突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.10.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アルクトゥールスは、今度はベッドの足もとに這って行って、ベッドの下に転げ込んだ金貨に手を伸ばしながら笑った。

 「警備兵に捕まったら、どうなるの? ・・・首吊りの木に吊るされる?」
 おそるおそるたずねたアルデバランに、アルクトゥールスは、ベッドの下からようやく引っ張り出した金貨を袋の中にしまいこみながら、吹き出し笑いをして答えた。
 「へっ、競技場の警備兵なんて、あんなのろまなやつらには絶対捕まりゃしねえよ。 俺がそんなドジを踏むもんか。 ・・・おっ、あそこにもう2枚落ちてら!」
 アルクトゥールスは食器戸棚の前に飛んでいって転がっていた金貨を拾い、さらに、あっ、あそこにも、と叫んで台所の入り口に飛んでいった。
 アルデバランはため息をついて、テーブルの上の宝石袋を手に取り、美しい宝飾品の数々をひとつずつ、袋の中にしまい始めた。
 アルクトゥールスがテーブルに戻ってきて、今拾った3枚の金貨をアルデバランの前に置いた。
 「これはお前の小遣いだ。 何でも好きなものを買いな」

 「なあ、アルデバラン、こんなお飾りもんが、いったいなんの役に立つと思う? 何の役にも立ちゃしねえよ。 たしかに綺麗なものだが、ただそれだけのこった。 だが、そんな、役にたたねえ品物だって、こうして俺が盗めば金に変わるんだ。 生活に必要な、食い物や油や布が買える。 そうだろ? こんなもんは、盗まれてはじめて役に立つのよ。 こいつらは盗まれるためにあるのさ。 だからこんなに目立つようにぴかぴか光ってるんだ。 どうせ、こんなものを買うのは、金がありあまってるやつだよ。 一回、二回身につけたら、後は飽きて引き出しの奥にしまいこんで忘れちまうんだ。 そして、錆びちまうのさ。 それじゃ、こいつらだってつまらねえだろ? 盗まれたり売っ飛ばされたり買い取られたりして、いつまでもぴかぴか磨きたてられて、大事にされていたいだろうよ」
 「そうだね。 でも・・・」
 泥棒は、やっぱり、いけないことじゃないの?
 そう言いかけたアルデバランの言葉をさえぎって、アルクトゥールスが、小さな子どもをあやすように、ぽんぽんと肩をたたいて笑った。
 「心配することなんかねえんだよ、アルデバラン。 こんな高価なものを平気で身につけてしゃらしゃら歩いてるようなやつらは、こんなものをなくしたからってちっとも困りゃしねえんだ。 おそらく、なくなったのにも気がつきゃしねえだろう。 金のありあまってるやつが、金に困ってる俺たちのために、盗ませてくれるものだと思って、ありがたくいただいとけばいいのさ」
 上機嫌でまくし立てると、アルクトゥールスは金袋と宝石袋をいっしょに引き出しの奥にしまいこみ、さっさと寝巻きに着替えてベッドにもぐりこんだ。
 「あーあ、今日は良く働いた。 疲れたから俺もう寝るわ。 じゃおやすみ、アルデバラン」 
 本当に疲れていたのだろう。 その言葉の終わらないうちに兄はすとんと眠りに落ち、すぐに、いびきをかき始めた。
 アルデバランは、テーブルの上の白砂糖と3枚の金貨を見つめて長いこと考え込んでいたが、やがて、もう一度深いため息をつくと、散らかったテーブルの上を片付け、白砂糖の瓶と3枚の金貨を大切に戸棚の中にしまって、ランプを吹き消した。
 あの分では、兄は当分泥棒稼業を辞めるつもりはないようだ。 
 とはいうものの、アルクトゥールスの言うとおり、この3枚の金貨があれば、アルデバランの友達が全員、腹いっぱいの飯を食える。 あの白砂糖を使って、りんごの砂糖煮とか、ジャムを作っておいたら、食べるものがなくなって病気になった小さな子たちにも食べさせてやれる。 お金があれば、みんなを、飢えや病気から守ってやれるのだ。

 長い、一日だった。





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最終更新日  2009.10.19 19:30:01
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