サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.01.18
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カテゴリ: カーネーション
 昨日考えたようなことを、もう一度補完するつもりでWikipediaの「恋(恋愛)」を調べてみたのですが、もう一つピンと来ません。だいだいが「恋」と「恋愛」ではちょっとニュアンスが違うような気がする。
 「恋」がどうやら厳密に、「対面している相手(二人称で、たいてい異性)」を対象とし、なおかつ、その「相手」にこちらが働きかけようとする「身振り」ではなく、まさにその当の「相手」によって、自我が「心地良さ」の幻惑をとともに「溶解」して行く形で、「外部が、内部に侵入して来る」というのが、「恋」というものの作用動向だろうというのが、昨日の話なのでした。
 「恋愛」とい言い方には、その自我溶解の過程は終わって、すでに「お互い同士が、求め合う」という性愛の兆候が含意されていると思うのです。まあいずれにしても、「恋」という言葉が発するニュアンスには、かなり身体的な感触がありますね。

 古代ギリシャでは「愛」の在りようを四つに分けて、エロース(性愛)、フィリア、(隣人愛)、アガペー(真の愛)、ストルゲー (家族愛)と呼んでいたそうです(エロースとアガペー以外は、今回初めて知りました)。「恋」はまさしくその「エロース」にあたる観念なのですが、神話に現れるエロース神は弓矢を携え翼を持った幼児(古くは、青年)という表象で描かれます。
 ローマ神話にいうところの、ご存知「愛のキューピッド(クピド)」にあたるのですが、Wikipediaに「受苦として起こる『愛』を意味する普通名詞が神格化されたもの」とあるとおり、エロース的「愛」は「受身」であるのが特徴で、しかもそれが「受苦」として捉えられているということ、つまり必ずしも「恋の鞘当て」は幸福をもたらすのではなく、むしろしばしば人を「苦痛に陥らせる」もの、あるいは「迷路に誘い込む邪悪性」を秘めたもの、という含意があるような気がする。
 キューピッドの矢が刺さった者は、たとえ神々であっても、自身を理性で統御できない。それほどに、この「情動」の激しさは、危険を隠し持っているということを、古代ギリシャ人はよく知悉していたのです。

 糸子が明敏に察知した「恋に落ちる」ことの危険もまた、これに類したところでの危機意識であって、仮に周防を「好き」になってしまったら、おそらく仕事も家族もグチャグチャになるだろう、世間体も道徳倫理もすべて放擲してしまうだろう、という予感をその細部までありありと見通していたに違いない。
 そしていちばん肝心なことは、「恋」という情動が、糸子がこれまで作り上げた絶対的当為であるべき「自我」を「溶解するもの」、自身を「コントロール不能」にしてしまうものとして、自分に作用して来るだろうというのが、もっとも認め難い点なのではなかったか?
 したがって、このところの書き込みで、「不倫」問題がかなり賑やかでしたが、糸子にとってそうした世間的なモラルというのは、必ずしも重点的ではないような気がするのです(まるきり無かった、とは言いませんよ)。あくまで、我が身(自我)を毀損して到来するものとして、この「エロース的情動」の在りようは危ないと見做したのだと思う。

― つづく ―





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Last updated  2012.01.18 15:28:28
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ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
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