「セカンドライフマガジン(vol.1)」
仮想社会を創るコラボレーション情報誌<1>
インプレスR&D /インプレスコミュニケ ムック 127p 2007/12
No.916★★★★★
S L本なんか、金輪際一切買わないと誓ってはいるのだが、どうも本屋を立ち去る時に後ろ髪引かれる本というのは存在する。しかも、一度ならず、二度ならず、三度も後ろ髪惹かれれば、内容なんかどうでもいいじゃん、とにかく、買っておこうじゃないか、となった本が、この本だった。
松岡正剛がインタビューに答えている。これが一番の心に引っかかっていたのだろう。「SLマガジン」というのも気になる。「新★登★場」とはいうものの、次回は3月に発売。月刊誌でもなく、季刊誌と銘打つこともできない何はともあれの試打球というところか。これの売れ行きが良かったら、定期刊行いたしましょう、というところだろう。
「セ カンドライフで起こる出来事は、互いに無関係ではなく、連続性の中から発祥する。これは歴史を作るのと同じ要素を供えている。さまざまな情報文化を研究してきた松岡正剛氏に、セカンドライフの可能性を語っていただいた。2時間に及ぶインタビューの中で、今回は前編として、ゲームともウェブとも違う、メディアとしての可能性を中心に掲載する。 p90
わずか二時間のインタビューを3ヶ月の間をあけて、二回に分割するという編集者の志向性に、この雑誌の目玉商品の希少性を感じるとともに、逆言えば、松岡正剛の「商品性」の高さに目をみはる、ということになる。たしかに彼がSLをどう見るか、という話しは面白い。
松 岡●17世紀後半にロンドンに初めてコーヒーハウスができて、1年後に百軒、5年後に千軒というように増えていきました。このコーヒーハウス、その後のイギリスが世界中に提供したさまざまな世界モデルが創られました。たとえば、小説や広告は、コーヒーハウスの中で配られたマガジンというものに掲載されたのが始まりです。一番大きいのは、政党と株式会社でしょう。トゥーリーとかホィッグというのはコーヒーハウスの名前で、それがイギリス議会のスタートです。株式会社は、ロイドコーヒーというところが、保険を扱ったのが始まりです。
コーヒーハウスは、最初は単にオスマントルコがもたらした刺激的な液体を薄めてみんなで飲む場で、しかも厳格なロンドンでは2階にしか作れなかった。それがどんどん増えて、社会モデルのプロトタイプとして成長していったのです。セカンドライフ上でも、初めは実社会のあるものの真似から入るでしょうが、セカンドライフの中で一番人が溜まりやすい「場のモデル」を発見し、当時のコーヒーハウスのようなものを独自に作っていければ、今までの実社会になかった社会モデルや「メディア内メディア」が作られる可能性はありますね。
雑居ビルの地下街にあった小さな書店で、セクト新聞やミニコミに混じって売られていた「オブジェクトマガジン『遊』」。途切れ途切れに聞こえてきた、短波マガジン『遊』。思えば、やっぱり松岡正剛は、時代時代をかっこよく走ってきたな。1944年生まれの63歳。ここまでくれば、ほんもんだよ。さて、これからどうなる。
かけがえのない人間 2008.05.22
生きる意味 2008.05.21
「生きる力」としての仏教 2008.05.21
PR
Freepage List
Category
Comments