突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

PR

プロフィール

ふろぷしーもぷしー

ふろぷしーもぷしー

カレンダー

サイド自由欄



little_heart.gif


thumbnailリュキア伝説

リュキア伝説・本館

☆完結しました☆



rykia_contents.gif




鬼の棲む街バナー.gif



little_heart.gif






thumbnailレグルス王

真魚子さまの絵



thumbnailトキ

エメラルドeyesさんのブログ
『ねこマンサイ』
で紹介していただいた、
ふろぷしーもぷしーの過去日記
『迷い犬を保護してしまいました』2008.6.19~10.7



thumbnail鮎屋トキ

『いっしょに歩こう!』
2008.12~2009.1


キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

お気に入りブログ

甘い恋の魔法 5(※U… New! 千菊丸2151さん

小説 「scene clipp… マトリックスAさん

パンの日々 nako7447さん
道楽オヤジのお気楽… 車屋のオッサンさん
ゆっくりね ラブドルフィンさん

コメント新着

風とケーナ @ ご完結おめでとうございます.:*・☆ ふろぷしーさま、こんばんは♪ この度は、…
ふろぷしーもぷしー @ 千菊丸さま☆゚・*:.。. いつもありがとうございます☆ わずか一、…
2009.08.08
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 青空の下、広々とした草の海を、一直線に飛んでいった大きなブーメランが、ぎゅん、と大きくカーブを描いた。
 戻ってきたブーメランを、待ち受けていたサラマンダが捕らえようと両手を伸ばす。 が、あとわずかのところでブーメランはサラマンダの指先を掠め、後方へと飛び去っていった。 バランスを崩したサラマンダがもんどりうって地面にひっくり返ると、少し離れたところでそれを見物していたオーレスタが、両手をたたいて笑い転げた。
 「あっはっは! へたくそ!」
 そこからまた少し離れた宿舎の、入り口に腰を下ろして小型のブーメランを磨いていたアニルも、苦笑してサラマンダに声をかけた。
 「そんなにあたふた動き回らなくたっていいんだ、サラマンダ。 ブーメランは投げたところに自分で戻ってくるんだから、ちょろちょろしないで、ただ待ってればいいんだよ」
 真っ赤な顔で立ち上がったサラマンダが、地面に落ちたブーメランを拾い上げて答える。
 「わかってます。 ちょっとタイミングがつかめなかっただけですよ。 もう一度だ。 今度は失敗しないぞ」
 アンギラス老戦士に続いて、昨夜配置されてきたサラマンダ二等戦士は、まだうんと若い戦士だった。 一人前の戦力、と呼ぶにはまだ少し頼りないけれど、素直で、飲み込みが早い。 武芸訓練にも熱心で、根性もあるから、きっとすぐに有能な戦士に育ってくれるだろう。
 サラマンダの投げたブーメランが、再び、弧を描いて戻ってくる。

 「おっほほっほ! わしのほうが上達が早いようじゃの、サラマンダ」
 サラマンダが真っ赤になってアンギラスの手からブーメランを奪い返す。
 「もう! じゃましないでくださいよ。 やっとタイミングをつかみかけてきたところなんですから」
 「たしかに、それは飛び道具としてはずいぶんゆったりとしたスピードで飛び回るから、お前さんのように、すばしこい動きに慣れている若者の目には、逆に捕らえにくいものなのかもしれんな。 ま、何事も練習第一じゃよ」
 おっほほっほ、と笑って、宿舎に入ろうとしたアンギラスが、入り口でふと足を止め、ブーメランの手入れをするアニルを眺め下ろした。
 「・・・アニルよ、やっぱり行くのかえ?」
 アニルは、鈍く光るブーメランの表面を柔らかい皮で磨きながら、顔を上げすに答えた。
 「もちろん行くよ。 今日の祭りに行かせてくれって、さっきオーレスタ隊長に頼んで特別に許可をもらったんだ。 ・・・俺、夕べ、ベベルギアの夢を見てさ。 その夢の中でベベルギアに頼まれたんだよ。 今日の祭りにはアンタレスもきっと来るはずだから、やつを見つけ出して休憩所のご神木のところまで追い立ててきてくれって。 狩りの要領さ。 このブーメランを使えばできるから、ってね。 俺もそう思うよ。 ただ、そこに獲物を追いつめてベベルギアが何をしようとしているのか、それがわからないのが心配なんだけどね」
 聞きながら、アンギラスの表情がだんだん曇っていく。
 「決心は変わらんか。 ・・・ではせめてわしらもお前さんの手伝いに加えてくれんか? わしからカナヘビ軍曹に直接頼めば、オーレスタもいやとは言えんじゃろ。 何ならドーラ大佐に直接掛け合ってもいいんじゃぞ。 時間がなければ事後承諾でも、誰にも文句は言わせん。 わしとサラマンダとオーレスタと、4人いれば狩りもずいぶん効率がいいじゃろ? もう全員ブーメランもほぼ使いこなせるようになったし」
 アニルはブーメランから顔を上げ、はっきりと首を横に振った。

 アニルが、明るい草むらで笑い転げているオーレスタに目を向け、まぶしげに目を細めた。
 「それに、オーレスタは絶対そんな許可は出さないと思うよ。 オーレスタはもうここのりっぱな隊長だ。 子供のおもちゃだと馬鹿にしていた俺のブーメランも、安全で有効な武器として使えるとわかったらすぐに全員に同じものを作って練習を始めさせた。 たぶん、ベベルギアを案じる気持ちは俺と同じはずだけど、その情に流されてみんなでベベルギアを助けに行くようなことは決してしないと思う。 兵士一人の命より警備隊全体の使命を優先する、そういう非情さも、隊長としては重要な資質なんだろう。 俺に、今日の祭りに行く許可を出してくれたのが、きっとオーレスタにできる精一杯の温情なんだよね。 へらへらしてるようだけど、あいつもいつのまにか、いい隊長になった」
 それからアニルは、アンギラスを見上げてにっこり笑った。
 「大丈夫だってば。 俺、帰ってくるからさ。 心配しないで待ってて」
 それでも晴れない表情で、アンギラスが深々とため息をついた。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.08.08 14:22:44
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: