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各オーケストラなどの来シーズンの予定が公表される時期になりましたが、新国立劇場の来シーズンの予定も発表されました。 ですが、ねぇ.......うーん。毎年あれこれ言いたいことはあるのですが..... まず、今年は目玉として「タンホイザー」と「アイーダ」を持って来ている。いやまぁそれはいいんですが、でも、正直、この二つって確かに大曲ではあるし、人気もあるのは分かるけど、それほど鳴り物入りでやるような演目か? 先に言ってしまうと、どうも勝手に一人ではしゃいでるような感じがあるのですよね。 例えば、タンホイザーにしても、指揮は最近活躍中だというドイツの指揮者。それはまぁいいけれど、この公演を「10周年記念フェスティヴァル」と称してやるくらいなら、何故今年から芸術監督に就任する若杉弘に委ねない? もう一つの鳴り物入りの「アイーダ」も、キャスティングが「悪い」とは言わないけれど、そんなに凄いか? で、この二つの公演について、従来より高い料金が設定されているんですね。今シーズンの新国立劇場は、大劇場のオペラ公演の場合、通常はS席は21,000円。例えば今度やる「ばらの騎士」のような大演目に限り、1割高の23,100円の設定。ところが、来シーズンのアイーダは約4割増しの28,350円。タンホイザーも26,250円。更に、S席が23,100円設定の公演も増えて、全般的に値上げになっているといっていいでしょう。 正直、このキャストで、新国立劇場で、アイーダで、この値段だったらパスかなぁ。この数年は、行けないこともあるにせよ、ほぼ全演目抑えてきましたが、この内容だったらアイーダとかは買えなきゃ行かなくてもいいなぁ。タンホイザーは観てみたいけど..... まぁ、そう言いながら、結局全部買っちゃうんでしょうけど。 新国立劇場はどうなってしまうんでしょうね? 新国立劇場がそう言っているわけではないけれど、やはり補助金等絞られる傾向にあるのかとは思います。だから、いろいろ策を練る必要があるのは分かるんですけど、例えばこの値段なら、ちょっとした来日ものが買えたりしますしね。これはどうだろうなぁ....尚更お客が減るんじゃないかなぁ。 個人的には、どうしても見逃せないのは、シーズン最後の椿姫かなぁ。エレーナ・モシュクはこの間チューリッヒに行った時に聞きましたが、良かったです。だからこれは聞きたい。後は.....まぁ、懐と予定次第? ツィンマーマンの「軍人たち」は、若杉弘の指揮でもあるし、聞きたいかな。後は、タンホイザーさえ観られれば、後悔しないような気が。 今年はいろいろあるので海外に行くのは控えようと思ってるのになぁ......ぶつぶつ。
2007年01月30日
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すみだトリフォニーホール 15:00~ 3階右翼 シューマン 交響曲第4番 op.120 (初演版) ベートーヴェン バレエ音楽「プロメテウスの創造物」 op.43 指揮:フランス・ブリュッヘン 順序が前後しますが、土曜日に聞いた公演です。 ブリュッヘンだぁ!というわけで、演目未定の段階で行くことを決めていたのですが、蓋を開けてみるとシューマンとベートーヴェン。しかも「プロメテウスの創造物」........えーとー.........あれ?そういうことなの? 期待値としては、もっと古典的な曲をあってくれるかな、というところだったのですが。サントリーではモーツァルトだとか。まぁ、も一つ買ってある3日の方は、ハイドンとベートーヴェンなので、ちゃんとこちらが聞ければいいかなと。 というのはそれとして、実際聞いた内容はなかなか面白かったですね。 いわゆる対向配置で、一番後ろにコントラバスを置くスタイル。コントラバス6本、チェロが確か7本、ヴァイオリンは、ちゃんと数えはしませんでしたが、多分12本、大体そのくらいの編成。この演目からすれば、まぁ「大体そのくらい」という規模のオーケストラ。 これを、平生のこのオーケストラには似合わず、終始抑え気味にコントロールしたブリュッヘンの指揮でした。