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2015年06月16日
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カテゴリ: 漫画・アニメ





電子書籍無料版およびレンタルにて、全8巻 読了。


随分、昔から活躍している漫画家さん (1967年デビュー)だが、何故か私は、お名前すら聞いたことがなかった。 いわゆるレディコミ誌の走りである 『YOU』 (1980年~)など、主にその分野で描いてきた作家さんのようだ。

略歴を見て少し驚いたのは、1971年に放送され、当時はかなり人気を博した森田健作 (現 千葉県知事) 主演のテレビドラマ 『おれは男だ!』 の原作者なんだそうだ (古いっ!)。


最近は割と何でも読むようになったが、私が過去、余りレディコミに興味が持てなかったのは、内容だけでなく、作画が物足りないイメージが強かったせいでもある。

ヘタというわけではないし、背景、人物の表情など、これ以上ないってほど、分かり易く描かれているのだが、その 「分かり易さ」 が、なんちゅうか、余りに分かり易過ぎて、テンションがあがらなかった。


そもそも、創刊当初のレディコミ誌は、漫画オタクではなく 「フツーの主婦」 らをターゲットにしていたと思われ、むしろ、余計な装飾や 複雑なコマ割り、絵的な心理描写を排し、誰にでも分かり易い作画・構成を目指したのだろう。 「小説は疲れる、ドラマは性描写がソフトで刺激が足りない」 という筋からの需要であって、欲求を満たす水準であれば、漫画である必然性は無い。


勿論、今になって色々読んでみると、森本梢子さん( 『ごくせん』 ほか) のように、飾り気ない絵柄そのものに魅力があり、自由度の高いレディコミ誌だからこその、名作を生んだ作家さんも沢山いることが分かってきたが。


津雲むつみさん自身は、昼ドラ化されている作品がいくつかある (『風の輪舞』、『花衣夢衣』 等) ように、漫画家以前に、メロドラマ作家と呼ぶに相応しい感じだ。


タイトル作は、明治時代の華族の女学生2人の それぞれの人生を描いたもので、恋愛の行方や、次々と畳み掛けるように起こる試練や不幸に、読んでいる間は先が気になるが、結末が分かってしまえば、読み返したいとまでは思えない。


大体、今どき、ここまでクドく 「男尊女卑」 を描くメロドラマを、積極的に読みたがる人がいるんだろうか。 Amazon のレビューに 「ろくでもない男を描かせたら、この人の右に出る人はいない」 という感想があったが、当時としては 「モダンで前向き」 な設定の女性も、なんだかんだと男に翻弄される描写ばかりが目立つ。

勿論、明治時代はそれが当然だった、ってのは重々承知してるが、 「女が自立する」 のが簡単にいかない時代だと分かってるだけに、「救い」 がない。

男尊女卑の風潮がまだ露骨に残っていた昭和の時代なら、ヒロイン達に感情移入 (同情) できる読者も多かったかもしれないが、今の若い読者 (漫画を読む世代) には、不条理な展開や、後味が良いとは言えない結末に、終始イライラさせられるだけなんじゃなかろうか。


そもそも、 「女の一代記」 ほど、読後 (視聴後) 虚しくなるものはない。


10年ほど前に 『おしん』 (1983~84年) を再放送で観た (リアルタイムで観てなかった) とき、苦労の末に富を手に入れても尚、不満たらたらのおしんの老後を見て、「人生って、こんなものか」 と、つくづく虚しくなったことを思い出した。

モーパッサンの 『女の一生』 (1883年) は言うまでもなく、少女向けの 『赤毛のアン』 シリーズ (1908~21年) さえも、読後はどんよりした気分になったものだ。


物語中の女性が若く美しいうちは、仮に不幸でも、根拠もなく希望を持って読めるが、トシとるにつれて、余計なしがらみばかり増えて、自分の意思だけでは道を切り開けなくなっていく様が、リアルに描かれるほど直視し難い。


大体、ハッピーエンドって何なのか。 童話や少女漫画では、恋愛成就や結婚でハッピーエンド …となることが多いが、 「いつまでも幸せに暮らす」 なんてのは、実際には有り得ない。


「大恋愛の末、優しいイケメンと結婚。 健康で優秀な子供が 2~3人。 楽しく子育てしながらキャリアも極める。 舅・姑との関係は良好、介護生活無し。夫は死ぬまで妻一筋。 最期は、親孝行な子や孫に見守られながら 老衰で安らかに息を引き取る」

…とか、そこまでいけば ハッピーエンドと言ってよいかもしれんが、ラブラブな夫と死に別れる時点で本人はハッピーではないだろうし、幸福なほど現世に未練が残るかもしれない。 大体、順風満帆な人ほど、小さいことで不満や挫折感を抱えたりもするものだ。


どんなにドラマチックな人生も、 「結局、最期は死んで終わり」 …だと言ってしまうと、身も蓋もないが、逆に、どんなにツラい人生も 「死の前では、皆、平等」 と思えば、耐えられるというものだ。


…なんか、話がヘンな方向に行ってしまったが。





<関連日記>
2015.2.9. ドラマとはちょっと違うキャラの魅力、スッキリした結末 ・・・ 森本梢子 『 ごくせん 』












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最終更新日  2016年10月10日 23時05分10秒
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