ヴィーテ・イタリア高岡(Hiruccio)のイタリアワイン&主夫日記

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2008/02/02
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カテゴリ: 映画と読書

レパントの海戦


「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」
と続いた地中海歴史物三部作(?)の最後を飾るのが
この「レパントの海戦」です。


もちろん、「海の都の物語」の続編的に描かれた
世界ですから、この3部作の少なからず重要な
役割を演じているのが、ヴェネツィア共和国となり
ますが、特にこの「レパントの海戦」においては
主人公そのものといって良いでしょう。


歴史上、「スペイン王フェリペ二世率いる西欧連合
艦隊が無敵トルコをついに破った」といわれる
輝かしい勝利のその舞台表の攻防を詳細に、そして
おそらく、さらに詳細な舞台裏を描写しながら
「ヴェネツィア共和国の終わりの始まり」を
表現しているのでした。


良い悪いは別にして、戦争という大きなリスクを
冒す時には、必ずリターンというものが明確に
なければ意味がありません。


そして、レパントの海戦の勝利によってヴェネツィア
の払った代償に対するリターンは、その後70年の
平和を享受することでした。



また、その代償の大きさを代表するもののに
この海戦で戦死したヴェネツィア有数の
貴族の多さも印象的でした。


艦長クラスで戦死した十八名全員がヴェネツィア
一千年の歴史を彩った名家中の名家の貴族だった
ことは、この共和国を支配した貴族たちの健全な
考え方が繁栄しているように思えますが、そうで
あればあるほど、この事が、逆にその後の共和国
の衰退を早めてしまった、と見ることもできない
でもない・・・。


土地を所有することで上げることのできる収益で
金持ちになり、それで貴族ヅラできるその他
の国の貴族と違って、他国との交易のみによって
富をなし、(ヴェネツィアは小さな人口島ですから
土地なんかありません・・・)貴族となるヴェネ
ツィア貴族の為政面での健全性こそがこの極小国の
一千年もの歴史を支えたことは想像に難くありません
が、これも歴史の皮肉、いえ、これこそが人間の
歴史なのかもしれません。


この海戦以降、ヴェネツィアもそしてトルコも、
地中海貿易の重要度が大西洋に移ることによって
衰亡の一途を辿ることになります。


海戦を終えたヴェネツィアにコンスタンティノープル
から帰国したトルコ大使の元老院の演説が印象的で
あり、またカッコイイのです。

ちょっと長いですが引用します。


『国家の安定と永続は、軍事力によるものばかり
 ではない。

 他国が我々をどう思っているかの評価と、他国
 に対する毅然とした態度によることが多いもの
 である。

 ここ数年、トルコ人は、我々ヴェネツィアが
 結局は妥協に逃げるということを察知していた。

 それは我々の彼らへの態度が、礼をつくすという
 外交上の必要以上に、卑屈であったからである。

 ヴェネツィアは、トルコの弱点を指摘することを
 ひかえ、ヴェネツィアの有利を明示することを
 怠った。

 結果として、トルコ人本来の傲慢と尊大と横柄に
 止めをかけることができなくなり、彼らを、
 不合理な情熱に駆ることになってしまったのである。

 被征服民であり、下級の役人でしかないギリシャ人
 にもたせてよこした一片の通知だけでキプロスを
 獲得できると思わせた一事にいたっては、
 ヴェネツィア外交の恥を示すものでしかない 』


これは、戦勝に沸きあがる空気が充満していた
ヴェネツィア元老院での演説です。

(外交の本質が良く見える名演説ですね。現在の
 日本の外交を思わずにはおれないところです(^^;)


僕は、カルタゴを壊滅させたときにローマの滅亡に
思いを馳せたスキピオ・アフリカヌスや、V8を
達成した時に、チームの危機を憂いた
「侍ジャイアンツ」の川上監督を思い出しました(^^;)



レパントの海戦







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Last updated  2008/02/04 12:07:20 PM
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