ただ、正面を向いたコントラバスの音はかなり響いていて、低音が結果的に前面に出てきた演奏でしたでしょうか。 お客さんの反応は、よくありがちな「熱狂」とはちょっと違った風。ただ、いい演奏だったと思います。 前半がシューマンの交響曲。初演版とのことですが、この曲にそう詳しくない私は、どこがどう、というのはよく分かりませんので...... ただ、抑制された、well controled 新日フィルというのは、なかなか魅力的ですね。おそらくこういうのは、このオケの魅力じゃないや!というご意見はあるのでしょうが、弦楽もかなり整理されて、非常にいい響きでした。まぁ、確かに、こういう音楽は少し疲れてしまう、というのはあるかも知れません。たまには、オーケストラの為にも、こういうのいいんじゃないかな? 後半のベートーヴェンの方が、むしろのびのびとした演奏でありました。まぁ、弦楽主体(管も鳴るけど弦が命)のシューマンよりは、より華やかな?舞踊性もあるバレエ音楽の方がねぇ。 楽しめましたが、正直なところ、「音楽として」おお!これがブリュッヘンか!というのを受け取ってきたか、というと、うーむ。ブリュッヘンという人の「音楽の作り方」というのか、指揮の方向性とか、そういうものは確かによく見えたのだけど、こちらの期待値とのギャップなのか。 ただ、確かに、端正な音楽をやるんだな、というのはよく分かりました。シューマンの交響曲など、うっかりするとわぁっとやって勢いで行っちゃうような演奏もありますけど、今回の演奏は、そういうのとは全く違う行き方だったのだと思います。構造が見える、みたいなのとは違うかも知れないけど、「ああ、こういう曲だったね、確かに」と感じさせられる部分が多かった。そんな印象です。 3日、行けるかな.....大丈夫かな.....(どきどき)
2007年01月29日
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オーチャードホール 15:00~ 3階中央 ミミ:砂川涼子 ロドルフォ:村上敏明 マルチェッロ:堀内康雄 ムゼッタ:高橋薫子 東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:園田隆一郎 いやまぁこのblogの今の趣旨からして、コンサート行かなきゃ更新しないのは理に適っているんですが、それにしても書いてないですね自分。いや申し訳ない。まぁ本家も更新してないし...... おいおいどうしちゃったんだい藤原は?という感じ。まず、冒頭から、ロドルフォが「聞こえない」。いやまぁ、オーチャードの3階だから、あまりよく聞こえる場所ではないのですが、それにしても。経験則上、東京文化会館の正面寄りとオーチャードホールでは、遠く感じられても遠いなりの聞こえ方があって、聞こえないという感じ方はあまりしないのですが、このロドルフォは「おいおいどうしちゃったんだい?」というくらいの声。で、それをカバーしようと頑張ってるのか、声が明らかに固い。これではボエームは楽しくないよね。下では聞こえていた可能性を否定はしませんが............ちょっとねぇ。アリアも頑張ってはいましたが、これはちょっと。 ミミも、あれあれ?という感じ。テノールほどではないですが、砂川涼子、声はそんなに出ないわけでも無い筈なのに? 1幕幕切れ、舞台裏に引っ込んだ後、重唱で高く長く伸ばす最後は、ぶつ切り。 このままいけば酷評で終わるところですが、まぁ正直贔屓目もあるにせよ、そうならなかったのが救い。 まずは合唱。藤原のフルサイズの合唱を聞くのは久し振りですが、2幕の群集、やってくれました。見た目以上の迫力。ただ声が出るだけでなく、適度な混沌とした雰囲気と熱気を見事に表出。こんなとこ褒めてどうするんだ、という話はあるのですが、ここでの力強い合唱と、演出と相俟って、場内を一気に「カルチェ・ラタン感」に引き込んでくれました。藤原歌劇団の面目躍如。正直、これでますかなり救われた。 そして、本日お目当てだった高橋薫子のムゼッタですが、これがやはりお見事。主役級の存在感で、思いっきりミミを食ってました。まぁそうだよなぁ、この出来じゃぁ。