ある後追いファンが語る河合奈保子さん

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2024.10.05
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前に​ 「イース」について書いた ​時、自分はドラクエの音楽にはあまり興味がない、というようなことを書きましたが、その理由を簡単に言うと、サントラの演奏が良くないから、ということに尽きます。あまりネガティブなことは書かないほうが良いと思いつつ、つい書いてしまった以下の記事、ドラクエファンの方は読まないことをおススメします…

基本的には電子3音+効果音しか出せなかったファミコンで、クラシックの作曲技法によるオーケストラ的なサウンドを使い、実際にオーケストラでも演奏された「ドラゴンクエスト」の音楽は、たしかにそれまでのゲームにはなかったものであり、これを聴いてゲームミュージックが好きになった人も少なくないでしょう。あるいは、ゲームミュージックというジャンルの「地位」を高めたのが「ドラゴンクエスト」である、と言われることも少なくないように思います。ただ、そのような言い方の背後には、クラシック音楽(あるいはオーケストラの演奏)が他のジャンルより「高尚」なもの、という無意識の思い込み、あるいは意識的な偏見があるのですが・・・

その後、家庭用ゲーム機はバージョンアップし、スーパーファミコンでは効果音含め(たしか)8音出せるようになり、サンプリングによってストリングスや管楽器、ギターなどの音も(あくまでサンプリングとしてですが)出せるようになりました。プレイステーションになるとさらに同時発音数が増え、プレイステーション2ではサントラとして生演奏を使うケースも多くなりました。「ファイナルファンタジーVIII」はオープニングとエンディングで初めて生オーケストラを使い、挿入曲としてフェイ・ウォン(王菲)さん の歌う「Eyes On Me」がヒットしました(ちなみに「FF8」は世間的な評判はいまいちのようですが、ゲームも音楽も私は結構気に入っています)。

以降、ハードの進化にともないゲームミュージックのサウンドも制約がなくなり、表面的にはできることが多くなった結果、他のジャンルの音楽との差異がなくなりました。ゲーム全編で生演奏を使うことも珍しくなくなり、私の知る範囲で言うと、ストーリー重視のRPGとかコーエー(現コーエーテクモゲームス)の歴史SLGでは頻繁にオーケストラが使われています。が、これらの多くは単に「オーケストラを使いました」というだけで演奏の水準が低いものが多く(下手をすると、レベルの高いアマチュアの方が良い演奏ができる、というレベル)、私はサントラを買って聴く気にはまったくなれません。

いま私の手元にある「ドラクエ」のCDは「I」の「組曲 ドラゴンクエスト」と「VI」だけですが、この記事を書くにあたり、ロンドン・フィルハーモニーの演奏による「VI」のオーケストラバージョンを聴いてみました。曲作りとしては文句なく巧みで、特に「エーゲ海に船出して」などはたいへん印象的です。しかし弦楽器の音が不自然になめらかで、加工されているような違和感があります。記憶が定かでありませんが、これは大昔うちにあった「ドラクエIV」のカセットでも同じようなかんじだったように思います。オーケストラの演奏としても無難にこなしただけで平板な印象で、バトル曲では弛緩していて明らかに「流して」います。金管楽器の荒さも目立ち、「悪のモチーフ」とか「暗闇にひびく足音」なんかちょっとヒドイですし、ラスボス曲「魔王との対決」は出だしはともかく、その後のトランペットで脱力します…(ロンドン・フィルはクラウス・テンシュテットが指揮したマーラーの交響曲のように、もの凄い演奏を生みだすことができたオーケストラなのですが…)。エンディング曲「時の子守唄」はメロディーの美しさが際立つドラマティックな曲ですが、やはりここでも演奏の生気のなさが残念なところです。

この「ドラクエVI」オーケストラバージョンの演奏を、むりやり河合奈保子さんの楽曲を用いてたとえるなら、何の抑揚もなく歌った「スマイル・フォー・ミー」といえば通じるでしょうか(いや、むしろ通じにくくなるか笑)。オーケストラはおそらく譜面のとおりに演奏しているのでしょうが、それだけの話で表情に乏しく、楽譜から何かをくみ取って音楽として昇華するに至っていないのです。これはオーケストラの音が薄く木管楽器のソロだけになるようなところで特に目立ちます。指揮はすぎやまこういちさん自身が務めていますので、ゲームミュージックの大家に対してたいへん恐縮ながら、これはすぎやまさんの指揮者としての力量にもよるでしょう。意地悪く言えば、ロンドン・フィルにやる気がなく完全に「お仕事モード」だった、とも言えます。

という訳で、ドラクエ音楽のファンの方々に言い訳をしておくと、正確に言えば私は「ドラクエの音楽に興味がない」のではなく「ドラクエの音楽の演奏に興味がない」といった方が近い、ということにしておいてください。。

家庭用ゲーム機がサンプリング音を使ったサウンドに傾斜していく中、PCゲームのファルコム作品ではFM音源を使ったサウンドが洗練されてゆき、「白き魔女」「朱紅い雫」「ブランディッシュ」のような、「ゲームミュージック」であるからこそ表現できた魅力的な音楽が次々と生み出されていきました。このあたりについては、また別の機会に書きたいと思います。





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最終更新日  2024.10.06 11:38:04コメント(0) | コメントを書く
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