サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.10.26
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 抗いがたい表象というのが、現実にこの世に存在していて、ややもするとそれらは我が身の内部をも貫いて、むやみと心象を揺り動かすということがある。そうした内心の揺らぎの発生を、正直に認めることを拒否して、天皇制を論じたり旧軍部を批判しても、それはたんに同一平面上の反作用に過ぎず、結局同様のマインドの揺らぎかたは形を換えて、何度でもその人の心に現れることになります。
 かつての新左翼的なマインドのありかたが、連合赤軍のリンチなどによって、旧軍隊内務班の「私的制裁」と同様の振るまいかたであることを仔細に分析したのは、先に何度も触れた山本さんの一連の著作ですが、同じようにかつての左翼的精神の有り様が、そのまま何の精神的あつれきを生じることもなく、今どきのマンガ的超保守主義の精神形態につながっていても、誰も何とも思ってないことを、私たちは忘れてはいけません。

 こうした事柄にたとえほんのわずかでも有意な内容を見い出そうとするならば、例の内田樹さん流に「話の次数を一段階上げて」たとえ迂回的に見えても、辛抱強くこれらの現象をあちらこちらから見つめ直すほかない。あちらこちらとは歴史学的であったり、社会心理学的であったり、生命科学的であったり、要は次数を一段回上げる方策としてであれば、平面幾何を三次元モデルに組み替えて眺め直すように、何でもよいと思うのです。

 歴史的に物事の現象を見てみていくと、今どきの大陸や半島の統治者、及びその住民の振るまいかた、あるいはそこに渦巻いているマインドというのには、おそらくかつての日本人のたどってきた(そしておそらく、今もどこかに確かに潜んでいる)精神性と通底する所があり、それらが表向きの装いを換えて現れているような気がしないでもない。
 今大陸でさかんに起こっている「反日デモ」とは、要はおおっぴらに旗を振って異議申し立てできる振るまいというのが、現在の中国ではそれしか公認されてない(逆に言えば、「反日」という反旗を当局は抑えにくい)、という景況を現しているので、これは例えば戦前の日本軍が「統帥権」を押し立てれば、政府もそれを正面からは咎めにくい、という状況とよく似ているのです。
 半島のほうを見れば、北はかつての陸軍参謀本部のマインドを、そのまま移し替えた体制を敷いているかに見え、政治的局面において常に現れる彼の国の陰謀的発想こそ、「関東軍」の得意とするところでありました。かつての南の独裁的大統領だった朴正煕(パク・チョンヒ)は、自身が旧日本陸軍的なマインドのもっとも正統的な継承者、体現者であることを隠そうとはしませんでした。

 こうした事象をもって、今どきの東アジアの事象は、ことごとくかつての日本が経験し産み出したもので、我々はすでにそれをとっくに卒業している(克服している)かのように早合点するほど、さすがに今の日本人はお人好しではないと思います(それこそ平面思考の最たるものです)が、相似した事象が時間と場所を変えて現れているように思えたとき、その現れかたには例えば、東アジア全般に特異的に通底したマインドがあるかもしれない、というような考えかたをするのは、決して不生産的なことではないでしょう。
 少なくとも、これら諸国の今どきの振るまいかたを、別次元の(レベルの低い)他所事のようにして、なじったり貶したりして哂って済ませ、そこまで以上に立ち入った思考や、相手方に対する想像力を閉ざしてしまうのであれば、現実に脅威を周辺に振りまいている諸国に対処するこちらの方法は、はなはだ窮屈なものとならざるを得ない。要は思考の選択肢を自ら狭めてしまう、「屈辱外交」だの「新首領様」といった週刊誌的思考回路でしか、物事が見えなくなってしまう(他に考えようがなくなってしまう)のです。

― つづく ―





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Last updated  2010.10.26 14:52:51
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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