ムゼッタのワルツは、「これぞソプラノのアリア」という感じの、適度な技巧と見事な歌い回し、艶のある声、そして十分な声量(いやだってこの人ホントは声量勝負の人じゃないですよ?)。 で、これに触発されたか、ミミが重ねて歌うところで意地のフォルティッシモ。あのさぁ、最初からそういう風に歌いなさいよ(苦笑)いや、本当に、この「ムゼッタのワルツ」、主役級に対するお見事な喝となりました。 休憩を挟んでの3幕以降は、主役級カップルが多少持ち直したのと、ムゼッタ=マルチェッロ組の踏ん張りがあって、なんとかなったという感じ。公平に言って、後半のミミは結構持ち直しましたけどね。ロドルフォも、多少は。でも、ロドルフォは声量面ではやはり届かないし、余裕も無し。 ムゼッタは、後は殆ど歌い場はないのですが、3幕の幕切れ、マルチェッロと喧嘩別れするところもまぁ良かったのですが、幕切れへ向けての演技は実に見事。喧嘩別れして、放り出された靴を眺め何を想うか。そしてミミとロドルフォは連れ立って舞台を去り、一人残ったムゼッタは、舞台奥の暗がりへ静かに向かって行く、内に幕。30秒ほどは客席に背中を向けて、表情は一切見せず。ただ、背を見せて、やや丸め気味に、去って行く。 演技って言うのはね、こういうのを言うんですよ。更に言えば、こんな風に、ちゃんと歌って初めて演技になる。歌えもしないのに小細工してみたって、観客はしらけるだけです。 マルチェッロの堀内康雄は、声量はあるし、多少荒っぽいけど、今日はそれが却って全体としてはいい感じに仕上がりました。 それにしても、藤原はどうしてしまったのか?このキャスティングは如何に?まぁ、確かに、最近男声陣の弱さというのは感じるけれど、ねぇ。もうちょっと頑張って欲しいです。 指揮は、若手の園田隆一郎という人。経歴を見ましたが.......若手っちゅうより、殆ど学生じゃないの(笑)オペラの指揮は今回が初めて、だそうですが、そもそもプロオーケストラ振ったことあるのかこの人(^^; ですので、あまりとやかく言っても仕方ないですが、そういうことを割り引かなくても悪くなかったですよ。「ちゃんとした指揮」ですね。割り引いたら「お見事」って言ってあげるのは、甘すぎかな?ただ、明らかにタメを作っていたり、リタルダントする部分があって、それが気になるといえば気になります。個人的には、こういうのは分かるようにやらない方がいいんじゃないかと思うので。 でも、そうした「演出」しているところは、決して「なんでそこで?」というような箇所じゃなくて、納得出来る箇所ではあったし、おかしくはなかった。基本的には安全運転に終始していた風なので、何とも言えませんが、ともあれちゃんと出来ました、ってところでしょうか。 最近聞かされる日本の若手は、妙にこねくったりして、変な自己主張をしたがる人が多くて、それがあまり音楽的に納得行くものではないと感じているので、その意味では好感は持ちました。まぁ、今後、もっと余裕も出て行くにつれ、いろいろやりたくなるんでしょうが、その辺も含めてどうなって行くのか。少なくとも眺めて行くだけのことはあると思います。 演出は、いわばオーソドックスなスタイルで、特別新しい発見は無いと言えば無い。 ただ、だから駄目だし、新演出にする意味も無い、というわけではない。ボエームは、1990年代に藤原が何度か載せた演目で、藤原としては久し振りだけれど、演出は変えた。今、財政的にも苦しい筈の藤原で、そんな余裕があるのか?と思いはするのだけれど、この演出は少なくともそれだけの価値はあったと思います。 演出家によると、佐伯祐三という、言ってみれば若くして結果パリに沈んでいった画家の絵を基点に、舞台全体を彼の描いたパリの世界に構成していったのだそうです。私はこの人の絵を、仮に何処かで見ていてもそうと覚えてはいないので、その意図が成功しているのかどうかは分かりません。ただ、この演出で描かれたパリは、将に絵画のようなところがあって、その雰囲気は、凡百の演出が描くパリと明らかに違う。建物の壁には落書きが踊り、壁や窓は歪む。けれども、このパリは実に雄弁で、書割の街、デザインやイラストとしての街と違う。月並みな言い方だけれど、息遣いが感じられるのです。 言えば、借り物の世界観ということかも知れません。けれど、そうしたものをきちんと受け取り、舞台に表現してみせる、それ自体が十分魅力的である、ということは、たとえ奇抜な解釈というものが無くても、オペラというものはまだまだ可能性を持っているのだ、ということなのだろうと思います。 .....えー、歌手さえちゃんとしてれば、だけど。
