あま野球日記@大学野球

あま野球日記@大学野球

2009.07.19
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カテゴリ: 大学野球

その昔、野球を職業とする選手(プロ野球選手)は、現在のように子供たちの
「憧れの職業」ではなかった。いやそれどころか、野球が職業になることさえ
懐疑的に見ている人も多く、世間からは卑下して見られることも多かった。


今回、特集「職業野球選手になった頃」(第4回)で紹介する 三原脩 氏は、
創設当時の「職業野球」を懐疑的に見る急先鋒的な存在だった。


三原脩 氏。
巨人・西鉄・大洋・近鉄などの監督を歴任。高松中・丸亀中-早稲田大中退。


だが懐疑的だったにもかかわらず、プロ野球契約選手第一号になったのは、
なぜか三原だった。理由は早稲田大の選手時代に監督であった 市岡忠男
(当時、読売新聞社運動部部長)からの頼みだったから。市岡は全米軍が
来日するプランの仕掛け人の一人だった。


「今秋(1934年、昭和9年)、ベーブ・ルースなどのスター選手たちが全米軍と
して来日するため、対戦する全日本軍を急きょ作らなければならない。
(なぜ、私を勧誘するのですか? という三原の問いに)君の判は、社会に
対する信用状だ。その契約書が他の選手を勧誘する際の決め手となるからだ」


その言葉を聞き、職業野球の将来には疑問を残しつつも、三原はいわば
『名義貸し』のつもりで判を押し、契約選手第一号となった。その効果はテキメン。
当時、慶應義塾大が執拗にアプローチしていた京都商高の 沢村栄治
「あの三原さんも契約したのなら」 と、進路を変更してプロ入りを決めたという。


ただ、これはそのずっと後になるのだけど、三原は球団のありかたについて
現代でも教訓となる根本的な疑問を呈している(1947年、昭和22年頃)。
※要約すると、以下のとおり(と言っても、少し長くなるが)。


戦前・戦後を通じて独立会社の形態をとっていた巨人軍だったが、1947年頃
に資本的にも組織的にも読売新聞社の傘下に入ることとなった。


その途端、東京の一地方紙に過ぎなかった読売新聞を朝日新聞や毎日新聞に
並ぶ全国紙にするため、 巨人軍を拡販の宣伝道具として便利使いするように
なった。例えば、全国各地でオープン戦を開催し、その入場券を拡販の材料に
使ったりしていた。 


「自由と自立」を失った会社(球団)ほど、失速するのははやいもの。
巨人軍に限らず、そのような球団経営が続けば、日本のプロ野球に未来はない
と、三原は危機感を募らせた。


※当時、野球解説者だった 小西得郎 は専門紙『スポーツ・ジャーナル』でこう
書き、側面から三原を支援した。 
「現在の8球団中その6球団は新聞社と電車会社がこれを経営している。そして
それ等の会社が、その宣伝広告の一端として球団を手先に使い、利用せんと
するならば野球界の将来の大発展は到底望めるものではない」


(以上、『魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ』立石泰則著、小学館刊より一部を引用)

この記事は『ボクにとっての日本野球史』の中で、次の期に属します。
→ (第4期)1925年(大正14年)、東京六大学リーグが成立し、早慶戦が復活した時以降
→ (第5期) 1946年(昭和21年)、戦後、東京六大学リーグ・職業野球が復活した時以降


(第4期)に属する他の記事は以下のとおり。

◇  「ボクの日本野球史」  (2009.7.1) →  こちら へ。
「プロ野球、創設プラン」  (2009.7.5) →  こちら へ。
「職業野球選手の社会的地位」  (2009.7.8) →  こちら へ。
「米国遠征の夢と財布の中身」  (2009.7.9) →  こちら へ。


(第5期)に属する他の記事は以下のとおり。

◇  「ボクの日本野球史」  (2009.7.1) →  こちら へ。
「西本幸雄、職業野球選手になった頃」  (2009.7.18) →  こちら へ。
「関根潤三、職業野球選手になった頃」  (2009.7.18) →  こちら へ。
「豊田泰光、職業野球選手になった頃」  (2009.7.19) →  こちら へ。



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Last updated  2009.07.20 02:20:14
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