aituに乾杯

aituに乾杯

2017.06.09
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カテゴリ: 写文俳句


落着かぬ日の傾きて鍵拾ふ




心だったり体だったり
存在だったり
合鍵には何かを許すものがある
全くの見知らぬ者に持たせることはない

子供が小さい頃
公園の砂場で遊んだ日
ついでに近くのスーパーで買い物をして帰った
帰ってから
妻が持って出た家の鍵のないことに気づいた
もう日が暮れかかっていた

とりあえず 今日遊んだ公園に行ってみた
妻とあちこち下ばかり向いて捜したが見つからない
ふっと見上げた砂場の滑り台の柱に
見たようなストラップがぶら下がっていた
その先には我家の鍵が付いていた

誰かが拾ってくれて 捜しに来た時を考え
そこに下げてくれたのだろう
うす暗くなった公園の砂場で
ふたりして大いに喜んだ
拾ってくれた人に感謝した


先日 道端で鍵を拾った
輪っかの錆具合から
昨日今日落とされたものではない
持ち主はもうとっくに新しい鍵を作っていることだろう

落とした方も 見つからなければ
しばらく落ち着かないもんだ
許した覚えのない者に合鍵をやるようなもんだ
拾った方も
他人の家を覗くようで落ち着かない
持っていることに気が引ける

もう捜しに来ることはないだろう
でも 近くのフェンスの柱にくくりつけてきた
遅ればせながらの恩返しである







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最終更新日  2017.06.09 13:15:31
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