2007年01月28日
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観世能楽堂 研究会別会 11:00~ 今週はコンサートは一個も無し。まぁ、いつも通ってるからたまにはいいかな? で、友人のつてがあって、能を観て来ました。能・狂言の能。能楽。 演目はこちら 21日のとこです。 能楽は初めて観ました。歌舞伎は年に1回くらいは大体行ってますけど、能楽は縁も無かったし、何処でいつやってるかの情報も、ある程度自分で求めて行かないと分かんないし、ねぇ。 で、感想ですが、結構面白かったですよ。 確かに、退屈と言えば退屈ですね。長いし、地の科白は多少分かるけど、謡曲とかはもう何を歌っているのか聞き取れないのが多いし。 とはいえ、それを言えば、オペラだって何歌ってるか理解しているかと言われれば、ねぇ。 でも、オペラの場合、どう言えばいいんでしょ、「分かる」んですよね。言葉が分かるとかではなくて、どういう音楽で、どういう筋で、何処で何をやっていて、何処が見所で、聞き所か、みたいなことも含めて。それは、慣れもあると思うのだけど、やはり自分の中で「文法」みたいなものが分かってるんですね。「こうだからこう」というようなことが分かっている。 そのへんの感覚が、能楽に関しては、どうも無いんですね。よく分からない。音楽も確かに凄そうだし、所作も洗練されてそうなのだけど、その音楽なり所作なりが、何処で何をどう表現しているのか、この表現が何を意味するのか、そういう基本的なところがよく分からない。これは多分感性なんかではどうしようもないものだと思います。何分にも、自分の中で取っ掛かりとして引用してこられるもの、素養とかが見当たらない。こうなると、ちょっと「分からない」としか言いようが無いんですね。 まぁつまりは慣れの問題であり、無知故の問題なのですがね。こういう場合、人は「予習」したくなるんでしょうね。 で、一方、能楽の合間にやる狂言は、そういう面では少なくとも今回はかなり分かりやすかったです。殆ど現代語に近い言葉で、まぁ精々が時代劇並みなので、言ってることは分かるし、演技も、話の進行もよく分かる。こうなると十分楽しめます。狂言はコミカルな面もあって面白いし。 自分も昔オペラを観始めた頃は、色々観たり読んだりして、結構「勉強」して感覚を身に付けたんだろうなと思うのだけど、さて、今からそういうの付けるほどのパワーがあるかなぁ....... いろいろ分かると結構面白そうなんですけどね。
2007年01月21日
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東京文化会館 16:00~ 2階左翼 指揮:ファブリツィオ・マリア・カルミナーティ ディミトラ・テオドッシュウ (アンナ・ボレーナ : soprano) リッカルド・ザネッラート (エンリーコ8世 : bass) ニディア・パラチオス (ジョヴァンナ・セイモー : mezzo-soprano) ジャンルーカ・パゾリーニ (リッカルド・ペルシー卿 : tenor) 他 今年初のコンサート、といっても海外で聞いてきたので、国内で初ですが、は、ドニゼッティのルチアとアンナ・ボレーナを持ってきた、北イタリアのベルガモの歌劇場の公演です。本当は先週ルチアを聞くつもりだったのですが、体調不良で果たせず......まだ本調子じゃないんですけどね。 で、感想は、「ああ、アンナ・ボレーナって舞台で観るとこういう風になるのね」というところでしょうか。例によって辛口ですが、止むを得ないかなぁ。まだ、正月にあれこれ聞いたのが頭に残ってるし。ちゃんと演奏してるけど、それ以上では........ルチアを聞けてれば、また別の感想もあるかも知れませんが。 ディミトラ・テオドッシュウ。まぁ、聞きゃ聞いたで楽しいんですけどね。 