トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2010/07/11
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カテゴリ: 龍馬伝
■山南敬介の切腹を目の当たりにした近藤勇と土方歳三が人目もはばからずグズグズ泣きをしたように、わたしもまた武市半平太の壮絶な最期を見ながらテレビの前で号泣してしまった。介錯の刀を「待ちや!」と一喝して自ら作法に則り腹を切り裂く鬼の形相に大森南朋のこの役に対する並々ならぬ執念を見た。

■そんな夕飯時の茶の間には不似合いな壮絶なシーンにかぶせて妻・冨への哀切な最後の手紙がはさまる。生まれ変わったらずっと一緒にいよう。春には桜を見に行き、夏には海に行き、秋には山に行き、冬には温泉に行き・・・。もしもあなたがたが倦怠期にさしかかった夫婦だったら、こんな夫婦愛のかけらでもいいから煎じて飲んでみてはいかがか。

■忠誠心というものについて考えてみた。殿様のために、幕府のために、帝のために。たとえ自分の主義主張がそれに反するものだったとしても、その国に、その藩に、その土地に生まれたからには、ほんの少しでも上に立つ者のお役に立たねばならない。

■彼らに「死になさい」と言われれば、それはそれで名誉と思い、喜んで腹を切るという自尊心。それは侍の社会がやがてまもなく終息した後も、この国の精神の奥底に依然として残ったままで、今から70年前まで続いた。

■その理不尽さを全否定する気持に変わりはないが、あそこで武市が見せた武士のたたずまいとか、その言葉遣いの美しさとか、礼儀に則った立ち振る舞いに強く惹かれる。特に牢番・小市慢太郎に対する凛とした別れの挨拶には涙腺が緩んだ。

■そんな自己犠牲やら、武士道精神やら、様々な伝統で塗り込められた社会構造を一変させてしまいたいと願うのが坂本龍馬。日本を洗濯するという表現はまさに今夜あたりはタイムリーな表現なのだが、こびりついた垢が悪性のものか良性のものかを見抜く選択(洗濯)眼もまた大事だ。

■今年の大河、全体を4部構成に分け、主人公の成長を表現する方法をとっているのだが、これはずいぶんと物語にメリハリをつけていると思う。第1部から第2部、第2部から第3部と段階を踏んで、龍馬もその周辺の人物たちも変化していくという見せ方はのんべんだらりと進行していく話に比べてかなり効果的だと思う。

■第3部の予告編を見て、高杉晋作役の伊勢谷友介のかっこよさに見とれる。白洲次郎の好演の印象はまだ強いが、同じディレクター、同じカメラで早くもNHKに再登場。あの散切り頭のかっこよさは何?龍馬とはソウルメイトということだが、わたしはきっと彼にずっと見とれると思う。できれば第3部以降は晋作伝に変更してもらってもいっこうに構わない。





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Last updated  2010/07/11 09:13:58 PM
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Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…
Mr.Zoku@ Re:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) 今年出た[Deluxe Edition]は聴かれました…

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