HANNAのファンタジー気分

HANNAのファンタジー気分

May 28, 2019
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『エンペラーといっしょ』 をみています。以前載っていたときも好きで、今回2度目なのにまた読みたくなる作品。最近は本屋さんで立ち読みできなくなったかわりに、スマホやネットで試し読みを時々しますが、続きを(買ってまで)読みたい、とか、繰り返し読みたい作品に巡り合うのは私的には珍しいです。

 ペットのネタはあふれているけど、この漫画は単に皇帝ペンギンを飼うというのとは、ちょっと違って、とてもいい。どこが違うんだろうと考えてみたら、
・ペンギンの出現が素敵ーー(ネタバレ)ある日、冷蔵庫に入っていた。
・ペンギンの風貌が素敵ーー絵では目がない。しゃべらない。
・ペンギンを秘密にしておくところが素敵ーー見せびらかさない。他人に言わない。

 で、これって、座敷童とかブラウニーとかの家付き妖精、またはコウモリやヤモリなど家につくと縁起のいい生き物(どちらも妖怪または神様ともいう)みたいな感じがしてきます。

 そう思ってみると、冷蔵庫から突然出てきたのも不思議ではありません。もちろん皇帝ペンギン=寒い南極だから冷蔵庫なんでしょうが、冷蔵庫はナマモノ(生き物に近い)が入っている密室(外から覗けない)であり、しかも現代の家庭の真ん中に位置する重要なもの(頻度は違えど家族全員がやってきて糧を得る)。そこに神様が宿っている、と。

 けれど不思議ではあるわけで、突如出現した皇帝ペンギンのエンペラーにどう反応するか、家族それぞれです。しかしこの物語ではペンギン自身に名前を選ばせ、しかもそれが尊敬に値する名(エンペラー)で、彼を並みのペットのように閉じ込めたりつないだりせず自由な居候のように扱います。
 それに対しエンペラーはエンペラーらしく尊大な感じなんですが、顔部分が真っ黒なので表情がないどころか、目も描かれていません。とがったクチバシであらわされる顔の向きで感情がうっすらわかります。しかし、概してデンと立っているだけで、一種置物や人形のようでもあります。これもまた、妖怪っぽいですね。

 主人公の女子高生香帆ちゃんは、エンペラーが人目に触れないように気を使っています。けれど別にみられるのが禁忌ではなく、友人や限られた人には目撃されたり紹介されたりします。見える人には見える、会える人は会える、そんなところも妖怪です。

 エンペラーは遠く(南極、海)からやってきたマレビト神のようにも思えます。家族はぬいぐるみみたいなエンペラーを自転車の荷台に乗せ、車に乗せして、海に連れて行って泳がせてやります。「放鳥だろ」と兄は言いますが、香帆ちゃんにはエンペラーが戻ってきてくれる自信がありました。我が家ならば居てくれる、と思ったのでしょう。

 いちばん印象に残る場面は、夏休みに行った父の実家のおばあちゃんです。エンペラーをすんなり受け入れたおばあちゃんは夜、二人きりのとき、置物のような彼に語り掛けるのです;

  あんた田舎は?  家族はおらんが?  --mato『エンペラーといっしょ』

 エンペラーには目もなく表情もないのですが、彼はじっと聞いて何らかのジェスチャーをしています。それが何という答えなのか、読者にもわからないのですが、このマレビトガミをなにげに思いやるおばあちゃん、すばらしいですね。

 というわけで、今日も無料連載を楽しむHANNAでした。





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Last updated  May 28, 2019 03:31:56 PM
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