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2024年02月22日
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カテゴリ: 絶対存在論
ルドルフ・シュタイナー 初期哲学論文-7
真理と学問
Ⅱ.カントの認識論の根本問題
 カントが前提としての純粋数学及び自然科学のア・プリオリな妥当性を、彼の詳論の冒頭に据えているという点については、オットー・リープマン、ヘルダー、ヴィンデルバント、ユーバーヴェーク、エドゥアルト・フォン・ハルトマン*¹³、クーノ・フィッシャー*¹⁴らの見解もまた、本質において我々の見解と一致している。
【原注】
*13:以下参照文献一覧
オットー・リープマン『現実の分析について』p.211 ff
アルフレート・ヘルダー『カント的認識論の叙述』チュービンゲン 1874 年 p.14 ff
ヴィルヘルム・ヴィンデルバント『物自体に関するカントの教えの様々な相』1 期 ライプツィヒ 1877 p.239

エドゥアルト・フォン・ハルトマン『超越論的実在論の批判的な基礎付け』第二版 ベルリン 1875年 p.142-172
*14:クーノ・フィッシャー『近代哲学史』第五巻 ハイデルベルク 1854-1877 p.60
 クーノフィッシャーに関して、フォルケルトが「クーノ・フィッシャーの見解によれば、カントが普遍的で必然的な判断の心理学的事実性のみを前提としているのか、それとも判断の客観的な妥当性及び正当性をも同時に前提としているのかどうかが、彼の叙述からは明らかでない」(『カントの認識論』p.198~199 の註を見よ)と言うとき、彼は思い違いをしている。というのも、フィッシャーは引用された個所で、『純粋理性批判』の主な難点とは、その「基礎付けが、結論を妥当なものとするために容認せねばならない、一定の前提に依存している」ことに求めることができると述べているからである。これらの前提はフィッシャーにとってもまた、「まずは認識という事実」が確定され、次いで分析によって「認識という事実そのものがそこから説明される」認識能力が見出されるということである。 第一に、あらゆる経験に依存しない認識を我々が実際に持っており、第二に、あらゆる経験は、相対的な普遍性についての洞察しかもたらさないということを、我々はこれとは別の判断からの結論としてのみ認めることができるであろう。こうした主張には、経験の本質と我々の認識の本質についての研究が先行しなければならないであろう。前述の命題のうち、経験の本質についての研究からは第一の命題を、認識の本質についての研究からは第二の命題を、推論しうるであろう。
 さて、我々の理性批判に対する有効な反論になお次のような応答がありうるだろう。全ての認識論はやはり、まずもって読者を前提なき出発点を見つけることのできるところへ導かねばならないと言えるだろう。というのも、我々が人生の何らかの時点で認識として所有するものは、この出発点から遠ざかっており、初めに我々は、その出発点へともう一度人為的に連れ戻されなければならないからである。読者を認識の出発点に立ち返らせるという認識論の始まりに関する純粋に教授法的な合意は、あらゆる認識論者にとって必要不可欠である。しかしながら、いずれにせよ、そのような合意は、認識行為の始まりを議論することが、実際に、認識行為の始まりは自明な分析的命題において進行しなければならず、また、カントがそうであるように、後の議論の内容に影響を与えるどんな種類の現実的で内容のある主張もしてはならないということであるのはどのような点においてかを示すことに限定する必要がある。認識論者によって想定された始まりが本当に無前提であることを示すことは、認識論者にとって義務でもある。しかし、その全てが、この始まりそのものの本質とは何一つ関係なく、完全にこの本質の外にあり、それについて何か述べるものではない。私は数学の授業の始めに際しても、ある真理の公理的性格について、生徒に納得させるのに苦労しなければならないというわけである。だが、公理の内容はその前に行われた検討に左右されるとは、誰も主張しようとはしないであろう*¹⁵。これと全く同じやり方で、認識論者はその導入の言及において、どのようにして無前提な認識の始まりに至ることができるかという方法を示さなければならないだろう。しかし、この無前提な始まりの本来的な内容はこの検討に左右されるべきではない。けれどもいずれにせよ、この内容は、カントのように、始めに一定の独断論的性格をもつ主張をする、認識論へのそのような導入からは遠くかけ離れている。
【原注】
*15:我々が独自の認識論的検討を全く同じやり方でどこまで行っているかは、第 4 章「認識
論の出発点」で示している。

参照画:クーノ・フィッシャー




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最終更新日  2024年02月22日 07時02分58秒
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