突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2011.08.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 炎上する神殿の照り返しに、赤く染まったゴルギアスの横顔が、苦しげにゆがんでいる。


 地獄のような炎の色に照らし出されて、悲鳴とも怒声ともつかない声を上げながら、人々が通りを逃げ惑っていた。 
 その様子を悲しげに見やって、ゴルギアスが続ける。

 「今リュキアと呼ばれているこの城内は、母親たちから奪った子どもたちを閉じ込めておく、世界から隔絶された大きな檻です。 リュキアの子どもたちはある年齢に達すると、“狂気の森”の底なしの沼に呼ばれて、一瞬でこのゴルギアスホローという穴の中の、“つめ草の野原”に“現し身”されますが、実際には、ここは、本来のリュキアの地からは遠く離れたところ。 山を隔て、海を隔てた彼方の、広い砂漠の中央に位置しています。 子どもたちは、ここから逃げ出すことはできません。 母たちが探しに来ることも不可能です。 もっともこのごろでは呪いの力も弱まったのか、強い愛情で沼を渡って子どもを捜しに来る親がいたり、リシャーナの森の奥が本来のリュキアの地とつながっていたり、あちこちにほころびが生じてきたようですが」

 そのゴルギアスホローは、今、混乱の渦の中にあった。
 燃え落ちる神殿に手を差し伸べて泣き叫ぶ者、ひざまずいて神に祈りを捧げるもの、救護に駆けつけてくる兵隊たち・・・。 ある者は若者に見え、ある者は年寄りに見える。 が、彼らはみな、父母の記憶を失った、呪われた子どもたちなのだ。 いずれは大人になり、見も知らぬ故郷へ帰る日が来るのかもしれない。
 立ち尽くすゴルギアスの視線は、しかし、それらを素通りしてどこか遠いところをさまよっているように見えた。

 「・・・セルヴィウスの歩んできた、長い、つらい道のりを思うと、私は、黙ってその恨みの刃をこの胸に受けるしかありませんでしたが、それでもなお、もう一度セルヴィウスと人生をやり直したいという思いは、どうしても捨てることができなかった。 もう一度、赤ちゃんのセルヴィウスをこの腕に抱いて、この手で育てたい。 もう一度。 初めから。 来世では必ず。  そう願って、セルヴィウスと私自身のために、よみがえりの秘宝『血の石』をふたつ、アンタレスに託したのでしたが・・・」


 が、はっとする間もなくその表情は消え、悄然と肩を落としたゴルギアスが言った。

 「・・・でも、私は、今生でゴルギアスとして目覚める前に、ミラという無垢な少女としてアンタレスと出会い、彼に恋をしてしまいました。 だから、セルヴィウスのための“血の石”を、アンタレスを目覚めさせるために使ってしまったのです」 

 「では、ゴルギアスさまご自身のための、もうひとつの“血の石”は?」

 思わず身を乗りだしてたずねたアルデバランに、ゴルギアスが、優しい少女の顔で微笑みかけた。
 「デネブにあげてしまいました。 レダの命を救うために、私と真の友情を結ぼうと懸命の努力していたデネブに、正面からちゃんと応えてやらなかった、不誠実な友ミラからの、せめてもの謝罪です。 それを持ってデネブはさきほど、カストールとポルックスとともに、自分のフネに帰りました。 わたしのムラ気のせいで獲得できなかった魔力のかわりに、デネブは、あの石を使ってレダを目覚めさせることでしょう。 ・・・アルデバラン、 あなたが、“血の石”の力でアルクトゥールスを蘇らせたいと願っている事は知っています。 でも、アルクトゥールスは、もうこの世界に戻ることは望んでいないと思います。 あなたを育てるためにここに生を受けたアルクトゥールスです。 あなたが自分の足で歩き始めようとしている今は、心の平安を得て静かに眠っているはず。 もし目覚めれば、また、強すぎる愛情であなたを支配しようとして、結局は自滅することになってしまう。 それはどちらにとっても不幸なことだと、賢明に悟ったのです」





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最終更新日  2011.08.30 18:34:00
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