ヴィーテ・イタリア高岡(Hiruccio)のイタリアワイン&主夫日記

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2008/10/30
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10月27日(月)は、本格的にワイナリーツアーを開始
する日であり、また「アスティの日」と定めていた
一日でした。


我々が宿泊しているのはアスティ県カネッリです。


ピエモンテツアーというとどうしてもバローロやバルバレスコ
のランゲ地方に注目が集まりますが、ジョルジョが強調する
までもなく、アグリトゥリズモの地元アスティのカネッリは
モスカート種の聖地であり、様々なスローフードの故郷でもあり
ますから、足元をしっかりと探索しようというのがこの日の
趣旨でありました。


っつうか・・・もちろんネッビオーロを見るとやはりメッカは
ランゲ地方ですけど、バルベーラと言う目下人気急上昇中の
品種に関しては、そのモダン化が起こったのはランゲではなく
アスティです。


それまで量産体制のみのバルベーラに質的なエッセンスを加えて
インターナショナルなマーケットに新風を巻き起こしたのです。


もちろんバローロ、バルバレスコの生産するバルベーラもその
気候的、土壌的、そしてメンタリティー的な関係からアスティの
バルベーラよりもボディーのしっかりとしたバルベーラワインを
産しますが、そのしなやかなボディーの作り手ではアスティの
方が優勢なのだと思います。


ということでその食材とワインという観点でアスティを見つめる
第一弾は、やはりチーズの生産地ということになるでしょう。


アグリランガ社は山羊乳のチーズ

ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ

の有力生産者で、アグリトゥリズモのジョルジョの友人でもあること
から、彼に同伴してもらって、飼育所兼生産現場を訪ねることに
したのです。


カネッリを南下すること約20分ぐらいでしょうか。南下する
とは言ってもモンフェッラートの高地を緩やかに登ったところに
アグリランガ社があります。ヴェージメという村です。


標高は、500~600mぐらいはあるでしょう。
もうこの高さでは葡萄の耕作は行われていませんでした。


最初に山羊の飼育小屋をのぞきに行きます。


ある種、絶妙な臭気が漂っています。
「私は、この匂いあかんわ!」とMさんは小屋を出られました。

獣臭と糞尿臭・・・当然です。

でも、僕はそういうのは厭いません(^^;)
大歓迎なのです。


ということで夢中でビデオ撮影をしましたが、写真撮影を
怠ったため、一枚も残っていません(^^;)
(kaoritalyさんを始め、参加者の皆さんお助けください^^;)


と、早速kaoritalyさんから助け舟!
ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノの山羊ちゃん


山羊の乳は、母乳にその成分が似ているため・・・とは言っても
昔はそういう事を感覚的に学んでいたわけですが・・・・、
お乳の出ないお母さんのおっぱいの代りをしていたようです。


日本ですとどうしても山羊のチーズというと「臭い」と
思われがちですが、このロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ
の10日間熟成を食べると、そのフレッシュな酸味と乳の
美味しさに目から鱗が落ちるはずです。

ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ


手前が10日熟成、後ろが3週間熟成です。


熟成を経るごとにだんだんと固形部分に「弛み」が出てきて
クリーミーさが濃厚になると同時にある種の「匂い」も加わり
ますが、その全体像は、ジョルジョの「高貴」という表現に
僕も同意したいと思います。


アグリランガのエンリーコは、ずけずけといかにも勝手気ままに
チーズを切り刻んでほとんど食べ放題のように僕達にサービスを
してくれるジョルジョを横目に、普段どおりの作業でチーズを
熟成庫に運搬したり、場所を移したりしています。


「世界で一番美味いチーズ!!」


真っ白な塊を口に運びながら、ジョルジョが心の底からそう
言っているのが分かります。味わうと言うよりも、次から次に
ほおばっていく、「ジャイアン」のような食べ方です(^^;)


ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ熟成庫の中1


熟成庫をのぞかせてもらうと、大小、形も様々なチーズが
横たわっていました。

色合いの差はあれ、最大で3ヶ月ほどの熟成チーズもあり
かなり表皮の形と大きさにその時間の片鱗が現れておりました。

ロビオーラ・ディ・ロッカヴェラーノ熟成庫2


このチーズは、スローフードが強調してもいますが
「クリュ」を楽しめるチーズなんですね。


つまり、山羊が食む牧草地の標高や畑の質に応じて
チーズも味わいを変え、それが比較的味に正直に出やすい
のだと。


今回はそういった比較テイスティングはできませんでしたが
実に面白い切り口であり、やはり植物であれ、動物であれ
自然を100%相手にしている食品には人間の官能に豊かな
感性を与えてくれるものなのだと納得します。


