偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2017.01.03
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カテゴリ: 和郎女作品展

第17回和郎女作品展

 わが偐家持美術館は元日から営業開始でありましたが、本日3日は新春企画第2弾として、第17回和郎女作品展をお届けすることといたします。
 この処、すっかり年1回というのが定着してしまった和郎女作品展でありますが、昨年の2月11日に続いての久々の作品展であります。
 では、ごゆるりとご覧下さいませ。
 <参考>過去の和郎女作品展は​ コチラ からどうぞ。

 今回出展の作品は、昨年暮れに智麻呂邸を訪問申し上げた際に、和郎女さんから頂戴したものだという、同邸に置かれていたものであります。
 毎年、若草読書会に参加者へのお土産としてお持ち下さる押し絵などの作品を撮影させていただいて「作品展」を開催していたのでありますから、今年も例年通りであるならば、それまで待って作品展を開催してもいいのでありますが、当偐家持美術館は元日より営業を始めてしまった関係で、トリあえず只今の手持ちの写真だけで作品展を開催させていただくこととしました。
 先ずは酉年ということで、「鶏」であります。

鶏by和郎女 (1) (鶏1)

鶏by和郎女 (2) (鶏2)

 万葉集では「鶏」は「とり」とも「かけ」とも呼んでいます。また、「家つ鳥」とか「庭つ鳥」とも呼んでいます。現在、我々がニワトリと呼ぶのは、この「庭つ鳥」がその語源なんでしょう。小生の印象に残っているフレーズは、天皇の妻問いの歌である巻13-3310の歌の中のこの一節でしょうか。
「野つ鳥 雉
(きぎし) はとよむ 家つ鳥 鶏 (かけ) も鳴く」
 雉と鶏が並んで詠われていますが、両者は生物分類上は共にキジ科の鳥でありますから、親戚みたいなものなんですな。

 では、「鶏」の万葉歌を2首ばかり掲載して置きます。

( あかとき ) と  ( かけ ) は鳴くなり よしゑやし ひとり ( ) る夜は 明けば明けぬとも
                                   (万葉集巻11-2800)

里中に 鳴くなる ( かけ ) の 呼び立てて いたくは泣かぬ  ( こも ) り妻はも
                                      (同巻11-2803)

 次は、昨年11月の読書会の折に、参加者へのお土産にとお持ち下さった干支のタペストリーであります。読書会参加者は、各自1点ずつ頂戴して持ち帰りましたが、下の写真はヤカモチ館長が自宅に持ち帰ったものです。
 この作品を制作するキッカケとなったのは、偶々「青い布」が沢山手に入り、これを何に使うかと思いあぐねていて、タペストリーにすれば面白いかも、と考え付いたことによるらしいのですが、いい着想です。
 ヤカモチなんかは何日考えても思いつかないことでしょうな。それ以前にヤカモチには「青い布」なんぞを入手するということがそもそもないことでありますから、このようなことで思いをめぐらすということは生じようもない(笑)。

和郎女さんの作品 干支のタペストリー (干支のタペストリー)

 次の「鶴亀松竹梅」も壁飾りタイプの作品。
 下に付けられた鈴に引っ掛けることによって何連でも縦に繋ぐことができるようになっている。

鶴亀松竹梅by和郎女 (1) (鶴亀松竹梅)

 上の「鶏」の万葉歌にならって、「鶴亀」と「松竹梅」の万葉歌も掲載して置くこととしましょう。亀の歌は、万葉集には短歌はなく長歌が2首あるきりなので、その部分抜粋としました。

  〇鶴亀の歌
草香江の 入江にあさる 蘆鶴の あなたづたづし 友なしにして
                        (大伴旅人 万葉集巻4-575)
若の浦に 潮満ち来れば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴き渡る
                          (山部赤人 同巻6-919)
・・くすしき亀も 新た代と 泉の川に 持ち越せる・・
                      (藤原宮の役民の歌 同巻1-50)
・・ちはやぶる 神にもな負ほせ 占部すゑ 亀もな焼きそ・・
                             (同巻16-3811)

  〇松竹梅の歌
一つ松 幾代か経ぬる 吹く風の 音の清きは 年深みかも
                         (市原王 同巻6-1042)
たまきはる 命は知らず 松が枝を 結ぶ心は 長くとそ思ふ
                         (大伴家持 同巻6-1043)
御園生の 竹の林に うぐひすは しば鳴きにしを 雪は降りつつ
                         (大伴家持 同巻19-4286)
我がやどの いささ群竹 吹く風の 音のかそけき この夕かも
                         (大伴家持 同巻19-4291)
春されば まづ咲くやどの 梅の花 ひとり見つつや 春日暮らさむ
                            (山上憶良 同巻5-818)
雪見れば いまだ冬なり しかすがに 春霞立ち 梅は散りつつ
                                (同巻10-1862)

 上の写真では、亀・鶴の順になっているが、正しくは鶴・亀の順なんでしょうか。
 これは簡単に入れ替えできるので、好きな順番にすればいいのであって、どれが正しいというものでは本来ないのでしょう。連ねてもよし、単体で飾ってもよし、であります。

鶴亀松竹梅by和郎女 (2) (同上・亀部分)

亀ハ萬年乃齢 (ヨワイ) を経、鶴も千代をや重ぬらん・・ (謡曲「鶴亀」より)

鶴亀松竹梅by和郎女 (3) (同上・鶴部分)

鶴亀松竹梅by和郎女 (4) (同上・松竹梅部分)

 上の「松竹梅部分」でありますが、鶴亀との関連で「松竹梅」と名付けましたが、松と梅は間違いなく絵の中にあるものの、よく見ると、竹のそれは何やらカエデの三裂葉のように見えて、竹・笹の葉には見えないから、松竹梅ではないのかも知れない。
 などということは、写真のキャプションを付けるに当って少し気になることではあるけれど、本来はどうでもいいこと。色や形の美しさ、それらが織りなす雰囲気を楽しめばいいことなのではあります。

 作品点数は少ないですが、お正月らしい作品なので、偐家持美術館新春特別企画第二弾として、本日の記事アップとなりました(笑)。
 以上です。本日もご来場・ご覧下さり、ありがとうございました。

<追記>先程、小万知さんから、小万知さんがお持ち帰りになった和郎女作のタペ
    ストリーは種類の異なるものなので、併せこれを展示してはどうかと、メ    ールでその写真を送って下さいました。
    よって、下記に追加掲載させていただきます。

尾長鶏・小万知氏撮影 (尾長鶏・小万知氏撮影)






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最終更新日  2019.08.11 10:29:10
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