サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.11.22
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 各コメンテイターの論調の中にも、多少はこの海上保安官に対して非難ないし浅はかだ、といった指摘をするにせよ、私に言わせれば、はなはだ煮え切らない。すぐに「それよりも、肝心なのは政府の無策振りのほうなのだ」と、そちらに話題を転換する。彼らもまた既存メディアに依存している以上、そのあたりの機微を感じて、あまり突っ込まないようにしているのです。But Alsoと言辞を続けた瞬間に、前の指摘は消えてしまっている、たんにアリバイ(「私は、ちゃんと言ったぞ」、という)を作ったに過ぎない。

 佐藤優、橋下徹、谷垣禎一の三氏を私が評価するのは、いずれも今回の民主党政権の施策(とくに初動時の)を強く批判しながらも、この行為に対してはハッキリと、別の次元の問題として非難している点です。その観点は共通している、と私は見る、すなわち民主主義体制というのは所与(しょよ、前もって無条件で与えられていること)のものではなく、そのつど検証強化していかないと、必ず劣化するという点において、です。

 さて、このメディア・スクラムの結果、今何が起こったのか?それをテレビで視聴し新聞を読んだ国民という消費者が、この映像によって衆愚化していった、ということです。仮にメディアが何らかの「但し書き」を付けたとしても、同じ衝突映像が繰り返し流されることで、視聴者にある一定の意識を刷り込んで行く、ということはあるでしょう。
 それは同時に、視聴者の思考の自由を奪う、バイアスをかけ続けるということにもなり、正常な判断が阻害される。とくに国境とか領海侵犯といった映像は、簡単に情動に火を点ける、「国民意識」という名を借りた身体的な防御本能に、じかに訴えかけるところがあるのです。
 私は何度も言うように、こうした流出映像を絶対流すな、などということは少しも言っていない。無定見に流し続けるな、と言っているのです。早い話、この四十四分ほどの流出映像の元ネタが、海保の編集によってすでにバイアスがかけられていることを指摘したのも、佐藤さんでした。これは海保を疑うということではなく、そういう中味であることをメディアはキチンと断るべきだし、そこからさらに衝突部分だけを切り取ったのが、メディア自身であることも明示すべきです。
 そうすることによってのみ、流出映像は視聴者に対して「相対化」され、思考判断の主導権は視聴者に委ねられる。ノークレジットで流し続けることほど、性質の悪い報道はない、と私は思う。

 これによって、私たちの思考脳裡から、ある種の判断が遮断される、ということもあるのではないか?
 ここから先は、この流出ビデオ事件とは少し離れて、一連の「尖閣諸島問題」を追いかけて行きたいと思っています。微妙な問題でもあるし、私は特に「政治外交問題」のような話を、いわゆる街場の「政治漫談」的な話題として取り上げることは好みません。何となく大人気ない感じもあるし、さらに言うと、その道のエキスパートや現業の人たちに失礼な感じもある。
 あくまで、このブログのテーマに沿った事例の一つとして、扱ってみたいと思っているのです。

 それは何かというと、いまや民主党弱腰外交の最大の争点となっている、「中国人船長に対する超法規的釈放」は、なぜ行われたのか?という問題です。今の論調は「衝突事件があった時点で、さっさと衝突映像を公開しておけば、こんなバカな話にはならなかった」という筋なのですが、そんな簡単な話だったのか?
 そのあたりの検証が、マスメディアも政治家もそしてもちろん国民全般からも、失われているように見える。

― つづく ―





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Last updated  2010.11.22 13:43:47
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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