自然の恩恵を自然に察知していたのが古来からの農民の生活
何だと思いますが、それをあくまでも科学的アプローチで
広い世界からプレゼンテーションするのがスローフード協会。


もっともっとアピールしていきたいところですね。



さて、ちょっと急ぎ足でカネッリに戻り、ジョルジョを下ろして
今度は樽生産者である


ガンバ社

に向かいます。


ここはガイアの樽も作っていますし、前々からイタリアを
代表する樽生産者として訪問を希望していたところです。


運転手のネグロさんは行ったことがないといいます。
おまけに場所も分からないという・・・ねえねえ、住所とか
場所の情報送ってたやんか!?(^^;)


ということで、近づいたところで電話して場所の説明を
していただきながら到着します。



最初に事務所の一角で樽の素材についての簡単な
説明を受けました。


工房に入ると木材を切り刻む音や、樽の部品等を
打ち込む音でほとんど声が聞こえないためです。


実際、説明を聞いているところからもかなりうるさい
音がこちらに響いて来ました。


ガンバ家の跡取りであるマウロ・ガンバさんの奥さんが
担当して樽作りの現場についてお話をしてくださいました。


バリックのフレンチオークの生産地、材木の切り方や
熟成法、火の当て方や具体的な製造法を分かりやすい
スローなイタリア語で語ってくださいます。


説明を終えてから、工房に入っていくのですが、材木を
切る音や金槌などを打ちつける音が炸裂して、たちまち
聴覚を支配します。


樽工房ガンバ訪問1


ところどころで、「ここは撮影しないでね」というガンバ社
オリジナルの樽組み立て機がありましたが、それ以外は
フリーで撮影をさせていただきました。


バリックの木材を半分組み立てたところで、素材をくねらせる
ために「焼き」を入れます。


焼きを入れて、材木が柔らかくなったところで、片方の蓋の
ない状態の樽を作り、その状態でもう一度「焼き」を入れて
今度は、「ロースト香」をつけるための工程に入ります。


やはり、最近は、バシバシに焼きを入れてロースト香を
たっぷりつけるワインから、ほのかなロースト香をつける
ワインに変わってきているようですね。


「低温で長時間、約10時間ほど樽を焼きます。最近の
 傾向ですね。」


バリックの製造工程を見た後、今度は大樽の方です。

やはり成りがでかいので、その姿を見ているだけでワクワク
してきます。


樽工房ガンバ社訪問2


大樽とバリックの製造工程の違いは最初から最後までほとんど
違います。


バリックは小さいのと材質の違いから木の繊維に沿って
樽材を切る必要がありますが、大樽の方は大きいことも
あって、繊維に沿って「割る」作業は不可能です。


kaoritalyさんからの映像です!
樽工房ガンバにて。大樽の蓋部分



なのでのこぎりでギコギコと切ることになります。


樽材を曲げるのも、バリックのように「焼き」を入れるのでは
なく、熱湯の風呂につけて重石をして、材質を柔らかくしてから
更に機材で圧しをして完全に曲げるのです。


内側をローストするようなことも大樽はしません。


そして組立作業は、大人数で脚立などをつかってやるのも
バリックとは大きな違いです。

出来上がった樽にニスを塗るのは、美的にも美しくするのと
繊維に沿って切れない樽材からのワインの「漏れ」を防ぐ
二つの意味合いがあるそうです。


ここにも映像が不足していますが、最後に「チップス」も
見ることが出来ました。

つまり、バッタモンカリフォルニアワインをつくるとき
ワインに混ぜて「樽熟感」を出す「おがくず」ですね。


途中、赤ちゃんのところに戻らなければ!と昼食に帰られた
奥さんに代わって登場した若君マウロ氏が
アメリカやオーストラリアからのリクエストだと説明して
くれました。



「イタリアにはこうしたオークはないのか」
「イタリアでこうしたオークを生産するつもりはないのか」


といった質問が出ました。


イタリアのオークは「節」が多すぎるためにワイン熟成には
適しないこと。


またフランスでのオーク生産は歴史があり、信用も十二分に
あるので、「ピエモンテオークの森」を数世紀かけてつくり
あげるのは、あまりにも割に合わないとニコニコしながら
答えてくださいました。


詳しい内容はビデオ映像にたっぷりあるのが残念です(^^;)


ランチ時間を大幅に超えて、アスティの一日の半日が終えました。
ガンバ社の工房内も、すっかり静まり返っていました。





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Last updated  2008/11/10 06:18:37 AM
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