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2008.02.04
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼フランスの薔薇11(マラルメ11)
批評家や出版社から冷たい言葉を浴びせられる詩人たち。彼らを待ち受ける運命は・・・。

第十一節
恋人たちよ、共有を主張する小人が、あなた方が仲良く相乗りしている馬の背に飛び乗ってくる!
やがて早瀬を飛び越えるとき、あなた方二人を水溜りに投げ込んで、
白かったあなた方を泥だらけの塊にして、泥水の中で泳がせる。

ここで話のテンポが変わります。フランス語も難解になり、最初の行を直訳すると、「恋人たちよ、彼は馬に飛び乗って三人乗りとなる。その分け前を持つもの!」となります。何のことかというと、仲の良い恋人のカップルに「彼」が割り込んでくるんですね。彼とは、どうやら「不運」のようです。では恋人たちは誰かということになりますが、惨めな姿になるわけですから、男のほうは詩人ですね。そして詩人の恋人といえば、詩の女神であるミューズではないかと思われます。

次の次の節でその「不運」が小人の骸骨であることがわかるんですが、せっかくミューズと楽しく詩作に興じているところへ、詩人を破滅へと追いやる「不運の小人」がやって来て、それまで作っていた詩をぐちゃぐちゃ(泥まみれ)にしてしまったのでしょう。それをコミカルに描いたのだと思います。

第十二節
彼のおかげで、もし恋人の男の方がラッパを吹けば、
子供たちはお尻のラッパにこぶしを当てて、ファンファーレの真似をして、
しつこい笑いで私たちのお腹をよじらせる。

ぐちゃぐちゃになった詩は、滑稽以外の何ものでもありません。男がラッパを吹くとは、自分の作った詩を読み上げることでしょうね。すると、子供たちからも馬鹿にされてしまいます。
と、書いたところで、訳の間違いに気づきました。二行目の動詞tordreは「ねじる」「(内臓に)よじれるような感じを与える」といった意味があるので「お腹をよじらせる」と訳したのですが、「私たち」は詩人のことでしたね。すると「しつこい笑いで(執拗に笑って)、私たち(の心)を痛めつける」としたほうが正しいようです。

第十三節
彼のおかげで、もし恋人の女のほうが、色あせた胸を
一輪の薔薇で程よく飾り、薔薇が胸の炎をよみがえらせれば、
呪われた花束の上によだれが光るだろう。
一方、詩人の霊感も「不運」の介入で色あせて、しぼんでしまいます。それを女神(恋人)の胸にたとえて、しぼんだ胸を一輪の薔薇、すなわち気の利いた一文で飾りますが、一度ぐちゃぐちゃになった詩は呪われた花束になり、気の利いた一文もよだれの一滴にすぎなくなってしまったかのようです。ここに出てくる薔薇は、ミューズの霊感によって得た詩文のことを言っているのだと思います。

第十四節
その小人の骸骨は、羽飾り付きのフェルトの帽子をかぶり、
長靴をはき、本物の腋毛のかわりに腋の下にミミズを生やしているので、
彼らにとってその骸骨は、稀有壮大な苦悩の無間地獄となる。

この節では「不運」がどのような姿をしているのかを説明していますね。身なりだけは童話に出てくる悪戯好きの妖精のようですが、腋毛がミミズであったり、骸骨であったり、いかにも不気味な姿に描かれています。骸骨は死神のように詩人の前に現れ、彼らを苦しめるのでしょう。

第十五節
気分を害されても、彼らはその悪人に挑みかからないが、
彼らの決闘用の長剣は、きしみながら、月光を追い、
月光は骸骨の骸(むくろ)に雪を降らせ、斜めに横切る。

詩作を「不運」に邪魔された詩人たちは、気分を害されます。実体を持たない「不運」ですから、切りかかるわけにはいきません。でも、心の中では怒りの刃が月光のごとく光りながら、骸骨を斜めに切りつけます。それを詩的に表現していますね。

