サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.02.06
XML
カテゴリ: カーネーション
「語るべきこと」を、どれだけ引き出して来れるか?
 先に断っておかなければなりませんが、昨日の「実在の小篠綾子さんではなく、『小原糸子の人格』として語り継がれる」というのは、何もそれによって実在のモデルを貶めている、ということを意味しているのではありません。
 むしろ高い「虚構性」を保つことによって、より「普遍的な人格」を明示するという仕方で、逆にモデルをリスペクトし祝福しているということなのです。分かり難い理路かもしれませんが、実際にあったことを「事実だから」と並べたとしても、そこからクッキリした「明示性」というのは決して現れてこない、ということは繰り返し言って来ましたね。

 同じようなことで、多少このブログの自己弁明になるかもしれませんが、ここの話は「カーネーション」の解説とか批評ではありません。この「朝ドラ」を起点にして、どれぐらいさまざまなおしゃべりが出来るのか、いろいろなものの考えかたを引き出して来れるのか、それが試したくてしゃべっているのです。
 で、しゃべれることが湯水のように次々と湧いて出て来るということは、取りも直さずこのドラマをリスペクトしている、という証明じゃないですか(メモ用紙一枚くらいで終わり、というようなドラマや映画がこんなに多い、という今どきの世にあって)。もちろんそこには、キチンとドラマに寄り添っていくという、厳密な条件が課されいて、それこそ糸が切れた凧みたいに「虚妄」の闇に飛んでいってしまうのは論外ですが、現に開示されつつある「作品」から、どれだけ「『語るべきこと』を、引き出して来れるか」というのは、厳密に「語り手」の「構え」に由るのではないですか?

 「カーネーション」というドラマが、小篠綾子さんという稀代の女傑をモデルとしながら、まったく独立した新たな「音楽」をビンビンと奏でているように、このドラマを観ることによって、ますます「多様な倍音を、どこまで響かせることが出来るか」ということは、厳密にそれぞれの語り手が、どれだけ「自分の生身」でコトバを語れるか、というところに係っていると思うのです。
 これは何も、ここの話を「偉そうに、見せよう」ということじゃなく(現に相当、「自己妄想」の魔力に引き込まれた部分がありますね。例えば、勘輔だの安岡のオバチャンだの奈津だの、作り手側にかなり失礼な物言いをしています)、優れた「作品」の楽しみかたとして、こういう仕方もあるんじゃないの?という一種のモデルと思っていただければ、しゃべっている私も気が楽です。
 「上から目線」で「これは、こうだ」とか、「実際は、そんなもんじゃない」といった指摘の仕方は、それをどれだけ並べていっても、「作品を楽しむ」という境位からは、どんどん懸け離れていくばかり。どうせお付き合いするなら、丁々発止のスリリングな「お話」を、もっともっと増やしていったほうが、はるかに面白いに決まってるじゃないですか?

閑話休題
 さて、このところ「お利口」優子と、「猛獣」直子の確執が描かれていますが、これは周囲の愛情を一身に受けて育った長女と、常に「二番煎じ」で時には愛情そのものをオミットされた(と感じた)次女の、形を変えた親への「求愛行動」と言っていいのでしょう。姉は常に親の顔を伺う仕方で、その「愛」を享受し、妹はその姉の身振りにいちいち反発するという形で、間接的にやはり親の「愛」を求めている(泣かせますね)。
 この反発しあって、なおかつ「分かち難く、結びついている」という表裏の関係は、姉妹ではないけれど、何となくかつての奈津と糸子の関係を思い起こさせますね。

 ここまではよくある話なのですが、面白いのは、ここへ来てやっと小原家の服飾デザイナーとしての「センス」が、どのように生み出されてきたのか?という話が出て来たということです。糸子については若い頃デザイン画が得意で客の評判になったというエピソードがあったぐらいで、それがいかほどのものだったのかというのは、必ずしも鮮明ではありませんでした(実をいうと、彼女の持って生まれた「商才」というのも、そんなに具体的に描かれて来たわけではありません)。
 何といっても、その尋常でない「生きる力」が突出して描かれて来たわけで、ここへ来て娘二人の「創造性への開眼」を描くことで、逆に糸子の「センス」もまた照射していこうということなのでしょうか?

 楽しみですね。

― つづく ―





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.02.06 14:28:53
コメント(0) | コメントを書く
[カーネーション] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: