏」関連以外の本は買っていなかったのですが、ここ二ヶ月ばかりに購入した本はその総量を上回っているのです(といっても、世の本好きの人に比べたら、タカが知れてますが)。
 先にも触れたように、子供のころ私は「戦争気違い」と言われるほどのFreakでしたが、これは戦前の男の子がほとんど「軍国少年」であったのと似たようなもので、他愛のないものとして片づけておいたのでした。しかし今回、自分がまるで焦燥感に追い立てられるように、本屋に何度も足を運ぶというのは、さては本性的に私はMilitary Freakであったか?と愕然ともするのですが、どうもそういうわけではないらしいのです。

― つづく ―





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Last updated  2010.10.28 16:08:14
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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