第十六節
彼らは不運を罵る傲慢さもなく、落胆して、
骨をくちばしでつつかれても、反撃は物憂げ、
恨みの代わりに憎悪を募らせる。

詩作に失敗した詩人たちは落胆して、批判に対して反撃する気力も失せてしまいます。繊細なんでしょうね。「運命」を恨むよりも、自己嫌悪を募らせるのでしょうか。

第十七節
彼らは下手なバイオリン奏者の慰み者だ。
子供や売春婦からも馬鹿にされ、そして酒がなくなると踊りだす、
ぼろをまとった老人の群れにも笑われる。

第十二節で子供に笑われましたが、ここでは下手なバイオリン弾きや売春婦、そして、その日暮らしのような老人からも笑われる詩人の哀れな姿が浮かび上がります。

第十八節
施しや復讐をすることもできる詩人たちは、
消された神々の不幸については知らないので、
彼らのことを不愉快で知性がないと言う。

詩作に破れて意気消沈する詩人とは対照的に、大衆に受け入れられ意気軒昂としている詩人もいるようですね。「消された神々」とは、それぞれの詩人に付いていた詩の女神のことではないかと思われます。人気が出た詩人は有頂天になり、敗れた詩人たちをけなしたりします。弱者をいたぶる強者のように。次の節では、強者の弁が聞けます。

第十九節
「鎧で重くなった馬の駆け足で立ち去るよりも、
彼らだって、一つ一つの成功でもう十分だと思い、嵐の中、
泡を飛ばして疾駆する若い駿馬のように逃げることができるのだ」

ちょっと難解ですが、私には何かの詩評をもじって書いた台詞のように思われます。批判で深く傷つき、未練を残しながら重い足取りで歩むよりも、もう大詩人になる夢をあきらめ、批判の嵐の中、この世界を早く立ち去れと言っているように聞こえます。強者の弁は続きます。

第二十節
「私たちは祭りの勝者を、香を焚いて酔わせよう。
しかし彼ら、あの道化師たちはなぜ、止めてくれと叫びながら、
真っ赤なぼろきれをまとおうとしないのか!」

「祭りの勝者」とは、見下した表現としての「勝者」であると思います。自分の書いた詩が雑誌に掲載された若い詩人を「勝者」として祝ってやろう、という上から目線の言葉ではないでしょうか。それを証拠に「祭りの勝者」のことを「道化師」と侮り、真っ赤なぼろきれがお似合いだと蔑んでいますね。

第二十一節
人々がみな、彼らの顔に軽蔑のつばを吐いたとき、
何もできず、口ひげからぶつぶつと雷の念仏を漏らし、
その英雄たちは、他愛ない不安に嫌気がさして、

強者をはじめとする大衆側から蔑まれた詩人たちは、心に深い傷を負ったまま、発狂したように独り言を言うようになります。マラルメ自身も、狂気と自殺の一歩手前まで追い込まれたことがあることは昨日紹介しましたね。いわれなき批判により自信を失い、不安を募らせた詩人は、思い詰めてしまいます。

第二十二節
愚かにも街灯に首をくくりに行くのだ。

そしてとうとう、街灯に紐をかけて首吊り自殺してしまいます。

この自殺した詩人とは、ジェラール・ド・ネルヴァル(1808~1855年)のことです。当時は大事件として報じられ、この詩を読んだ人はだれもがネルヴァルのことを想起したんですね。

今日では象徴派や超自然派の先駆と目されるネルヴァルは、失恋などの強烈な心の痛手から立ち直れず、やがて精神に変調をきたして、入院。退院後も狂気の発作に見舞われながら創作活動を続けていましたが、冬の朝、パリの裏町の街灯で首吊り自殺しました。ネルヴァルの詩にも薔薇が出てきますので、後日ご紹介しましょう。

