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本作は前回のアカデミー作品賞にノミネートされた。作家であるカポーティを主人公として、作品を作る苦悩を映像化した。自己利益と嘘が自分を苦しめる姿が描かれる。殺人事件を取材する主人公。取材する中で事件が、本の題材として適切なことに気づき喜ぶ。取材する中で決めた題名は『冷血』。冷血なのは犯罪者と、だますことで自己利益を得るために行動するカポーティ。本の結末を容易に書けると考えていたが、裁判が長期化したことで、結末を書くことができず、冷血であり続けなければならなくなったカポーティ。自分を苦しめ、悩み続けた結果、死刑執行の場に主人公は居合わせることになる。犯罪者をだまし続けたこと、犯罪者の命を助けることができた可能性もあったが自己利益の確保にむけて行動したこと、冷血だった主人公が、作品の結末を書けることで冷血から解放されること、がラストシーンを見ている者を複雑な感情にさせる。数年間で6000ページの資料を集め、作品を描いたらしい。カポーティの最後の作品が『冷血』。『冷血』が、カポーティを大作家にしたが、アルコール中毒や薬物中毒になり亡くなってしまった。取材の過程が自分を苦しめ、冷血を書いた後も、自分を苦しめたに違いない。嘘は自分を苦しめることになる。作品を作る過程が特異だっただけに、興味深い作品だった。
2007年11月27日
糸井重里『あるとしか言えない』(集英社、1993年)かつて、ギミアブレイクという番組で、糸井重里を隊長とする徳川埋蔵金発掘プロジェクトを特集していた。赤城山に埋蔵金が埋められていると考えた発掘チームは、代々、発掘を続けていた水野家を除去し、家の下を4年間、掘り続けた。霊を弔うため僧侶を呼び、手掘り、パワーショベル、最先端探知機を用いて掘り続ける。雨の中も掘り続けるため、掘った穴に水がたまることもあった。それでも、掘り続けた。掘り続けた結果、赤土で埋められた大きな石垣が登場。石垣を除くと埋蔵金があるのでは、と視聴者を期待させたが、除くと出てきたのは、大きな岩。たくさんの岩をどけ続けた結果、行き止まりだった。全部で20個の岩。でてきたのは、茶碗のかけらと地下水。本書のエピローグで記されているように、埋蔵金が発見されても、どうなるかわからない。徳川埋蔵金は200兆円から20兆円とも言われ、国家予算を超えるものを見つけた場合、扱いによっては金相場の下落など世界経済に大きな影響を与える。見ていて、好奇心がくすぐられる感じで面白かった。発見されていたら、テレビを見る前に、ニュースになっているはずだが、なっていない。このことが、番組を見ていても埋蔵金は、でてこないだろうと思わせてしまい、ナレーションが埋蔵金発見に近づいていることを強調するのも、なんだか皮肉で番組のおもしろさを引き立たせていた。本書によれば、93年の1月3日、TBS系で2時30分の特別番組は視聴率21.7%。埋蔵金プロジェクトのように、好奇心や夢を膨らませるテレビ番組を見たい。
2007年11月19日
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