意地の悪い事を言いますが、日本では「日本で特に人気(=評価)の高い歌手」というのがどうしても出てきます。特に、最近は来日公演があれこれ増えているので、結構皆さん自信を持って「この人がいい」と仰るようになりましたが、実は「よく来る人」がこの種の歌手になりがちなのですね。 例えば、バルトリやデッセーのように、あまり来ないけど人気・評価が高い歌手もいれば、サバティーニのように、割合よく来るし人気も高い歌手もいます。で、よく来る歌手の中には、演奏効果が上がるから人気も評価も異様に高くなる歌手がいます。テノールで言えばジャコミーニ。でも、この人、この10年くらいの歌唱は、確かに声は大きかったけど、歌のフォルムが崩れていて、それを補うために歌を崩し、高音やいわゆる「聞かせ所」で声を張り上げて拍手を取る風だった。あのねぇ、歌うのを半ば諦めて、ここ一番「だけ」に賭ければ、そりゃぁでかい声くらい出るって。でも、それは、もはや「音楽」じゃないんじゃないの? で、テオドッシュウ。ええと、そこまで酷くはないんですけどね....... ただ、今回は、あからさまに声をセーブした歌い方でありました。1幕、とにかく声が小さい。やや集中力を欠いているような感じで、どうもあまり楽しくないなぁと。それが、幕切れの聞かせ所で、一気に音高、声量共に大爆発。観衆大騒ぎ。 ハイ。確かにお見事でしたね。でもさ。あなた、そこに至るまでの重唱の所、そこまでの30秒(1分?)くらい、じぇんじぇん歌ってなかったでしょ。いや、まぁ、そりゃ、そういう処理の仕方はありますよ。トロヴァトーレでの3幕幕切れのマンリーコとかね。でも、あれは、アリアの最後なんだよね。しかも、そこでの最後の大爆発までの小爆発も、「歌って」なかったでしょ。歌詞、無かったよね。 俺は、好かん。仕方無いというのは分かるし、そういう処理がいけないと言い出したらきりが無いし、それはそれで見事だし。でも、さぁ。一応これはオペラで、筋もあるわけで、あまりにもこれはあからさまで節操が無さ過ぎるんではないかいな?失礼な言い方かも知れないが、テオドッシュウ、それを良しとするほどの歌手か?あれは、それでも「いい!」と言わせるほどの「大爆発」か? でもまあ、2幕はかなり取り戻しましたですね。特に、かなり声が戻ってきたか、こちらでの歌唱は相応に丁寧なものでした。声も1幕よりはスムーズに出てる感じだし。声量は、微妙ですね。今日は左翼といってもかなり端の方だったので、あまりよく聞こえないだろうというのはありますが、もうちょっと聞こえてきてほしい感じかなぁ。終幕の狂乱の場は、まずまず。弱音の所も良く聞こえてはいたし。ただ、説得力が、どうかなぁ。元々表現力に関しては少々田舎芝居臭い所のある人だし、その辺の力量がちょっと出てしまうというか........言葉はよくないですが、お里が知れるというところでしょうか。 決して「ダメ」ではないんですよ。このクラスの人は確かに日本ではいつでも聞けるわけじゃないんだし、後述するように疲れてて万全ではなかった可能性だってあるし、あまり厳しいことを言うのも野暮かも知れませんが、でも、やっぱり気になるのです。あんまり熱狂されちゃうとねぇ。世界は広いし、いい歌手は沢山いるよね。いい演奏だって沢山あるよね。と、つい思ってしまうのです。 丁寧で着実な歌唱、という意味では、まぁ一杯一杯でしたでしょうが、セイモー役のパラチオスがなかなかの好演でした。 男声陣は、概ね大過無く歌った、というところでしょうか。このへんは、あまり多くを求めても無理がある、というところでしょうし。テノール役のパゾリーニ、エンリーコ役のザネッラート、いずれも悪くはありませんでした。 ただ、全体に言うと、もう少しアンサンブルを丁寧にやって欲しいなぁ、という感じではあります。これは、聞いている場所が悪いというのもあるでしょうが、もう少し溶け合わせて欲しいのですね。ドニゼッティだしねぇ。 改めてみると、確かに東京文化会館というのはそれなりに広いので、そのへんもあって「会心の出来」とはいかなかったのかも知れません。そういえば、オーケストラも、決して小編成では無いのだけれど、頑張ってる割にもう一つだったし。アインザッツが合わないとかいうのは仕方無いにしても。