詩の創作の世界では、なんとも壮絶な戦いが繰り広げられていることがわかりますね。マラルメが主催する「火曜会」によく出入りしていた詩人ポール・ヴァレリーは、マラルメに対して次のように言っていたそうです。

「ある人はあなたを非難し、ある人はあなたを鼻先で笑う。あなたは人を苛立たせ、あなたは憐れまれる。新聞記者はあなたを物笑いの種にして、いとも簡単に世間を喜ばし、あなたの友人は頭を抱える・・・

だけどあなたは知っていますか、感じていますか? フランスのどのような村にも、あなたの詩やあなたのために身を裂かれてもいいと思っている若者が必ず一人は潜んでいることを。

あなたはその青年の誇りであり、神秘であり、悪の蜜なのです。その青年は、求めることも、理解することも、弁護することも難しい、あなたの詩が描く秘密の世界の中で、身も心も捧げた愛だけの中で、孤立して生きているのです」

このヴァレリーの言葉からも、マラルメもまた、大衆に蔑まれ、苦悶していた詩人の一人であったことがうかがえますね。しかし、マラルメにも転機が訪れます。それが『エロディアード』と『半獣神の午後』なのですが、それはまた明日以降、ご紹介することにいたしましょう。

クリスマスローズ(ニゲル)

早咲きの元祖クリスマスローズともいえるニゲルです。
(続く)





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最終更新日  2008.02.04 13:19:56
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Re:マラルメ11  
furafuran  さん
こんにちは。

ポール・ヴァレリーの言葉の中に、マラルメがどんなことを語っていたのかが、少しだけわかる気がします。美しい言葉と理想を掲げ、誰もが好むものと違い、避けて通りたい「悪」に光をあてるため、非難の対象になるけれど、暗黙の了解のもと集った人々以外のところでは、「悪」について理解するものも育つということでしょうか。事件をこのような形で描写することを選んだマラルメの「叫び」のような心のうちを思わずにいられません。

ニゲルはきのうのクリスマスローズよりもさらに、力強そうな立ち姿なのですね。きのうは植物たちも雪で寒い思いをしたのですね。 (2008.02.04 14:28:31)

Re[1]:マラルメ11(02/04)  
白山菊理姫  さん
furafuranさん
こんばんは。

>ポール・ヴァレリーの言葉の中に、マラルメがどんなことを語っていたのかが、少しだけわかる気がします。美しい言葉と理想を掲げ、誰もが好むものと違い、避けて通りたい「悪」に光をあてるため、非難の対象になるけれど、暗黙の了解のもと集った人々以外のところでは、「悪」について理解するものも育つということでしょうか。事件をこのような形で描写することを選んだマラルメの「叫び」のような心のうちを思わずにいられません。

マラルメは、詩人の苦悩をいろいろなイメージを導入しながら表現していますね。その詩は難解なパズルのように、実際にあった事件や、ボードレールやティボーデ、ネルヴァルの詩を下敷きにして、イメージを散りばめています。ただの美しい詩句で飾られているのではない、それこそ悪も醜もそのまま存在する詩を目指していたように思います。それもただ押し付けるのではなく、読者に考えさせ、謎解きをさせるという方式で詩を書いています。それによって読者も「育つ」のかもしれませんね。それを文学の進歩とみなしていたようです。

>ニゲルはきのうのクリスマスローズよりもさらに、力強そうな立ち姿なのですね。きのうは植物たちも雪で寒い思いをしたのですね。

寒さに強いクリスマスローズにとっても、さすがに昨日の雪は辛かったのではないかと思ってしまいますね。

ところでクリスマスローズの学術名であるヘルボラス・ニゲルのニゲルは「黒い」という意味で、なぜかなと調べたら、根が黒いからだそうです。ヘルボラスは「地獄」という意味であることを昨日紹介して、それが不毛の地に咲くからではないかと書きましたが、どうやら毒をもっているからのようです。
「黒い地獄」とは、クリスマスローズとは対極にあるような名前ですね。 (2008.02.04 21:14:31)

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