aituに乾杯

aituに乾杯

2017.06.09
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カテゴリ: 写文俳句


遊女の情より固き夾竹桃


あそびめのじょうよりかたききょうちくとう





竹の葉に 桃の花
いかにも毒々しい色気が漂う

得てして男は毒のある女に狂いやすい

白百合に恋した心など
この花の蕾の開く香気に
あっという間に虜にされる

毒は薬にもなるが 絶品の味ものにもなる
命をかけて食うものもいる

毒のある花は
雨の日は花びらを憐憫の色に濡らす
泣きくずれた女の背中を見せる
晴れた日にはふたつとない晴れやかな笑顔を見せる
夕暮れには
また逢いたいと しおらしく媚びて見せる
その細長い葉を両腕にして 首に回してくる
ぬらっとしたピンクの唇は
触れるか触れぬかの感触で首筋あたりをねぶってくる
もう立っていられなくなる

その時
頭に水が飛んできた
妻がホースで庭に水を撒いていた
「あっ ごめん そんな所にいたん?」
わざとらしく言う

夾竹桃の木陰のイスでうたた寝をしていた

毒は毒で制す
毒は妻が制す
よく似ている

夾竹桃の毒消しは嫉妬心なのかもしれない







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最終更新日  2017.06.14 00:17:48
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