サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.02.14
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カテゴリ: カーネーション
「どの口が、言う」!
とは、大阪のお母ちゃんが子どもを叱る時の、「常套句」と言ってよいと思うのですが、一体誰が言い出したのかいな、と思ってしまうぐらい上手い叱り方ですね。

 要は、人格を全否定するのではなく、「その言葉を発しているのは、あなたの中の何?」という形で、相手に自省の余地を残す。「あなたの中に巣食っている、邪悪のその芽は何?早く自分で見つけて」と言っているのではないか?
 はた目どうしたって、「叩く、つねる、蹴る」という次第で、もっぱら糸子の善作ふう「暴力ママ(!)」振りだけが目立ちますが、目指すところは「あんた、早よう、目ェ覚めェや!」という促しでしょう。ここで肝心なのは「自分で、気付いてくれない」と、いくら周りからヤイのヤイの言ってもムダだということ。
 であるからこそ、「何で原口先生が、あんたを認めたんや?あんたを慕って、何で客が来るんや?」という話になる。

 それにしても優子、この遅きに失した「大人への旅」は、少なくとも下の二人よりは、はるかに厳しく難しい。糸子が優子を引っ叩くのは、その困難さを感じているからでしょう。私の観測では、糸子が優子を叩いたのは、たぶんこれが初めてなのだと思う。彼女もまた「勝負」に出ているのです。自身の切り開いて来た仕方とはまったく異なった、しかし困難さ加減では同じような事況に陥っている、長女を見詰める糸子の眼差しは複雑だったでしょう。
 彼女の「無明の中味」を覗きはしない、というより、もとより「覗いても、仕方がない」。これは純粋に個人的な事況に属するのです。それは例の周防と糸子の関係が、純然たる二人称の事況であって、他人がいっさい関与出来ない種類の事柄であったのとパラレルであって、そうした困難の在りようを糸子はよく知っている。

 言わば、糸子からセッチン詰めに追い込められて、「そしたら、どないせえ、ちゅうねん!」と破裂せざるを得ない優子。千代という取って置きの優しい助け舟も、今回は残念ながら、なぜか居ませんでした。
 今だ彼女の「無明の淵」は、深いようですね。

 ところで、優子と直子、祝福されし者と忌避された者というのは、あたかも女版「カインとアベル」のごとく、兄弟の根源的関係の一面を示しているようで、何だかやるせないですね。「弟殺し」の原罪を背負った人類は、なぜ神は「弟だけを祝福したのか?」、その理由を永遠に「問われ続ける」存在として、根源的に「刻印された者」として在るらしい。
 ここで肝心なのは、神は絶対的にそれに「答えてくれない」にもかかわらず、人間はそれを永遠に「問い続ける存在」としてあり続けなければならない、という「構え」なのです。
 まあこれは、聖書の中の話ですが、兄弟姉妹という関係が、生き物の基本的な在り方の一面として、古代から「憎しみ会い、競い合う」関係として、意識されていたというのも事実なので、「カインとアベル」というのはその聖書的な表象だったということでしょう。

 糸子はその根源的事実だけは「しょうがない」という前提で、この姉妹を見ている。だから大きくなってからの兄弟ゲンカについては、止めようとしない。それに介入することは、子どもを「永遠に子どもの位置(無明の淵)に、留め置くことになる」からです。
 直子はそのあたりの経緯を、姉をずうっと見続けて来たことによって、すでに「隈なく知っている」どころか、残酷なまでのあの「眼差し」で見通していますね。姉がいちいち「泣きべそをかき、糸子の顔を伺う」かぎり、自立した真のライヴァルとはなり得ない。逆に言うと、姉が真の「大人」になってもらわないと、自身ももっとデッカく成れないことを、何となく直子は嗅ぎ取っていたのかもしれません。

― つづく ―





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Last updated  2012.02.14 10:55:29
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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