ホルンも、もうちょっと小さく、外さずにやって欲しいし(苦笑) というか、皆さん、ちょっとお疲れだったのかしら?(^^; 見れば、10日から連日公演ですしね。まして12日はダブルヘッダー。そりゃぁウィーンあたりじゃ当たり前だけど、引越し公演で、ベルガモあたりの劇場のスタッフに歌手陣、少々しんどいかな?確かに、全体にそんな風はありましたね。くどいようだけど、席が悪いのでなんともですが、陣容の割に東京文化会館の広さを感じてしまったというのはあります。テオドッシュウは、1日置いてるから、とはいえ、どうなんだろう? 演出は、よくあるプチ象徴主義というか、お金が無いのでオーソドックス路線ながらアイディアで頑張ってみました風。これはまぁあまりどうこう言っても仕方ないでしょう。むしろ、分からないではない内容なので、よく頑張りました、でいいかなと。悪口じゃなくて、日本公演でお金稼いで次の新演出の何かで頑張ってねー、というところかな? あー、でも、今更だけど、やっぱり去年の年末の、ワルシャワ室内歌劇団のフィガロ、あれはよかったなぁ..........演目も違うし、較べてもしょうがないけど、ああいう形での何某かの「充実」を聞けると、それはそれで嬉しいのだけどなぁ。
2007年01月13日
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というわけで松の内も過ぎてしまいました。旧年中に昨年を振り返ったりしよーかなーとか思ったのだけれど、旅行に行っていたのでそれも結局ほったらかしなのでありました。 昨年は、勿論ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンもあったのだけど、のだめカンタービレ大ブレイクの年でもありました。未だにその余禄は残ってるんでしょうか。昨年末の第九でも感じたのだけれど、特に秋も後半になってから、N響のコンサートなんかで若い人の姿を従来よりも見掛ける様になりました。これも、のだめ効果、なんでしょうか。 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンも、目ざといというか、早速のだめとタイアップした企画を打ち出しましたが、しかし、さすがフランス人は手が早い(笑)まぁ、日本人のスタッフが目を付けたんでしょうけども。 そのラ・フォル・ジュルネについて、私の知人(まぁ文化活動関係の研究をしていると言っていいと思うのだけど)と年末に会った際に、知人の曰く、同じような企画をあるプロモーターに持ち込んだ事があるそうです。一回あたりのコンサートの時間を短くして、料金は安く抑えて、その代わり1日2公演で、後の方は20時くらいから始めて.......で、断られたそうですが、その時の理由の曰く「音楽家が音楽に集中するのは大変なんです。1日2度も公演するなんてあり得ません。」だったそうで。まぁ、理由の当否真偽はともかく、今となってみれば........でしょうか。 ラ・フォル・ジュルネの成功は明らかですし、このコンセプトを参考にしたような単発のコンサートも増えて来ています。朝日新聞が企画した「シエナ・ドリーム・ブラス」の一連のコンサートなどもありますし、東京のオペラの森関連企画でも、1コイン・コンサートなどの企画が出ています。 これは昨年に限った話ではないけれど、ここ最近の一連の動きというのは、いわばクラシック音楽に関する神話を解体する動きであるのだと思います。クラシック音楽というのはハイソな芸術で、とっつきにくくてお金も掛かって、というような神話の解体。 まぁ、これには、一方で、いわゆる「団塊の世代」の退職後の余暇活動を狙っての動きなどもあって、今の状況があるのだと思いますが、まぁ、ともあれ、こうした「クラシック音楽の客層を拡げる」というのが、これほど本気で商業ベースとして取り組まれているのは、今まで無かったのではないでしょうか。 個人的には、こういう方向に進んで行ってくれるのはいいなと思いますが、さて、どういう方向へ最終的には向かうのか。まぁ、その辺を引き続き楽しみにしていこうと思います。
2007年01月07日
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