サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.11.09
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 「何を小賢しい話をしとるねん!たかが噂のビデオが流出しただけやないか?何か、改めて目ェ向くようなことがあったんかいな。早うハッキリ結論言わんかい!」と、イラチな大阪のおっちゃん(おばちゃんも?)に謗られてしまいそうです。
 じつは私は世間が沸騰しているほどには、ビデオの中味には関心がありません。中味をあれこれ吟味するまでもなく、中国側の言い分と日本側の言い分のどちらに偽りがあり、どちらが事実を伝えているか、ということに関しては事件発生直後から、皆ずうっと予見していたはずです。領海侵犯の問題を差し置くとしても、中国側の報道あるいは政府声明(日本の海保が中国漁船にぶつけて来た、という図面つきのコメント)を信じる日本人は誰一人いなかったでしょう。それはほとんどの外国の消息通もおそらく同じで、「ああまた、中国のいつものあの手か」と判断していたはずです。

 大事なのは、なぜそうした認識が、ごく普通に疑いもなく共有されているのか、ということです。それは言うまでもなく、敗戦後の日本が営んで来た国家体制と、それに基づく政府機関あるいは「言論の自由」を体現する報道メディアが、(少なくとも周辺諸国よりは)国民及び諸外国の信任を受けているということであり、この共有された信憑性というのはもっと意識されて良いと思うのです。

 中国の人たちがイッチョ最初に信用しないものとは、他ならぬ政府発表と新華社であり、彼らは多かれ少なかれ自分たちが封殺された社会にいることをよく知っている。国民が何よりもいちばん信用していないのが、それを統治している国家機関である、という「国のかたち」というのは、基本的に不幸と言い得る。
 なぜならそういう国の統治者は、まっさきに自国民(と自国領)を占領することに専心するからです。中国三千年の歴史とは、言ってみれば歴代の覇権王朝が、自国民(と自国領)を占拠しようとして盛衰を繰り返してきた歴史で、それは現在の共産中国もまた、その文脈において(怖ろしいほど)変わりがない。日本その他周辺諸国への覇権的振るまい(四、五十年ほど前まで、あれほど日米を「覇権国家」と名指しして罵倒していた国が、です)とは、基本的に皆さん指摘されるように、自国民統治の手段としてある(場合によっては、戦争を仕掛けることもある)。
 危ういのは、それでも領土その他国権の基幹部分の争いを持ち出した場合、封殺されている国民が一時的でも、信用していなかったはずの当の国家機関の指し出す方向に簡単に誘導され得るということです。

 で、これを抑止させ得る方法というのは、おそらく外部からでは如何ともし難い。「国のかたち」を変え得るのは、結局そこに住まう人たちの基本権として厳密に在るので、周辺諸国は危害が及ばないかぎり、辛抱強く見守るしかないのです。他国がもう一方の「国のかたち」を、自国の望むような形に変えたいと欲望するとき、結局それは最終的には戦争によって決着させるしかない。しかもそれは被占領民という不同意の住人を抱える、という厄介な用事を背負い込むということになります。
 結論として、今後もますます中国は周辺諸国にとって、不愉快な振るまいを繰り返すのでしょうが、我々としては外交レベルで華々しい(けれども、勝った負けたという不毛の)応酬を繰り返すよりも、片一方で大きく開いてしまっている経済・文化・人的交流の間口をますます大きく、そこから「国のかたち」の多様なあり方というものを、(上から目線でなく)自信を以って泰然と見せていくより他はないのではないか?武力の積み上げによって、凄んでみせる子供染みた振るまいかたよりは、よほどスマートだし相手も受け入れやすいでしょう。

― つづく ―





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Last updated  2010.11.09 15:00:14
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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