突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.12.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 深い緑に覆われた魔法使いの森を、吹き抜ける風のように、シリウスは木から木へと飛び移っていた。 
 シリウスが目にも留まらぬ速さでまばたきをすると、どの木もいっせいに、シリウスに向かって枝を差し伸べてくれる。 呪文を唱えるまでもない。 シリウスは鳥のように舞い上がり、木の葉のように宙返りをし、時には細い枝を片足でちょんとつついただけで、リスよりもすばやく樹上を移動していた。
 行き先は、魔法使いの村の入り口に立つ、魔法の先生パンセの家だ。
 もう1ヶ月近くも“木隠れ”の魔法の練習をして、同じ年頃の子どもたちの(たぶん)誰よりも早く、森の中を飛びまわれるようになった。 魔法使いの森のどの木も、一本残らず、てっぺんまで舞い上がってみた。 どの木とも友達になった。 カケスやふくろうの巣の中も、全部覗いてみた。 ウサギ穴も、タヌキのねぐらも、リスのベッドも、蛇の巣穴も、くまなく調べて回った。 もう魔法使いの森の隅々まで探検しつくしたから、そろそろパンセのところへ行って、次の魔法を教えてもらいたくなったのだ。
 シリウスは、木から木へと飛び移って、最後の一本、『パンセの椎の木』から地面へ飛び降りると、そのままの勢いで、ノックもなしにパンセの家の中に飛び込んだ。
 「パンセ、おはよう! 新しい魔法を教えて!」
 パンセは、部屋の中央の大きなテーブルで、片手にキセルを持ったまま、にこにことシリウスを迎えてくれた。
 「おはよう、シリウス。 “木隠れ”はもう自由にできるようになったかい? ずいぶん時間がかかったね」
 「うん! “木隠れ”しながらあっちこっち見て回っていたら、楽しくて、途中でやめられなかったんだ!」

 「ほう、“木隠れ”だけで移動できるようになったのか。 そんなにあっちこっち行ったの?」
 シリウスは、目を輝かせながら、岩だらけの高い山や、どこまでも広がるまぶしい草原や、気味の悪い密林の話をした。 するとパンセは、声を立てて笑いながら言った。 
 「そんなに遠くのほうまで出かけていたのか。 それじゃ時間もかかるわけだ。 で、もう気はすんだの?」
 「うーん、まあね。 本当はもっと遠くまで行ってみたいけど、大きな木がなくなって、行けなくなっちゃったからあきらめたんだ。 この森の中はひととおり見て回ったけど、街にはまだ一度も行ったことがないんだよ、すぐ近くなのに。 ・・・ねえ、パンセ、リュキアの街の中には、本当に、木も草もないの?」
 パンセはキセルに新しい煙草を詰め替えながら、笑って答えた。
 「私も、街には一度も行ったことがないなあ。 リュキアの街にちょくちょく出かけていくのは、ヴェガくらいのもんだろう。 街の話ならヴェガに聞いてごらん。 きっと目が回るほどたくさん話をしてくれるよ」
 「ふーん。 俺も街へ連れて行ってくれるかな」
 「そうだね。 頼んでみれば?」
 「うん。 今度ね。 でもその前に俺、どうしても、あの“現し身”ってのを覚えたいんだ。 “木隠れ”と“現し身”は、子どもの魔法の、基本なんだろ?」
 「そのとおりだよ、シリウス」
 パンセは笑いながら椅子から立ち上がり、キセルの先っぽで、台所の隅に置いてある大きなお鍋を指した。 お鍋がゆらりと大きく揺れて、宙に浮かび上がり、ふわふわと飛んできてシリウスの前にどしんと着陸した。

 「それじゃ、シリウス、“現し身”の練習を始める前に、またお使いをしてきてもらおうかな。 今日はこの大鍋を、魔法薬作りのプリエールの家まで届けてきておくれ。 薬を作るのに必要な大鍋が壊れてしまったから、私の家の古い大鍋を譲ってほしいと、この前から頼まれていたんだよ。 もしプリエールに、何か手伝いを頼まれたらちゃんと手伝ってやってくださいね。 じゃ、頼んだよ」
 そう言ってパンセはさっさと隣の部屋に引っ込んでいってしまった。





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最終更新日  2009.12.21 18:21:51
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