madorigaru-2

牡丹

庭を覆い尽くすように若葉が生い茂り初夏の息吹とともに　今年も牡丹が咲きました 父亡き後庭の手入れも　楽しませてくれた花々へのお礼肥えも怠り　今年は咲いてくれないかなと思っていました　 それなのに宝珠の形をした固い若緑の蕾が芽生えやがて細い紅色の筋が見え始めると心のつかえがとれたように何かホッとした気持ちが沸きました 大輪の牡丹がこぼれるように咲きその一片の花弁はまるでアインシュタインの舌のよう理数系にめっぽう強かった父をおふざけで「我が家のアインシュタイン」と呼んでいたことも懐かしく思い出されます　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　季節が巡ると忘れずに咲く花の命の不思議に人の命の儚さを重ね巡りゆく季節を飽かず眺めています