サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.12.15
XML
 今や国家の首長も、メディアの帝王も、ウィキリークス他さまざまなネット情報に曝されて、かつてのような権威性というのは、見る影もなくなってしまいました。ネット世界というのは、見せないことによって保たれていた世の中のあらゆる権威性を、一瞬にして自分たちと等価の位置に引きずり降ろす、つまり相対化することにかけて、かつてない威力を発揮しています。
 かつてオーバル・ルームや編集局長室で、ヒソヒソ語られ決められていた国の方針や報道姿勢というのは、今やいつ何どきの裏情報の漏洩で、その正当性をひっくり返されるか分からない。欧米の政治家や報道メディアは、それでも今起こりつつある情報革命に対して、それをまるきり忌避するのではなく、そういう事態においてなお民主主義政体を維持するとはどういうことなのか?ということを、手さぐりの現在進行形で考えながら振るまっているところがあるような気がします。

 比べてみるに、日本の政治家は言うに及ばず、既成の報道メディアはどういう見識を持っているのか?何度も言うように、みんな手をつかねて棒立ちになっているような気がしてしかたがない。評論家・コメンテイターたちも、通りいっぺんの解説は加えることはあっても(おそらく、良く出来て海外情報の受け売り)、自身のスタンスというか見解をハッキリ出している人は少ないようです。
 だからこそ、流出した「尖閣ビデオ」の無定見な垂れ流し、という退屈な事態が起こったのでした。何度も言いますが、この流出ビデオにかんして、何らかの検証コメント、クレジットを付けた既成報道機関は、一つもなかったのです。このあたり、ウィキリークスに対するニューヨークタイムスやガーディアンの姿勢とは、ずいぶん違うでしょう。これは欧米の報道機関が何でも優れているだの、進んでいるだのといった議論をしているわけではありません。要はこうした、怪しげな一次情報が出て来たときに、自分たちはどういうスタンスを取るのか?といった「当事者としての問いを立てる」という感覚が、日本のメディアというか、政治家はもちろん日本人全般に、なぜか決定的にないということなのです。

 で、また話は元に戻るのですが、結局のところその淵源するところは、今の日本という「国のかたち」というのは、もちろん所与のものとして、もともと日本人が持っていたものではない、さらに今の「国のかたち」というのは、日本人自身が(血みどろで)勝ち取ったものではない、平たく言えば、完膚なきまで戦争に負けてみたら、なぜか前の政体よりよほどマシだった(と思い込んだ)、という敗戦直後の受け止めから、今の日本人のマインドはそのまま何ら反省・検証されることなく、ずうっと続いているのではないか、と私は思っているのです。
 戦前の日本政府やメディアが、いかなるものであったか、というのは他ならぬ日本人がいちばん知っている(まさしく今、日本の周辺諸国の行っている振るまいかただったのです。謀略と扇動は、戦前の日本政府機関及びメディアのお家芸というか、それこそ「いつものあの手の日本人」と見られていたのです)。
 ここまで「尖閣騒ぎ」について、大幅に予定を変更して興奮してしゃべって来ましたが、ずうっと戦争に絡む話をして来て、今回の事例を見ていると、これまた同じ文脈で捉えることが出来るのではないか?ということがあったのでした。

 要はこの話の最初に掲げた命題、この国には実は「誰も本当に本気で、事を引き受ける気がない」つまり、出来した「事柄の後始末を、すべて引き受ける」ということの意味を、誰も真に理解しようとはしてこなかったのではないか?ということなのです。これも以前に言いましたが、一種無慈悲な装いをした「父性」的感覚といったものが、「古臭い」だの「時代遅れ」と、今どきすっかり忘れ去られているのではないか?
 威勢良く現政権の失態ぶりを叩けるだけ叩いておけば一丁上がり、「あとは誰かが始末するやろう。出来んかったら解散して選挙やったらよろしい。誰かが何とかするやろう。何とかする奴が出て来るまで、何回でも選挙やったらええのや」では、ついに本当に国や家族を引き受ける人は出てこないでしょう。だって結局、誰一人その人を本当に信任したつもりなど、ここから先もないのですから。

― つづく ―





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.12.15 12:07:20
コメント(0) | コメントを書く
[政治、経済、社会、歴史] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: